第93回関東大学リーグ戦 | ||||
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早大 | 0 | 0-1 0-0 |
1 | 法大 |
【得点】 (法大)22’上田 綺世 |
開幕戦で昇格組の立正大に敗れ、黒星発進となった『外池早稲田』。この日は前年度の全日本大学選手権(インカレ)王者・法大と対戦した。連敗を避けるためにも勝ち点を持って帰りたい試合だったが22分、U22日本代表FW上田綺世(3年)に直接FKを沈められて先制点を献上する。その後はこう着状態が続き、互いに決定機を演出できないまま試合終了。これで開幕2連敗となり、関東大学リーグ戦(リーグ戦)連覇へ向け早くも正念場を迎えた。
ボールキープをする大桃主将
外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)はこれまでの公式戦3試合で7失点を喫している現状を受け、守備のリズムを構築することを選択。サイドアタックを武器とする法大に対して、早大は基本形の4−1−4−1ではなく、守備時にブロックを構築しやすい4−2−3−1の布陣でキックオフを迎えた。最終ラインを低めに設定した早大に対し、立ち上がりから法大が攻勢に出る。立て続けにCKを与えるなど、劣勢に立たされる時間が続いた。それでも15分には反撃に転じるべく、カウンターを発動。FW武田太一(スポ4=ガンバ大阪ユース)のポストプレーからFW蓮川雄大(スポ4=FC東京U18)が抜け出しGKと1対1の場面をつくるが、好セーブに阻まれ先取点とはならなかった。22分、自陣中央でファウルを犯し、FKを献上。キッカーの上田が右足を振り抜くと、ボールは無回転でゴールマウスの左下隅に突き刺さった。その後は法大の果敢な守備に気圧され、なかなか前線までボールを運べない。35分にはMF神山皓亮(商4=栃木・真岡)の突破でCKを、40分にはDF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)のロングフィードから武田が抜け出してシュートチャンスを得るなど、サイドのスペースに活路を見出すもゴールには迫れず。相手に脅威らしい脅威を与えられないまま1点ビハインドで前半を終えた。
後半は最終ラインから裏のスペースへのフィードを混じえながら、カウンターに軸を置いてゴールを目指した。68分には途中出場のFW梁賢柱(スポ3=東京朝鮮)と蓮川の連携など、ゴールに迫る場面も増えたものの、高い集中力を保つ法大守備陣を崩すことができない。また中盤でのパスミスやボールロストも散見され、効果的な攻撃を繰り出せないまま時間だけが過ぎていく。DF陣の踏ん張りにより追加点こそ許さなかったが、最後までゴールをこじ開けることはかなわず。0−1で敗北を喫した。
梁の交代で攻撃の流れを変えるも、決定的なチャンスはつくれず
前節の反省から、守備の再構築を始点に据えて臨んだこの試合。流れの中から生み出された決定機の数は最小限にとどめ、失点も直接FKからの1失点のみとした。「負けはしたが非常に手応えのある試合」と指揮官が言うように、守備面の課題をある程度改善できたことは好材料といえる。しかし攻撃面では、カウンターを仕掛ける際につまらないミスによるボールロストが散見され、試合の主導権を完全にものにすることができなかった。これで開幕2連敗となり、厳しい船出を強いられた早稲田イレブン。「変に落ち込むことなく、先を見据えてやれるかどうか」(外池監督)。この2敗の捉え方如何で、早大が迎える未来は大きく変わってくる。
スターティングイレブン
(記事 森迫雄介、写真 大山遼佳)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 21 | 千田 奎斗 | スポ3 | 横浜F・マリノスユース |
DF | 5 | 杉山 耕二 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
DF | ◎3 | 大桃 海斗 | スポ4 | 新潟・帝京長岡 |
DF | 17 | 工藤 泰平 | スポ3 | 神奈川・日大藤沢 |
DF | 6 | 阿部 隼人 | 社3 | 横浜F・マリノスユース |
MF | 7 | 金田 拓海 | 社4 | ヴィッセル神戸U18 |
→78分 | 4 | 鍬先 祐弥 | スポ3 | 東福岡 |
MF | 8 | 栗島 健太 | 社4 | 千葉・流通経大柏 | MF | 22 | 神山 皓太 | 商4 | 栃木・真岡 |
→60分 | 10 | 梁 賢柱 | スポ3 | 東京朝鮮高 | MF | 14 | 田中 雄大 | スポ2 | 神奈川・桐光学園 | MF | 11 | 蓮川 雄大 | スポ4 | FC東京U18 |
FW | 9 | 武田 太一 | スポ4 | ガンバ大阪ユース |
◎=ゲームキャプテン 監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実) |
コメント
外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)
――今日の法政戦のプランは
