前節、東農大に関東大学リーグ戦(リーグ戦)初黒星(1−3)を喫したエンジイレブン。立ち直りを図る今節は立正大と対戦した。前半に秋山と武がゴールを奪い2点リードで折り返した早大だったが、後半17分にDF安田壱成(スポ4=ベガルタ仙台ユース)がPKを献上。一点差に詰め寄られたうえに安田が一発退場となり、苦しい展開を強いられる。それでも、前線のFW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU−18)らの体を張った懸命なプレーでなんとか逃げ切り、勝ち点3をもぎ取った。
前期最終節に首位・国士舘大との直接対決を控える2位・早大。連敗だけは何としても避けたいこの試合、先にスコアを動かしたのは早大だった。9分、石川とのワンツーで相手をかわしたMF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)が長い距離をドリブルで運び、ボックス内に侵入。最後は飛び出してきた相手GKを鼻先で華麗にかわし、無人のゴールへとボールを流し込んだ。前半のうちにリードを広げたい早大は20分、狙い通り追加点を挙げることに成功する。MF今来俊介(商4=神奈川・桐光学園)が持ち前の守備力を発揮し相手のパスをインターセプト。そのまま石川につなぐと、その石川が右でフリーになっていた武にラストパスを送り、最後は武が強烈なシュートでニアサイドをぶち抜いた。その後も、武や石川がGKと一対一の好機をつかんだが、決め切ることができず。前半を2−0で折り返した。
得意のドリブルから先制点を挙げた秋山
後半も早大優位の展開で進んでいく。56分、武のポストプレーからボールを受けた相馬がボックス内で倒されPKを獲得。リードを広げる絶好のチャンスが訪れた。しかし、このPKを相馬がゴール左に外してしまい、試合を決定付けることができない。すると63分、今度は安田が相手FWをボックス内で後ろから倒してしまい、逆にPKを与えてしまう。このプレーがレッドカードとなり、安田はまさかの一発退場。さらにこのPKを冷静に沈められ、その差は1点に。一人少なくなったエンジイレブンは残りの25分間、一転して守勢に回る展開となった。しかし、「相手より走り勝つというのは普段から言っていることで、10人になったからこそよりその強みが出た」(今来)と振り返るように、むしろ数的不利な状況はチームにさらなる団結力をもたらした。前線の石川が体を張ったポストプレーやチェイスで相手DFラインにプレッシャーをかければ、途中出場のMF高岡大翼(社3=広島皆実)と今来のダブルボランチがピッチ中央の広い範囲をカバーし、チャンスの芽を摘み取っていく。その後方では、日本代表から復帰したGK小島亨介(スポ3=名古屋グランパスU−18)とDFラインの4人がサイドからのクロスをうまく対処し、最後まで立正大にチャンスらしいチャンスを与えなかった。「全員がカバーし合う意識ができていた」(秋山)という言葉通り、一枚岩となって窮地をしのいだエンジイレブン。大きな勝ち点3をものにし、一年での1部昇格に向け前進した。
ハードワークで勝利に貢献した今来
思い出すのは第2節の中大戦。この日と同じく、前半を2−0で折り返し後半に退場者を出した試合だ。中大戦では最後の最後に粘り切れず、引き分けに持ち込まれて勝ち点を取りこぼした。しかし、今節は同じ轍を踏むことなく勝ち切った早大。「苦しい中でも勝ち切れたのは大きい」(DF大桃海斗、スポ2=新潟・帝京長岡)という言葉通り、この勝利はリーグ戦、そしてアミノバイタルカップに向けて、チームにさらなる勢いをもたらしてくれるに違いない。リーグ戦は前期が残り2節。早大としてはチームの完成度をさらに高め、難敵の神奈川大、そして首位に君臨する国士舘大に勝ってリーグ戦を折り返したいところだ。
スターティングイレブン
(記事=栗村智弘 写真=田中佑茉/梶井夏葉)
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関東大学リーグ戦 | ||||
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早大 | 2 | 2-0 0-1 |
1 | 立正大 |
【早大得点者】9秋山,20武 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 小島亨介 | スポ3 | 名古屋グランパスU-18 |
