【連載】関東大学リーグ戦開幕前特集『Change before you have to』 第2回 大桃海斗×金田拓海

ア式蹴球男子

     常に新しいことに挑戦し続け、今や大学サッカー界の顔ともいえる早稲田を今シーズンリードしていくのはDF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)とMF金田拓海副将(社4=ヴィッセル神戸U18)。昨シーズンから試合の中心メンバーとしてア式を引っ張ってきた二人に、学生最後のリーグ戦への思いに迫った。

    ※この取材は3月28日に行われたものです

    後ろからチーム鼓舞し、安心感のある守備を見せる大桃

    ――それぞれ主将、副将に就いた経緯を教えてください
    大桃 昨年の10月頃に学年ミーティングで主将を決めることになりました。自分と武田(FW武田太一、スポ4=ガンバ大阪ユース)と千葉(MF千葉健太、スポ4=鹿島アントラーズユース)の3人で話し合って誰がやるかを決めました。武田も千葉も「桃(大桃)ががやるならサポートするよ」と言ってくれたというのと、学年からもサポートすると言ってもらえたので自分に決まりました。
    金田 自分は責任を負う役職にあまり就きたくなかったのが本音なんです(笑)。でも桃にやって欲しいと言われて、昨年の学くん(小笠原学、平31社卒=青森山田)のように責任を持つことでプレーとしても、1人の人間としても成長している部分を感じたので、責任を負う役職に就こうと決意しました。

    ――始動から2カ月経ちましたが手応えはいかがですか
    大桃 チーム全体を見るというのはなかなか難しいですね。今でも見切れない部分もありますし、気付いていてもどうアプローチすればいいのか分からない部分もあって、リーグ戦も始まっていないので何とも言えないですが、良い経験をしていると思います。チームとしては、学生スタッフを取り入れて昨年とはまた違うかたちで進めています。練習試合をやっていく中で、昨年は相馬くん(相馬勇紀、平31スポ卒=現名古屋グランパス)とか岡ちゃん(岡田優希、平31スポ卒=現FC町田ゼルビア)がいてくれて得点が取れていたものが今のチームではなかなか取れないのが明確な課題となっています。それを改善することが今年の大きな課題になってくるかなと考えています。
    金田 昨年の特徴がある選手が抜けるということになって攻撃面での課題があるということが分かっていたので、始動からそういうことに取り組んでいました。でもまだまだ成果が見えるところまではきていないので、リーグ戦や試合の中で勝っていく中で成長していかなければいけないと感じています。

    ――それを踏まえて、どんなシーズンになると思いますか
    大桃 昨年優勝したこともあって相手が引き気味で守ってくることも多くなってくると思います。その中でもどうセットプレーの部分で得点を決めるかが課題になってくると思いますし、絶対に改善していかなければいけないところです。
    金田 攻撃面で圧倒的な選手がいないので、練習でもチーム全体での崩し方を練習しています。しかし試合の中でそれにこだわりすぎている部分があるので、前の選手もある程度は個人で打開するということを練習から意識してやっていくべきかなと感じています。

    ――新入生の印象はいかがですか
    大桃 今年は能力の高い1年生も多いと思いますが、昨年リーグ戦を戦って感じていたのはうまくいく時間帯というのが限りなく少なかったことです。それを想定するとまだ公式戦で90分間戦える選手がいるとはまだ思っていないです。もちろん昨年からいる2、3年生の中でもリーグ戦の中で90分間戦い続けることができる選手が多くいるのかと考えると、まだ課題も多いです。戦うベースがないとなかなか厳しいですね。1年生は大学生のスピード感についていけてない部分もあると思いますが、期待できるのもすごく多いので楽しみです。
    金田 練習などを見ていると特徴があったり上手な選手も多くいるので、トップチームにその選手が入ってきたときに自分たちがプレーしやすいような環境作りをしていかなければいけないかなと思っています。昨年よりも早稲田は研究されている側なので、どういう風にプレーするのかも分析されています。新しい選手が入ってプレーするというのは再び優勝するには欠かせない力になっているくると思っています。

