試合終了を告げる笛が高らかに鳴り響く。ピッチにこだまする歓喜の雄叫び。エンジ色に染まる大観衆のスタンドが揺れた時、DF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)の瞳には一筋の涙が光り輝いた。誰しもが待ち望んだこの一瞬。ア式蹴球部19年ぶり26度目の関東制覇。幾多の激戦を乗り越え、大学サッカーの名門・ワセダはついに『理想の王座』へとたどり着いた。
またしても山内が勝負を決めた
並み居る強豪を打ち破り、突き進んできた険しい道のり。立ちはだかる最後の敵はオレンジの雄・法大。激動の今季を締めくくる運命の90分間が幕を開ける。開始直後から攻め込みCKのチャンスを得るワセダ。しかし、ここを難なく防がれると試合の主導権は相手へと移ってしまう。高い位置に張り出す両翼のウイングバックを起点に細かくパスをつないでいく法大。ワセダはボールの取りどころを定められず後手に回ってしまう。攻撃においても、相手の徹底したマーキングが2トップのFW山内寛史(商3=東京・国学院久我山)、FW宮本拓弥(スポ4=千葉・流通経大柏)を苦しめる。しかしこの状況下でもリーグ最少失点を誇る守備陣は決して動じなかった。「じれることなく耐え続ければチャンスはくる」(DF新井純平、スポ3=浦和レッズユース)。シュートこそ許すものの大きな決定機は与えず、試合は0-0のままハーフタイムに突入する。
迎えた後半、下がり気味だったディフェンスラインを上げ中盤との距離をコンパクトにすると、ワセダは高い位置でボールを奪えるようになる。すると、ここまで沈黙していた攻撃陣がせきを切ったような勢いで相手陣地へと襲い掛かる。51分、スローインの流れから山内がクロスを上げ、走り込んだMF小林大地(スポ3=千葉・流通経大柏)が右足で合わせる。試合が動いたのはその直後だった。53分、左サイドで宮本がボールを受けると追い越してきた山内へ絶妙なヒールパスを通す。最高のお膳立てを受けた背番号10が右足を振り抜くと、狙い澄まされたシュートがネット右隅に突き刺さった。その4分後にはまたしても山内。今季出色の活躍を見せてきたエースがこの大一番でも輝きを放ち、大きな2点がスコアボードに刻まれる。全日本大学選手権(インカレ)出場に向け、後がなくなった法大は長身の選手を前線に送り込みパワープレーを選択。対するワセダも競り合いに強いMF大丸瞬(教4=東京・早実)を投入し、付け入る隙を与えない。「やり続けろ!」金澤主将の声が最後までチームを鼓舞する。アディショナルタイム、法大が執念のゴールで1点を返すも反撃はここまで。主審が長い笛を響かせた時、それはエンジイレブンが19年の歳月を経てついに真の『WASEDA THE 1st』となった瞬間だった。
胴上げされる金澤主将
この19年の道のりは決して平坦ではなかった。史上初の2部降格を経験し、東京都リーグに落ちるまで低迷した時期もあった。今季も一時は最下位に沈み、まさにどん底からはい上がってきた。「最下位があったからこそ危機感を持ち続けて目標がぶれずに戦い続けられた」(金澤主将)。このタイトルはア式蹴球部に関わる全ての人たちが紡いできた誉れ高き栄冠である。しかし、これは終着点ではなく一つの通過点でしかない。ア式蹴球部の飽くなき挑戦はこれからも続いていくのだ。次に目指すのは日本一の称号。いったいどんな高みをわたしたちに見せてくれるのだろうか――。理想の王座を占むる者よ、いざ突き進め、どこまでも。
(記事 桝田大暉、写真 大森葵、松本理沙)
スターティングメンバー
表彰式後の選手たち
★ワセダから5人がベストイレブンに!
