チャンスつくれず痛恨のドロー、昇格圏外の3位に転落

ア式蹴球男子

 前節、DF熊本雄太(スポ4=東福岡)の劇的なゴールでなんとか勝ち点3を積み上げたエンジイレブン。しかし、関東大学リーグ戦(リーグ戦)第19節となったこの試合では、最後の最後まで勝ち越しゴールを奪うことができなかった。1−1の同点でタイムアップ。この結果、首位・国士舘大との直接対決を3−0で制した中大に抜かれ、今季初となる昇格圏外の3位に転落した。

 リーグナンバーワンの14アシストを記録しているMF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)を出場停止で欠く中、早大は序盤から決定機をつくることができない。すると20分、FKから中塩大貴(2年)にヘディングシュートを決められ、先制を許してしまう。セットプレーでの守備は課題としていただけに、選手たちもいつも以上に集中して迎えたこの場面。試合後、DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)は「一瞬の隙を突かれてしまった」と唇をかんだ。早大の反撃は32分、FW岡田優希(スポ3=川崎フロンターレU-18)のパスを受けたMF鈴木裕也副将(スポ4=埼玉・武南)がボックス内左から強烈なシュート。ボールは左ポストを巻いてゴールに収まり、同点に追い付いた。

先制ゴールを決めた鈴木裕

 後半開始直後の49分、いきまり大きなチャンスが訪れた。鈴木裕のFKにDF杉山耕二(スポ1=三菱養和SCユース)が完全にフリーな状態で合わせる。しかし、ヘディングシュートは枠の上へ外れ、リードを奪えない。59分にはDF冨田康平(スポ3=埼玉・市浦和)の高速クロスにFW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)が相手のマークを外し走り込むも、うまく合わせ切れず。その後は、FW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)、FW武田太一(スポ2=ガンバ大阪ユース)、熊本を投入し、逆転を試みる。しかし、この日は自慢の攻撃陣が鳴りを潜めた。90分間で放ったシュートはわずかに6本と、今季の早大としては稀に見る散発。試合終了のホイッスルが鳴ると、選手たちは大粒の雨が降りしきる中、しばらくその場に立ち尽くした。

引き分けに終わり肩を落とした選手たち

 前期から快調に上位を維持してきた早大だが、ここにきてまさかの昇格圏外転落。後期に入り、勢いにややブレーキがかかってしまった早大に比べ、代わって2位に浮上した中大は破竹の8戦全勝と、絶好調をキープしている。そしていよいよ、次節はその中大との直接対決だ。勝てば再び2位に浮上し、負ければ昇格に黄色信号が灯る。一年で1部に復帰するためには、絶対に負けられない一戦である。天王山に向け、「大事にしてきたことをもう一度整理して臨みたい」と鈴木準。こだわりを持って磨き続けてきた『つないで攻めるサッカー』を体現し、中大ゴールを陥れたい。

スターティングイレブン

 

(記事=栗村智弘 写真=山下夢未/大島実咲)


 

 

関東大学リーグ戦
早大 1-1
0-0
立正大
【早大得点者】32鈴木裕
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 小島亨介 スポ3 名古屋グランパスU−18
RB 安田壱成 スポ4 ベガルタ仙台ユース
CB ◎鈴木準弥 スポ4 清水エスパルスユース
CB 20 杉山耕二 スポ1 三菱養和SCユース
DF →86分 熊本雄太 スポ4 東福岡
LB 17 冨田康平 スポ3 埼玉・市浦和
CMF 32 栗島健太 社2 千葉・流通経大柏
CMF 10 秋山陽介 スポ4 千葉・流通経大柏
RMF 今来俊介 商4 神奈川・桐光学園
FW →60分 武颯 スポ4 横浜F・マリノスユース
LMF 14 鈴木裕也 スポ4 埼玉・武南
CF 石川大貴 スポ4 名古屋グランパスU-18
FW →70分 武田太一 スポ2 ガンバ大阪ユース
CF 19 岡田優希 スポ3 川崎フロンターレU−18
◎=キャプテン
監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦2部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
国士舘大 45 19 14 39 18 +21
中大 39 19 12 42 28 +14
早大 38 19 11 52 25 +27
拓大 31 19 36 20 +16
東農大 27 19 27 23 +4
東京学芸大 25 19 32 30 +2
青学大 22 19 33 38 −5
立正大 22 19 24 38 -14
神奈川大 20 19 33 37 −4
10 日大 18 19 16 26 -12
11 東海大 17 19 10 21 42 -21
12 朝鮮大学校 19 15 15 46 -31
※第19節終了時点
※上位2チームが自動昇格
コメント

DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)

――引き分けに終わってしまいました。試合を振り返っていかがですか

いつもに比べてチャンスをつくれなかった試合でした。攻撃力をテーマに掲げている中で、残りの試合でどうやって点を取るかというのは、一つの課題になってくると思います。守備に関しても、後期が始まってから無失点で終わることのできていない試合が多くて、チームとしてもっと粘り強さが必要だということは、改めて痛感しました。

――攻撃でチャンスをつくれなかったのは、具体的にどういったところに原因があると考えますか

チームとしての狙いを、しっかりと共有できていなかったと思います。いつもに比べて(相手DFの)背後へのアクションが少なくて、これまでの戦いでボールをつないで攻めてこれたのは、そういうアクションがあったからこそのことだと思いますが、きょうはそれ以上にボールをつなぐことに意識がいき過ぎてしまいました。チームとしての攻め方が少しぶれてしまったかなと思います。

――セットプレーでの守備は課題にしていたことでもあったと思います

一瞬の隙を突かれてしまいました。一人ひとりがもっと集中力を高めて、マークに着いた選手をどうやって抑えるか、そこを突き詰めていく必要があると思っています。セットプレーを簡単に与えないという点に関しても、今後改善していきたいです。

――残り3試合にして、今季初めて昇格圏外の3位に転落してしまいました

初めて3位になりましたけど、まだまだ昇格のチャンスはあります。中大との直接対決もありますし、残りの3試合全てで勝てば問題はないです。逆に「もう本当に勝つしかない」と、割り切ってやれる部分もあると思いますし、そうやってプラス思考に変えてやっていくしかないと思います。チームとして、これまで大事にしてきたことをもう一度整理して、あと3試合、一つひとつ勝利できるように頑張っていきたいです。

――次節は2位の中大との直接対決です。この一年で最も重要な試合といっても過言ではないと思いますが、どういった気持ちで臨みたいですか

(首位の)国士との勝ち点差を考えれば、昇格には中大より上で終わるしかない思いますし、この直接対決で勝利できれば、大きく昇格を近づけることができます。昇格をかけた天王山、そういう気持ちをチーム全員でしっかりと持って臨みたいです。

MF鈴木裕也副将(スポ4=埼玉・武南)

――きょうの試合を振り返って

なかなか自分たちのペースで試合ができなかった中で、ピッチに立っている11人がどうすればいいのかわからないまま、90分間が過ぎ去ってしまいました。そういうことは、ピッチの中にいる選手たちがしっかり修正できるようにならなければいけないですし、チームとしての戦い方を変えていく必要があると思います。

――得点シーンを振り返っていかがですか

自分としては、ゴール前での1対1を得意としているので、自信を持って、思いっきり振り抜きました。

――昇格圏外になってしまいましたが、率直なお気持ちをお願いします

試合が始まる前から、残り4戦全てで勝たないと昇格だったり優勝だったりはできないと思っていました。きょうは勝てなかったですけど、まだ中大との直接対決も残っていますし、残り全てで勝てば(優勝や昇格の)可能性はあるので、そこに向けて全員でやっていきたいと思います。

――次戦の相手は後期全勝している中大ですが、どのように臨みますか

無敗の中大に勝つことができなければ、昇格できるだけの実力が自分たちにはないっていうことですし、逆にそこで打ち勝つことができれば、チームとして勢いに乗れると思います。実力を証明するチャンスだと思うので、勝って自分たちが中大の連勝を止めたいです。