フレッシュな顔ぶれが躍動し連勝!今後につながる試合に

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)もいよいよ大詰め。既に前節で優勝を決めた早大は、第21節・順大戦に臨んだ。前半は右サイドを中心に攻撃を展開する早大が優位に進め、16分にセットプレーから先制点を挙げる。さらに43分には今節スタメンに抜てきされたFW杉田将宏(スポ1=名古屋グランパスU18)が期待に応え、追加点を奪う。後半は、しっかり立て直してきた順大に攻められる場面が何度もあったが、相手の反撃を1失点にとどめて2-1で連勝となった。

 前節の試合後、「(リーグ戦の残り2試合は)新しい姿を示せるチャンスだと思っている」と語った外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)。その言葉通り、メンバーには3年生以下のメンバーが名を連ね、今季2度目となる3バックの布陣で試合に臨んだ。序盤から攻守がめまぐるしく入れ替わる中で、先手を取ったのは早大だった。16分、MF藤沢和也(商3=東京・早実)が右サイドを突破してライン際で粘り、CKを得る。キッカーのMF田中雄大(スポ1=神奈川・桐光学園)がグラウンダーのボールを供給すると、ニアサイドでDF杉山耕二(スポ2=三菱養和SCユース)がフリックし、DF大桃海斗(スポ3=新潟・帝京長岡)につなぐ。大桃が放ったシュートを最後は藤沢がコースを変え、先制点が決まった。「あの形は今までもリーグ戦で何回かやっていた」(藤沢)とサインプレーからの得点にようやく成功した。その後も大桃のロングフィードを中心に攻撃を組み立ててチャンスをうかがう中で、再びチャンスが訪れたのは43分。MF金田拓海(社3=ヴィッセル神戸U18)のスルーパスに「(先発起用に)結果で応えようと思っていた」という杉田が抜け出し、ピッチを独走。順大GK佐藤久弥をかわし、落ち着いて右足で流し込んだ。試合前の段階で4位につけていた順大から前半のうちに2点を奪い、余裕を持って前半を終えた。

前半終了間際に杉田が挙げた追加点が決勝点となった

 しかし、前半とは打って変わって、後半は順大がボールを支配する時間が増え、早大にとっては我慢の時間帯が続く。57分には田中とMF阿部隼人(社2=横浜F・マリノスユース)がパスでつなぎゴール前までボールを運ぶも、これはオフサイドの判定。好機を演出したものの決め切るには至らず、「自分たちの流れが良くなかった」(大桃)。これ以降は順大のペースで試合が進み、ついに63分。順大FW三國スティビアエブスが右サイドを崩すと、クロスを供給。ゴール前にフリーで待ち構えていたFW長倉幹樹に押し込まれ、失点を許した。失点後も順大の勢いを止めることができない早大は、71分にMF鍬先祐弥(スポ2=東福岡)を投入。それ以降は、GK千田奎斗(スポ2=横浜F・マリノスユース)を中心に、相手にゴールを割らせることなく持ちこたえていたが、88分に再び大きなピンチが訪れる。順大に左サイドを突破されると、クロスを上げられ、ゴール前で混戦になる。MF大谷京平に絶好の位置でシュートを打たれたが、ゴール右に逸れてなんとか失点のピンチを免れた。「クリアの部分だったり、クロスを上げさせてしまった部分は課題が残る」(千田)。順大の猛攻を受けたものの、体を張った守備でなんとか防ぎ、2-1で試合を終えた。

リーグ戦デビューとなった千田が鋭い反応でゴールを守った

 メンバーやフォーメーションを大きく変えた中でも、勝ち点3を手にした早大。90分間を通して良い流れを保ち続けることはできなかったが、特に前半は右サイドを中心に何度もチャンスをつくり、果敢に順大ゴールにアタックする姿勢が見られた。「相馬(MF相馬勇紀、スポ4=三菱養和SCユース)や岡田(FW岡田優希主将、スポ4=川崎フロンターレU18)がいなくても、これだけのサッカーができるという力をかなり示せた」と試合後に外池監督が振り返ったように、今後につながる実りのある試合となった今節。最終節も勢いそのままに勝利し、リーグ戦の有終の美を飾りたい。

スターティングイレブン

(記事 下長根沙羅、写真 堤春嘉、守屋郁宏、森迫雄介、菅沼恒輝)