4月に始まった第89回関東大学リーグ戦もこの日で閉幕。全試合終了後には閉会式が行われ、本リーグ戦のベストイレブンが発表された。ワセダからはなんと5人が選出される。リーグ最少失点に貢献した金澤主将、奥山副将、後藤に加え、ケガで途中離脱を余儀なくされたがチームの快進撃を支えたMF堀田稜(商4=浦和レッズユース)とエースストライカーの山内だ。さらに奥山副将は最多出場賞を、金澤主将は大会MVPをそれぞれ受賞した。
1部リーグベストイレブン
関東大学リーグ戦第22節 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 2 | 0-0 2-1 |
1 | 法大 |
【得点者】(早)53、57山内 (法)90+1玉田 |
早大メンバー | ||||
---|---|---|---|---|
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 後藤雅明 | スポ3 | 東京・国学院久我山 |
DF | 2 | 新井純平 | スポ3 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 奥山政幸 | スポ4 | 名古屋グランパスU-18 |
DF | ◎4 | 金澤拓真 | スポ4 | 横浜F・マリノスユース |
DF | 12 | 八角大智 | 社4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 6 | 平澤俊輔 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
MF | 14 | 小林大地 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 | MF | 7 | 田中太郎 | 商4 | 静岡・藤枝東 | MF | →80分 | 大丸瞬 | 教4 | 東京・早実 |
MF | 15 | 秋山陽介 | スポ2 | 千葉・流通経大柏 |
MF | →74分 | 鈴木裕也 | スポ2 | 埼玉・武南 |
FW | 9 | 宮本拓弥 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 10 | 山内寛史 | 商3 | 東京・国学院久我山 |
◎はゲームキャプテン 監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 早大 | 44 | 22 | 13 | 5 | 4 | 27 | 19 | 8 |
2 | 明大 | 43 | 22 | 13 | 4 | 5 | 38 | 24 | 14 |
3 | 慶大 | 37 | 22 | 10 | 7 | 5 | 40 | 25 | 15 |
4 | 流通経大 | 36 | 22 | 10 | 6 | 6 | 28 | 21 | 7 |
5 | 国士舘大 | 33 | 22 | 10 | 3 | 9 | 45 | 29 | 16 |
6 | 順大 | 31 | 22 | 8 | 7 | 7 | 32 | 32 | -0 |
7 | 法大 | 30 | 22 | 9 | 3 | 10 | 29 | 30 | -1 |
8 | 専大 | 26 | 22 | 6 | 8 | 8 | 26 | 23 | 3 |
9 | 桐蔭横浜大 | 25 | 22 | 7 | 4 | 11 | 32 | 47 | -15 |
10 | 駒大 | 23 | 22 | 7 | 2 | 13 | 25 | 40 | -15 |
11 | 神奈川大 | 22 | 22 | 4 | 10 | 8 | 18 | 27 | -9 |
12 | 中大 | 15 | 22 | 4 | 3 | 15 | 28 | 51 | -23 |
※第22節終了時点 ※上位5校は全日本大学選手権の出場権獲得 ※順大は北信越大学リーグ2位・金沢星稜大とプレーオフ ※神奈川大、中大は関東大学リーグ戦2部に自動降格 |
コメント
DF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)
――おめでとうございます!いまの感想をお願いします!
