悪夢の4失点。19年ぶりの天皇杯は1回戦で敗退

ア式蹴球男子

 国内のプロ・アマ全てのサッカーチームがしのぎを削り合う最高峰の戦い、天皇杯全日本選手権大会(天皇杯)がついに開幕した。19年ぶりに本戦の舞台に立った早大の1回戦の相手はJ3・グルージャ盛岡。しかし、待ち受けていたのは信じ難い結末だった。早大は主導権を握ったものの、確実に得点機をものにした相手にまさかの大量失点。0-4、無念の大敗により早くも本戦から姿を消すこととなった。

 強豪ひしめく東京都予選を勝ち上がり、ようやくたどり着いた念願のピッチ。一つでも上のステージへと進むべく、早大はチーム一丸となり、強い気持ちを持ってこの一戦に臨んだ。しかし、立ち上がりからプロチームの洗礼を浴びることとなる。開始早々の7分、CKを中央で合わせられてしまい、いきなりの失点(記録はOG)。出鼻をくじかれると、29分には見事な連携からサイドを崩され追加点を許してしまう。早くも2点のビハインドを負ってしまった早大はここから落ち着きを取り戻し、徐々に攻め込む場面を増やしていく。しかし、グルージャ盛岡は慌てることなくこれに対処。DF木下諒(社3=JFAアカデミー福島)の再三のクロスは跳ね返され続け、MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)の直接FKも相手GKが難なくセーブ。早大はリードを縮められないまま前半の戦いを終えることとなる。

左サイドで果敢に仕掛けた木下

 逆転勝利に向け早い時間帯でのゴールが欲しい早大は後半開始から圧力を強め、敵陣に侵入していく。攻め手の中心となったのは持ち味であるサイド攻撃。相馬、MF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)のサイドハーフ陣にDF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)と木下のサイドバック陣が絡み合い、波状攻撃を仕掛ける。ゴールまであとわずか。前掛かりになる早大。しかし、グルージャ盛岡はその隙を見逃さなかった。56分、早大からボールを奪うとすぐさま攻撃に転じ、決定的な3点目。64分にもカウンターからヘディングをねじ込みダメ押しゴール。早大がボールを保持し主導権を握る展開とは裏腹に、グルージャ盛岡のスコアボードのみが次々と書き換えられていく。意地を見せたい早大はMF今来俊介(商3=神奈川・桐光学園)がボックス内に切れ込みシュートを撃つものの、相手DFがきっちりブロック。その後の交替策も大勢を変えることはできず、試合は終了のホイッスル。天皇杯の挑戦は1回戦で儚くついえてしまった。

ドリブルでPA内に攻め込む今来

 試合を優位に進めたのは明らかに早大であった。敵陣でのプレー機会は相手よりはるかに多く、ボールを保持し続けた。しかし、終わってみれば4失点の大敗。ミスが少なく、決定機を確実に仕留めたグルージャ盛岡が早大より何枚も上手だった。試合後、多くの選手が悔し涙を流した。連覇を掲げる関東大学リーグ戦後期は2週間後に控える。早大は前期を9位で折り返し、もう後がない。この試合からエンジイレブンは何を糧にするのか――。逆襲への道のりはきょうここから始まっている。

(記事・写真 桝田大暉)

この敗戦を無駄にしてはならない

★早大OB、DF八角大智(平28社卒)とマッチアップ!

 昨季、19年ぶりの関東大学リーグ戦制覇に貢献し、鉄壁のディフェンスラインの一角を担った八角がグルージャ盛岡の一員としてこの試合に出場した!左サイドバックの先発としてピッチに立つと、現役メンバーと幾度となくマッチアップ。ア式蹴球部時代から見せてきた粘り強い守備で早大攻撃陣を苦しめた。試合後、「これも一つの運命なのかな」と今回の対戦を振り返った八角が次に臨むのはJ1・ベガルタ仙台との2回戦。母校の後輩の思いも胸に、盛岡の『侍』が次の戦に挑む。

第96回天皇杯全日本選手権大会 1回戦
早大 0-2
0-2
グルージャ盛岡
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF →81分 松岡拓郁 商3 大阪・履正社
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 鈴木準弥 スポ3 清水エスパルスユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 13 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
MF 14 鈴木裕也 スポ3 埼玉・武南
MF 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF →87分 柳沢拓弥 社3 清水エスパルスユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW →73分 武颯 スポ3 横浜F・マリノスユース
FW 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――天皇杯の挑戦は1回戦で終わることとなりました。今の心境はいかがでしょうか

天皇杯の中でさらに勝ち上がらない限り成長はないと感じていました。その中で初戦で負けたのはすごく悔しいです。

――0-4というスコアをどのように捉えていますか

自分としても、チームとしても突き付けていかないといけないところが多くあった試合だと思います。J3のチーム相手に大量失点して、また得点もできていないので、本当に課題が突き付けられた試合だったと思います。

――敵陣でプレーする時間が多く、試合はワセダペースでした

決め切れないという課題を克服できないままこの試合を迎えたことがこの結果につながったと思います。どんなに押していても結果が全てなので、何も良いところはないです。

――要所を確実に押さえた相手が上手だったといったところでしょうか

相手の決定力が上だった、それに加え自分たちが守れなかった、それだけだと思います。

――この試合で通用した部分は

自分たちがシーズンを通して掲げてきた前線からのプレス、高い位置でボールを奪いにいくという部分では前半から高いところでボールを奪ってゴールに迫るシーンが何度もありました。そこは通用したかなと思います。

――予選から通してこの戦いを振り返っていかがでしょうか

間違いなくチームは成長してると思いますけど、ここからがスタートとして本戦に臨んだ中で、チームの強みを徹底して出せない、大差で負けてしまう、それがチームの現状です。それをちゃんと突き付けて、これからにつなげていかないとなと思います。

――後期リーグ戦が迫っています。チームとしてどのように戦っていきたいですか

もう一度強みを徹底すること、それができるかが後期の一戦一戦の結果につながってくると思うので、そこをチームとして見直してやっていきたいです。

――大学生活最後のリーグ戦に向け抱負をお願いします

自分たちは連覇を誓いとして掲げていて、そこにぶれはないです。一戦一戦勝ち続けるために自分自身がもっと変わらないといけないので、必ずチームを勝利に導けるようにやっていきたいです。