数的優位も生かせず・・・。首位明大に力負け

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)で、後期開幕からの3連戦を2勝1分の無敗で終えた早大。この日、大逆転での連覇へ向け、首位を独走する明大との重要な一戦に臨んだ。早大は相手選手の退場で早々に数的優位を得たが、一瞬の隙から先制を許して苦しい展開に。後半、反撃を仕掛けるが、試合巧者ぶりを発揮した明大を前にゴールが遠いまま時間は経過。タイムアップを告げる笛が鳴り響くと、選手たちは一様に肩を落とした。

紫紺のカベはあまりにも高かった

 この日の早大は立ち上がりから持ち味を発揮。FW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)を中心に、豊富な運動量を武器に、ボールを奪いにいく守備で主導権を握った。「サイドバックに前線からプレッシャーをかけていって、はまったところでボールを奪い切ることを意識した」(飯泉)。すると21分、危なげなく試合を進める早大に追い風が吹く。MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)のDFの裏を狙ったロングボールに、FW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)が反応。明大DF山﨑浩介と入れ替わり、抜け出そうというところで倒されると、このプレーで山﨑が一発退場となった。早い時間帯から数的優位に立った早大。しかし、直後の相馬のFKがわずかに枠を外れ、27分にも相手のミスから得た中山の決定機が相手GKに阻まれると、徐々に落ち着きを取り戻した明大に流れが傾く。34分に自陣でのロストからこの日初のシュートを許すと、迎えた40分。角度をつけたボール回しの連続でプレスをいなされ、リーグトップスコアラーのFW丹羽詩温にゴールを許してしまう。ワンチャンスを仕留められた早大は、ビハインドを背負って前半を折り返した。

 後半、早いうちに試合を振り出しに戻したい早大だったが、なかなかフィニッシュに持ち込めない展開が続く。それでも60分にはMF今来俊介(商3=神奈川・桐光学園)、62分にもFW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)がそれぞれエリア内でシュートを放ったが、いずれも相手GKのセーブに阻まれた。その後も攻勢を強める早大は、MF蓮川雄大(スポ2=FC東京U-18)らを投入して攻撃の活性化を図ったが、守りを固める明大を前に散発的な攻撃に終始。結局最後までゴールを割ることはできず、後期初黒星を喫することとなった。

途中投入から左サイドを果敢に仕掛けた蓮川

 相手の人数が減り有利な状況が長く続いたが、攻撃に鋭さが生まれず、ワセダらしい速攻は鳴りを潜めてしまったこの日のゲーム。優勝を目指す上での『シックスポインター』を落とし、目標の連覇が厳しくなってしまったのは事実だ。しかし、「自分たちの目指すところは変わらないので、まずは小さな可能性でもそれを信じて、自分たちを高めていくことが勝利につながる」(DF新井純平主将、スポ4=浦和レッズユース)と、選手たちは可能性が残っている限り上を見据え続ける。「次の試合にしっかり勝ってもう一度勢いをつけてここから7連勝を狙いたい」(DF鈴木準弥、スポ3=清水エスパルスユース)。目標が遠のいてしまった今だからこそ、エンジイレブンの真価が問われている。

(記事 守屋郁宏、写真 田中佑茉、稲満美也、皆川真仁)

スターティングイレブン

関東大学リーグ戦第15節
早大 0-1
0-0
明大
【得点者】(明)40丹羽
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 鈴木準弥 スポ3 清水エスパルスユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 13 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
MF →63分 蓮川雄大 スポ2 FC東京U-18
MF 14 鈴木裕也 スポ3 埼玉・武南
MF 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW →55分 山内寛史 商4 東京・国学院久我山
FW 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
FW →73分 武颯 スポ3 横浜F・マリノスユース
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 36 15 11 36 12 +24
法大 27 15 22 14 +8
日体大 24 15 22 25 -2
筑波大 23 15 23 15 +8
慶大 22 15 25 26 -1
早大 20 15 17 16 +1
駒大 18 15 19 23 -4
順大 17 15 25 25
桐蔭横浜大 17 15 21 24 -3
10 流通経大 16 15 17 23 -6
11 専大 15 15 20 25 -5
12 国士舘大 13 15 10 17 36 -19
※第15節終了時点※下位2チームは2部自動降格
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――あまりにも痛い敗戦となりました。今のお気持ちをお聞かせください