このためだけに1年間やってきたので、率直にうれしい気持ちや安堵(あんど)の気持ち、また部員一人一人がそこに向き合い続けてくれたので、部員のみんなに感謝の気持ちでいっぱいです。
――試合終了の笛が鳴った瞬間は
また泣いちゃったんですよね(笑)。政幸(DF奥山副将、スポ4=名古屋グランパスU-18)と抱き合って喜びを分かち合った瞬間に涙があふれてきましたし、政幸とは特にお互い助け合いながら刺激を与え合いながらチームのことを考えてやってきたので、その抱き合った瞬間は純粋にうれしかったです。
――そのCBコンビでベストイレブンにも選出されましたが、こちらについてはいかがですか
純粋にうれしいですし、後藤(GK雅明、スポ3=東京・国学院久我山)も含めて守備のセンターラインが選ばれたのはチームの失点数が少なかったこともあるのかなと思っていて。でもその面に関しては、チームとして守備に重きを置いてFWも中盤の選手も全員が守備に向き合って労を惜しまずやってくれた結果だと思っているので、ワセダの良さが出た1年間だと思います。それが個人として表彰されたことも誇りに思います。
――きのうの夜はしっかりと眠れましたか
結構眠かったのでしっかりと寝れました(笑)。
――緊張などはされていましたか
自分で気持ちを高めすぎると、試合始まってすぐ足をつっちゃうんですよね。関東大学リーグ戦(リーグ戦)もそうですし、定期戦(早慶サッカー定期戦)もそうですし、モチベーションを上げすぎると空回りしちゃうので、どちらかと言うと落ち着かせたりとか、試合のことを考えないようにして臨みました。
――前半はセカンドボールを拾いきれず、中盤を生かし切れなかった印象もありますが
法大の良さがずっと出ていた前半だったかなと。あれだけボールを持たれて、自分たちが能動的にプレッシャーを掛けることができなかったというのが全てだと思います。なかなか厳しい試合になるとは思っていましたが、一つ守備の現状を知らされた前半だと思いますし、ああいう相手に対してどれだけ自分たちからプレッシャーを掛けてボールを奪えるかっていうのはもっと突き詰めなくてはいけないと思います。インカレ(全日本大学選手権)で優勝するなら、守備で奪う力を高めていかないといけないかなと思います、
――ただ後半はワセダらしさを取り戻した印象ですが
前半のラスト10分くらいから自分たちでポジション修正をして、受け身じゃなくて能動的にプレッシャーを掛けたことでボールを奪える場面が増えて、相手のミスにつながる場面が増えました。そこからハーフタイムでもう一度自分たちから圧を掛けること、勝つためには得点が必要なので素早くゴールに向かってプレーをしていこう、と話した中でしっかりとそこに向き合って一人一人が決断をしてくれたからこそ、少しずつですが流れが傾いて得点につながったのかなと思います。
――4月から始まったこのリーグ戦を振り返っていかがですか
本当に激動だったなと。これだけ順位の変動が大きいリーグ戦はなかったですし、最下位があったからこそ危機感を持ち続けて目標がぶれずに戦い続けられたと思います。それだけ上も下も経験できたことは下級生にとっても大きいと思うので、なんで自分たちが最下位にいて、逆に何が変わって優勝できたのかとか、伝えられたもの、残せたものが大きかったリーグ戦の1年間だったかなと思います。
――金澤選手自身、ことし1年を通して『表現する』という言葉をよく使われていた印象ですが、この『表現する』ということが金澤選手にとって大切だったのですか
ことし自分が主将になってチームに求めたいと思っていたのは、個性を発揮すること、個性を表現することでした。組織としてのサッカーもそうですけど、組織としての色がはっきりしている中で、じゃあどれだけ個々人の考えや意思があってやっている行動なのかなというところで疑問があって。そこで一人一人が考えて、自分の意思で自分の個性を表現することをずっと求めて、考えてやってきたので、そういった意味ではそうした言葉が出てきたのは自分の中で念頭にあったからなのかなと思います。本当にそれがなくてはいけないというのをこのリーグ戦で感じましたし、自分はもっとそれぞれの思いや考えを具体的にして表現できるんじゃないかなと思っている面もあるので、インカレに向けてまた伝えていきたいです。
――共にこのリーグ戦を戦い抜いた仲間に一言お願いします