JR東日本カップ2018 第92回関東大学リーグ戦 第21節
早大 2-0
0-1
順大
【得点】
(早大)16’藤沢 和也、43’杉田 将宏
(順大)63’長倉 幹樹
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 21 千田 奎斗 スポ2 横浜F・マリノスユース
DF 杉山 耕二 スポ2 三菱養和SCユース
DF ◎3 大桃 海斗 スポ3 新潟・帝京長岡
DF 23 坂本 寛之 スポ2 横浜F・マリノスユース
→81分 17 工藤 泰平 スポ2 神奈川・日大藤沢
MF 14 藤沢 和也 商3 東京・早実
MF 金田 拓海 社3 ヴィッセル神戸U18
MF 栗島 健太 社3 千葉・流通経大柏
MF 18 阿部 隼人 社2 横浜F・マリノスユース
→74分 32 岡野 周太 スポ1 サンフレッチェ広島ユース
MF 38 田中 雄大 スポ1 神奈川・桐光学園
→71分 鍬先 祐弥 スポ2 東福岡
FW 19 杉田 将宏 スポ1 名古屋グランパスU18
FW 武田 太一 スポ3 ガンバ大阪ユース
リザーブ:GK16山田晃士(社2)、MF25田部井悠(スポ1)、FW20梁賢柱(スポ2)、
FW36中園健太郎(社3)
◎=ゲームキャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
JR東日本カップ2018 第92回関東大学リーグ戦 1部順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
★早大 46 21 14 48 35 +13
★筑波大 38 21 11 38 24 +14
★法大 33 21 32 24 +8
★明大 32 21 36 22 +14
★順大 32 21 35 23 +12
★駒大 32 21 36 33 +3
東洋大 29 21 27 25 +2
流通経大 27 21 10 32 43 -11
専大 26 21 30 41 -11
10 桐蔭横浜大 23 21 10 30 34 -4
11 国士舘大 15 21 14 26 43 -17
12 東京国際大 15 21 12 21 44 -23
※第21節終了時点
※★は第67回全日本大学選手権(インカレ)出場権獲得チーム。第42回総理大臣杯全日本大学トーナメント優勝の明大と、今リーグ戦1~6位のチームが関東地区からインカレに出場する。明大が6位以上の場合は7位のチームがインカレ出場権を獲得
※11、12位のチームは2部リーグに自動降格
※早大は3年ぶり27回目の優勝
※国士舘大、東京国際大は降格が決定
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コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――大きな変化を加えて試合に臨みました。どのような1週間を過ごしてきましたか

優勝をして、予想以上の成果を手にしたというところもあって、(試合に関わってきた)メンバーには達成感があったり、ひとつホッとしたような、そういう状態でした。その中で、僕は何かを成し遂げたということに対してしがみつく必要もないし、今年は常に「変化こそが成長」と言ってきたので、特にこのリーグの2試合は色々なチャレンジをしていきたい、もう一回チームを大きく成長させるための変化を生み出したいと思っていました。小島が(世代別代表の活動で)出れないとか、相馬が名古屋に行っているというのもあったので、テーマを3年生として、割り切って3年以下でやろうということで、今週はトレーニングも分けてやってきました。3年生は大桃を中心に意欲的に、かつ非常に気概を感じて取り組んでくれました。新たに3バックにも挑戦しましたけど、その中で、特に前半は個々の特長が出た狙い通りのゲームだったと思います。前の武田、後ろの大桃、中盤の栗島、金田といったセンターの4人はリーグでも成果を出しましたけど、今日の試合でもう一回り大きくなったんじゃないかなと思います。

――インカレに向けた準備の一環ということですか

インカレもありますけど、与えられた時間の一つひとつを無駄にしないというか、今年の早稲田らしくテーマをやり続ける、目の前の1試合に対して自分たちで基準をシフトしてやっていくということの継続の一つだと思っています。

――4年生が全員メンバー外で3バックに挑戦。かなり壮大なチャレンジだったようにも思いますが

1年間シーズンを戦っていく中でそれぞれの選手の特徴が見えてきていて、3年生以下でやるとしたら3バックの方が特徴が出るかなというのがあったんですよね。順天さんのラインが高いというのもわかっていたので、前からプレッシャーを掛けたり、自分たちのリズムで狙いを持って駆け引きをするという上でも、中盤に人を多くして、そこからいかにランニングを加えられるかどうかという部分で3バックにしました。ポゼッションができる選手が多いので、ワイドに使いながら真ん中を有効活用して崩すということに関しては、本当に今日は随所に良さが出ました。相馬や岡田がいなくてもこれだけのサッカーができるという力はかなり示せたと思うし、かつ彼ら(4年生を含めたチーム)とは違う特徴を発揮したという意味では、意味のあるゲームだったなと思います。