そうですね、優勝するためには絶対に落とせない、勝たなければいけない試合でした。相手が退場者を出した中でも勝てなかったというのが自分たちの現状なのかなと思います。負けてしまったことを悔やんでいる暇はないので、次を見てやるだけだなと思っています。

――明大の強さを痛感する試合となりました

そうですね、結果が全てだと思います。どんな状況でも勝ち切るメイジが自分たちより一つ上だったと思います。

――この試合に向け、どのようなことをチームで話されましたか

前期での戦い(第10節●0-1)を振り返ると、自分たちの強みを出しながら結果として負けてしまったという試合でした。そういった教訓を生かすためにも、勝利しかないと話しました。

――一瞬の隙を突かれて失点した場面を振り返っていかがでしょうか

自分が体をぶつけてこぼれた時に自分の粘り強さが足りませんでした。あの失点は自分の課題が全て出たと思います。

――追いかける後半はチームとして焦りも見受けられましたが

チーム内では「焦らずやるべきことをやり続ければチャンスは来る」という声掛けをしていました。ですが得点が入らないにつれて判断のないキックをしたり、蹴った先に厚みを加えられないというプレーが後半は多かったと思います。

――これで大きな勝ち点差をつけられてしまいました

まだ可能性は0ではないので・・・。自分たちの目指すところは変わらないので、まずは小さな可能性でもそれを信じて、自分たちを高めていくことが勝利につながると思います。自分たちの立ち位置に向き合うことも大事ですけど、目標をぶらさずにやることが大事だと思います。

――次は筑波大戦となります。意気込みをお聞かせください

勝ち続けなければいけないということは変わらないです。前期の屈辱、メイジに離された悔しさを持った中で、やるべきことを明確にして、一人一人が高めていかないと次も絶対に勝てないと思います。一人一人がそこに向き合って、次必ず勝てるようにやっていきたいです。

MF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

相手が一枚少なくなって、自分たちにとって有利な状況だったんですけど、その数的優位をうまく生かせなかったので、それが敗因かなと思います。

――相手は現在首位のチームでしたが、どのような気持ちで試合に臨みましたか

自分たちが首位の明大を倒して、ここから差を詰めていくために、絶対に勝つっていう強い気持ちで入りました。

――後期に入ってご自身の調子はいかがですか

プレー的には悪くはないです。あとは得点に絡むプレー、チームを勝たすプレーっていうのを増やしていきたいと思います。

――筑波大戦に向けて意気込みをお願いします

もう負けられる状況じゃないので、ここから全部勝って頑張っていきます。

FW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)

――ご自身は前期の明大戦に出場できませんでしたが、きょうの明大戦に対して特別な思いはありましたか

チームとしてメイジには絶対負けちゃいけないという位置付けでやっていますし、優勝するためにもメイジは負けちゃいけない相手だと思っていたので、そういう意味で特別な思いはありました。

――明大に対してオフェンス陣はどのような戦術で臨みましたか

メイジは攻撃の質は高いという認識がありましたが、逆に守備の意識はそんなに高くないんじゃないかと1週間みんなと話していました。相手のセンターバックも足の速い選手ではなかったので裏のスペースを狙い続けたり、サイドバックに前線からプレッシャーをかけていって、はまったところでボールを奪い切ることをチームや自分が意識した部分です。

