序盤の2失点重く…駒大に完敗で今季初黒星

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦第5節が行われ、前節首位に立った早大は、勝ち点3の差で3位につける駒大と対戦した。ゴールデンウィーク3連戦の最後の試合となる今節は、上位争いで一歩前に出た早大にとって、後を追うチームを突き放すチャンスでもある一戦だった。しかし、序盤に2点のリードを許し、その後の反撃かなわず完封負け。今季初黒星を喫し、開幕からの連勝は4で止まった。

 この日は4-2-3-1の布陣に戻して試合に臨んだが、デュエルに長ける駒大を前に、思うように主導権を握れなかった。ロングボールが飛び交う展開の中、立ち上がりからFW高橋潤哉(3年)の強さ、MF中原輝(4年)の推進力などを武器にゴールに迫られた。一方の早大も、10分を過ぎると、3試合ぶりに先発したFW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)を中心にゴールに近付いたが、ペナルティエリア内では自由を得られず、良いかたちでシュートに持ち込めない。早大が明確に脅威を示せずにいると、先手を取ったのは駒大だった。17分、ロングスローを一度は跳ね返すが、こぼれ球を手数をかけずにゴール前に放り込まれると、エースの高橋にヘディングでたたき込まれる。さらに3分後にも、スローインの流れからゴール前にクロスを送られると、ニアサイドの密集で連携ミス。クリアできずにゴール前に流れたボールを、今度はMF荒木駿太(1年)に押し込まれて2点のビハインドを背負った。外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)は、「空気を変えなきゃいけない」と初先発させたMF山本隼平(スポ4=新潟・北越)に代えてFW武田太一(スポ3=ガンバ大阪ユース)の投入を早々に決断し、これまでベースとなっていた並びにシフト。直後に武田がロングボールを引き出して相手の最終ラインの背後を取って停滞感を振り払うと、その後は相手を左右に揺さぶりながら隙をうかがうなど意欲的な姿勢は見せたが、前半のうちに潮目が変わることはなく、0-2のまま45分間を終えた。

公式戦初先発の山本。早大は試合を通してゴール前を固める相手に苦しんだ

 岡田が攻撃の組み立てに低い位置から関わるようになった後半は、早大が攻勢の色を強めた。しかし、アタッキングサードまでボールは運べるものの、セーフティリードを得ている駒大は重心を下げて守りを固める。「相手は気持ち的にも余裕があったと思う。(序盤の失点は)もったいなかった」(外池監督)。MF藤沢和也(商3=東京・早実)の推進力を生かすなどサイド攻撃に活路を求めたが、DF星キョーワァン(3年)ら相手守備陣にことごとく跳ね返された。逆に鋭いカウンターを許して、ゴールを脅かされるシーンも目立つなど、駒大にお株を奪われるような展開。後半はDF鍬先祐弥(スポ2=東福岡)らの奮闘もあって追加点を許すことはなかったが、ボールを支配しながらもシュートは散発3本に終わった。「(相手に)引かれたり、ブロックをつくられた時に崩し切る力がまだない」(岡田)。零封負けで今季初黒星を喫した。

気の利いたカバーリングで幾度となくピンチを防いだ鍬先

 これまでの対戦相手とは毛色の異なるチームに完敗を喫し、弱みがあぶり出されるかたちになった。この日、勝負を分けたのは試合の立ち上がり20分間。思うようにボールを保持できない早大、逆にボールを保持しない駒大という構図だった。フィジカルで勝る駒大の狙い通りに落ち着かない展開が続き、ペースをつかめないまま立て続けに2失点。その後の試合展開にあまりにも大きな影響を及ぼしたのは明らかだった。上位対決連勝はならず、駒大との順位も入れ替わり、文字通り『三日天下』になってしまった早大だが、勝ち点では首位と並び、依然として上位につける。翌週に試合開催がなく、敗戦の悪いイメージを次節に持ち込まずに済むのも、好材料といえるだろう。「同じような負け方はしたくないし、この負けは必ず次に生かす」(岡田)。1つの敗戦をきっかけに低迷した一昨年の失敗を繰り返さないためにも、『タイトル奪還』をかなえるためにも、次戦はなんとしても勝利が欲しい試合になる。2週間の準備期間で課題と向き合い、進化した姿で東京国際大との試合に臨みたい。

スターティングイレブン

 

(記事、写真 守屋郁宏)


