采配ズバリでライバル圧倒、昇格圏内の2位に浮上!

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦は残り3試合。3位・早大は1シーズンでの1部リーグ復帰へ、2位・中大との直接対決を迎えた。前半42分にDF安田壱成(スポ4=ベガルタ仙台ユース)のゴールで先制し、1−0で折り返すと、後半はFW岡田優希(スポ3=川崎フロンターレU-18)とFW武田太一(スポ2=ガンバ大阪ユース)が追加点を奪い、3−0で快勝。中大と入れ替わり、昇格圏内の2位に浮上した。

 前節、立正大とドロー(1−1)に終わり、3位に転落したエンジイレブン。負ければ昇格が遠のく大一番で、古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)は得点ランクトップのFW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)をベンチからも外し、FW飯泉涼矢(スポ4=三菱養和SCユース)を先発に抜擢した(飯泉はこれが後期初出場)。前半は、その飯泉を起点に攻め込む時間が続く。ボールを中盤で奪うと、コンタクトプレーで強さを発揮する飯泉めがけてロングボールを蹴り込み、飯泉のキープから押し上げてきた中盤の選手たちへ展開するという流れを多用した。34分、飯泉のスルーパスに抜け出したMF鈴木裕也副将(スポ4=埼玉・武南)が抜け出し、グラウンダーのクロスを供給。相手GKが弾いたボールを拾った鈴木裕が、今度はシュートを放つも、これも相手GKに弾き出され得点とはならない。40分にはMF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)のスローインからゴール前に抜け出した飯泉がシュート。相手DFの懸命なブロックに阻まれたものの、徐々にゴールに迫る機会を増やしていく。そして迎えた42分、待ちに待った先制点をもたらしたのは、チーム一の元気印だった。相馬のCKにDF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)がニアへ走り込んでヘディングシュート。ボールはゴールポストに嫌われたが、こぼれ球に反応した安田が頭で押し込んだ。

スタメンに抜擢された飯泉。フィジカルを生かしたポストプレーで存在感を発揮した

 1−0のまま迎えた59分、早大は大胆な交代策に打って出る。飯泉とFW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)のツートップに代えて、武田と岡田を同時に投入。するとこの采配が見事に的中した。66分、武田の絶妙なスルーパスに岡田が抜け出す。そのまま相手GKを冷静にかわすと、ゴール左に流し込み、リードを2点に広げた(岡田はこれがリーグ戦10得点目)。そして勝利を決定付けたのは82分、2点目をアシストした武田が今度は自らゴールを奪った。MF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)が見事なタックルでボールを奪うと、素早く起き上がって武田に正確なパスを送る。ボールを受けた武田は、キックフェイントで相手DFをかわし右足でシュート。狙いすましたシュートがゴール左に吸い込まれた瞬間、勝利を確信したエンジイレブンは喜びを爆発させた。

1ゴール1アシストの活躍を見せ期待に応えた武田

 この試合の勝因は、なんといってもチームがこの一週間で練り上げた戦略にあると言える。「相手のCBの一人が高さのない選手であるということもあり、そこを狙いました。飯泉と石川が最初から強度高く飛ばしていき、後半早いタイミングで武田と岡田を投入する。背後にアクションを起こす選手と、変化を見ながらプレーする選手に役割を分けて、4人で90分間を戦うというプランでした」(古賀監督)。『背後にアクションを起こす選手』は飯泉と武田、『変化を見ながらプレーする選手』は石川と岡田ということになるが、4人がそれぞれの役割を完璧に遂行したことで、試合は終始早大ペースで進んだ。後期リーグ8戦全勝でこの試合を迎えた中大に打たれたシュートはわずか2本と、付け入る隙を全くと言っていいほど与えなかった。「今季のベストゲームと言えるぐらいうまくいったと思う」(安田)。選手たちにとっても手応えの大きい試合になったはずだ。

