19年ぶりの快挙!後半に試合をひっくり返し、天皇杯本戦進出!

ア式蹴球男子

 豪雨の中行われた準決勝(東京武蔵野シティFC戦、○0(4PK1)0)から3日。早大は明学大との第21回東京都サッカートーナメント(第96回天皇杯東京都予選)決勝を迎えた。前半はチャンスをつくるものの決め切れずにいると、終了間際に明学大にFKから頭で合わせられ先制点を許す。しかし後半、数的有利な状況になると、MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)の直接FK、FW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)の決勝ゴールで逆転に成功。1997年の第77回大会以来19年ぶりの天皇杯本戦進出を決めた!

直接FKで同点弾を決める活躍を見せた相馬

 前半から早大は果敢に攻撃を仕掛けた。11分MF鈴木裕也(スポ3=埼玉・武南)からのパスを受けたMF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)が左サイドからグラウンダーのクロス。これをFW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)が合わせるもGKに阻まれて得点できない。その後もゴール前まではもちこむものの、シュートまでもっていくことができない。先制点のチャンスを決め切れずにいると、流れが徐々に明学大へ傾き始める。34分にバイタルエリア中央からパスを出され、反転してシュートを打たれるものの、これはGK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)が辛うじてはじき出す。しかし、前半のアディショナルタイム、自陣ゴール前からのFKを頭で合わせられて先制点を許し、試合を折り返した。

 優勝のためには何が何でも得点が必要な後半。最初のチャンスは早大に訪れる。53分、相馬がドリブルで持ち込んでオーバーラップしてきたDF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)のクロスを飯泉が頭で合わせるが惜しくも枠を外れる。すると59分、この試合のターニングポイントを迎える。相手DFの背後を狙ったパスを相馬が受けると、ドリブルを仕掛けたところで相手に倒される。このプレーにより相手DFがレッドカードを受け退場。早大にとって数的有利な状況となる。61分、このプレーにより得たFKを相馬が直接ゴールへ沈めて同点に追い付く。「ボールが浮きやすいので、その分抑えて枠をとらえることを意識しました」と振り返るように、相手のGKのポジショニングやボールのコンディションを考えて狙い澄ました一発は早大を勢いに乗せる。70分、DF木下諒(社3=JFAアカデミー福島)からのパスを受けた鈴木裕が浮き球パス。裏へ走りこんでいた中山がパスを受けて左足を振り抜き、ついに試合をひっくり返した。「ここ最近まったく点に絡めず、チームに迷惑をかけていて、点を決めたことはうれしい」(中山)と振り返るように、中山はここ数試合点を決め切れずにいたが、久々のゴールはチームを『1ST』へ導く価値ある決勝ゴールとなった。試合はそのまま終了を迎え、2-1で逆転勝利。見事第21回東京都サッカートーナメント(第96回天皇杯東京都予選)を制覇した。

背番号9が試合を決めた

 18年間越えることができなかったカベを遂に乗り越えた早大。アミノバイタルカップ2016、総理大臣杯と今季出場したトーナメントの大会で優勝できずにいた早大にとって、今回優勝できたことの意味は大きい。天皇杯本戦初戦の相手はJ3に所属するグルージャ盛岡。現在J3で16チーム中13位に沈んでいるが、格上の相手であることに変わりはない。さらに、グルージャ盛岡には早大OBのDF八角大智(平28社卒)が所属している。「お世話になった先輩と対戦できるのはすごく楽しみ」(新井主将)と話しているように、選手たちも少なからず意識をしている。いよいよ迎える天皇杯本戦。待ち受けるのは兵揃いの強豪チームばかりだ。次々と下剋上を果たし、エンジイレブンが天皇杯で旋風を巻き起こすことを期待したい。

(記事 新開滉倫 写真 桝田大暉)