法政さんはオーソドックスな4−4−2のチームで、上田くん然り紺野くん然り攻撃に特徴のある選手を擁しているので、そこをしっかりケアすることと、今のうちの強みをどういったところに出していくかということの共通理解を先週しっかり見出しました。あと開幕戦では守備のリズムができなかったところがあったので、自分たちがボールを支配できる状況のところと、相手がボールを持っている時にどういう守備のリズムをつくっていくかというところを大きなテーマとしてやってきました。そういう意味でいくと、この一週間非常に向き合って取り組んでくれたので、負けはしましたけど非常に手応えのある試合だったと思っています。
――きょうはいつものトライアングルではなく2ボランチで臨みました、守備のブロックを構築しやすくする意図だったのでしょうか
そうですね、守備の時に3枚でいくか4枚でいくかという話をみんなで一週間した上で、4枚で行こうと。相手の特徴もサイドにあったりするので、2ボランチというより両ワイドでどう優位性をつくるかと考えた時に、自分たちの強みを考慮するとサイドは1人より(複数いた方がいい)。相手の強みを消しつつこっちの両ワイドが高い位置を取れたらチャンスになるというところで、逆に4+4のフラットな形にしてトップ下に田中を置くことで、中央を見せつつ最後はサイドで仕留めるイメージで臨んでいて、いくつかそういうチャンスは前後半でつくれていたと思うので、その辺を得点に結び付けられるかどうかだと思います。
――守備はセットプレーの1失点のみ、危険なかたちも少なく狙い通りだったと思いますが、一方で攻撃ではカウンターを仕掛ける際に連携不足な面や、パスミスが散見されました
どうしても今回の(戦い方の)転換の部分でいくと、今年はずっと自分たちでボールを支配し、大事にして押し込んでいこうというのがあったんですけど、守備のリズムをつくるためにラインを下げる判断も今回からし始めました。それによって攻める際にスペースが生まれ、カウンターという状況が多くなりました。去年はそういうスタイルだったんですけど、今年はそういう部分の中で、ある種カウンターが一つの選択肢となった中でいくと、少し攻め急ぐ場面がありました。まあそれは一つのプロセスかなと思っているので、きょうやれたカウンターの手応えと、課題となった精度の部分はまた突き詰めていきたいなと。守備のリズムをつくるためにはいつも前から行けるわけでもないので。立正の時には前からいく前線と、最終ラインが後ろに重心をかけてしまって、そこのギャップを突かれてリズムを失っていたんですけど、きょうは相手がゲーム自体の主導権を握っている時間は少なかったと思うので、やはりそういう意味では守備のリズムは必要だなと。ただその時にどう攻めるか、そこの精度はもう少し上げていかなければいけないと思うので、そこらへんはこれからの課題だと思います。
――紺野選手のように一人で優位性をつくりだせてしまう選手への対応は難しかったのでは
当然ボールを持てる選手ではありますけれど、決定的なシーンはつくらせなかったので良かったと思います。こっちの蓮川や神山のところでいい状況というのは、特に前半はあったと思うので、サイドに関してはうちの方がポイントはつくれていたのかなと。後半は梁を入れて中央にもポイントをつくりたいというのはあったんですけどね。もう少しカウンターのところでパワーを生み出せないとやりきれないなと思いましたね。
――課題がかなり鮮明に浮き彫りになったことで、逆に次戦以降への修正をかけやすくなったのではないでしょうか
きょうのゲーム、負けはしましたけど先週から比べて一週間の取り組む姿勢、日々の積み重ね、やってきたことへの手応えというのがピッチに表れていましたし、言い方はあれですけど立正より個の能力は格段に高い法政に対してゲームマネジメントはできていたので。ここで変に落ち込むことなく、先を見据えてやれるかどうかですね。どちらかというとメンタルの部分だと思うので、そこらへんを動機づけというか、しっかりサポートして、また天皇杯というチャレンジもあるので、またその中できっかけをつかみ、GWの連戦につなげていけたらと思います。
GK千田奎斗(スポ3=横浜F・マリノスユース)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
前節に比べたらチームとしては良くなっていたと思います。自分は今季初めて試合に出て、0失点に抑えたかったのですができず、まだまだ課題が残る試合になりました。
――失点シーンはいかがでしたか
FKの距離が結構あったので、キッカーと真っ向勝負で行こうと壁の枚数をわざと減らしました。蹴られる瞬間に人が入って見えなくなってしまいました。見えていたら止められたと思うので悔しいですね。中にいる選手とコミュニケーションをとってやっていきたいですね。
――チーム全体としてはいかがでしたか
前節とは攻撃の方法を変えていたので、ボールを持てなかったことに対してはマイナスな印象はありませんでした。守備に関しても、相手の2トップに対応できていました。ただ、クロスを上げ切るところや、シュートを決め切るところは課題が残ります。でもリーグ戦も始まったばかりなので焦らずにいきたいです。個人的には全部のボールを前に放り込んでも前の選手がきついと思ったので、タイミングを意識して前に蹴っていました。前節とは全く違ったスタイルだったので、戸惑ってしまったこともありましたね。
――GK争いは激しいようにみえますが
いいGK仲間に恵まれています。誰が試合に出られるか分からないというのはそこまで差がないということです。それをポジティブにとらえてとびぬけていきたいですね。ケガだけはしないようにします。