 しかし、まだ昇格が決まったわけではない。今節を終え、首位の国士舘大の1部昇格が決定。残り一枠を早大と中大が争うことになる。残り2試合、早大は6位・東京学芸大と首位・国士舘大と対戦するのに対し、中大の相手は11位の日大と10位東海大だ。中大がこの2チーム相手に勝ち点を取りこぼす可能性が低いことを考えると、早大が昇格するためには、やはり残り2試合で勝つしかない。「勝ってかぶとの緒を締めよと言うように、ここからまた気を引き締めて頑張りたい」(武田)。以前として、後のない戦いは続いていく。だが、この試合で一人ひとりが見せた気迫あふれるプレーを残り2戦でも発揮できれば、必ずや勝利の女神はエンジイレブンに微笑むはずだ。

スターティングイレブン

 

(記事=栗村智弘 写真=大山遼佳)

 

 

関東大学リーグ戦
早大 3 1-0
2-0
0 中大
【早大得点者】42安田,66岡田,82武田
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 笠原駿之介 法2 埼玉・早大本庄
RB 2 安田壱成 スポ4 ベガルタ仙台ユース
CB 4 ◎鈴木準弥 スポ4 清水エスパルスユース
CB 20 杉山耕二 スポ1 三菱養和SCユース
DF →75分 熊本雄太 スポ4 東福岡
LB 17 冨田康平 スポ3 埼玉・市浦和
CMF 32 栗島健太 社2 千葉・流通経大柏
CMF 10 秋山陽介 スポ4 千葉・流通経大柏
RMF 14 鈴木裕也 スポ4 埼玉・武南
LMF 7 相馬勇紀 スポ3 三菱養和SCユース
CF 8 石川大貴 スポ4 名古屋グランパスU-18
FW →59分 武田太一 スポ2 ガンバ大阪ユース
CF 9 飯泉涼矢 スポ4 三菱養和SCユース
FW →59分 岡田優希 スポ3 川崎フロンターレU−18
◎=キャプテン
監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦2部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 勝 分 負 得点 失点 得失差
1 国士舘大 46 20 14 4 2 40 19 +21
2 早大 41 20 12 5 3 55 25 +30
3 中大 39 20 12 3 5 42 31 +11
4 拓大 34 20 9 7 4 38 21 +17
5 東農大 27 20 7 6 7 28 25 +3
6 東京学芸大 26 20 6 8 6 33 31 +2
7 青学大 25 20 7 4 9 38 39 −1
8 神奈川大 23 20 5 8 7 36 38 −2
9 立正大 22 20 6 4 10 24 39 -15
10 東海大 20 20 5 5 10 23 42 -19
11 日大 18 20 4 6 10 17 29 -12
12 朝鮮大学校 8 20 2 2 16 16 51 -35
※第20節終了時点
※上位2チームが自動昇格
※国士舘大の昇格が決定
コメント

古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)

――試合を振り返っていかがですか

選手たちは、闘う姿勢を90分間通して見せてくれました。この試合に勝てなければ、目標達成はないという中で、全員が高い集中と強気なプレーを示してくれました。

――先発で飯泉選手を起用しました。どういった狙いがありましたか

最近の試合で、相手DFの背後へのアクションが、時間帯によっては少なくなってしまうということがありました。きょうの試合では、飯泉と石川が最初から強度高く飛ばしていき、後半早いタイミングで武田と岡田を投入すると決めていて、『最初にアクションを起こす選手』と、『次にその変化を見ながらプレーする選手』というふうに、ツートップの役割を分けたうえで、この4人で90分間を戦おうという狙いがありました。

――あの時間に武田選手と岡田選手を同時投入するというのは、ゲームプランとして試合前から決めていたということでしょうか

そうですね。FW4人で90分間絶え間なくアクションを起こしながら相手を変化させ続ける、というプランでした。

――結果として4人それぞれが期待に応える活躍を見せてくれたと思います

そうですね。相手CBの一人が高さのない選手であるということもあって、試合を通じてそこを突いていく狙いを持ってプレーできていたと思います。たとえボールが収まらなくても、相手の体勢を崩してくれていたので、そのセカンドボールに中盤の選手が前向きに関わることができました。ただ、攻守においてシグナルとなるファーストアクションとファーストプレッシャーは、質、量ともにまだまだ高められるとも思っているので、次節までにさらに磨きをかけていきたいです。