第77回大会以来、19年ぶり28度目の本戦出場

第21回東京都サッカートーナメント(第96回天皇杯東京都予選) 決勝
早大 0-1
2-0
明学大
【得点者】(早)61相馬,70中山(明学)45+2高橋
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 鈴木準弥 スポ3 清水エスパルスユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 13 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
MF 14 鈴木裕也 スポ3 埼玉・武南
MF 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
FW →85分 柳沢拓弥 社3 清水エスパルスユース
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――ついに本戦出場をつかみ取りました。今のお気持ちをお聞かせください

18年間超えることができなかったカベを超え、歴史を塗り替えることができて素直にうれしいです。

――ようやく今季一つ目の『1ST』となりました

自分たちにとっては『1ST』以外意味がないと常に言い続けてきた中で、このタイミングでまず一つ手にしたことはチーム全体で評価できることだと思っています。

――前半をビハインドで折り返す展開は総理大臣杯の日体大戦(●0-3)と同じ状況でした。どのようなことを考えましたか

あの試合ではビハインドになった時に一人一人のメンタルの弱さが露呈して、そこから何もできず、強みも出せずに負けたという屈辱がありました。それを生かさなければ何も意味がないとハーフタイムに話をして、前半以上のエネルギーを出さないと後悔すると自分から話しました。そこからあの後半だったので、チームとして良い変化が見られたと思います。

――プレー面ではどのようなことを話しましたか

相手が3バックで、競った裏とか相手のサイドの傍の空いたスペースを突いたときは多くのチャンスをつくれていたので、後半はそこを徹底して突いていこうと話しました。

――相手に退場選手が出た直後に追い付くことができました。勝負強さが出ましたね

そうですね。奪ってから前に早くというプレーができたからこそのFKでしたし、あそこで相馬が決め切る力を出したからこそ勝利につながったと思います。

――決勝ゴールは中山選手でした

なかなか公式戦で点を取れていなかった雄希(中山)が取ってくれたのはうれしかったです。4年生として雄希が勝利に導いてくれました。

――本戦1回戦の相手となるグルージャ盛岡には昨年まで共にプレーした八角大智選手(平28社卒)がいます

お世話になった先輩と対戦できるのはすごく楽しみですし、何が何でも勝ちたいですね。

――マッチアップする可能性もありますが

そうですね(笑)、どんどんチャレンジしてハチくん(八角)抜いて、結果に結び付けたいです。

――ここからの試合は「挑戦」になります。意気込みをお聞かせください

勝ち続ければトップレベルのチームとできる良い機会なので、一戦一戦勝負にこだわって勝ち進んで、自分たちの成長に結び付けられるようにしたいです。そして、大学のチームとして、大学サッカーの価値を引き上げられるようにやっていきたいです。

FW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)

――優勝おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください

これで天皇杯本戦出場できるということで、本当にうれしく思いますし、18年間この東京都サッカートーナメントというのは優勝出来てなかったので、タイトルを一つ獲れたということはうれしく思ってます。

―連戦の中での優勝となりましたが、これは自信になりますか

連戦でタフな状況になるということはオフシーズンからわかっていたことですし、この連戦を戦い抜いて一回りも二回りも大きくなることを前期終わったあとに誓ったことでもあるので、そこは何も意識しないというか、連戦だから戦い方が変わるわけでもないし、連戦の中で成長できる機会が沢山あると思うので、そういう中で勝ち切れたのはよかったと思います。

――大事な試合でなかなか点を決められず苦しい思いをされていたと思いますが、きょつ決勝ゴールを決めることができました。ご自身の中ではどのように感じていますか

ここ最近全く点に絡めずにチームに迷惑をかけていて、やっと点を決めたことに関してはうれしく思います。ただ、決め切れるチャンスが多くあった中でそれを決め切れなかったのは自分の課題なので、そこはしっかり真摯(しんし)に向き合っていきたいと思います。

