待望の白星!早稲田が天皇杯予選決勝へと駒を進めた

ア式蹴球男子
第24回東京都トーナメント準決勝
早大 0-0
1-0
東京ユナイテッドFC
【得点】
(早大)75’蓮川 雄大

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)で連敗していた中、東京都トーナメント準決勝(天皇杯予選)が行われた。相手はJ3リーグ昇格を目指す社会人チーム・東京ユナイテッドFC(東京U)。安定した守備と積極的にウラを狙う攻撃で自分たちのサッカーを終始貫き、75分にFW蓮川雄大(スポ4=FC東京U18)が自ら得たPKを決め切った。スコアはそのまま1-0で試合終了の笛が鳴り、早稲田が決勝へと駒を進めた。

 リーグ戦で連敗し、不調ともいえる早稲田にとって苦しい試合展開が予想されていた。しかし序盤から早稲田が主導権を握り、MF神山皓亮(商4=栃木・真岡)を中心に左サイドからの攻撃で東京Uのゴールに迫る場面が続いた。15分には蓮川がエリア内でパスを受けるもシュートのタイミングが遅れてゴール左上へ。直後には同じく蓮川がワンタッチで相手を抜き去り、クロスをあげるがこれも惜しくも得点にはならず。攻撃も好調であったが、守備も抜群の安定感を見せた。セカンドボールは、けがを乗り越え四年目にして公式戦初出場となったMF千葉健太(鹿島アントラーズユース)を中心に確実に処理。高めの位置をとってくる東京UのFWに対して、DF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)がDFラインを統率してウラへのボールにも対応。攻守共にいいかたちでプレーすることができ、流れを完全に自分たちのものにできていた。23分には大桃からのロングフィードをFW武田太一(スポ=ガンバ大阪ユース)が頭でそらすも、中にいたMF鍬先祐弥(スポ3=東福岡)に届かずCKへ。これを皮切りにCKが続くも、なかなか合わせられずゴールネットを揺らすことができない。FW梁賢柱(スポ3=東京朝鮮高)が神山とワンツーでパスをつなぎ深い位置まで入り込むもボールはサイドネットに。前半終盤には千葉が逆サイドの神山に大きく展開し、再びチャンスが訪れるが最後の一歩で届かず得点にはならなかった。先制点を決め切りたい早稲田だが、簡単にはいかず前半はスコアレスで終了した。

念願の得点を決め、雄叫びをあげる蓮川

 後半は立ち上がりから東京Uのペースで試合が進んでいく。55分、59分に立て続けでFKを与えてしまうが、高い集中力でなんとか防ぎ切った。流れを取り戻し、先制点を挙げるためにMF山下雄大(スポ1=柏レイソルU18)とMF田部井悠(群馬・前橋育英)を投入し、勝負に出る。すると75分、蓮川がエリア内で倒されPKを獲得。ゴール右隅に強烈なボールを打ち込み、先制点を挙げた。待望の蓮川ゴールに会場は盛り上がりを見せ、ピッチ内外ともにいい雰囲気に。得点直後には神山がマイナス気味のクロスをあげ、蓮川が頭で合わせるもゴール上へ。試合は再び早稲田の流れになってきた。79分には東京Uも交代カードを切り、点を取り返そうと攻勢を強めてくる。カウンターを狙われ、一気にゴール付近まで侵入されるがここでもDF陣による堅い守備で失点を許さない。立て続けに攻め込まれ、一瞬の隙も許されない状況に対して全員が最後まで集中力を切らさずゴールを守り切った。

 4年生を中心に試合が動き、それぞれの特徴を生かすことができた今試合。コーチングやチームを鼓舞する声も途切れることなく、リーグ戦での課題を確実に乗り越えてきている。次の天皇杯予選決勝は明大との対戦が決まっている。昨シーズンは後期リーグ戦で明大に1-6の大敗を喫する屈辱を味わった。負けた経験を無駄にせず、相手をしっかりと分析して試合に臨むことだろう。自分たちの課題に謙虚に向き合い、まずは次週のリーグ戦で白星を獲得したい。そしてその勢いで天皇杯出場の切符を手に入れた選手たちが肩を組んで歌う『紺碧の空』が再び見たい。

スターティングイレブン

(記事 大山遼佳、写真 河合智史・山浦菜緒)


早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田 晃士 社3 浦和レッズユース
DF ◎3 大桃 海斗 スポ4 新潟・帝京長岡
DF 杉山 耕二 スポ3 三菱養和SCユース
MF 鍬先 祐弥 スポ3 東福岡
MF 阿部 隼人 社3 横浜Fマリノスユース
MF 栗島 健太 社4 千葉・流通経大柏
MF 13 千葉 健太 スポ4 鹿島アントラーズユース
→59分 27 山下 雄大 スポ1 柏レイソルU18
MF 22 神山 皓太 商4 栃木・真岡
→90分 18 中園 健太郎 社4 東京・早実
FW 武田 太一 スポ4 ガンバ大阪ユース
FW 10 梁 賢柱 スポ3 東京朝鮮高
→64分 19 田部井 悠 スポ2 群馬・前橋育英
FW 11 蓮川 雄大 スポ4 FC東京U18
◎=ゲームキャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
コメント

