終了間際に痛恨の失点。土壇場で勝ち点3を逃す

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)は第15節を迎え、前期に1-3と苦汁をなめた東農大と対戦した。2部優勝を手繰り寄せるためにも連勝を飾りたい早大は序盤から攻勢に出て試合を優位に進め、2得点を挙げて前半を終える。しかし、後半は前がかりになる東農大の勢いに気圧され得点を許すと、90分には同点弾を許し引き分け。目標の2部優勝へ向けて痛すぎる結果となった。

 司令塔のMF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)を累積警告で欠きながらも立ち上がりから主導権を握る。3分、FW武楓(スポ4=横浜F・マリノスユース)のポストプレーからMF栗島健太(社2=千葉・流通経大柏)が抜け出し最初のチャンスを得るが、相手GKに片手一本で阻まれる。21分にも栗島からMF柳沢拓弥(社4=清水エスパルスユース)とつなぎ、最後はMF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)がペナルティエリア外から強烈なミドルシュートを放つが、相手GKの真正面に飛び、ゴールとはならない。そして迎えた31分、武のシュートのこぼれ球をDF冨田康平(スポ3=埼玉・市浦和)が拾うと、そこから中央の栗島が縦パスを入れる。相馬がパスのコースを変え、裏に抜け出した武が倒れこみながらゴールの左隅にボールを流し込み、待望の先制点を挙げた。その後も攻勢を緩めることなく試合を進め、迎えた前半終了間際の45分。武からのスルーパスを受けた相馬が、相手DFを振り切りクロスを上げると、逆サイドから走り込んできた柳沢がダイレクトボレーでゴールネットに突き刺し、リードを2点に広げた。

先制ゴールの武はこれがリーグ戦15点目。得点ランクトップの座を維持している

 前半は相手ディフェンスラインにFWがプレッシャーをかけてサイドへ追い込み、サイドハーフとボランチが連動してボールを奪い、攻撃につなげるシーンが多く見られた。さらにセカンドボールの奪取数も多く、前半に挙げた得点はいずれもセカンドボールを拾ってから生まれたものであった。しかし後半、流れは徐々に東農大へ傾き始める。63分、CKのこぼれ球を拾った中野涼太(2年)がミドルシュートを放つ。ボールはGK笠原駿之介(法2=埼玉・早大本庄)の両腕をかすめてゴール左隅へ吸い込まれ1点差に。早大も突き放しにかかるべく、その後はCKからのFW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)のヘッドなどでいくつか決定機を迎えるが、いずれもゴールを割ることができない。すると1点リードのまま迎えた90分。DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)のクリアボールを安藤一哉(2年)が拾いハーフボレー気味にシュート。ボールは無情にもネットを揺らし、スコアが2-2となる。半ば勝利を確信した時間帯での痛恨の同点弾。勝ち点2を失った格好のエンジイレブンは、試合終了を告げるホイッスルが鳴ると同時にがっくりとうなだれた。

またも終了間際に失点を喫してしまった

 第13節の青学大戦(●3-4)と同じ展開で勝利を逃した早大。「押された時間帯にそれを挽回をするプレーが足りなかった」と、相馬は引き分けに持ち込まれた原因について述べた。先制して試合を進めることが多い中、いかに相手に傾きかけた流れを引き戻すかは目下最大の課題である。次節の日大戦でなんとしてでも解決の糸口をつかみたい。『2部優勝』を成し遂げるためには、もう一戦も落とすことはできない。

スターティングイレブン

 

(記事=森迫雄介 写真=篠原希沙/守屋郁宏/大山遼佳)

 

 

