早慶サッカー定期戦 展望

ア式蹴球男子

 年に一度だけ、夜の等々力がエンジとキイロに染まる日がことしもやってきた。誰しもが待ちわびる早慶サッカー定期戦(早慶サッカー)が7月6日、ついに幕を開ける。昨年まで4連覇を達成しているワセダと、これ以上の連敗は阻止したいケイオー。意地と意地とのぶつかり合いを制し、うれし涙を流すのはいったいどちらのチームになるのだろうか。

ことしもこの日がやってきた

 昨季の関東大学リーグ戦(リーグ戦)で19年ぶりの関東制覇という快挙を成し遂げたワセダ。今季も優勝に向けて再びスタートを切ったものの、まさかの9位で前期を終えた。この結果は選手たちにとってあまりにも受け入れ難い現実だった。しかし、ここでつぶれてしまうほどエンジの魂は柔なものではない。先日行われたアミノバイタルカップ2016(アミノバイタルカップ)では破竹の勢いで決勝まで駒を進める。決勝の相手は前期リーグ戦で引き分け(第7節△2-2)とした桐蔭横浜大。強い日差しの下繰り広げられた熱戦は延長戦にもつれ込み、最後はPK戦の末、敗退。惜しくも優勝は逃したが、チームの成長した姿は多くの人の目に焼き付いた。

攻守に存在感を放つDF熊本雄太(スポ3=東福岡)

 『伝統の一戦』の勝敗のカギを握るのはワセダの守備陣と言ってよいだろう。DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)が率いる最終ラインが迫り来るケイオーの攻撃をどのように跳ね返すかに注目が集まる。特に熊本は攻守ともに絶好調。圧倒的な高さを生かし、アミノバイタルカップではDFながら4ゴールをマークした。そして今回のヒーロー候補筆頭は、なんといってもFW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)だ。戦列に復帰したアミノバイタルカップでは2得点。どちらの得点もチームを救った決勝弾であった。ここぞ、というときに決めてくれるエースの帰還はワセダにとって強力な追い風となるだろう。

エースのゴールは生まれるのか

 迎え撃つケイオーは昨季の主力がことしも多く残っているため、チームとしての成熟度はかなり高い。リーグ戦は序盤こそ勝ち星を挙げることができない期間が続いたものの、徐々に自分たちのサッカーを取り戻し、調子は右肩上がりだ。前期リーグ第9節で2度もワセダのゴールネットを揺らしたFW田中健太や、ケイオーのエースであり、山内副将とGK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)のかつてのチームメイトでもあるFW山本哲平など、決定力のあるFW陣には特に要注意だ。

 選手たちの思いは三者三様だ。初めての夢の舞台に胸を躍らせる者。片や、選手として迎える最後の早慶サッカーを期待と不安の入り混じる思いで待つ者もいる。しかし、どの選手も口をそろえてこのように語る。「早慶戦は特別」。代々受け継がれてきた堅守速攻のサッカーを貫くワセダと、抜群のチームワークを武器に積極的な攻撃を仕掛けるケイオー。この2チームのうち、夜空に優勝カップを高々と掲げることが許されるのはどちらか1チームのみだ。7月6日、すべてを懸けて勝利を目指すエンジイレブンの『意地』を見逃すな。

(記事 篠原希沙、写真 桝田大暉、進藤翔太)

『夜の紺碧』を轟かせろ

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