――現在首位の明大と実際に対戦してみて、どんなところに強さを感じましたか

どこにも穴がないと感じました。どこかが特別強かったというわけではなくて、一人一人の隙のない技術や集中力の高さを感じました。それを崩すのは難しかったです。

――数的有利の中で無得点に終わりました

数的有利になる前の方がチームとして前に(圧力が)かかっていたんじゃないかなと思います。相手が一人少なくなった時にチームとしての勢いが確実に減りましたし、前半で決め切れなかったことが負けた原因なんじゃないかと思います。自分自身も何回かチャンスがあった中で決め切れなかったし、相方の雄希くん(FW中山雄希、スポ4=大宮アルディージャユース)も決められなかったので。チャンスで決め切れなかったことがチームの負けにつながったんじゃないかなとFWとして責任を感じています。

――次戦の筑波大戦に向けて、意気込みをお願いします

筑波大はどのチームよりボールを動かしてくるチームですし、きつい展開が予想されますが、ワセダのサッカーを絶対にやらなきゃいけないと思うので、ファーストプレッシャーをかけ続けて自分が攻撃のスイッチになりたいと思います。

DF熊本雄太(スポ3=東福岡)

――試合を振り返ってみていかがでしたか

試合の入りは自分たちのやろうとしていることをできたと思います。相手も一人退場しましたし、自分たちのペースでした。それでも、一本のカウンターで失点してしまって。そこからはね返せなかったのがこの試合の敗因だと思います。

――失点のシーンを振り返って、原因は何だったのでしょうか

まだ振り返られていないのでわからないです。よく思い出せないので、帰って振り返りたいと思います。

――最終ラインからのパスがうまくつながらなかった印象でした

相手が一人少なくなっても自分たちのやることは変わらないですし、ああいうボールを蹴ればボールがつながると思って自分は蹴っています。そこに対して課題であるという思いはないですし、今後も続けていきたいと思っています。

――次戦に向けて一言お願いします

(リーグ戦)後期に入って、11連勝するということが目標でした。でも、前節(日体大戦、△1-1)で引き分けてしまって。今節も首位である明大に負けてしまったんですけど、どういった状況であれ、自分たちは1位を目指すしかないです。そのための取り組みを今後も続けていかなければいけないと思います。

DF鈴木準弥(スポ3=清水エスパルスユース)

――チームとしてこの試合をどう捉えていましたか

本気で優勝を狙っていて、後期全勝と言っている中で前節引き分けてしまって、試合前の段階で首位のメイジとの勝ち点差が13でした。ここでまず自分たちが直接叩いて、ここからまた連勝して優勝を目指していこうという意気込みで臨みました。

――具体的にこの試合に向けて準備してきたことを教えてください

前回の試合で、自分たちの攻撃のカウンターのところで、パスなどの質が伴っていなくて、カウンターからまたリカウンターを食らってしまうかたちが多かったので、そのあたりは意識していました。その他に新しく取り組んだことはありませんでした。自分たちがやるべきことをしっかり徹底してやるということでした。

――早い時間帯で相手の選手が一人減ったことで、相手の並びに変化が起こりました

一人退場する前までは、相手は前から来て自分たちのディフェンスラインのところにも結構プレッシャーをかけてきていたんですけど、退場したということで、1トップにして、あまり前から来なくなったと思います。

――数的優位になったこともあって、センターバックがつくりの部分でいつも以上に重要になりました

相手が前から来なくなったことで、自分たちのセンターバックやボランチのところで良いボール状況ができることが多かったんですけど、そこからの配球もそうですし、良いボール状況ができたときのアクションのところで質が低かったことが得点を取れなかった原因なのかなと思います。相手が10人になったときに、自分たちの中でボールをつないだ方が良いんじゃないかという声が出てきて、自分たちが今までやってきたゴールを速く奪うというところをそこで少しぶれてしまって、逆に自分たちがゆっくりボールを回したことで相手を休ませてしまったというか、ブロックを作って引かれて余裕を持たせてしまったというか・・・。そんなに怖い攻撃ができなかったのかなと思います。

――先に失点してしまいましたが、あのシーンを振り返ってください

楔(くさび)をファーストタッチで内側に止めて打たれてしまったと思うのですけど、そのファーストタッチのところで自分が下がってしまったことが失点の原因かなと思います。