関東大学リーグ戦
早大 2-0
0-2
東農大
【早大得点者】31武,45柳沢
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 笠原駿之介 法2 埼玉・早大本庄
RB 安田壱成 スポ4 ベガルタ仙台ユース
CB ◎鈴木準弥 スポ4 清水エスパルスユース
CB 20 杉山耕二 スポ1 三菱養和SCユース
LB 17 冨田康平 スポ3 埼玉・市浦和
CMF 32 栗島健太 社2 千葉・流通経大柏
MF 今来俊介 商4 神奈川・桐光学園
RMF 11 柳沢拓弥 社4 清水エスパルスユース
MF →81分 鈴木裕也 スポ4 埼玉・武南
LMF 相馬勇紀 スポ3 三菱養和SCユース
CF 石川大貴 スポ4 名古屋グランパスU-18
CF 15 武颯 スポ4 横浜F・マリノスユース
FW →69分 岡田優希 スポ3 川崎フロンターレU−18
◎=キャプテン
監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦2部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
国士舘大 36 15 11 31 14 +17
早大 30 15 42 20 +22
中大 27 15 32 25 +7
拓大 23 15 25 14 +11
東農大 21 15 24 19 +5
神奈川大 19 15 28 28
青学大 19 15 22 30 −8
東京学芸大 18 15 23 24 −1
立正大 17 15 19 33 -14
10 東海大 14 15 18 26 -8
11 日大 12 15 13 21 -8
12 朝鮮大学校 15 11 14 37 -23
※第15節終了時点 ※上位2チームが自動昇格
コメント

DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)

――試合を振り返っていかがですか

内容自体は悪くなかったですし、最近の自分たちの中では良い試合をできたのかなとは思っています。

――きょうは出場停止の選手がいたこともあり、中盤の選手のキャラクターは前節と少し違ったと思います

攻撃を得意とした秋山(MF陽介、スポ4=千葉・流通経大柏)が出ているときは、おそらく彼を中心に攻撃が回っていたと思うんですけど、きょう代わりに出ていた今来(MF俊介、商4=神奈川・桐光学園)というのは守備に強い面があって、きょうはボールをよく奪えていたと思います。東農大みたいな変則的なフォーメーションの相手に、少しボールを支配されるであろうという想定をしていた中で、本当によくボールを奪ってくれて、セカンドボールへの反応も速かったですし、前期(第8節:●1-3)ほど相手にボールを持たせずにやれた要因はそこかなと思います。

――相手は鈴木準選手がボールを保持すると、激しく寄せてきていました

うちも相手のいいところを消していくように、どこのチームも相手チームのいいところを消すような戦い方をしてくるので、スカウティングをして、消さなければいけない場所というのにはしっかりプレッシャーをかけてきますし、前節の試合の後にも言ったんですけど、自分のところにプレッシャーをかけてくるというのを、やっぱりきょうの相手もやってきました。その中で自分も何度か失いそうになりましたけど、うちだったら俺とか秋山だったり、石川(FW大貴、スポ4=名古屋グランパスU-18)のところだったり、相馬(MF勇紀、スポ3=三菱養和SCユース)のところだったり、特徴のある選手の強みを消してくるだろうと考えたときに、前からプレッシャーをかけてくるというのは東農大に限らず、今後も他のチームもやってくるのかなと感じます。でもそこに(プレッシャーを)かけてくるほど、それだけのスペースが生まれるので、そういうところを使っていければ一気に逆転できると思っています。

――2点をリードして迎えた後半はどういう戦い方を共有して臨んだのですか

自分たちとしては、もう1点を取りにいくところは意識してやりました。2-0で勝ってはいましたけど、自分たちはそんなに強いチームではないし、横綱相撲のようなサッカーができるわけではないので。ぶれずに、やることを変えずにやっていくということで後半に入っていきました。

――青学大戦(第13節:●3-4)と同様に、終盤まであったリードを守り切れず、引き分けに持ち込まれてしまいましたが

2-1になった途端に相手のペースになってしまいました。あまり自分たちが先制点を取られるということがなく、先に点を取って試合を運ぶことが多い中で、ああいうときにどうやって戦っていくかというのはチームとして見直さなければいけないと思います。リスクを負わずに前へ蹴るのも一つだし、相手が来ているのか来ていないのか、状況をしっかり見なければいけないと思います。自分たちがやろうと追い求めているサッカーと、そういう時にやらなきゃいけないサッカーというのは違いがあるし、相手が2-1になった時にどういう戦いをしようとしているのかしっかり見て判断して、こっちも戦い方を変えてというか、そういう戦い方をしないといけないと思うので、そこの見分けというのをもっと自分が中心となってやっていきたいと思います。