RB | 2 | 安田壱成 | スポ4 | ベガルタ仙台ユース |
CB | 4 | ◎鈴木準弥 | スポ4 | 清水エスパルスユース |
CB | 18 | 大桃海斗 | スポ2 | 新潟・帝京長岡 |
LB | 12 | 木下諒 | 社4 | JFAアカデミー福島 |
CMF | 8 | 今来俊介 | 商4 | 神奈川・桐光学園 |
CMF | 10 | 秋山陽介 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | →77分 | 高岡大翼 | 社3 | 広島皆実 |
RMF | 11 | 柳沢拓弥 | 社4 | 清水エスパルスユース |
LMF | 7 | 相馬勇紀 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
MF | →84分 | 冨田康平 | スポ3 | 埼玉・浦和 |
CF | 14 | 石川大貴 | スポ4 | 名古屋グランパスU-18 |
CF | 19 | 武颯 | スポ4 | 横浜F・マリノスユース |
DF | →65分 | 井上純平 | 商3 | 東京・早実 |
◎=キャプテン 監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
コメント
MF今来俊介(商4=神奈川・桐光学園)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
前半と後半の最初、あれだけ決められるチャンスがあった中で決め切れないと、こういった厳しい試合になるんだなと改めて感じたので、次の試合では前半もっと点を決められる試合展開にしたいなと思います。
――前節の敗戦からきょうの試合でしたが、チームとしてどのように臨みましたか
先週の負けで、自分たちの強みが出せない時間帯が多い試合は、結果が付いて来ないというのを改めて感じたので、そういった意味ではきょうは試合の入りから、自分たちの強みを90分間出し切れるようにという取り組みを1週間やってきました。
――そういった目標意識があった中でのきょうの試合の評価はいかがですか
厳しい中でも勝てたというのは、この先アミノバイタルカップとかトーナメント戦になっても勝ち切るってことは重要だと思うので、日本一を目指す中では、良かったかなと思います。
――きょうのピッチは芝が荒いようにも見受けられました
そうですね。試合に入る前にみんなで共有できていたので、きょうは入りから割と長いボールというか、相手の背後に持っていくボールを増やしてというところで、相手の脅威になったのかなと思います。
――立正大の印象はいかがでしたか
前節から割と大きくメンバーを変えてきたので、どういう戦いをしてくるのかわからない中でも、きちんと対応して勝ち切れたというのは大きかったと思います。
――ワセダのペースで試合を進めることのできた前半でしたが、振り返っていかがでしたか
相手にもあまりピンチはつくられなかったですし、逆に自分たちもたくさんチャンスがあったので、あとはそれを決め切るだけかなと思います。
――逆に後半は10人となり数的不利な状況に立たされました
そうですね。人数が減ったことによって、一人ひとりの走る量が求められて、だからこそ逆にワセダの強みが出たというか、相手より走り勝つというのは普段から言っていることなので、10人になったからこそ、より強みというのが出たのかなと思います。
――今来選手ご自身の出来としてはいかがですか
後半は守備に追われる時間が多かったんですけど、守備は自分の強みでもあるので、勝ち切れたという意味では、ある程度自分の強みが出せたのかなと考えています。
――最後に次節に向けて一言お願いします
警告を受けて出られない選手が出てきて、また来週まで1週間、競争を激しくして、しっかり勝てるようにしていきたいと思います。
MF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)
――前半を振り返っていかがですか
前半の部分に関しては、前節負けていたこともあって、全員で入りの部分は意識していたので、早い時間帯で点が取れたこととか、その後追加点が取れたことは良かったですけど、その後自分たちのチャンスが何回かあった中で、3点目を決めて勝負を決めることができなかったのがこれからの課題かなと思います。
――ご自身のゴールシーンを振り返っていかがですか
