まさかの後半3失点・・・。逆転負けで悪夢の2部降格

ア式蹴球男子

 試合終了の笛が鳴り響く。ピッチへ倒れこむエンジイレブン。その一方で、勝ち点3を手にし、喜びを爆発させる桐蔭横浜大の選手たち。勝者と敗者のコントラストがピッチ上でくっきりと表れていた。前半にFW小林大地(スポ4=千葉・流通経大柏)とFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)のゴールで2点を先制しながら、後半だけで3点を奪われ、まさかの逆転負け。この結果、早大はリーグ戦7連敗。さらに、1試合を残して2005年以来12年ぶりに関東2部リーグへの降格が決まった。

 前節の早慶戦に敗れ(●1-3)、リーグ戦6連敗中の早大。負ければ降格が決まる今節の相手は同じく残留争いの渦中にいる桐蔭横浜大。この試合、早大は前節負傷したFW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)、退場処分となったFW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)を欠いて臨むことになった。前半は拮抗(きっこう)した立ち上がりとなる。両チームとも残留へ向けて絶対に落とせない一戦であるだけに、一段と球際への激しさも増す。なかなかゲームの主導権を握れず、緊迫した空気がピッチを包み込む中、均衡を破ったのは早大だった。31分、サイドチェンジのボールを受けたMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)がPAへ侵入し、マイナスのクロスを供給。それを小林がタイミングよく右足を振り抜き、貴重な先制点をもたらす。さらに、40分には相手ゴール前で小林からのパスを中山が受け、そのまま中央へ持ち込みPA外から鮮やかなミドルシュートを決めて追加点。そのまま2-0で前半を折り返した。

勝利に大きく近づいたはずだった・・・

 “2-0は危険なスコア”。サッカー界でよく言われる言葉の一つである。まさにそれを象徴するかのような後半だった。立ち上がりの47分、中盤からのビルドアップで自陣へ運ばれるとワンツーからシュート。一度はGK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)がはじくものの、こぼれ球を右足で押し込まれて1点を返される。すると、ここから相手に試合の主導権を完全に握られてしまう。58分、左サイドからのクロスをフリーの選手にヘディングで合わせられて同点。その10分後にはパスミスを相手に奪われると、右サイドからのグラウンダーのクロスを合わせられ、逆転を許す。一方、前半だけで2得点を奪った攻撃陣は後半になると何もさせてもらえない。逆転を許した後、DF熊本雄太(スポ3=東福岡)を前線に上げてパワープレーを試みるも、なかなか攻撃が機能しない。結局後半はシュートを1本も打たせてもらえずに、2-3で試合終了。エンジイレブンはショックのあまり、しばらく立ち上がることができなかった。

小林の奮闘をもってしても勝利をつかむことはできなかった

 「先輩方が歴史や伝統を築き上げてきた中で、そこに泥を塗ってしまったことに本当に責任を感じています。」(DF新井純平主将、スポ4=浦和レッズユース)。11年間守り続けてきた関東1部リーグの舞台から降格となった早大。後期は得点が奪えず、立て続けに失点を重ねてしまう悪循環が続いていた。その結果、勝ち点を積み重ねられず、苦しい戦いを強いられてきた。ここまでの試合で出てきた課題をしっかりと見つめ直し、最終節で今季の集大成を見せてほしい。それが1部へ1年で復活するために重要なのは言うまでもない。再び『1st』を奪還するための戦いはもう始まっているのだ。「後輩たちに何かを感じてもらわないといけない試合」と小林が語るように、次節は4年生の現役最後の試合である。しっかりと最後までその勇姿を見届けようではないか。

(記事 新開滉倫、写真 中村ちひろ、篠原希沙)