――優勝の要因として話していただいた「際で戦える強さ」はメンバーが変わっても健在でした

そうですね。ラスト10分、15分くらいから、ゲームに対しての意識を揃えられたと思います。あの時間帯で戦えたり球際に行けたりというのは、フィジカルというのもあると思うんですけど、やるべきことの整理だとか、自分たちがうまく行っていないからこそポイントだけは押さえようということが明確にできたと思います。

――今日の試合の収穫は

来週の最終戦に向けて、次なる変化を出せるというのが大きい成果だと思います。もしこれがうまくいっていなかったら、もう1試合やらないといけないとなったかもしれないですけど、また大きく変えるということもできるので。また違う何かを今年のリーグ戦の集大成として出したいと思っているし、それは選手たちもそうしたいと思ってくれているし、僕はそのもう一つのチャレンジをできるだけの成長をしてきたと思っているので。またメンバー表を見て大丈夫かということがあるかもしれないですけど(笑)、それこそ今年の早稲田がやってきたことなので、それをみんなでポジティブに捉えてやるということに意味があるし、4年というサイクルの重要なポイントとなるゲームなので、大学サッカーのチャンピオンチームだからこそできることをやるという試合にしたいと思います。

DF大桃海斗(スポ3=新潟・帝京長岡)

――この1週間の準備を振り返って

今週は週初めに、3年生以下でリーグ戦に臨むってことを言われて、練習も3年生以下で分けてやりました。全員が意欲的に取り組めたのかなと思います。3バックという新しいこともやってみて、色々うまくいかないことや、擦り合わせなければいけないことが多い中でも、一人ひとりが意欲的に取り組めたのがきょうの結果につながったと思います。

――キャプテンマークを巻くことを告げられたのはいつですか

キャプテンでいくと言われたのは、今日のアップ前のミーティングなんですけど、まあ「俺なのかな」とは思っていました。

――ピッチ内で最上級生となり、いつもと違う立場や役割だったと思いますが

そんなにやることは普段と変わらなかったですし、いつもはGKが小島くん(小島亨介、スポ4=名古屋グランパスU18)ってだけで、後ろは大体いつも自分が頑張ってやっているので、そこまで意識することはなかったです。

――先制点は大桃選手中心のサインプレーだったと思いますが振り返って

結構あれは前期から狙っていたんですけど、なかなかうまくいかなくて。でも、今回もチャレンジしてみたいということでやってみたら、うまくいったという感じですね。初めて成功したんで「あぁ、良かったぁ」と思って(笑)。

――後半は難しい時間帯が続きましたが

前半に関してはボールも持てていたし苦しい認識はなかったんですけど、やっぱり後半の45分は自分たちの流れに持っていけなかったし、耐える時間帯が長い中で、個人としては失点してしまったところはやっぱりまだまだ甘いなと感じています。やっぱりああいう時間帯でもゼロに抑えなければいけないと思うので、まだまだ個人としてのベースが足りないですし、突き詰めなければいけないと思います。

――その失点シーンの原因は

サイドでの1対1であったり、そういうところで負けてしまうとああいう風になるんですけど、それに至るまでの過程の部分で、自分たちの流れが良くなかったです。個のベースを上げていかないとやられてしまうのかなと。

――公式戦では久しぶりに3バックで臨みました、これで戦い方の幅が広がったのでは

そうですね、後ろの選手は2年生に良い選手が多くて、杉山(耕二、スポ2=三菱養和SCユース)、工藤(泰平、スポ2=神奈川・日大藤沢)、坂本(寛之、スポ2=横浜F・マリノスユース)といった、能力があって戦える選手がいるので、4バックも3バックもできるという幅は広がったと思いますし、来年に向けてそういうオプションもあると思うので、ひとつの良い基準はできたのかなと思います。

――次の最終節は全日本大学選手権(インカレ)に弾みをつけたい一戦となります。加えてご自身のフルタイム出場もかかってきますが、意気込みは

そうですね、もちろん監督が使ってくれるなら精一杯戦います。何よりもチームのために戦いたいし、またこれから1週間の取り組みを一人ひとりが見つめてやれば結果はついてくると思うので、しっかりやっていきたいです。

MF藤沢和也(商3=東京・早実)

――試合を振り返っていただけますか

4年生が抜けた中で、自分たち3年生が引っ張っていかなきゃいけないという中で、後半苦しい時間もありましたけど結果としてしっかり勝ち切れたというのは良かったと思います。

