3人の『ユウキ』で決めた!接戦制し、開幕2連勝

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)は第2節が行われ、連勝を目指す早大は順大と対戦した。18分にFW岡田優希(スポ2=川崎フロンターレU-18)が鮮やかなループシュートをゴール右に沈め、先制に成功した早大。しかし、その6分後に同点弾を許すと、攻守の切り替えが早い順大に主導権を握られ、苦しい展開を強いられた。後半もなかなか打開策を見出せず、試合は膠着(こうちゃく)状態に。それでも69分、力強いドリブルで相手を抜き去ったMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)からのパスを受けたFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)が、見事な反転からゴールを決め、再びリード。その後はDF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)を中心に、全員で体を張って守り抜いた早大が持ち前の組織力と勝負強さで薄氷の勝利をつかみ取り、開幕2連勝を飾った。

 開幕節で快勝(流通経大戦、○2-0)を収めたエンジイレブン。この日は序盤から自陣に押し込まれる時間帯が続き、得意とする高い位置からのプレッシングがなかなか機能しない。しかし18分、岡田がセンターサークル付近からドリブルで中央を突破し、ボックス内に侵入すると、「落ち着いてキーパーを見ることができた」と振り返る見事なループシュートを左足で決め、チームに待望の先制点をもたらした。なんとか先手を取った早大だったが、その6分後、順大に右サイドを連携で崩され、同点ゴールを許してしまう。「切り替えの部分に緩さがあった」(新井主将)と振り返るように、その後も出足の速さとインテンシティで上回る相手に、優位に試合を進められてしまう。前半に早大が放ったシュートは岡田の一本のみと、攻撃面でも振るわず。後半に向けて不安を抱えた状態でハーフタイムを迎えた。

リーグ戦初ゴールを決めた岡田

 「もう一度自分たちの強みに立ち返ろう」(新井主将)。キャプテンがロッカールームでハッパを掛け、迎えた後半。早大はコンパクトに陣形を保ち、徐々に本来の姿を取り戻し始める。57分には流れを引き寄せるべく、突破力とスピードが武器の相馬を投入。すると69分、その相馬が起点となり、ついに勝ち越しに成功する。相馬が右サイドからドリブルでカットインし、ボックス内の中山に楔(くさび)を入れると、DFを背負いながらパスを受けた中山は、素早いターンで相手を振り切り、2試合連続となるゴールを左隅に流し込んだ。その後は高い集中力と、圧倒的な運動量でゴールを死守。3人の『ユウキ』が得点機を演出した早大が、苦しみながらも勝ち点3をもぎ取った。

2戦3発、中山が絶好調だ

 序盤から自分たちのかたちに持ち込めず、苦しんだ早大。それだけにこの勝利は単なる勝ち点3以上の価値があるといえるだろう。特にゲーム終盤まで尽きない集中力とスタミナは、圧巻の一言だった。しかし、相手に攻略されかけていたこともまた事実。「きょうの前半のような戦いをしていたら、いつか必ず負ける」(中山)と、エンジイレブンは勝ってかぶとの緒を締めた。次なる相手は、昨季の全日本大学選手権(インカレ)で苦杯をなめさせられた国士館大。次節は雪辱を期し、これまで以上に熱のこもった戦いを披露してくれるはずだ。

(記事 栗村智弘、写真 篠原希沙、佐藤諒)

スターティングメンバー

関東大学リーグ戦第2節
早大 1-1
1-0
順大
【得点者】(早)18 岡田,69 中山 (順)24 浮田
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 平澤俊輔 スポ4 JFAアカデミー福島
MF 11 小林大地 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 13 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
→57min. 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW 17 岡田優希 スポ2 川崎フロンターレU-18
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 +4
早大 +3
桐蔭横浜大 +3
駒大 +2
国士舘大 +1
法大 +1
順大
専大 -1
筑波大 -1
10 流通経大 -4
10 慶大 -4
12 日体大 -4
※第2節終了時点※下位2チームは2部上位2チームと自動入れ替え
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――苦しい試合でした。いまのお気持ちをお聞かせください

昨年はこの2試合目から勝てない時期があった中で、その悔しさをきょうの試合に出そうとやってきました。なので素直に勝ててうれしいです。

――お話にもありましたが、昨年の経験を経て、試合前どのようなことを話しましたか

自分たちが優勝するためには昨年を超えなきゃいけないということや、ここで勝てなければ次はないと。今季三冠を目指している中でインカレや総理大臣杯のことを考えると、ここで連勝しなければその目標達成までは届かないという話をしました。きょう必ず勝たなきゃいけないと言っていたので、リアリティのある良い試合ができて良かったです。