――きょうは前半のアディショナルタイムに先制点を許して試合を折り返す苦しい展開になりました。ハーフタイムではどのようなことを話し合いましたか

こんな戦い方をしていたら一生後悔するし、もっと皆でギア上げていかないと勝てないし、後悔するだろうということを皆で共有した中で、前半のような戦いぶりだと誰の心も動かないし、こんなんでは絶対優勝できないという、気持ちの面にはなってしまうんですけど、そういった部分を話し合って、なんとか後半につなげていけたと思います。

――後半、数的有利な状況になってからワセダに流れがきました

相手が退場になったことで、僕も数的有利な状況をつくれて、大きなターニングポイントになったと思いますし、勝たなければ行けない状況だったし、数的有利を生かさない手はないですし、その時間帯で決め切れたのは良かったと思います。

――きょうは中盤からロングボールで相手のディフェンスの背後をとる動きが多かったですが、意識はしていましたか

背後の動き出しというのは自分の強みでもあるし、そこはいつも試合の中で意識してやっていることなので、その回数がきょうはいつもより出せたのはよかったと思います。

――次の対戦相手はJ3グルージャ盛岡です。盛岡にはOBの八角選手もいます。意識する部分はありますか。

ハチくんがいることも意識しますし、相手がJ3ということで、自分たちよりも強い相手とできることに感謝して、自分たちももっと成長しないといけないですし、J3が相手だろうが自分たちのやることは変わらないので、もっともっと強い相手とやるために必ず次の試合勝って、もっともっと成長するために強い相手とやりたいと思います。

MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)

――19年ぶりの優勝となりましたがきょうの試合を振り返っていただけますか

前半の終了間際という一番失点してはいけない場面で失点してしまったので展開的には苦しかったんですが焦らずチーム一丸となって戦えて最後勝てたので良かったと思います。

――敗戦した総理大臣杯の日体大戦と同じビハインドで折り返しましたが、チームで話したことはありますか

日体大戦のときは1点取られてからみんな焦ってしまい、自分たちのやりたいサッカーが出来なくなって0-3という厳しい展開になってしまったので、1点に抑えつつまずは自分たちのサッカーで1点返そうという気持ちでいきました。

――前半CKの精度に満足していないように見受けられたのですが

いつもと違って浮きやすいボールだったこともあり、練習してたのですが1、2本目はふかしてしまいました。早大はセットプレーを強みにしているので3本目ぐらいからは低いボールを蹴れるようになって良かったです。

――得点したFKのきっかけとなったファウルを誘った場面なのですがどのような意識で走り込みましたか

まずはカウンターという部分で相手が開いていたのでゴールへの直結の走りをした後に、ドリブルしているときに間接視野で相手のDFが右から走ってきているのは見えていたのでそのまま真っ直ぐドリブルしていたらボールをつつかれてしまうと思いました。なのでわざと前に行ってしかも角度をつけたほうがシュートを打ちやすいので少し斜めに入ったら足を引っかけられてファウルになりました。

――FKでは壁の位置も見て狙いすまして撃ったようでしたが

まず、壁が自分の外巻きのシュートを警戒してかなり右に寄っていて、GKも相当左に立っていて最初はニアを狙おうか迷ったんですが逆に寄りすぎている分、右に飛ぶのかなと思い、逆をつこうと左に蹴りました。あとはボールが浮きやすいのでその分おさえてしっかり枠を捉えることを意識して蹴りました。

――次からは天皇杯本戦となりますが意気込みをお願いします

Jリーグの格上のチームと試合ができますが自分たちは失うものが何もないので1つ1つ勝ってどんどん成長していけるように頑張ります。

――初戦はOBの八角選手のいるグルージャ盛岡ですが印象などはありますか

試合を観たことはないのですが、自分が1年生でサブチームにいた時にトップチームの八角選手とはいつもマッチアップしていて自分の行動が読まれている分、何か新しい武器を手にいれるなどして読まれていても振り切れるだけの力を身に付けて挑みたいです。