熊本弾で勝負あり!昇格組・日体大を退ける

ア式蹴球男子

 桐蔭横浜大と並び首位で今節を迎えた早大の相手は昇格組の日体大。両チーム静かな立ち上がりとなった前半とは一転、後半は互いに攻め込む展開に。迎えた74分、左サイドからのFKにDF熊本雄太(スポ3=東福岡)が頭で合わせて先制。終盤、相手の攻勢を持ち前の堅守で跳ね返しこの1点を守り切る。少ないチャンスをものにした早大が開幕からの負けなしを維持する大きな3勝目を手にした。

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)で好調なスタートを切った早大に対し、日体大は1部のハイレベルな戦いに苦戦。第3節を終え手にした勝ち点はわずかに1のみと、対照的な両チームが合いまみえた。序盤、テンポの良いパス回しから好機を伺う日体大に対し、早大は堅実なプレーを選択。中でも1部昇格の原動力となった左サイドの攻めを封じ、相手に攻撃の自由を与えさせない。「良い対応がチームとしてできた」(DF新井純平主将、スポ4=浦和レッズユース)と振り返るように決定機を許すことなく試合は経過。前半最大のチャンスが訪れたのはアディショナルタイム2分。左からのCKを得ると、マークを振り切ったDF飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)が強烈なヘディング。しかしボールは相手GKの正面に飛んでしまいゴールならず。両チームスコアレスのまま試合はハーフタイムに突入した。

熊本が試合を動かした

 後半は勝ち点3に向け、両チームが敵陣へ攻め込むオープンな展開に。流れを変えたい日体大は66分までに交替カード3枚を使い切る大胆な勝負に出る。早めの交替策で徐々にシュート数を増やす相手に対し、早大も負けじとカウンターを繰り出すが大きな決定機をつくることができない。重苦しい雰囲気の中迎えた74分、ワセダの新たな大砲がついに火を噴いた。左サイドでFKを獲得するとMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)が絶妙なボールをPA内に送り込む。そこに待ち受けていたのは背番号3、熊本雄太。「あそこに入れば点を決められる」と練習から磨き上げた打点の高いヘディングシュートをネットに突き刺し、大きな1点がスコアボードに刻まれた。終盤、何としてでも勝ち点を得たい日体大を前に守備の時間が多くなる早大であったが熊本、飯泉を中心とするDF陣が奮闘。虎の子1点を守り切った早大が見事クリーンシートでリーグ戦3勝目をつかみとった。

勝利の喜びを分かち合う飯泉(左)と熊本

 2枚の長身センターバックを擁する今季の早大。熊本、飯泉の高さは攻守両面において重要なカギを握っている。中でも開幕から4試合目という早い段階でセットプレーから結果が出たことは今後に向けて大きな収穫となった。リーグ戦連覇、そして3冠(リーグ戦・総理大臣杯・全日本大学選手権)を目指すエンジイレブンにとって新たな強みであることは間違いない。二人の更なる成長がいまから楽しみだ。

(記事 桝田大暉、写真 稲満美也、橘高安津子)

スターティングメンバー

関東大学リーグ戦第4節
早大 0-0
1-0
日体大
【得点者】(早)74 熊本
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 平澤俊輔 スポ4 JFAアカデミー福島
MF 11 小林大地 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 13 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
→HT 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW 17 岡田優希 スポ2 川崎フロンターレU-18
→86min. 18 柳沢拓弥 社3 清水エスパルスユース
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
桐蔭横浜大 10 +4
早大 10 +4
明大 +3
順大 +1
法大 +2
駒大 +2
筑波大 -1
国士舘大 -1
専大 -2
10 流通経大 -3
11 慶大 -4
12 日体大 -5
※第4節終了時点※下位2チームは2部上位2チームと自動入れ替え
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――1-0という結果でした。試合を振り返っていかがでしょうか

ギリギリな試合を勝てたのは大きかったと思います。「セットプレーで決めたいね」と言っていた中でクマ(熊本)がああいったかたちで決めてくれたのは成長できた部分じゃないかなと思います。

――2部を圧倒的な力で勝ち上がり、左サイドを強みとする日体大に対してどのような守備を意識しましたか

一対一の部分を意識していました。相手の左サイドが本当に脅威であるし、2部の時はそこのサイドの力で得点を取っていたのを知っていたので、サイドでやらせなければ自分たちがやられることはないという重みをもって準備をしてきました。何回かクロスを上げれるシーンはありましたけど、良い対応がチームとしてできたと思います。