――前回の試合後に「集中力や大切にしてきたものを出せるかどうか」という話をしていただきましたが、その点できょうの試合はいかがでしたか

きょうの試合はどこかで集中力が欠如したとか、そういうわけではなかったと思いますけど、アグレッシブにいったぶん、終盤は体力の低下というのもありながら、試合の入りにはなかったミスだったりというのはあったと思います。でも自分たちが疲れているときは相手も疲れていると思うので、そのときにどれだけ正確にできるか、そこでパスを一つ正確に出せれば、相手からのプレッシャーの意味がなくなったりすると思います。自分たちも疲れてくると、集中力の欠如というより、判断力が鈍くなるということはあると思いますけど、疲れているときこそしっかりとした技術でやるというところは大事になってくると思います。

――次節までの間隔は短いですが、次の試合までにどんなことをチームに徹底していきたいですか

チームとしてもう一度、得点後のチャンスというのを決める意識を持つことですかね。きょうもチャンスをつくれなかったわけではないですけど、チャンスを決め切れなかったというところで。2点も取ってくれたら守り切って勝たなければいけないですけど、取れるところでしっかり取るということは徹底したいと思います。あとは一人ひとりが強みを出すということも、もう一度意識して、それぞれが強みを発揮できればいいゲームができると思うし、結果もついてくると思うので、プレッシャーがかかった中でも自分のいいところを出すというところはやっていきたいと思います。

MF鈴木裕也副将(スポ4=埼玉・武南)

――最後に追い付かれての引き分けとなりました

自分としては、交代で入るときはチームが劣勢な状態でしたし、流れをなんとか自分たちに持ってこれればと思っていましたけど、最後にああいったかたちで失点してしまって、青学戦と同じような終わり方になってしまいました。2-0とリードしてから1点返されて、そこでの立て直し方に関しては、残りの試合を戦っていくうえで改善しなければいけないと思います。

――鈴木裕選手が交代でピッチに立った時間帯は、やはりベンチから見ても劣勢でしたか

そうですね。今の自分たちは、勝っているときは自信を持って積極的にいけていると思いますけど、逆に押し込まれているときは、どんどん消極的になってしまう傾向があると思うので、そういうメンタル面の課題を改善していけるようにしたいです。

――改善にはどういったことが必要になってくるでしょうか

上級生が多く試合に出ている中で、その上級生一人ひとりが出す雰囲気や、声の掛け方次第でチームの一体感は変わってくると思いますし、試合中に選手同士で、「今はこういう状況だからこうしよう」といったようなコミュニケーションをもっと取れるようになることも必要だと思います。

――後期は流れを変えたい場面での途中出場が多くなっています。ご自身としてはどういったことを意識していますか

もちろんスタメンで90分間プレーして、チームを勝利に導く活躍をするというのが一番の理想ですけど、今与えられている役割の中でも、できることは本当にたくさんあると思っていますし、途中交代で流れを変えられなければ、スタメンで出ても結果は残せないので、まずは自分にできることをやり続けるだけだと思っています。

――チームとしては首位の国士舘大との勝ち点差が広がる結果となってしまいました

もう本当に、一戦一戦勝つしかないですし、国士とは直接対決も残っているので、まだまだ可能性はあると思っていますし、残り7試合全てで勝てるように、ぶれることなくやっていきたいです。

――中3日での日大戦に向けて、意気込みをお願いします

しっかりきょう出た課題を分析して臨みたいですし、後期に入ってから勝ち切ることができていないので、まずは目の前の試合でしっかりと勝てるように、チーム一丸となって頑張りたいです。

MF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)

――きょうの試合はいかがでしたか

青学戦もそうですけど終了間際に集中力が切れて、ずっと守れていたプレーができなくなってしまって、集中力という抽象的な言葉でまとめるのは良くないとは思いますけど、そういう細部にしっかりこだわれなかったところが引き分けの要因かなと思います。

――次節の日大戦までの3日間でどう改善しますか

集中力はその都度、各々がしっかりとやらないといけないと思うんですけど、改善点を挙げるとすると、押された時間帯にそれを挽回するプレーが足りなかったと思います。自分自身もそうですけど、押し込まれた時間帯に自分たちのボールに戻すようなボール回しだったり、ボールキープだったりをすることと、相手を見て逆に大胆なプレーをすることを、しっかり使い分けられるようになるのが、次節も含めた今後の全試合への勝利につながってくると思います。