――前半はプレッシングをかわされ、守備からリズムをつくることができませんでしたが

先制点を取れたのは良かったことなんですが、その後の守備で自分たちが大事にしている切り替えの部分に緩さがありました。前半を通じて押し込まれるシーンが多かったと思うので、そこの部分は見直していかなきゃいけないと思います。常に意識している入りの部分が身に染み込んでないからこそきょうのような立ち上がりになったと思うので、もっと徹底してやっていかないといけないと思います。

――順大によく研究されているなという印象を受けましたがプレーしていていかがでしたか

そうですね。なかなか隙がないというか、試合を通して自分たちにとって良い状況をつくれなかったというのを感じました。このリーグ戦では研究されることは当たり前なので、個で打開したり、チームでどれだけ得点を奪いにいけるかが大事になってくると思います。研究された中でもやり方を変えないということや、自分たちがより積み重ねていかないと勝つことはできないと思っています。自分たちにはまだ甘さがあるので、次の試合に向けて積み上げていくだけです。

――同点で折り返し、ハーフタイムにはどのような話をしましたか

追い付かれた後にチームが後ろ向きというか、顔が下がってしまって前向きな声が出ていないというのを感じていたので、もう一回ワセダの強みに立ち返らないと絶対に勝てないと自分から伝えました。勝つためにやらなきゃいけないことが前半は薄れていたので、特別なことを言ったわけではないですが、当たり前のことを徹底するよう声を掛けました。

――投入から流れを変えた相馬選手のプレーはいかがでしたか

あいつ自身も悩みながらやっている中で、途中から入って流れを変えるという素晴らしい役割を果たしてくれました。彼が入ってきたことは大きかったし、きょうの相馬のプレーはチームとしても流れが変わる良いきっかけになったと思います。

――勝ち越した後に「守りに入るな」とゲキを飛ばしていましたが

チームが勝っていてもやり方を変えてはいけないと思ってますし、守りに入ったら相手に押し込まれてやられると感じました。勝ってる中でも強みであるボールを奪いにいくこと、ゴールを守るという本質を追求し続けることが大事になってきます。勝っている時間はどこかに気の緩みや守りに入ってしまう部分があるので、そこをピッチの中で伝え続けました。

――苦しい内容でも勝ち切ったという試合でしたが、きょうの課題はなんでしょうか

入りの部分や失点した後が明らかに自分たちの課題と感じていて、メンタルが落ちてしまったのもあります。相手にバイタルエリアを使われてしまったり、切り替えが遅くて相手を自由にさせたところがあります。攻撃でもアクションが一人の選手のみに終わっていて、周りが出ていくことが足りないのが課題として明らかになったと思います。

――昨年のインカレのリベンジマッチとなる次節 国士館大戦に向けて意気込みをお願いします

国士館大には悔しい思いしかしてないし、昨年のインカレのシーンしか思い浮かばないぐらいの悔しさがあるので、それを全面に出したいです。あしたから勝負は始まると思いますし、そこで悔しさを出していかないと次の勝利はないと思うので、しっかり締めてやっていきたいと思います。

FW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)

――得点シーン振り返っていかがですか

自分自身、得点を決めるまではFWとして全くと言っていいほど仕事ができてなかったので、ああいうふうに相馬が自分で仕掛けてくれて、あそこにパスしてくれるって信じてたところに本当にパスがきて、あとは流し込むだけだったので、決めれてよかったです。

――2試合連続のゴールとなりましたが

2試合連続っていうのは何も意識してません。FWとして毎試合点を決めることは当たり前のことですし、これからも点を決めることが自分の責任であり使命であると思っているので、今回こうやって結果を出せたことは嬉しく思います。

――特に前半、前線からのプレスがかわされる場面が多かったように思いますが

前半に関しては全くと言っていいほどFWのところで守備のスイッチを入れることができず、自分たちのペースにもっていけなかったので、きょうに関してはもっともっと突き詰めていかないといけないと思いました。きょうの前半のような戦いぶりではいつか必ず負けるし、目標達成っていうものはできないと思っているので、そういったことにしっかり取り組んでいきたいと思います。

――ハーフタイムはチーム内でどのようなことを話し合いましたか

このままじゃ何の意味もない、自分たちは挑戦していかないと勝てないチームだっていうのをみんなの中で話し合いました。もう一度原点というか、立ち上がりのところから自分たちの強みとかそういうのを再認識して、そういった中で後半入れたのは良かったかなと思います。