MF千葉健太(スポ4=鹿島アントラーズユース)

――公式戦初スタメンでしたが、どういった心境でしたか

チームが公式戦連敗中ということで、自分が出て何ができるかを一番に考えました。まずは一番結果を求めて、勝利できるように意識して、絶対勝とうと思って試合に入りました。

――監督から試合前に言われたことはありましたか

戦う姿勢など、何かを多くの人に感じてもらえたらなと思っていたので、そういうところで絶対負けたくないと思ってプレーしていました。途中で交代になってしまったのですが、結果としてチームは勝ったので、そこが一番良かったかなと思います。

――セカンドボールがよくとれていて、縦に大きく展開する場面も見られましたが、試合を振り返ってどうでしたか

セカンドボールのところは意識していて、長いボールがお互い増えてきたなかで、そこは絶対自分が先に触ろう、拾おうというのは思っていました。そこはひとつ良かったポイントかなと思います。展開のところは一本くらいしか良い展開ができず、課題感というのはかなり出たので、そこは積み上げていかなければならないところかなと感じました。

――負けが続いた中での勝利でしたが

リーグ戦の方で連敗していて、大会は変わりましたが、公式戦のところで連敗を止めるということが目標でした。ポイントを獲る、一試合勝つということの難しさを感じましたし、今日でそこが分かったので、みんなでそこを意識して、勝ち点を毎試合積み上げていけたらなと思います。

――次はリーグ戦、中大戦です

みんなでもう一回コンディションを整え、やれることを最善に尽くして、毎日の積み重ねが、週末の試合につながると思うので、そこを意識してやっていきたいなと思います。

FW蓮川雄大(スポ4=FC東京U18)

――相手をどう分析していましたか

東京ユナイテッドFCさんは社会人チームということで、学生らしさを全面に出すことを監督中心に共有しました。その学生らしさである運動量や球際の部分をこだわってこの一週間やってきました。

――監督から試合前に言われたことはありましたか

ここ関東リーグ2試合は2連敗でチーム状況としてはやはり難しい部分はありましたけど、開幕戦よりも2節の方がよくなっているとこがあったので、今週一週間は4年生中心になってもう一度サッカーの本質である球際切り替えやハードワークの練習をこだわってやってきたので、その成果が無失点ということろに繋がってよかったと思います。

――今日の試合全体を振り返っていかがでしたか

正直なところ、前半のうちにチャンスが僕を含めて攻撃陣ありましたし、そこで1つ決めていればチームとしての流れももっとよくなったのかなと思っています。得点力は今シーズン始まってずっと言われていますし、関東リーグ2試合でも得点が生まれなかったという現実があったので、そこは攻撃陣はもっと向き合っていかなきゃいけないかなと思います。

――後半のPK戦では緊張はありましたか

倒されて笛吹かれた瞬間、絶対蹴ってやろうと思いました。PKは天皇杯の青学戦のときも蹴ってたので、特に緊張なく蹴れましたけど、東京Uの選手が何人かいて、こっちに蹴るのではないかという助言があったのでいつもとは逆に蹴りました。

――何度もチャンスはありました

今日は僕が前に入って太一(FW武田太一、スポ4=ガンバ大阪ユース)が右サイドに入ったのですが、梁(FW梁賢柱、スポ3=東京朝鮮中高級学校)との距離感というのを意識していました。また、太一に入ったときの動きだったり、神山(MF神山皓亮、商4=栃木・真岡高校)が前半から何度も突破できていたので、そこに対してのクロスの入りは梁と僕で話し合ってましたし、後半何度かクロスからのチャンスもあったので本当に決め切れないといけないなと思いました。

――今回の勝利は意味のある勝利でした

本当に勝つって難しいなと思いました。先制点をとってからも苦しい時間続きましたけども、大桃(DF大桃海斗主将、スポ4=新潟・帝京長岡高校)、杉山(DF杉山耕二、スポ3=三菱養和SCユース)中心にDF陣が身体張ってくれていたのでその押し込まれた状態のときに、前線でなんとか時間をつくってあげたり追加点を狙いくような姿勢はもっと見せていかないといけないです。1-0で勝つって難しいと思いますし、2点目が及ぼす影響によってDF陣にかかる負担というのも変わってくると思うので、そこは攻撃陣の選手は、チームとしてもっと取り組んでいきたいと思います。

――次の関東リーグ中大戦への意気込みをお願いします

2連敗で迎えるリーグ戦ですけど、今日の勝利っていうのは大きいものだと思いますし、来週一週間があるので今週出た課題をさらにトレーニングで落とし込んで、チームで次の試合勝ちに向かっていきたいです。