苦しい時もうれしい時も常に目標に対して真剣に向き合って戦ってくれたから、こうした結果になったと思いますし、間違いなく仲間の支えがあったから、仲間一人一人が戦ってくれたから得られた優勝だと思います。本当に感謝の思いしかなくて、ありがとう、と伝えたいです。
――応援してくださった方々へ一言お願いします
自分たちの組織は支えてくださる方がいて初めて成り立つ組織だと思っています。そういった方へ優勝という結果をもたらすことができてうれしいですし、感謝の気持ちや自分たちが思っていることを継続して結果で示していきたいと思います。
――終わってすぐではありますが、インカレへの意気込みをお願いします
まだまだ自分自身も表現しなくてはいけないと思いますし、チームとしても結果を残さなくてはいけないと思います。こうした結果を残せたことはもちろん良いことですが、ここから慢心や油断を無いように、ここから3週間厳しい環境をつくってもう一度『1st』になれるように、優勝できるようにやっていきたいと思います。
DF奥山政幸副将(スポ4=名古屋グランパスU-18)
――関東大学リーグ戦(リーグ戦)優勝おめでとうございます。振り返って
ありがとうございます。きょうも厳しい試合でしたし、リーグ戦を振り返ってみてもそういう試合ばかりでした。毎試合、集中を切らさない試合でしたがそういった接戦を制してしっかり優勝できたというのはうれしいです。多くの方の期待に応えられたことは素直にうれしいです。
――試合後にチームでなにか話されましたか
拓真(DF金澤主将、スポ4=横浜F・マリノスユース)が話してくれたのですが、リーグ戦優勝は単純にうれしいですけど、まだインカレがあります。日本一という座を決める舞台なので、そこで勝って日本一になろうという話がありました。
――ワセダは勝つことでしか優勝への道がありませんでした。試合前の気持ちは
緊張と楽しみの半々の気持ちでした。どこか不安もありましたし、メンバー外の選手も声を掛けてくれて自信になりました。自分たちならやれるというのを後押ししてくれたので試合開始の時には自信に満ちてプレーすることができました。
――試合前半は法大に主導権を握られていましたが
90%くらいボールを持たれている印象でした。自分たちの攻撃というのがなかなか繰り出せずにいましたが、その前半を無失点で終えたことは大きいことだと思います。ハーフタイムに入ってみんなで相手も走っているから、後半なら自分たちが走り勝てるという気持ちがあったので前半押し込まれたなかでも粘り強く待てたことが大きかったと思います。
――中盤がつぶされている印象でしたが、その中でどんな攻撃を考えたか
自分たちとしては高い位置でボールを奪いたいということで今週に合わせて調整してきたのですが、思った以上に相手選手が引いた位置をとってきたので、CBである自分がその選手を突き切れずに中盤での猶予(ゆうよ)を与えてしまったと感じていました。攻め手としては奪ってから早く、ロングパス一本でというかたちでしかなかったと思うのですが、それも精度が伴わずになかなか攻撃の糸口がつかめずにいました。
――後半は相手のDFを逆手に取ったような攻撃でした。ハーフタイムに戦略など話されたりしましたか
自分たちCBのところがラインを高くしないとボランチも前掛かりになれませんし、逆に自分たちが引いてしまってボールを奪ったとしてもボランチが低い位置でボールを受けてしまうので、FWが遠くなって相手の思うつぼだよね。という話をしていたのでなるべく自分たちが下がらないように、前向きに守備ができるようにと後半に臨みました。
――後半の立ち上がりに2得点とFW山内寛史(商3=東京・国学院久我山)選手がやってくれました。
ことし1のエースとして活躍してくれたと思います。なかなかゴールを取れない時期もありましたが、その中でも集中してエースとしての自覚を持って取り組んでくれていたと思います。もちろんFW宮本(拓弥、スポ4=千葉・流通経大柏)との2トップがワセダの強みとしてあったと思うので、その2人にはリーグ戦通じてチームを引っ張ってもらったと思います。
――後半ロスタイム1分での失点でした。振り返って
単純に自分のカバーが遅れてしまったと思います。拓真があれだけ長身の選手がいてある程度の予測というのができた中で準備ができていませんでした。自分の中でも体を振り切ったつもりでしたが、間から足を出されての失点でした。あの時間帯での失点は間違えなくいらなかったと思いますし、そういった点は次につながるものとして反省していきたいです。
――結果は19年ぶりの優勝です。振り返るとシンデレラストーリーのようですが