――攻撃の面で、ゴールまで持ち込めない部分も多々ありましたが

きょうに関しては本当にシュートをほとんど打ってないですし、チャンスをつくることもなかなかできませんでした。きょうのような試合で、自分で打開できる力がないと、この先もっとレベルの高い相手と対戦したときに何もできないっていう状況が生まれてくると思うので、あしたからそういった部分を突き詰めて、自分自身成長できるように高めていきたいなと思っています。

――次戦は国士館大戦ということで、リベンジにもなると思いますが、意気込みお願いします

きょねんのインカレの国士館大戦は、自分自身右膝を手術して、スタンドで見ていたんですが、本当に悔しい思いをしました。1-4で惨敗した相手に二度と負けたくないと思っているので、また自分も結果を出してチームを勝利に導けるようにやっていきたいと思っています。

FW岡田優希(スポ2=川崎フロンターレU−18)

——きょうの試合はいかがでしたか

前半と後半で戦い方が対照的で、ハーフタイムを挟んで自分たちの強みを出そうと意思統一できたからこそ、後半は勢いのある戦い方ができたと思いますし、あれを前半から自分たちでやっていかないといけないなと思いました。

——先制ゴールの場面を振り返っていかがですか

思い切って仕掛けていって、最後は落ち着いてキーパーを見ることができましたね。自分としてもリーグ戦初ゴールだったので、少しホッとしました。

——ループシュートを判断した瞬間については

瞬間的にアイディアが生まれたのと、足首にテーピングを巻いていたことで逆にああいうかたちでしか打てなかったというか、そういうことが重なってのゴールでしたね。ゴール前でのイメージというのは、自分が得意にしていることでもありますし、きょうはそういう場面を増やせたことに関して、一歩前進できたかなと思います。

——リーグ戦初ゴールはやはり特別な喜びがあるのでは

ヒロくん(FW山内寛史副将、商4=東京・国学院久我山)から「きょう点を取れなかったら、当分取れないよ」とハッパを掛けられていて。ただ、自分としては気負うことなく自然体で試合に臨むようにしていますし、だからこそああいうシュートが打てたと思うので、それが結果につながったことに対してホッとしています。

——ハーフタイムには古賀聡監督からどういった指示があったのでしょうか

(監督からの)指示というか、選手たちの間でもう一度自分たちの強みを出そうという声が出てきて、ワセダらしさを出そうという意識を持つことができました

——2トップを組む中山選手との連携に関しては

雄希くんが裏に抜けたり、前で競ったりというところのサポートを自分としてはしていこうと思っていますし、連携も徐々にできるようになっていると思います。

——90分間あれだけ全員が走りきれるというのは、やはりオフのトレーニングの効果と言えるのでしょうか

トレーニングと言っても量はそんなに走っていなくて、それよりもワセダだからということの方が大きいと思います。それを常に求められていますし、そのベースがあって、基準が他大よりも高いというのが違うところだと思います。その中で自分も持久力には自信がありますし、その分もっとスプリントも増やしていかなければいけないと思っています。

——次節への意気込みをお願いします

昨季のインカレで負けたのはやはり屈辱的でしたし、きょうの後半見せたようなアグレッシブなサッカーを見せれるように、そしてそのスイッチとなれるようなプレーを次節は心がけたいと思います。

MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)

――前半にベンチから見たチームの印象はいかがでしたか

相手は順大でパス回しが上手いチームだったので、うちのチームの持ち味である前からボールを奪いにいくという得意な部分があまり通用していない印象でした。

――ピッチにに入るときどのような指示を受けましたか

いつもと同じで、流れを変えて守備はこまめにやりながら今回入ったときは同点だったので、攻撃に関わっていくようにやりました。

――ドリブルでチャンスメイクができている印象でした

自分去年の10月末に第五中足骨を骨折してあまりコンディションが良くなかったのですが、最近やっとドリブルのキレやスピードもだんだん上がってきて良くなってきていると思います。

――ドリブルから決勝点につながるパスがありました

客観的に見てもあのプレーは良いプレーだと思っています。最近自分のスピードで勝負をするプレーから、相手が嫌がるプレーを意識してやっていて、あれも相手が準備ができないうちに早くドリブルで侵入して相手が準備できないようにということを意識してやったら、得点につながって良かったと思います。

――次は国士舘大戦ですがどのように戦っていきたいですか

国士舘にはデンソーチャレンジカップという選抜の大会でやった仲間がたくさんいて、相手は自分たちのチームと似ているところがあってそこを強みにしているチームなので、絶対個人個人が打ち勝っていきたいです。得点をまだリーグ戦でできていないので、次はアシストだけでなくゴールも取れるように狙っていきたいと思います。