――手応えはいかがでしたか

封じ込めたまではいかないですけど、優位に(ボールを)持たれることはそんなになかったです。でも勝負をさせてしまう状況は多くあったので、自分たちに求める基準は高めて、クロスを上げさせない距離感であったりサイドをやらせない気持ちをもっともっていかないといけないかなと感じます。

――今季の強みであるセットプレーから得点できたのは大きなことだったのではないでしょうか

セットプレーの練習をやっている中でこだわり持って岸浪(GK岸浪卓志副将、社4=東京・早実)や後藤(GK後藤雅明、スポ4=東京・国学院久我山)を中心にやっているので大きな成果だと思います。涼矢(飯泉)のヘディングの場面もありましたし、得点に結び付ける力が今後の1点勝負の試合で大きなウェイトを占めてくると思うのでもっと磨き続けていかないとなと思います。

――次戦の相手となる法大の印象はいかがでしょうか

法政は島原遠征の決勝で勝ったこともあり、自分たちに対してエネルギーをもってやっくることは間違いないし、昨年の最終節(◯2-1)で法政相手に優勝を決めたので相手からしたらこっちに悔しいという思いを持っていると思います。法政のエネルギーを上回るほどのものを来週1週間でつくっていかなきゃいけないです。そういった部分で脅威になってくると思います。

――抱負をお願いします

自分たちには勝ち続けるしかないし、負けも引き分けも許されないのは変わらないので次節に向けてこの1週間で準備して、必ず勝てるようやっていきたいです。

DF飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)

――1-0で勝利を挙げました。試合を振り返っていかがですか

チームの中で、前節(国士館大戦、△1-1)の引き分けの後の試合が大事だと思っていて。きょねんを振り返ってみると2節(桐蔭横浜大戦、△1ー1)で引き分けてから6戦勝ちなしだったので、きょうの試合で何としても勝たなきゃいけないという雰囲気でやっていました。

――日体大に対して、DF陣はどのような準備をしていましたか

相手は組み立てがうまいチームなので、それに対して今週1週間は横のつながりを意識して、センターバックとセンターバックの間だったり、サイドバックとセンターバックの間を意識して練習していたんですけど、練習中も課題がいくつか見つかったので、それを修正しながら臨めた試合だったと思います。

――ことしのチームの強みであるセットプレーから得点が生まれましたが

前半に1個チャンスがあって、自分がそれを外しちゃったんですけど、その分クマ(熊本)が点を決めてくれたので、よかったという思いと共に、同じセンターバックで高さを持ち味にして争っている中で、先にクマが点を決めたのは悔しいというか、ちょっと嫉妬があります(笑)。

――お話にもありましたが、前半終了間際には飯泉選手自身とても惜しい場面がありました。振り返っていかがですか

CKで最高のボールが上がってたので、あとは決めるだけってところで。自分の中でもあの合わせ方は自分の流れ、自分の球だと思って良いかたちでヘディングできたんですけど、キーパーに止められて悔しかったです。

――終盤の相手の猛攻をしのぎ切ったことについては、どう評価していますか

ワセダの強みである粘り強さや守備の堅さはぶらしちゃいけないところだし、先輩たちが伝統としてやってきているところでもあるので、自分たちも自信を持って、あそこでやられたら意味ないなと思って、集中してできました。

――最後に次戦への意気込みをお願いします

法政大はきょう2-0で国士館大に勝っているので、自分たちは前節、国士館大に引き分けたというのもありますし、法大には負けちゃいけないという思いがあるので、桐蔭横浜大の結果がどうなるか分かりませんけど、連勝して、単独首位に立てるように頑張りたいと思います。

MF今来俊介(商3=神奈川・桐光学園)

――前半のみの出場でしたが

元々ケガをしていたのですが、その中でも自分のできる最大限のことをやろうと思って臨みました。

――ご自身の強みでもある走力については、この試合の中で発揮できましたか

自分の強みは相手より走り勝つことであったり、相手の動きを予測するということなので、そういう部分を前半も意識してプレーしたので出せたと思います。

――前半はピッチ内でも「点を取りにいこう」という声が上がっていましたが、攻撃に関してはいかがでしたか

数少ないチャンスをものにできなかったというのは課題だと思います。前半のうちに得点していたら後半もっと楽な戦い方ができたと思うので、そういうところは次の試合までに高めていきたいと思います。