本当に苦しいシーズンでしたし、前季は最下位も経験してまさか自分たちが優勝という位置に立てるとは思っていませんでした。それを実現できたのはどこか自分たちの中で勝ち続ければ絶対にチャンスがあると信じ続けていたからだと思いますし、それをしっかりと優勝というかたちであらわすことができてうれしいです。試合に絡めていないような選手であってもチームのためにいろんな仕事をしてくれているのを見てエネルギーをもらっていたので、チーム一丸となっての優勝だと思います。
――見事、ベストイレブンに選ばれました
その賞に関してもやっぱり自分ひとりだけの力ではないと思います。ことしでいえば最少失点で終えられた拓真との関係であったり、後藤(雅明)の活躍というのも受賞に大きく関与していると思います。試合に出続けれたというのも周りのスタッフやトレーナーなどの支えがあってこそだと思うので、多くの方に感謝してしっかりと喜びを味わいたいです。
――この後は勝利の祝杯となりますが
みんな騒ぐと思います(笑)。自分はそんなに騒がないと思いますが、まわりも騒ぐと思うので実際は分かりませんね(笑)
MF田中太郎(商4=静岡・藤枝東)
――優勝おめでとうございます。いまの気持ちをお願いします
優勝できてとてもうれしいです。
――試合内容を振り返っていかがですか
前半相手にポゼッションされて、自分たちのペースをつかめなくて、そこを後半改善して相手ゴールに迫れたことが、よかったのだと思います。
――前半は押し込まれる時間が多くなりましたが、焦りなどはありましたか
最近は後半に点を取ることができていたので、そういう焦りはなかったです。
――後半立ち上がりから立て続けに相手ゴールに迫りましたが、何を修正して臨みましたか
特に意識したことはないのですが、(前半は)相手のポゼッションに合わせてラインを下げてしまっていたので前からプレッシャーをかけることであったり、アグレッシブに攻めることといった、自分たちがこれまでやってきたことを意識しようという話はハーフタイムにしました。
――試合終了のホイッスルが鳴った瞬間の気持ちは
ほんとにうれしかったですし、ほっとしました。1年間うれしいことより、辛いことのほうが多かったので、それが少しは報われたのかなと思いました。
――優勝できた最大の要因は何だと思いますか
やはりチームの一体感はすごかったなと思います。出る選手がチームのために献身的なプレーをするということもそうなのですが、監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)やスタッフの方々、メンバーに入れなくてもスタンド応援してくれるみんな、ULTRAS WASEDAの方々と、全員がチームのために何ができるかを考えてくれて、行動に移してくれたことは、ピッチに立つ自分の背中を押してくれましたし、そういったところの一体感が優勝できた要因だと思います。
――最後に支えてくれた方々へのメッセージをお願いします
本当に優勝できてよかったですし、みなさんの支えがあったからこその優勝だと思うので、これからも引き続き応援よろしくお願いします。
DF八角大智(社4=千葉・流通経大柏)
――19年ぶりの優勝となりましたが、今の率直なお気持ちをお願いします
優勝を目指していて、現実的に優勝が見えてきた中で優勝したときにどんな風になるんだろうと考えていました。喜ぶのかな、とか色々考えていたのですが、率直に思ったことはやっと終わったな、という安心感が一番で、今もその思いが強いです。
――今季の目標として掲げていた中で、優勝した実感はありますか
試合が終わってすぐはあまりなかったのですが、閉会式やメダルをいただいて優勝カップをもらった時に優勝したんだなということを感じました。
――きょうの試合では前半、苦しい展開となりましたが
やっぱりパスを回してくるチームで、フォーメーションが3-4-3といつもと違ったプレッシャーのかけ方であることを意識はしていました。前半はなかなかうまくプレッシャーがはまらなくて、自分たちにとってすごく苦しい時間帯というのが多かったですし、前半はチームとして何もできませんでした。
――後半に入ってワセダのプレースタイルに変化がありましたが
リスクを冒してプレッシャーに行く、というところは全員で共有していました。入りのところで出さなかったら前半みたいな試合になるということはみんなで話していたので、プレッシャーに行ききるということは意識してやっていました。