――現在地を見ると全日本大学選手権(インカレ)の出場権争いもし烈ですが、次の試合に向け意気込みをお願いします

インカレ出場というのも現実的に見て、しっかり狙うためにも、次の試合しっかり勝ってもう一度勢いをつけてここから7連勝というのを狙いたいです。メイジとの勝ち点差がこれで16になりましたけど、まだ7試合残っていて、何があるかはわかりません。自分たちも前期は最初いいかたちで勝っていた中で、1つ勝てなかった後に、そこから7試合8試合と勝てなくなったということがあったんで、メイジだってそういうことはあるかもしれないので、自分たちはとにかく目の前の一戦一戦を勝って、その結果としてインカレ出場だったり、上位を狙っていけたらいいなと思っています。

FW武颯(スポ3=横浜F・マリノスユース)

――1点リードされた厳しい場面での後半途中出場でしたが、投入されるときに監督からどのような指示がありましたか

人数が多い状況でボールも保持していたので、裏にアクションを起こすこととサイドが突破したときにニアにしっかり入ることを言われて試合に入りました。

――終盤ポストプレーが多かったですがどのような意識でプレーしていましたか

こちらがボールを保持していてアクションも起こしていたので相手が1点を守り切るためにラインを低くしていました。なので少し引いてターンやポストプレーで少しずつ自分たちのラインをあげてゴールに迫ることを意識しました。

――終盤ファウルが増えてしまいましたがチームの中で焦りはありましたか

どうしても時間がない中で点を取らなければいけない状態だったのでボールを取りに行ってファウルが増えてしまいました。少しもったいなかったなと思います。

――明大の試合巧者ぶりは感じましたか

メイジは個人個人うまいですし、嫌だなと感じました。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

きょう負けてしまって苦しい状況ですけど連覇に向かってこの後全て勝ち続けるしかないと思います。下を向いている暇はないので、やることは変えずに勝つための準備を1日1日していきたいと思います。

MF蓮川雄大(スポ2=FC東京U-18)

ーーきょうは優勝に向け負けられない試合でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか

メイジとの勝ち点差が13なのでここで勝って10差にして、ここからメイジが上位陣との対決が残ってたのでまだまだ逆転優勝の可能性があるという中で本当にチーム全員で負けられないという気持ちを持って臨みました。

ーー今日は後半に攻撃のアクセントとして投入された印象がありますが、意識していたことはありますか

監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)からもチームの攻撃を活性化させる意図と、サイドでどんどん仕掛けてクロスだったり自分の持ち味である突破でチームの攻撃を牽引するという役割で投入されたました。ですが、なかなか自分の得意なかたちにもっていけなくてチャンスをつくることができなかったのでそこは反省としてもっと磨いていかないといけないなという課題も出ました。

――攻撃においてやりづらさというのは感じていましたか

相手も少ない中で引いて守ってきて、そこでもっとチームとして攻撃の工夫だったり、崩す上で自分を含めてもっと動くこと、前4人がはってしまってなかなかチャンスをつくれなかったので、もっと攻撃のバリエーションを増やしていくことが課題だと感じました。

ーーきょうは出場時間が長かったですが、個人としてリーグ戦の相手と対峙してどうでしたか

今まで自分はケガでなかなかチームに貢献できなかったのですが、後期からはベンチにも入らせていただいてちょっとずつ出場時間も増えてきました。ここからはゴールであったりアシストであったりというかたちでチームの勝利に直接貢献できる選手になれるようにというのは日頃から心がけて練習しています。ここから個人的にはもっとコンディションを上げていくこともそうですし、攻撃の面でも突破やスピードの部分は磨いていかないといけないというのは感じました。

――次節は筑波大戦です。ここで勝つことでまた順位も入れ替わる可能性があります。意気込みをお願いします。

相手は本当に質も高いですし、ここで勝って筑波大との勝ち点を近づけて、より明大がここから負けるということも想定できますし、まだ下を向いてられないんで、上を向いて一週間いい準備をしてやっていきたいと思います。