――残り2戦も絶対に落とせない試合になってきます。選手たちには、どういったアクションを期待しますか

次の東京学芸大も本当に難しい相手ですし、後期はしっかりと得点を取って勝てたあとの試合で、必ず苦戦を強いられ、勝ち点を落としています。もう二度と同じ過ちを繰り返す訳にはいきません。意識していないところで、気持ちに緩みが出てしまっている以上、一人ひとりが慢心、過信を厳しく戒めていくしかありません。主将の鈴木準弥を中心に、全員が気を引き締めて一日一日のトレーニングから戦ってくれると思います。

――やはり4年生が重要な存在になってくるでしょうか

もちろんです。4年生一人ひとりがア式蹴球部での4年間の集大成として今、チームを力強くけん引しています。そして私も含めてですが、昨年失ったものを自分たちの手で取り戻すという強い気持ちで臨んでいるので、次の試合も熱く強気なプレーで躍動してくれることでしょう。

DF安田壱成(スポ4=ベガルタ仙台ユース)

――まずは率直な感想をお願いします

素直に良かったという気持ちです。でも、この勝利を意味のあるものにするためには、残り2戦勝つしかないので、まずは次の一戦に向けて、また頑張っていきたいです。

――この試合に臨むあたってのチームの雰囲気はいかがでしたか

3位に落ちたことで、失うものは何もないという気持ちでやってきました。残り3試合勝つしかないという中で、まずはこの試合に照準を絞ってやってきましたし、全員が「絶対中大に勝とう」という気持ちを持っていて、チームの雰囲気としてはすごく良かったと思います。

――先発に飯泉選手が入るなど、FWの部分で戦術的な狙いが明確にあった試合だったと思います

相手のCBがウィークポイントになるということは、監督からも言われていて、そこでFWを戦略的に使うという意図がありました。今までFWのメンバーをある程度固定してきたこともあって、そういったことは(今季)これが初めてだったと思いますけど、監督がこの試合に懸ける思いもすごく強いものがあるというのは、自分も感じ取っていました。涼矢(飯泉)が前線で走ったりキープしたりでしっかり起点になってくれて、戦い方としてもうまくハマったと思います。

――先制ゴールのシーンを振り返っていかがですか

準弥(鈴木主将)のシュートがポストに当たった瞬間に、自分の方にボールが来る軌道が見えたので、絶対頭に当てようという気持ちで向かって行って、「マジで入れ」と思いながら打ちました。シュートが入ったかどうかはわからなくて、ラインズマンを見たらゴールだったので、めちゃくちゃうれしかったですね。

――後半は途中出場の武田選手と岡田選手が活躍しました

前半からヴィエラ(石川)と涼矢が前線で戦ってくれて、後半から入った太一(武田)と岡田もしっかりと自分たちの役割を全うしてくれたので、自分たちディフェンス陣はすごく助かりました。FWの動きに呼応してプレーできましたし、きょうは今季のベストゲームといっても過言ではないぐらい、うまくいったと思います。

――残り2戦も難しい相手が続きます。意気込みをお願いします

きょう勝ったからといってまだ昇格は決まっていないですし、残り2試合あるという意識ではなくて、あと一戦一戦、一つ一つ勝ち切るという意識を持ちたいです。チームとしても個人としても、もっとパフォーマンスを上げて、次の学芸大戦に臨みたいです。

FW武田太一(スポ2=ガンバ大阪ユース)

――監督からどのような指示を受けて試合に入りましたか

「前からアクションを起こし続けて、前半の2人に負けないぐらい勢いをもってやれ」と監督から言われていました。ゴールを貪欲に狙って、前からアクションを起こし続けることを意識して試合に入りました。

――1ゴール1アシストを振り返ってみていかがでしたか

アシストは相方の岡ちゃん(岡田)が見えていたので、自分が相手の3番を引きつけてパスを出したら絶対に決めてくれると思っていました。意識をしたのは丁寧にパスを出すことぐらいでした。ゴールの場面は、相手の動きを予測してボールを受けて、コースを狙ってシュートを打ちました。

――きょうの試合に向けてチームとしてどのように取り組んできましたか

中大と直接対決ということもあり、いつもより気持ちを入れて1週間取り組んできました。いい結果で終われて良かったです。

――残りの2試合に向けて意気込みをお願いします

きょうは勝ちましたが、残りの2試合も勝たないと意味がありません。勝ってかぶとの緒を締めよと言うように、ここからまた気を引き締めて2週間頑張ります。