    中盤で試合をコントロールし、存在感が抜群の金田

    ――今シーズンのキーマンを挙げるとしたら誰ですか
    大桃 武田、梁(FW梁賢柱、スポ3=東京朝鮮高)ですかね。前の選手の活躍がやっぱりないと勝てません。組織でやっているのでチーム全体が活躍するのがもちろんですが、点を決めるのは個人なのでその選手がどう戦えるかが鍵になってくると思います。昨年は武田が頑張ってくれたおかげで岡ちゃんも生かされたということがあったと思います。相手に引かれた中で点を取るというのは、なかなか個人だけではいけない部分もあるので、組織としてチャンスを作り出さなければいけません。今年はやれるんじゃないかなと思いますね。全員に言えることですが特に攻撃面ではまだまだやれるし、やらなければいけないと思います。特に2人には期待しています。
    金田 栗島(MF栗島健太、社4=流通経大付属柏)、金田、鍬先(MF鍬先祐弥、スポ3=東福岡)の中盤の選手です。個人的に押し込む時間も長い中で、栗島は決定的なパスが出せたり自分でゴールを目指したりすることができています。先日の天皇杯予選ではセカンドボールの多くを鍬先に取りにいかせて大きなスペースを守らせてしまっていました。もう少し自分でもセカンドボールを取りにいってお互い楽にプレーできるようにしたいと思っています。中盤でセカンドボールを取ることによって全体のプレーの幅も広がるかなと思っています。中盤が負けることがなければ試合にも負けることがないと思うぐらい重要なポジションなので、頑張ります。ぜひ注目してほしいです。

    ――4年生になって意識面など変わったことはありますか
    大桃 もちろん変わりましたね。1番感じるのはチームの雰囲気とかトップチームのモチベーションもそうですけど、Bチームのモチベーション維持がかなり大切です。チームが同じ方向に向いていないとチームは良くならないと思っているので、今年はそこにかなり力を注いで意識してやっています。自分からアクションを起こすことも意識しています。
    金田 良い意味でも悪い意味でもチームのことを考えるようになりました。自分的にはチームのことを考えすぎるが故に、上手くいかないところも正直あります。バランスが少し難しくて自分のしたいプレーをするのが難しいですね。プレー以外でもやりたいことと求められていることのバランスの取り方が少し難しいので、近いうちに解決策を見つけてベストな選択をしたいです。

    ――改めて、リーグ戦の目標を教えてください
    大桃 連覇をする事はもちろんですが、毎週謙虚に戦い続けて目の前にあることにしっかり取り組んでいきたいと思います。個人としては同じく22試合全てフル出場して、チームに欠かせない存在になれればと思っています。またベストイレブンには選ばれたいですね、昨年選ばれてかなりモチベーションになったので(笑)。頑張ります。
    金田 チームとしての目標はもちろん連覇です。あと個人としては桃と同じように22試合全てフル出場することですね。みんなからの信頼と圧倒的なものを見せることでフル出場はできると思います。

    ――ありがとうございました!


    ◆大桃海斗(おおもも・かいと)(※写真左)

    1997年(平9)10月28日生まれ。181センチ、78キロ。新潟・帝京長岡高出身。スポーツ科学部4年。DF。関東大学リーグ戦1部通算21試合出場0得点。同2部12試合出場0得点。

    ◆金田拓海(かねだ・たくみ)(※写真右)

    1997年(平9)4月22日生まれ。174センチ。68キロ。兵庫・神戸学院大付高出身。前所属・ヴィッセル神戸U18。社会科学部4年。MF。関東大学リーグ戦1部20試合出場3得点。同2部4試合出場1得点。


    (取材 大山遼佳、写真 森迫雄介・大山遼佳)