JR東日本カップ2018 第92回関東大学リーグ戦 第5節
早大 0-2
0-0
駒大
【得点】
(早大)なし
(駒大)17’高橋 潤哉、20’荒木 駿太
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 小島 亨介 スポ4 名古屋グランパスU18
DF 鍬先 祐弥 スポ2 東福岡
DF 杉山 耕二 スポ2 三菱養和SCユース
DF 大桃 海斗 スポ3 新潟・帝京長岡
DF 冨田 康平 スポ4 埼玉・市浦和
MF 金田 拓海 社3 ヴィッセル神戸U18
MF 栗島 健太 社3 千葉・流通経大柏
MF 11 相馬 勇紀 スポ4 三菱養和SCユース
MF 10 山本 隼平 スポ4 新潟・北越
→26分 武田 太一 スポ3 ガンバ大阪ユース
MF ◎29 岡田 優希 スポ4 川崎フロンターレU18
FW 14 藤沢 和也 商3 東京・早実
→74分 25 神山 皓亮 商3 栃木・真岡
◎=ゲームキャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
駒大 12 12 +9
明大 12 10 +6
早大 12 +2
順大 12 +7
法大  0
筑波大 -1
東京国際大 -3
流通経大 -1
9 桐蔭横浜大 -1
10 専大 11 -6
11 東洋大 11 -8
12 国士舘大 -4
※第5節終了時点
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コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――駒大との対戦にあたって、どんな準備をしてきたのですか

「絶対に初心にかえらないとダメだよ」という話はしていました。駒澤は、どうやって点を取るんだ、どうやって守るんだというよりも、『行って来い』というサッカーで、そこを突き詰めて結果を残してきていると思います。そういうチームに対しては自分たちも戦術、戦略とかではなくて、勝つためにどうするんだということを突き詰めていくというのは、本来一番あるべき姿で、そういう根幹から逃げずに向き合っていかないと勝てないよということを口酸っぱく言って入りました。

――初心や根幹というのは具体的にどういうことを指すのですか

ゲームに勝つためにはどうするんだということを全て削ぎ落として考えると、相手のゴール前に早く近くに行って、競り合いに負けないことが大事で、両ゴール前とルーズボールをマイボールにするということがすごく大事だということです。どう攻めていくかとか、そういう部分はその後の話なので、「子供の頃のような、ゴールを決めて楽しいとか勝って楽しいとか、そういう初心に立ち返ろう」ということを、僕自身も(チームに)本当に意味で落とし込めなかったというところは、反省しないといけないと思います。

――試合を振り返っていただけますか

最初は少し受けてしまったと思います。メンバーとかも変えてやっていたんですけど、先に2点を取られてからは吹っ切れて、そこからはある程度狙いとしていたことは出せていたと思います。(狙いは)向こうの4バックがあまり上がらないので、裏にはスペースはないけど、手前にはスペースがあるということで、1・5列目の選手たちが早めにボールを受けて運ぶということだったんですけど、特に後半は(そういう状況は)あったので、五分五分の展開の中でああいう状況があればもっと良い場面もあったんじゃないかと思います。向こうも2-0で試合を進めていたということで、気持ち的にも余裕があったと思うので、そのあたりはもったいなかったなと思います。でも、そういう狙いとしていたことを自分たちで修正して出せたということは一つ手応えかなと思います。ただ、ここまで勝ってきたことで根幹のところが少し疎かになると、こういう敗戦が起こりうるということをこの敗戦で間違いなく痛感したと思うので、このリーグを戦う上でも意味のある敗戦にしていかないといけないなと思います。

――前半に交代の決断がありました。あの交代の意図を教えてください

寮長(MF山本隼平、スポ4=新潟・北越)が悪かったとか、そういうことではないと思うんですけど、ゲームの中で若干ミスマッチになってしまっていたと思います。中間ポジションでの受けという部分でなかなか収まらずに、そこの部分でみんなも半信半疑になってしまった部分もあったので、なんとか空気を変えなきゃいけないなと思って、(交代が)ちょっと早めになってしまいました。

――この敗戦という結果をどう次につなげますか

セットプレーの突き詰め方であったり、序盤もそこまで受けている感じではなかったと思うんですけど、相手に前に出てこられた時に間を使いながらとか、そういう部分はもともと狙いとしてはあったんですけど、どうしても圧によってうまくつながらないとか、クリアボールが競り合いになってしまって拾われてとか、そういうところはあったかなと思います。やっぱり紙一重だと思いますし、今回はDF陣やボランチの選手たちにとっても、「こういう相手を止めなきゃいけない」という一つの指針になったと思うので、そういう意味ではすごく大事なことを教わったという試合でしたね。

FW岡田優希(スポ4=川崎フロンターレU18)