――試合終了間際の失点に関しては
終盤に相手センターバックの長身選手がああやって上がってきて、ヘディングでせってそのあと押し込む、というかたちは失点する前からありました。それまで対策はできていましたが、失点シーンはショートパスを出されて失点ということで、まずはその前のヘディングを跳ね返せればよかったのですが、それができずにそうされてしまったあとの対応に関してはもったいなかったなと思います。
――今季のリーグ戦を振り返ってどのような感想をお持ちですか
個人的には苦しみ続けたシーズンでした。でも、きょうも苦しいゲームの中で自分や仲間を信じて戦えたことで優勝できたのかなと思います。
――最後にインカレに向けての意気込みをお願いします
自分たち以外で出場するチームも本当にレベルが高く強いチームなので、この一ヶ月弱の期間でどのチームよりも厳しい環境をつくって日本一になれるように頑張りたいと思います。
FW宮本拓弥(スポ4=千葉・流通経大柏)
――優勝おめでとうございます!いまのお気持ちをお聞かせください
本当に優勝したことは素直にうれしいです。
――2点とも宮本選手のプレーから生まれたゴールでした
1点目に関して言えば、ああいう選択をしてよかったと思います。ヒールでFW山内(寛史)にアシストして結果につながったのはよかったです。
――いいかたちをつくった2トップの関係性はいかがでしょうか
最後の最後でこういうかたちができてよかったです。今後のインカレに向けてもっと高めていきたいです。
――平坦な道のりではなかった今季を振り返っていかがでしょうか
最下位を経験してそこからはい上がっての優勝なので、いままでにはなかった勝負強さを見せられたのかなと思います。
――歴史を塗り替えた実感はいかがでしょうか
この優勝がどれだけ偉大かというのはぼくたち自身では語れないですけど、19年間の中で2部に落ちたり東京都リーグにまで落ちる経験をしたア式蹴球部をこの手で優勝させられたのは誇りに思います。
――最後に支えてくれた方々にメッセージをお願いします
みなさんの支えなしではここまでこれなかったですし、最下位の時でも足を運んで見に来てくれたのはぼくたちの励みになりました。インカレに関しても応援してもらうためにはぼくたちが勝ち続けなきゃいけないので、本当に勝つだけです。
DF新井純平(スポ3=浦和レッズユース)
――優勝おめでとうございます!今のお気持ちをお聞かせください
19年ぶりに優勝することができて、1つ自分たちが歴史を塗り替えたのは素直にうれしいです。
――最後の笛が鳴った瞬間、なにを思いましたか
終わった瞬間は実感が湧かなくて、「あ、1位になったんだ」というようなびっくりというか変な気分でした。
――DFラインで共にプレーしてきたDF金澤主将と優勝を分かち合えた喜びはいかがですか
拓真くんには常に支えられてきて、苦しい時も自分たちに前向きな声を掛けてくれたからこそ今があると思います。本当に最高の主将だなと思います。
――前半は相手にパスを回され守備から入るかたちになりましたが、ある程度は想定内だったのでしょうか
そうですね、向こうの選手がうまいのは自分たちで知っていたので、じれることなく耐え続ければチャンスはくると思っていました。押されてましたけど、自分たちでどれだけぶれないかというところと、常に得点を狙い続けるところは意識して、ディフェンスのところでは絶対に0で抑えることを心掛けました。
――起点をつくられる場面もあった印象があるサイドでの守備を振り返っていかがですか
3バックの相手で、2枚のウィングが高い位置をとってくるのはわかっていました。その中でどれだけ1対1に負けないかや、太郎くん(MF田中太郎、商4=静岡・藤枝東)とうまく連携してどれだけ守れるかがカギになってくると試合前から感じていました。起点になることはありましたが、やられることもなかったのでうまく守れたイメージがあります。
――後半から中盤での守備が改善されましたが、ハーフタイムにチームでなにか話されたのでしょうか
前半は自分たちのラインが下がり過ぎていて、相手のディサロ燦シルヴァーノ選手に収められるシーンが多かったです。なので後半はびびらずに、前でプレッシャーを掛ければよくなるということを話しました。ラインをコンパクトにしたことで、ボランチや中盤のところでプレッシャーを掛けやすくなったのかなと思います。
――数少ないチャンスを決め切るワセダらしい勝利だったのではないでしょうか