――相手の強みである左サイドの選手と実際に対峙(たいじ)してみて、どのような印象でしたか

相手の左サイドバックの選手がとても能力が高くて、結構アプローチにいかないと早い段階でクロスを上げるというのを分かっていたので、右サイドバックの純平くん(新井主将)とどんどん前にプレッシャーをかけにいこうという話をしていました。相手のサイドバックが中に絞ってくるのを警戒するというのもあったのですが、それよりも相手のサイドバックにもっと高い位置からプレッシャーをかけにいこうというのを試合前に話していたので、そういった意味でも前半は相手にアーリークロスとかを上げさせないようによくプレッシャーをかけられたと思います。

――後半は外から見ていてどのような印象でしたか

自分と代わって出た相馬が一対一で勝負できる選手なので、そういったところで自分が前半に相手の体力を減らして、後半は相馬のところから得点が生まれればなと思っていました。実際に得点はFKからでしたけど、相馬のところから得点が生まれたというのは自分としても前半がんばって良かったなと思います。

――これまでのリーグ戦を通して手応えや課題など感じる部分はありますか

自分は前半か後半の頭くらいまでしか出場時間がなくて、まだ得点というかたちでチームに貢献できた試合が一度もないので、少ない時間の中でもチャンスをものにできるようにしたいです。

――最後に次節の法大戦へ向けて意気込みをお願いします

法大とは3月に試合をして勝ちましたし、個人的にはそれがリーグ戦のリアリティが得られた試合だったので、またその関東という舞台でもまた同じ相手に勝てるように一週間高めていきたいと思います。

DF熊本雄太(スポ3=東福岡)

――きょうは日体大との対戦ということで、あまりデータのないチームとの戦いでした

2部からことし昇格してきたチームで難しいゲームになるっていうのは試合前から分かっていて、どちらが先に点を取るかで試合が決まると思っていたので、点を取ることができて良かったです。

――前節からきょうまでどういった準備をしてきたのでしょうか

前節引き分け(国士舘大戦、△1-1)で終わったんですけど、チーム全体として開幕3連勝できなかった危機感を持って今週やれたことが結果につながったかなと思います。

――パスを回してくるチームでしたが、DFとしてどう対処しようと心掛けましたか

パス回す相手でも蹴ってくる相手でも、自分たちからプレッシャーにいって、相手のボールを奪ってゴールに早く迫るっていうのをコンセプトにやっているので、相手が回してこようが何しようが自分たちのやることは変えずにやろうと思っていました。

――ゴールシーンを振り返って

相馬が練習中から良いクロスを上げていたので、あそこに入れば点を決められるかなって思ってあそこに入りました。

――リーグ戦初ゴールということですが

1年生のときは外から見ることが多かったんですけど、先輩たちがゴール決めて喜んでいるのを見て自分も羨ましく思っていましたし、自分が試合に出たらやってやろうって思っていたので良かったと思います。

――とてもうれしそうでしたね

めっちゃうれしかったです(笑)。

――開幕戦から、セットプレーを強みとして意識していたと思うのですが、ここに来てついに結果が出ましたね

きょねんにはない高さがことしはあって、飯泉と僕が点を取ろうって考えてやっていて、きょうこそは点を取ってやると言っていたので、1点でしたけどうれしかったです。

――終盤、日体大の猛攻を受けて危うい場面もありました

そこが自分たちの課題であって、押し込まれたときにどう対応するかであったり、開幕のときから一緒で、勝っているときにこそ自分たちの強みを発揮するっていうのがまだまだできていないので、それは来週に向けての修正点かなと思います。

――第4節を終えて、依然上位を走っています

3節目に引き分けに終わってチームとしての危機感が生まれて、開幕3連勝できなかったっていう事実を受け止めて、今週1週間取り組めたことが今の順位につながっているのかなと思います。

――次節に向けて意気込みをお願いします

いま負けなしで来ていて、上位ということもあるんですけど、そういったプレッシャーもはねのけて来週も勝てるように、今週1週間がんばっていきたいと思います。