――今日は久しぶりのスタメンでしたが、どのような気持ちで試合に入りましたか

自分のやるべきことをしっかり整理して試合に入っていったので、セットプレーも狙った形で点が入ったので良かったなと思います。

――前半は順大に押されるシーンもありましたが、チームとしてどのように切り替えていったのですか

相手にボールを持たれる時間は長かったんですけど、自分たちは全然焦らずにしっかりやれたと思います。

――そんな中、藤沢選手は積極的に前に行けていたと思います

自分やFWの武田のところが、後ろのDFの選手がボールを持ったときに裏を狙うというのは確認していたので、自分たちが裏に抜けることで間のスペースも空いてくるし、そういうのは自分の役目だなと思っていたので、どんどん裏を狙って前に上がっていきました。

――先制点となるご自身のゴールを振り返っていただけますか

あの形は今までもリーグ戦で何回かやっていて、1回も決め切れていませんでした。昨日のセットプレーの確認でもやっていて、今回しっかり公式戦で結果として出せたのは良かったなと思います。

――終盤、苦しい時間も多かったと思いますが、チームとしてどのように守備をしていこうという話をされていましたか

1失点はしちゃったんですけど、一個一個球際で負けずに、DFラインを中心に声を掛け合った結果が勝ち切ることにつながったんじゃないかなと思います。

――来週がラストのリーグ戦となります。法大戦に向けて意気込みを聞かせてください

チャンピオンとして見られるので、プレーの部分も結果もしっかりこだわって、勝ち切って終われるようにしたいなと思います。

GK千田奎斗(スポ2=横浜F・マリノスユース)

――今日の試合を振り返って

今日は3年生以下の選手で戦うということで、4年生に頼っていた部分もありますし、俺らでもできるんだぞということを証明したかったので、強く気持ちを持って戦えたと思います。

――千田選手はリーグ戦初出場でした

正直に言うとそこまで緊張しなくて、普通の練習試合と同じ感覚で、笛鳴った瞬間から試合に集中できました。

――試合を通して良い守備ができていたという印象がありましたが

前半は自分たちでボールを持てていて、自分たちの戦術が順天堂大の戦術に対してうまくハマっていたので、相手のシュートが少なかったです。後半は自分たちのボールの時間が少なくなって、相手に合わせて守備をしていた部分があったので、自分たちから守備ができなかったのは課題ではあるかなと思います。

――失点シーンを振り返って

自分のプレーで言うとクロスの対応がよくなかったというのがあって、ゆるいシュートに対して反応できなかったというのは自分の課題です。チームとしての課題で言ったら、カバーするところだったり、1対1のデュエルで負けないところだったり、そういう際のところをもっともっとこだわらないと、あのような失点をしてしまうと思います。

――相手の決定機を防ぐ場面がありました

1対1では完全に自分の間合いに持って行けたかなという印象があって、自分が(シュートを)止められると思えたので、そこの部分は良かったなと思いますけど、最後の相手がシュートを外した場面は、クリアの部分だったり、クロスを上げさせてしまった部分とかでまだまだ課題が残るのかなと思います。

――今後に向けて

まだインカレ(全日本大学選手権)も残っていますし、今回3年生以下でこれだけやれるということを証明できたと思うので、しっかり4年生を送っていけるようにしたいです。インカレに向けても3年生以下がもっと主体でできるようなチーム作りをして、まずはチームの勝利に貢献していきたいなと思います。

FW杉田将宏(スポ1=名古屋グランパスU18)

――今日はスタメン出場となりました。どのような意気込みで臨まれましたか

3年生主体で来年に向けてやっていくと言われていて、そうなった以上、スタメンで出なければいけないと自分の中で感じていたので練習から人一倍頑張っていました。スタメンの座を勝ち取ったので、結果で応えようと思っていました。

――試合を振り返ってみていかがですか

前半は、自分たちが思うようにうまくできたと思います。ただ後半は相手も修正してきて、そこでなかなか自分たちのペースをつかめなかった部分が結構あったので、ゲームの中で修正して後半もチャンスをつくれていたらもっと楽な試合になったと思います。

――献身的な守備をされていたのが印象的でしたが

個人としても運動量が持ち味なので、そういうところでチームの力になれたらと思っています。その点に関しては、今回はチームに貢献できたと思います。

――2点目はGKとの1対1を完全に制しての得点でした。振り返ってみていかがですか

フリーな状態で抜け出せて、どうしようと思って……。結構1対1は苦手なんですけど(笑)、GKをかわしたらいつも決めているので、冷静にGKをかわそうと思っていました。

――きょうの試合から得られた課題や収穫はありますか

こっちが思うようなプレーをできなくなった時に、試合中にコミュニケーションを取り合いながらうまく改善できたらと思います。

――最終節の法大戦、インカレと重要な試合が続いていきます。今後に向けて一言お願いします

王者としての看板も背負っているので、最終節はやっぱり勝って終わりたいと思います。インカレに関しても、関東リーグで1位なので、その責任を持って頑張りたいと思います。