いいかたちで抜け出せて、その後キーパーと1対1になったんですけど、冷静に相手の動きを見て決めれたのが良かったと思います。
――持ち味の出たゴールでしたね
そうですね。ヴィエラ(FW石川大貴、スポ4=名古屋グランパスU-18)と木下(DF木下諒、社4=JFAアカデミー福島)といい関係がつくれて、抜け出して持っていけたので、それは良かったと思います。
――後半10人になってからはどのようなことを意識しましたか
10人になってしまったので、それに対して一人一人が穴を開けないように、ポジショニングの部分で全員がカバーし合うというところが意識できていたので、そこは良かったと思います。
――逆に良くなかった部分というのは
10人になってから、押し出すところで押し出せないシーンっていうのはありましたし、10人になったからといって全部が全部引くわけではないので、そこの判断というのはまだまだこれから高めていかないといけない部分かなと思います。
――きょうのピッチのコンディションはいかがでしたか
グラウンドのピッチ状態があまり良くないというのは全員で確認していて、それに対してその中で適応できる技術がまだまだ足りなかったので、そこは反省する部分かなと思います。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
一人ひとりがもっと攻守に関わって、次の試合でももう1回勝ち点3を取って、首位の国士舘戦につなげていきたいと思います。
GK小島亨介(スポ3=名古屋グランパスU−18)
――今季初出場となりました。きょうの試合はいかがでしたか
試合勘に関しては代表の試合(U−20W杯)の方で補えていましたけど、連携に関してはこの一週間意識して積み上げてきた部分で、そこはこの試合でうまく出せたかなと思います。
――ご自身のコンディションに関してはいかがですか
試合勘の部分は間違いなく良くて、ただ足首はまだ少し痛みが残っているので、それを全部取り切ることはプレーと並行しながらになりますけど、そのことばかり考えていてもあまり試合に集中できなくなりますし、とにかく常にゴールを守ることだけを意識していきたいです。
――改めてDFの選手との連携を振り返っていかがですか
クロスや高いボールはGKが出れば出るほど、守備陣は助かると思いますし、90分間を振り返ってその辺りの予測やポジショニングは良かったと思います。
――前期は残り2節です。ここからどういったかたちでチームの1部昇格に貢献していきたいと考えていますか
もちろん個人としてはリーグ最少失点というのを目標に掲げていますし、そのためにも一つひとつの試合で無失点を目指していく必要があるので、自分が最後の砦として、守備範囲というところは特に意識して広げていきたいと思っています。
――次節の神奈川大戦に向けて意気込みをお願いします
きょうの試合も先週の試合も、まだまだ自分たちの甘さが出た試合だったと思うので、もっと最初の入りから締めまで集中してやっていきたいと思います。
DF大桃海斗(スポ2=新潟・帝京長岡)
――きょうの試合はいかがでしたか
前節負けたことで、きょうの試合が大事だということは試合前から話し合っていましたし、先に2点を先制して、退場者を出して苦しい中でも勝ち切れたというのは大きいと思います。
――数的不利になってからは我慢の展開となりました
そうですね。最終的にゴールを守り切ることができましたし、みんなで声を掛け合いながら走り切って守ることができたと思います。
――今季からスタメンとしてリーグ戦に出場しています。ここまでを振り返っていかがですか
去年までは熊くん(DF熊本雄太、スポ4=東福岡)が出ていて、自分は2年生ですけど、チームがことし一年で1部に上がるために自分が体を張ってやっていこうということは、普段からも意識するようにしています。
――きょうはピッチ上で2年生以下が大桃選手だけでした
そこはそんなに意識していることではないですけど、先輩方がサポートしてくれるので、自分も思い切ってやれています。CBの相方が準弥くん(鈴木主将、スポ4=清水エスパルスユース)で、やっぱりすごくうまいですし、サポートやカバーをしてくれるので、自分はやるべきことをやるだけというか、常にチャレンジ精神を持ってやれています。
――次節の神奈川大戦に向けて意気込みをお願いします
国士舘はまだ無敗で来ていて、自分たちは一敗してしまいましたけど、まずはやっぱり次の神大との試合が大事になってくると思うので、今週しっかり準備したいです。