そうですね。これが勝負ですし、厳しい試合になればなるほど1点差のような難しい試合をイメージしてやってきたのでその中で勝てたのは大きな収穫だと思います。
――平坦な道のりではなかった今季を振り返っていかがでしょうか
一時期は最下位になったり、苦しんだ中でも部員一人一人が前向きにやってきたことを信じた結果が優勝につながったと思います。ぶれることなくやってこれた部員一人一人の力だと思います。
――歴史を塗り替えた実感はいかがでしょうか
自分ではこの優勝だけでは歴史を塗り替えたとは言えないと思っています。ここからどれだけインカレにつなげるかであったり、来年以降に2連覇3連覇していくことでやっと歴史を塗り替えたことになると思います。これで満足することはなく次に向けてやっていくだけです。
――最後に支えてくれた方々にメッセージをお願いします
自分たちが苦しい時、どんなに順位が下がろうと常に応援してくれる人がいたのを本当にうれしく思っています。それが力となり、自分を後押ししてくれたと感じています。自分たちを応援してくれてたくさんの人たちに、またこういった歓喜の瞬間や成長した姿を見せられるようにするのが感謝を伝えることだと思います。関東リーグ優勝にあたり、たくさんの応援に感謝してこれからもがんばっていきます。
MF小林大地(スポ3=千葉・流通経大柏)
――優勝を決めたいまのお気持ちをお願いします
あまり実感は湧いていないのですが、19年ぶりの関東リーグ(関東大学リーグ戦)制覇という結果を残せたのはすごくうれしいです。
――きのう明大が勝利したことで、ワセダが優勝するためには勝利しなければならない状態となりましたが、どのような思いできょうを迎えましたか
きのうの明大と慶大の試合をツイッターで観戦していたのですが、俺は明大が勝つだろうなと思っていたので、勝ったことに対してはあまり戸惑いなどそういったものはありませんでした。きょう勝つために1週間取り組んできていたので練習でやってきたことをそのまま出せば勝てると思ってプレーしました。
――前半は中盤を抑えられていたと思いますが、後半へはどのように修正しましたか
前半はポゼッションで支配される時間が長かったのですが、そこは最終的にシュートを打たせないで点を取らせなければいい話なので、結果として0ー0で前半を終えることができたのは良かったかなと思います。後半に入るにあたってはボランチに対してもう一度自分と俊輔(MF平澤俊輔、スポ3=JFAアカデミー福島)がいかに強くプレッシャーにいけるかを意識していました。
――先制点はワセダとなりましたが
前半から劣勢だった中であのようなかたちで先制点を取れたというのは今シーズンのワセダの戦い方を象徴していた思います。また、追加点もそのあとすぐ取れていたのできょうもワセダの戦い方がしっかりできたと思います。
――終盤は法大の攻撃を抑える時間が続きましたが
相手のセンターバックが1人上がってきてパワープレーでずっと攻撃してきていたのですが、相手のパワープレーに対して一つ競り負けてもその次で拾うことができればピンチになることはないと思ったので、セカンドボールを拾うことを意識してやりました。
――終了のホイッスルが鳴った瞬間のお気持ちはいかがでしたか
自分たちは本当に優勝したのだなといううれしい反面、不思議なフワフワした感覚でした。
――いままで味わったことのない感覚ですか
そうですね。人生の中で一番うれしい瞬間でしたし、感覚としては初めて味わったような感覚でした。
――最下位というどん底からはい上がって優勝した大きな要因は何だと思いますか最初は自分たちの理想を追い求めてプレーしていたと思うのですが、そこから1回最下位に低迷したことで腹をくくって、勝つための選択というのをピッチに立っている11人全員が90分間の中できちんとできたことが勝利への大きな要因だったと思います。
――19年ぶりの優勝にメンバーの一員として立ち会えたお気持ちをお願いします
きょねんは2試合ベンチ入り、1試合途中出場という立場で全然関東リーグのピッチに立つことができなかったのですが、ことしは全試合にスタメンで出させてもらってワセダを支えてくれる人たちの多さやそういった重圧をすごく感じました。でもそのプレッシャーをはねのけて優勝という結果を残せたことは本当にうれしいです。
MF平澤俊輔(スポ3=JFAアカデミー福島)
――優勝おめでとうございます。今の率直なお気持ちを教えてください
優勝できて本当に良かったなと思っていて、ほっとした気持ちが強いです。