――この試合に向けて、どのような対策を行ってきましたか

相手の強みである空中戦と、ダイレクトプレーに関しては、まず蹴らせないというところに加えて、ディフェンスラインで対応しようということはやりました。あとは前節から4人スタメンを変えて、隼平と僕のところで起点をつくって攻めようというプランだったんですけど、最初にプランを破壊されるように相手に押し込まれてしまって、(立て続けの失点で)試合がある程度決まってしまったという感じだったと思います。

――前半はやや強引に打ったシュートが多かったような印象を受けました

後半もそうだったんですけど、引かれたり、相手にブロックをつくられた時に崩し切る力がまだないと思います。これまでの4試合は、自分たちの得意なショートカウンターというかたちで攻撃することができたんですけど、こういう展開になった時に(崩しの部分を)やはり突きつけられたなと思います。

――前後半で試合の流れは変わったと思います。ハーフタイムはどんなことを共有し直したのですか

少し選手に配置を修正したのと、「やることははっきりしたから、全員の力で勝とう。この後の後半で何ができるかで選手としても変わるし、今後のワセダも変わる」という話をして入りました。

――後半はボールを支配しましたが、うまくいかなかった要因はどこにあるのでしょうか

サイドの深いところまではある程度はいけるんですけど、やはり真ん中を崩せなかったということだと思います。真ん中が相手が一番固めるところであって、そこから逃げるようにサイドで回していても相手に守り切られてしまうので、いかに中を使いながら外に持っていくかというところだと思います。ただクロスも相手に守られていたらチャンスにならないので、(外を崩すことと中を崩すことと)両方が必要なのかなと思いますね。

――やはり序盤の失点で相手が引いてしまったことが響いたということになりますか

そうですね。でも、それ以外にも相手に負ける部分は多かったですし、攻撃しながらも何回もカウンターでピンチになったので、全体的なクオリティ不足というのは間違いなくあると思います。これまで自分たちが戦いやすい相手に勝ってきていて、今日のアップの空気感も緩かったし、どこかに慢心はあったと思います。今までは相手の隙を突いて戦うことができていたんですけど、今日は相手も隙をつくらず、逆に自分たちの隙を突いてくるようなサッカーでしたし、そういう相手になるとやっぱり力の無さが出たと思います。

――好調から1つの負けをきっかけに沈んだ一昨年の記憶がやはりあると思います。繰り返さないためにどういうことに気をつけていきますか

その布石はもう既に打ってあります。この試合に入る前に、「(首位に立ったことで)今度は相手が自分たちの隙を狙ってくる番になる」ということは伝えていて、みんなも認識はしていると思います。自分たちの弱みに向き合うことと、相手の隙を突けるようにするということ、その2点だと思うので、そこに向き合っていって、取り組んでいくしかないと思いますし、最後は僕が決めればいいと思っているので、その準備をしっかりしたいなと思います。

――最後に次の試合への意気込みを一言、お願いします

同じような負け方はしたくないし、この負けは必ず次に生かします。

DF大桃海斗(スポ3=新潟・帝京長岡)

――試合全体を振り返っていただけますか

「入りは集中しなきゃいけない」ということは自分たちの中で言っていたことだったんですけど、15分過ぎたくらいでポンポンと、結果として失点してしまいました。逆に後半は相手が引いたということもあるんですけど、そういう(前半のように押し込まれる)シーンはなくて、自分たちの流れのようなものもできたので、やはり入りの15分、20分というところでどれだけ集中してやれるかということが大事だと思います。

――駒大の特長を生かされてしまったかたちになりました

駒澤がああいう感じで戦ってくるというのは全員がわかっていました。その中で、クロスから2失点したというのは、もちろん自分たちの課題だと思います。

――その2つの失点について振り返っていただけますか

1失点目はシンプルに個人の強さが足りないというところだったと思います。2失点目に関してもラインが中途半端で、スペースを使われてしまったというところですね。

――波状攻撃を受けるようなシーンも多く、ことごとくシュートに持ち込まれてしまった印象があります

1度弾くことができたとしても、中は同数だったり、1対1の状況があります。そこの競り合いで結局負ける、こぼれ球を押し込まれるというシーンがあったので、そういうところで跳ね返せていないのはやっぱり自分たちの弱さだと思いますし、まだまだ足りていないところが出たと思います。

――この結果をどう受け止めて次への準備をしていきますか

結果0-2ということですし、完敗だと自分たちは思っています。ディフェンスラインも押し込まれてしまうことも多くて、良い場面もなかったとは思いますけど、この負けを次にどう生かすかというのが大事だと思うので、今日の負けを次につなげられるように、全員でやっていきたいと思います。