学生系の部Bブロック決勝の舞台、ワセダは関東大学リーグ戦前期で引き分けている(第5節△0-0)法大と激突した。前半は、互いに決め手を欠き、スコアレスでハーフタイムへ。しかし、後半、途中出場のFW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)が流れを変えた。79分、飯泉のアシストからFW今来俊介(商3=神奈川・桐光学園)がループシュートを沈め先制に成功する。その10分後にはMF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)のクロスを受けた飯泉がネットを揺らし、ダメ押し。前線の活躍に守備陣も応え、最後までゴールは割らせず2-0で試合終了。法大に快勝し、第21回東京都サッカートーナメント本戦準決勝へと駒を進めた。
飯泉と今来が試合を決めた
細かくパスをつなぎゴールに迫る法大に対し、ワセダはロングボールで裏を狙う戦法を選択。立ち上がりは互いに相手を崩し切れずにいたが、24分、ワセダにチャンスが訪れる。DF熊本雄太(スポ3=東福岡)のフィードを受けたDF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)が中にクロスを入れると、混戦から流れたボールに秋山が反応。しかし、相手GKにブロックされてしまい、得点に結び付けることができない。そこからはピンチを迎え、あわやという場面も。41分、カウンターからクロスを上げられダイレクトで合わせられるが、GK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)が身体を投げ出してキャッチ。その後も、クロスが上がるたびにDF鈴木準弥(スポ3=清水エスパルスユース)を中心にはじき返し、法大の攻めをしのぐ。前半終了間際、ボールを受けた秋山がゴール左隅を狙うミドルシュートを放つ。しかし、これもサイドネット。前半は0-0に終わり、勝負の行方は後半に託された。
後半、最初に決定機を迎えたのは法大。47分、CKをニアで合わせられるがこれは枠外に逸れた。ワセダはそこから徐々に落ち着きを取り戻すと、敵陣でプレーする時間が増えはじめる。すると、74分、ついに均衡を破った。途中出場の飯泉がDF木下諒(社3=JFAアカデミー福島)からのロングボールをゴール前の今来に落とす。ボールを受けた今来は、準決勝の慶大戦(○3-2)でのゴールを彷彿(ほうふつ)とさせるループシュートを沈め、先制に成功。84分には飯泉が秋山のセンタリングにダイレクトで合わせ、ダメ押しのゴール。「良いボールを出してくれたので、冷静に撃てた」(飯泉)と振り返る得点でワセダは2点という大きなリードを得る。終盤、焦りからパワープレーに出る法大に対して、球際で競り勝ち、シュートを撃たせない。この結果、2-0で完勝。最後まで集中を切らさなかったワセダに軍配が上がった。
左サイドで躍動し、アシストを記録した秋山
「90分間集中を切らさずにやれたことが無失点や決定機をつくらせなかったことにつながった」と試合を振り返る新井主将。2失点した慶大戦から守備を修正した対応力には、目を見張るものがある。今後もトーナメントの大会が続く中で、好材料と言えるだろう。この勝利で学生系の部を突破したワセダ。総理大臣杯を挟み、迎える次の相手はJFLに所属する東京武蔵野シティFC。普段戦うことのない相手だが、「強みを出し続ける」(新井主将)とやることは変わらない。『ワセダらしく』、ただ勝ちにいくのみだ。
(記事 佐藤諒 写真 桝田大暉)
スターティングイレブン
第21回東京都サッカートーナメント(第96回天皇杯東京都予選) 学生系の部 Bブロック決勝 | ||||
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早大 | 2 | 0-0 2-0 |
0 | 法大 |
【得点者】(早)74今来 84飯泉 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 後藤雅明 | スポ4 | 東京・国学院久我山 |
DF | 2 | ◎新井純平 | スポ4 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 熊本雄太 | スポ3 | 東福岡 |
DF | 5 | 鈴木準弥 | スポ3 | 清水エスパルスユース |
DF | 12 | 木下諒 | 社3 | JFAアカデミー福島 |
MF | 6 | 平澤俊輔 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
MF | 14 | 鈴木裕也 | スポ3 | 埼玉・武南 |
MF | 7 | 相馬勇紀 | スポ2 | 三菱養和SCユース |
MF | 8 | 秋山陽介 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 9 | 中山雄希 | スポ4 | 大宮アルディージャユース |
FW | →70分 | 飯泉涼矢 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
FW | 13 | 今来俊介 | 商3 | 神奈川・桐光学園 |
FW | →90分 | 西本八博 | スポ4 | 岐阜・多治見北 |
◎はゲームキャプテン 監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
コメント
DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)
――天皇杯本戦出場まであと二つとなりました。今のお気持ちをお聞かせください
まず学生代表となれたことは一つ良かったことだと思います。ここからどれだけ勝ち上がって、質、レベルの高い相手とやれるかが自分たちの成長につながるので、次の勝利に向けてやっていくだけです。