再びの1部昇格へ、戦いはきょうここから始まる

関東大学リーグ戦第21節
早大 2-0
0-3
桐蔭横浜大
【得点者】(早)31小林,40中山(桐)47杉山,58今関,68鈴木
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 鈴木準弥 スポ3 清水エスパルスユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 平澤俊輔 スポ4 JFAアカデミー福島
MF →85分 石川大貴 スポ3 名古屋グランパスU-18
MF 14 鈴木裕也 スポ3 埼玉・武南
MF →66分 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
MF 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW →72分 武颯 スポ3 横浜F・マリノスユース
FW 11 小林大地 スポ4 千葉・流通経大柏
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
◎1 明大 46 20 14 43 17 +26
筑波大 36 21 10 33 20 +13
日体大 33 21 10 32 34 -2
順大 29 21 10 33 30 +3
法大 28 20 28 24 +4
流通経大 28 21 27 29 -2
慶大 27 21 36 40 -4
専大 27 21 30 34 -4
駒大 27 20 27 31 -4
10 桐蔭横浜大 25 21 27 28 -1
11 早大 20 21 11 21 29 -8
12 国士舘大 20 20 12 20 41 -21
※第21節暫定
※明大の優勝が確定
※下位2チームは2部自動降格
※今節の結果により早大の降格が決定
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――今のお気持ちをお聞かせください

やっぱり勝てなかったのには原因がありますし、この逃げられない現実から目を背けてはいけないです。チームの主将として、勝てなかった理由を見つけだして次につなげていかないと何も意味がないのかなと感じています。

――12年ぶりの2部降格となりました

単純に自分の力不足だと感じています。先輩方が歴史や伝統を築き上げてきた中で、そこに泥を塗ってしまったことに本当に責任を感じています。

――主将として引っ張り切れなかったという思いがあるのでしょうか

やっぱり結果が全てなので・・・。この結果になってしまったので、そういった思いがあります。

――相当な熱量をもってこの試合に入りましたが、試合までのチーム全体の取り組みを振り返っていかがですか

みんなこの試合に勝つことに必死でしたし、本気で関わってくれたと思います。でもやっぱり火が付くのが遅かったと思います。

――後半は失点してからずるずるといってしまう、今季を象徴したような内容でした

ずっと課題を克服し切れなかったのが全ての原因だと思ってます。そこが監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)の言う、プライドを捨て切れなかった部分だと思います。

――4年生として、後輩に対してはどのような思いでしょうか

(来年も)本当に1部でやらせてあげたかったです。それさえも残してあげることができなかったのが本当に申し訳ないです。

――この試合で降格が決まってしまいましたが、まだ1試合あります

自分たちの生き様の全てを見せつけて、勝利をつかむだけです。

――次節がア式蹴球部として最後の試合になります。お気持ちをお聞かせください

1部の舞台を残すことはできませんでしたけど、伝えられることは全て伝えなきゃいけないです。主将としてやるべきことはまだまだ多くあるので、あしたから全てを出し尽くして、主将としてあるべき姿を見せて、勝利という結果や自分の全てを感じていただけるような戦いをして、絶対に勝ちたいと思っています。

FW小林大地(スポ4=千葉・流通経大柏)

――2部への降格が決まりました。今の心境を聞かせてください

本当に後輩たちに対して申し訳ないという気持ちしか今はなくて。今、頭の中真っ白なのでそれぐらいしか思い浮かばないです。

―きょうは後期リーグ戦初先発でしたがどのような気持ちで臨みましたか

個人的には後期ずっと悔しい思いをしてきて、連敗している中でもベンチから見守ることしかできなくて。このワセダにとって悪い流れというのを俺が変えてやる、俺が残留させてやるっていう気持ちで臨みました。

――この試合に向けてのチームの雰囲気というのはいかがでしたか

勝たなければ残留できないという緊迫した状況で、Aチームだけじゃなくてチーム全体として練習もピリピリしていました。

――きょう出場できなかったFW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)だったり、FW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)とはどのような話をしましたか

試合前にあいつらからLINEがきて、きょうはお前の日になるからってあって。俺がその2人の気持ちの分まで背負って勝たせたかったんですけど、結果がついてこなくて申し訳ないです。

――今季はまだあと一試合残っています。そして、現役最後の試合です。どのような姿を後輩に見せたいですか

自分たちは公式戦1試合残されているので、そこが最後の4年としての生き様というか、本当に後輩達に何かを感じてもらわないといけない試合だし、それまでの1週間だと思うのでもう遅いかもしれないですけど、少しでも後輩達に何か残していかないといけないというのは感じています。

