武と石川が決めた!開幕戦を勝利で飾る

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)の新シーズンが幕を開けた。早大が開幕戦で対戦するのは、今シーズン2部に昇格してきたばかりの日大だ。主力にけが人が相次ぐ早大だったが、序盤からポゼッションで日大を圧倒。地力の差を見せつけ2−0の快勝を収め、1年での1部復帰に向けて、幸先の良いスタートを切った。

 立ち上がりの数分間は、人数をかけ攻め込む日大に押し込まれる。それでも徐々に落ち着きを取り戻すと、その後はピッチを広く使ったパス回しで、日大を敵陣に釘付けにする。MF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)とMF今来俊介(商4=神奈川・桐光学園)のダブルボランチが中央でうまくボールをさばき、攻撃にリズムを生み出す。DF木下諒(社4=JFAアカデミー福島)とMF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)は、スピードに乗ったドリブルとフェイントで左サイドから積極的に仕掛け続けた。42分、ボックス付近まで攻め上がってきたDF安田壱成(スポ4=ベガルタ仙台ユース)からの絶妙なクロスに反応した石川が直接シュートを放つ。だが、わずかに右へと逸れ、先制とはならない。結局前半は、スコアレスでの折り返しとなった。

正確なパスで攻撃の起点となった鈴木準

 後半に入っても、試合の構図は変わらない。リズム良くパスをつなぐ早大に対し、日大は全員が自陣深くに引いて守り続ける。59分、右サイドを完全に崩し、MF柳沢拓弥(社4=清水エスパルスユース)がマイナスの折り返しを供給。ボックス内でフリーになっていた石川がダイレクトで合わせるも、強烈なシュートは相手GKのファインセーブに阻まれた。徐々に得点のにおいが強くなり始めた67分、ついに待望の先制点が生まれた。ボックス手前でパスを受けたFW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)が自らドリブルで切り込み右足を一閃。岩壁を貫くような鋭いミドルシュートがゴールネットに突き刺さった。その後も武、秋山、そして途中出場のFW岡田優希(スポ3=川崎フロンターレU−18)らが中心となり、次々に相手ゴールへと襲い掛かる。87分、岡田が長い距離をドリブルで運び、左サイドにラストパス。これを受けたMF石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU−18)は、切り返しで冷静に相手GKをかわすと、勝利を決定づけるシュートをゴール右隅に決めた。

追加点をあげた石川

 これまでとは、一味違う戦い方で開幕白星をつかんだ早大。縦パスやワンタッチプレーをうまく活用し、波状攻撃で相手を圧倒した。しかし、DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)が「どんな相手にもこういった戦いができなければならない」と話したように、真価が問われるのはさらに試合を重ねてからともいえる。次節対戦する中大は2シーズン前まで1部に所属していたチームであり、確かな実力を備えている。それだけに「自分たちにとってはリーグ戦の天王山ともいえる」(木下)と、選手たちもより一層気を引き締めて臨む一戦となるだろう。次戦が1部昇格に向けた重要な試金石となるのは間違いなさそうだ。

スターティングイレブン

 

(記事=栗村智弘 写真=田中佑茉)

 

関連記事

リーグ戦開幕直前特集『大いなる挑戦者』


 

関東大学リーグ戦第1節
早大 0-0
2-0
日大
【早大得点者】67武,87石川
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 笠原駿之介 法2 埼玉・早大本庄
RB 安田壱成 スポ4 ベガルタ仙台ユース
CB ◎鈴木準弥 スポ4 清水エスパルスユース
CB 18 大桃海斗 スポ2 新潟・帝京長岡
LB 12 木下諒 社4 JFAアカデミー福島
CMF 今来俊介 商4 神奈川・桐光学園
CMF 10 秋山陽介 スポ4 千葉・流通経大柏
RMF 11 柳沢拓弥 社4 清水エスパルスユース
LMF 相馬勇紀 スポ3 三菱養和SCユース
MF →90+1分 飯原健斗 文3 東京・国学院久我山
CF 14 石川大貴 スポ4 名古屋グランパスU-18
FW →90+1分 石神佑基 スポ3 埼玉・浦和
CF 19 武颯 スポ4 横浜F・マリノスユース
FW →82分 岡田優希 スポ3 川崎フロンターレU−18
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦2部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
中大 +2
神奈川大 +2
早大 +2
国士舘大 +2
拓大 +1
東京学芸大 +1
東農大 -1
青学大 -1
朝鮮大 -2
立正大 -2
11 東海大 -2
11 日大 -2
※第1節終了時点

DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)

――試合を振り返って

90分間ある程度自分たちの流れで進められましたけど、なかなか決め切れない場面もありました。ただ、しっかり点も取れて、相手のミスもあって守り切ることができたので、結果として勝てたことが一番良かったと思います。

――ポゼッションで圧倒しました。攻撃を振り返って

例年のワセダに比べてシンプルにボールを放り込んでというよりも、点を取るためによりボールを動かしたり背後を狙ったりというサッカーをやっていこうという意識はあって、きょうは相手が引いて守ってきたというのもあったので、結果的にボールを持つ時間が長くなったと思います。

――その辺りも含め、新しいスタイルへの手応えは

こういった戦いがどんな相手に対してもできればいいですけど、まだ初戦が終わっただけですし、自分たちも2部がどういったステージかまだわかっていないというのもあるので。ただ、やり方としては相手が変わってもぶれることはないですし、この戦い方を追求し続けていきたいと思います。

――チームの守備を振り返って

ボールを持つ時間が長かったので、失った後すぐに高い位置からプレッシャーをかけることができましたし、相手が蹴ってきたボールを素早く回収して二次攻撃につなげることができたと思います。ただ、90分通してどうだったかと言われると、間延びして隙ができてしまう時間帯もあったと思いますし、一人ひとりの距離感はどうだったのかということであったり、突破や背後を取られるのを許した場面はどうだったのかということを、しっかり振り返って改善していきたいです。

――次戦に向けた意気込みを

中大は力のあるチームで、そういった相手に対して自分たちのサッカーがどれだけできるかということに尽きると思いますし、内容ももちろん大事ですけど、勝利という結果を追い求めて、最後はどんなスコアでもいいのでとにかく勝ちたいです。

DF木下諒(社4=JFAアカデミー福島)

――試合を振り返って

自分たちがボールを持ったときに、相手は引いてブロックをつくってくるということは、スカウティングでわかっていました。まずは、相手の陣形が整う前に攻め切るという狙いがあって、整ったあとも、慌てずにゴールを狙っていこうという共通意識を持っていましたし、前半からジャブを打ち続けたことが、結果として後半の得点につながったと思います。

――この試合に向けての準備やイメージがしっかりできていたということでしょうか

そうですね。チームのスカウティングだけではなくて、自分自身もビデオを見て、相手がどういうやり方をしてくるか頭に入れながら、その中で自分たちの強みを出していくにはどうしたらいいかというのを考えていました。

――ポゼッションで圧倒しました。攻撃を振り返って

ボールを長い時間持つことが、必ずしもいいというわけではないと思いますけど、きょうに関しては相手が引いて守ってくるチームでしたし、ボールを動かしながら機を見て攻め込むというのが有効だったと思います。ただ、もう少しチーム全体として積極的にゴールを目指せれば、得点シーンも増やしていけると思います。

――木下選手も攻撃で存在感を示しました

きょうは前半にひとつ、自分のクロスからチャンスになった場面があったんですけど、もっと攻撃に絡んでいかなければいけなかったと思っていますし、自分はもっと攻撃面で貢献していかなければならないと思っています。もちろんディフェンスもしっかりやらなければいけないですけど、自分の特徴を出しながら、アシストやゴールといった結果を出して、自分が勝利に導くということにこだわってやっていきたいです。