――次戦は東京武蔵野シティFCとの試合になります。どのような戦いをしていきたいですか
やることは変わらないですし、強みを出し続けること、大学生として『ワセダらしさ』を出し尽くして勝つだけです。
――拮抗(きっこう)した展開の中、終盤に2ゴールを奪うことができました
少ないチャンスになることや、厳しい試合になることを予想していた中で、どれだけ自分たちが我慢することができるのかが大事になってくるとハーフタイムに伝えました。その上での2ゴールはすごい良かったことだと思います。
――相手に大きなチャンスをつくらせなかった守備を振り返っていかがでしょうか
前回の慶大戦(◯3-2)を経て、ファーストディフェンスのつながりを意識し続けて90分間集中を切らさずにやれたことが無失点や決定機をつくらせなかったことにつながったと思います。
――この試合に関しては慶大戦の課題修正ができていたといったところでしょうか
修正し切れたというわけではないですが、入りの部分や隙をつくらない部分では集中を高く保って、身体を張った守備ができたと思います。
――勝ちパターンが増えてきましたね
最近立て続けに点を取れるようになってきたのはすごいプラスだと思います。でも、一つのチャンスをどれだけものにできるかはまだまだ追求し続けていかなきゃいけない部分だと思います。
――8月には大事な総理大臣杯が控えます。意気込みをお聞かせください
自分たちが三冠(関東大学リーグ戦、総理大臣杯、全日本大学選手権)を掲げている内の大事な一つなので、Aチームで出ているメンバーだけじゃなくて、チームの一人一人が高めていった総和が勝利につながると思うので、これから始まる合宿を含め、一つ一つ無駄にせず高めていきたいです。
FW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)
――法大は前期引き分けている相手でしたが、印象としてはいかがでしたか
試合前に法政は自分たちと同じで、人間性の部分も大事にしているということで、そこで負けてはいけないという話をしました。また、法政も他の大学と違って全部の大会のタイトル目指してやっているということで、厳しい戦いになるっていう予想をしていました。
――そんな法大に対して、チームを勝利に導く1G1Aの大活躍でした
きょう、試合前にBチームのトレーニングを見る機会があったのですが、自分たちに活力を与えてくれるようなトレーニングでした。死ぬ気で頑張ってくれていて、それをやっているにも関わらず、何もなかったような顔で試合会場に来て応援してサポートしてくれる仲間のためにも、自分が点を取って勝ちたいっていう気持ちを持っていました。自分が出たら点を取ろうって思っていた中で、1G1Aで、チームのみんなに元気や勇気を与えられたのは良かったです。
――前半、外から見ていていかがでしたか
厳しい戦いになるっていう予想から、選手たちも走るっていう部分で最大のパワーを発揮していたと思います。その中で監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)が「相手の嫌なところを突け」っていう話をしてくれて、相手の嫌なところを狙うっていうのは自分も意識して、そこで起点を作って得点できたのは、監督の指示や分析のおかげかなと思います。
――今来選手の得点シーン、飯泉選手が前線で木下選手の名前を呼んでボールを呼び込んでいましたね
ああいったかたちは練習でも意識していますし、監督からも「ああいうかたちのダイレクトプレーを意識しろ」って言われてました。自分の得意としているプレーというのは、相手に隙ができたときに、ダイレクトプレーを狙うところなので、チームとしてのやり方でもありますけど、自分としても意識している部分でした。練習でも何度かあったので、狙い通りでした。
――自身の得点シーンを振り返って
陽介(秋山)のセンタリングから得点するっていうのは練習でも何度かあったかたちでした。陽介だったり、裕也(MF鈴木裕也、スポ3=埼玉・武南)だったり、相馬(MF相馬勇紀、スポ2=三菱養和SCユース)だったりが外で持ったら、自分が中に入って合わせようという意識がありました。陽介も良いボールを出してくれたので、冷静にシュートを撃てたのは、練習の中でも意識していたので良かったと思います。
――最近FWでの起用が続いている中で、結果を残しています
自分自身FWというポジションをやるにあたって、全然苦手意識はなくて、どっちかというと伸び伸びとやれています。FWが性格上好きなポジションなので、監督もそこで使ってくれているっていうのは、自分の中でプラスな部分だと思いますし、結果を残しているっていうのは幸いかなと思います。これからも過信せずにやっていきたいです。総理杯もありますけど、どんどんレベルも上がっていくので、そういった相手にも自分がFWとして点を取ってチームを助けて勝利に導いて貢献出来たらなって思います。
――FWはやっていたことがあるのですか
小学校は1年から6年までFWで、中学校でも1年くらいまではFWでした。中学校の2年ぐらいからはチームにでかい人がいなかったっていう理由でCBをやってくれって言われてそれからずっとCBやっていました。背があるのでパワープレーになったときにはFWやらせてもらう機会があったんですけど、相手のレベルが上がってからはFWをやる機会はあんまりなかったです。チームの練習で狭いコートで試合をやることがあって、そういう中では自分で仕掛けていったり自分が起点になってチームを前に進めるっていうのは心掛けているので、FWやって違和感を感じるとかはないです。
――次戦は社会人チームとの対戦です
自分のプレーがどれだけ通じるか、楽しみです。自分を使ってくれている監督の期待に応え続けないと意味がないと思うので、もし社会人に勝ってJリーグのチームとやれることになっても自分の強みを最大限に発揮してチームを前に進められればなと思います。