――優勝には勝利しか許されない中での最終節となりましたが、どのような意気込みで試合に臨みましたか
今までも勝ちしか許されない状況で勝ってきたということもありますし、そういった中で自分の感覚ではいつも通り入れたかなと思います。
――前半は相手にボールを回される展開となりました
相手のフォーメーション的に中盤の選手が多くて、自分と大地(MF小林、スポ3=千葉・流通経大柏)のところでなかなか相手を捕まえきれなかったからこそ、相手に回されて押し込まれた展開だったと思います。後半は相手の運動量も落ちたということもあって、修整できたかなと思います。
――ハーフタイムにはどのような指示がありましたか
自分たちのボランチが相手のツーシャドーのポジションの選手に気を取られずに、相手のボランチにプレッシャーをかけに行こうという話をしていました。そういったところを意識的にできたことが、前半より違ったかたちになったと思います。
――後半の早い段階で2点をリードできたことは大きかったでしょうか
そうですね。後半の立ち上がりという話はしていたので、ああいったかたちで点を取れたということは、試合の中で余裕が持てる展開になりました。
――同期の山内選手が得点を決めたことに関してはいかがですか
本当に頼もしい選手ですし、ことしも苦しい時に彼の点で救われた試合もたくさんあったので、本当に感謝しています。
――終了のホイッスルが鳴った瞬間のお気持ちは
本当に苦しいシーズンで、最下位も経験して難しい状況もありましたけど、本当に4年生のおかげでここまで来れたというのがあったので、自分は拓真くん(金澤主将)や政くん(奥山副将)を見てしまって、感動したというのはありますね。
――次に控えるインカレに向けて
インカレ優勝ということもシーズン当初に目標に掲げていたので、それを成し遂げるべくまた一からみんなで競争してやっていきたいと思います。
FW山内寛史(商3=東京・国学院久我山)
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちをお願いします
苦しんできた中での優勝っていうのと、19年ぶりの優勝ということで自分自身とてもうれしいですし、そのチームの一員として勝利に貢献できたことは人生の中でも非常に大きな経験だと思っています。
――前半、相手の苦しい攻撃に悩まされていましたが
そうですね、前半はかなり相手のペースという感じで、そこを攻略できればもっとやりやすい展開ができたと思います。ある程度ああいう試合になることは覚悟していたのでそれを見据えて戦えたと思います。
――では前半の展開は想定内ということだったのでしょうか
ああいう試合になることはみんな覚悟していましたし、もう少し前からプレスをかけられればよかったですけど、無失点で前半を終えられたのでよかったと思います。
――自身の2ゴールを振り返っていかがでしょうか
両方共、自分の得意な角度であったので決められてよかったですし、2点目は一回外しましたが粘って押し込めたので、今シーズン自分がやってきたことを示せたのかなと思います。
――どちらの得点も宮本選手との関わりで生まれたゴールですが、2人の関係性を振り返っていかがでしょうか
ミヤくんがフリーのところで出してくれたパスによって決めることができたので、2人の関係性というのは試合ごとに良くなっていると感じています。
――きっちり自身の仕事を果たされていたと思いますがいかがですか
チームでしっかり勝ち切れたということもそうですし、自分の得点で導けたのでよかったと思います。
――平たんな道ではなかったと思いますが、今季を振り返っていかがですか
前期最下位を経験したってことは非常に大きいですし、そこで得た経験をバネにみんなで頑張ってこれたので優勝のためには非常に大きな経験だったと今では思えます。でも絶対的ではなかった中で勝てたのは四年生のおかげだと思いますし、四年生の力が大きかったと思います。
――19年ぶりの優勝ということで歴史を塗り替えた実感はいかがですか
ここからどれだけ優勝を重ねていけるかだと思いますし、うれしさと共に責任もあるのでここからまた頑張っていきたいです。
――最後に、応援してくれたみんなに一言お願いします
19年間離れていたタイトルを手にできたことは非常に大きなことですし、自分自身もとてもうれしいですが、まだまだ支えてくれる家族やファンの方が求めているものはもっと大きなものだと思うので、インカレや来年のリーグも勝っていきたいと思います。