――次戦に向けた意気込みをお願いします

中大は強いチームですし、自分たちにとってはリーグ戦の天王山ともいえると思うので、勝つための準備をしっかりとしていきたいと思います。

FW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)

――試合を振り返って

22節のうちの1節を戦っただけに過ぎないっていうのが正直な感想で、まだまだ相手にシュートを打たれていた場面だったり、自分自身後半多くのシュートを打った中で1点しか取れなかったりと、反省点の多い試合だと思います。

――先制のシーンを振り返って

正直言うと、自分が点を取ったシーンのことは覚えてないんですよね(笑)。

――シュートを打つ場面が多くありました

自分自身の強みはシュートの精度だと思っているので、やっぱり隙があればどんどんゴールを狙っていきたいっていう気持ちはありますし、先制の場面はいいところでボールをもらえたのかなっていうのはあります。

――ポゼッションで圧倒しました。攻撃を振り返って

そうですね。きょうはある程度ボールを持てたかなっていう印象は自分の中にもありますけど、ボールをただ回してるだけでは意味ないですし、自分たちはボールを奪ってゴールを奪うっていうサッカーの本質的なところを目指しているので、ボールを持っているだけではなくて、もっともっとゴールに迫りたいです。きょうは2得点でしたけど、自分もそうですし、自分以外の選手もシュートを打てていたので、もっともっと点を取って、きょうみたいに無失点で抑えていきたいと思います。

――今季は「一人ひとりが攻守でボールに関わる回数を増やす」というのを大事にされていると聞きました。それも含めた新しいスタイルへの手応えは

一人ひとりがボールに関わる意識は少しずつ出てきているとは思うんですけど、まだまだ日本一とか1部昇格を達成できるチームではないなっていうのは正直感じています。まだまだボールを奪った瞬間だったりとか、ボールを取られた瞬間だったりとか、そういった切り替えの部分でボールへの関わり方が甘いですし、ここぞというときにエネルギーだったり運動量だったりを出せる選手があまりいないと思うので、そういった意味ではまだまだ改善点が多いと思います。

――いいスタートは切れましたか

そうですね。初戦は緊張もあって、自分たちのプレーが出しづらいんですけど、勝つことができてよかったです。自分たちは1部から落ちてきたチームという意識ではなくて、1部に上がるチャレンジャーとして、ミスしてもいいから消極的なプレーはなしにして、どのチームに対してもチャレンジャー精神を持って思い切ったプレーをしていきたいと思います。

――今後に向けて意気込みをお願いします

自分自身これまでずっとけがをしたりコンディションが整わなかったり、チームに対して本当に迷惑ばかり掛けてきたんですけど、4年生になってコンディションもいいですし、フォワードとしてゴールっていう結果が求められていると思うので、毎試合得点を目標にして、チームを勝利に導きたいと思います。

MF石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)

――試合を振り返って

チームとして決定機を多くつくることができていましたし、シュートの本数も多い試合だったので、そういう意味ではいい試合だったと思います。

――ボール支配率で圧倒しました。攻撃を振り返って

自分たちが長くボールを持つことができるというのは、試合が始まる前からある程度分かっていたんですけど、もっと得点を決めることもできたと思うので、課題も残る試合になったと思います。

――追加点のシーンを振り返って

その前に何度もあったチャンスで自分が決め切れていなかったので、あの場面では決めることができてよかったです。

――今季は「一人一人が攻守でボールに関わる回数を増やす」というのを大事にされていると聞きました。それも含めて新しいスタイルへの手応えは

まだシーズンが始まったばかりなのでなんとも言えないところはありますけど、練習からそういった意識を一人ひとりがもってやっていきたいと思います。

――いいスタートは切れましたか

そうですね。自分自身もいいスタートが切れたと思います。

――今後に向けて意気込みをお願いします

中大は簡単に勝てる相手ではないですけど、次の試合も絶対に勝ちたいですし、これからも1部昇格を目指して頑張っていきたいです。