――前半の2アシストを振り返って

得点に絡めたというところで考えると良かったとは思います。2点目を決めた柳沢選手(MF拓弥、社4=清水エスパルスユース)に、いつもだったらゴロでクロスを上げるところを、「浮き球のボールも狙ってほしい」と言われていて、それが点につながったので良かったです。

――ポジショニングで意識したことは

相手は最初4バックでやっていましたけど、5バックに変えたり変則的なフォーメーションでした。自分は外に開いてドリブルするという長所もありますけど、それだけだと常に相手にマークされてしまいますし、中に入って相手を引き付けて、冨田(DF康平、スポ3=埼玉・市浦和)が攻めるスペースを空けたりしました。逆に中から外のスペースに走り込んだりもして、やっぱり常にボールを止まって受けていたらマークされてしまうので、そこは意識していました。

――次節の日大戦に向けて

きょうの結果は悔しいですけど、下を向いてはいられないですし、次は死ぬ気で勝つという気持ちで、90分通して戦えるようにしていきたいと思います。

DF冨田康平(スポ3=埼玉・市浦和)

――試合全体を振り返って

立ち上がりはボールが弾みやすいグラウンドということで、全体的に落ち着かなかったり、不用意なミスで奪われてしまったりしたんですけど、前半自体は全体的に自分たちのペースで進めることができたと思います。プレスから点も取ることができて、いい状況で終わったなという感じでした。ただ後半に入ってから、苦しい時間が続ていい方向に持っていくことができなかったし、いい流れになった時も点を取ることができなかったのが、引き分けという結果になってしまった原因かなと思います。

――勝ち切れないというこの状況をどのように打開していこうとしていますか

後期第2節の青学大戦(●3ー4)のときにも、同じように後半の終わりの方で追い付かれて、結局逆転されてしまって。自分たちDFライン4枚が最後は守り切らないといけないと思っていますし、それがまだまだ甘いと思います。もっともっと連携を深めて、絶対に崩されないというようにしていきたいと思います。

――後期からコンスタントに出場されていますが、どのようなことを意識して試合に臨んでいますか

去年はケガをしていたので、1年間サッカーができていなくて。ことしは後期から試合に出られるということで、とりあえず自分らしく堂々とプレーするというのは前提に置いています。それにプラスして、自分の持ち味であるスピードを生かした縦への推進力といった部分を、積極的に出していければいいなと思っています。

――きょうの攻撃面での貢献について

きょうは後ろ気味にプレーすることが多くて、足元でボールを受けてという感じで、特に前半が消極的な感じだったので。これからはもっといくときはいく、いかないときはいかないというのを見極めて、自分らしくやっていきたいと思います。

――中3日で迎える次戦への意気込みをお願いします

(中3日というスケジュールは)自分の中でも初めての経験ですし、難しいとは思いますけど、しっかりとコンディションを整えて、きょう以上に高いパフォーマンスでチームの勝利に貢献できるようにしたいです。

MF栗島健太(社2=千葉・流通経大柏)

――試合の終盤で失点を喫し引き分けに終わってしまいました

青学大戦(第13節:●3-4)と同じ現象が起きてしまったので、最後のところを自分たちがどう改善していくかが次への課題ですね。

――前半は前線のプレスが効いてセカンドボールをボランチがよく拾えていました

FW、MF、DFの三枚の壁を一重にせず、三重にするようにいつも監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)に言われているので、それを意識してやっていました。

――きょうの栗島選手はボールを奪い展開するプレーが目立っていました

4年生の方々やFW陣は攻撃的な選手が多いですし、自分の仕事はボールを奪ってみんなにつなげることなので、その辺りは意識してやっています。

――2点リードで迎える後半へどう入っていこうと考えていましたか

2点リードはしていましたけど、青学大戦の二の舞にならないよう気を引き締めていこうと話し合っていました。でもうまくいかずに同じ展開になってしまいました。

――終盤に差し掛かるにつれて相手に押し込まれてしまった原因はどこにあったのでしょうか

運動量が落ちたってことと、相手の勢いを跳ね返す力が僕らになかったからだと思っています。

――中3日で迎える日大戦への意気込みをお願いします

まず勝ち点3を取るということですね。1-0でもいいので、とにかく勝ちたいです。