DF木下諒(社3=JFAアカデミー福島)

――この1週間のチームの取り組みはどのようなものだったのでしょうか

Bチームの4年生だったり、Bチームの選手が練習終わったあとでもAチームの練習に顔を出して見てくれていたり、鼓舞してくれたりしていて。チームが勝てていない状況で、自分には何ができるのかとかを追求できた1週間だったと思います。ただ、監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)からもあったようにこの1週間は本当にみんなで戦えたんですけど、これをシーズン通してはじめからできなかったというのが降格という結果に表れていると思います。

――木下選手自身、きょうはどんなプレーをしようと思っていましたか

チームとして前から厚みを持って得点を奪いにいくという中で、ディフェンスラインを高く保って、前からプレッシャーかかるようにしてゼロで抑えようとしてました。前半はできていたと思いますが、後半そこがずれてしまって。それが弱さだなと思います。

――次節が4年生との最後の試合になります

ウルトラスや、純平くん(新井主将)からもあったようにまだシーズンは終わってないですし、もちろん勝利をめざしていきたいし、また1週間取り組んでいきたいと思います。

――来年は最高学年としてチームを引っ張っていく立場になります。どのようなチームにしたいですか

全員がチームのために関わればこの1週間のように本当に全員がわかっていると思うので、それをシーズン当初からやるのが大切だなと。でもやろうやろうと言ってるだけではできないと思うので、やるべきことをきちんと明確にして、新しく入ってくる1年生にもこういい組織なんだよってことを示していかないとだと思います。来週で今シーズンは終わりますけど、今シーズンから引き継げるものもあると思うので、もっと強固な組織を作って、ぜったいに1年で1部に上がってくるということを目標にやりたいと思います。

MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)

――試合終了後、しばらく立ち上がることができませんでしたが、どのような思いがありましたか

悔しいとかそういった気持ちが何も浮かばなかった感じでした。無心というか、現実を受け入れられなくて、何も考えることができなくなり、頭が真っ白になりました。

――試合を振り返っていかがですか

前半2ー0でリードしていた分、きょうは絶対に負けてはいけないゲームだったなと思っています。

――難しい状況の1対1を突破したことで、1得点目のアシストにつながりました

あそこは左から確か来て、最初1対1の対面勝負から徐々に右に持っていったんですけど。何度か上げるタイミングをキックフェイントで探りながら、最後ちょっと外したタイミングで上げれたので、あのドリブルは良かったと思います。

――来週の試合はどのように戦っていきたいですか

もう失うものはなくなって、自分は絶対に1年で1部に戻ってきたいと思うので。といって来週の試合に勝てなかったら、また1部にきても勝てない訳なので、絶対来週勝ちたいと思います。

――4年生と戦うのは次戦で最後となります

最後の試合に勝てるかというのは、4年生を含めたことしチームの総和が勝てるか勝てないかにつながると思うので、そこを絶対勝てるように。4年生を含めたことしのチーム全員で戦えればいいなと思います。

――来年度昇格を目指す上で意識していきたいことは

単純に得点が少なくて失点が多いということで、1失点した後、立て続けに失点するシーンがことし何度かあって。あとリーグ戦を戦う上で、連敗は絶対にしちゃいけないということをユースの頃から言われていたんですけど、現在7連敗ということなので、連敗しないことです。あとやっぱり自分は攻撃陣なので、もっと1試合平均2点以上は取るようにしたいし、守備の面でもワセダは元々堅守ということでやってきた訳なので、多くても1、ゼロで抑えられるようなチームになっていけたらなと思います。

――相馬選手自身はどのように変わっていきたいですか

後期自分が怖い選手になるという思いで、今まで取れていなかった得点というものを徐々に取れるようになっていって。逆にアシストの数がきょうを含めて2個しかできていないので、もっと両方ともできるようにしたいです。得点も取れるし、だからといって中警戒されたら縦もいけてアシストできるようなもっと怖い選手になりたいです。