逆転負けを許し、2回戦敗退

ア式蹴球男子

 悔しい幕切れだった。アミノバイタルカップ2015(アミノバイタル杯)2回戦、ワセダは筑波大と対戦。開始10分で先制点を奪うも、やはりこの日も追加点が取れず大きくリードを離せない。その間に筑波大も徐々に勢いを取り戻し、何度もワセダゴールに迫ってくるも、水際で何とかこれを防いでいた。しかし、同点弾を浴びると同時にその均衡が崩れ、一気に流れが相手に。追い付かれた後さらに2点目を献上し逆転を許すと、最後までこの点差を跳ね返せず、無情にも試合終了。昨年に続き、2年連続で総理大臣杯への出場権を逃す結果となった。

 この日最初のゴールを決めたのは10分、FW宮本拓弥(スポ4=千葉・流通経大柏)。ペナルティエリア内でボールを受けると、落ち着いて流し込みネットを揺らした。ただ、その後前日の城西国際大戦(〇5-0)で見せた爆発力は影をひそめ、一転押し込まれる時間帯が続く。それでもDF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)や、累積警告で出場停止となったDF奥山政幸副将(スポ4=名古屋グランパスU-18)に代わって出場したDF飯泉涼矢(スポ2=三菱養和SCユース)を中心に、統率のとれた守りで反撃をかわし続ける。なんとか1点リードして折り返したものの、後半が本当の勝負所となった。

好守を見せた金澤主将

 「心のどこかで、守り切ればって気持ちがあったのかもしれない」(DF新井純平、スポ3=浦和レッズユース)。相手もさらに激しさを増して迫ってくる中、ワセダは守備に追われてしまう。56分、MF田中太郎(商4=静岡・藤枝東)のニアクロスにMF堀田稜(商4=浦和レッズユース)が走り込んで合わせるも、バーに嫌われ波に乗り切れない。徹底してサイドから攻撃を仕掛けてくる筑波大に、DFラインも集中を切らさず対応していたが、失点シーンは一瞬の隙を突かれた。こぼれたボールを拾われそのままカウンターを食らい、1-1にされる。ここまで粘り強く守っていたワセダだったが、勢いを得た筑波大は抑えられず、69分には追加点を許してしまう。必死に巻き返しを図るも、得点に結び付くことなく、鳴り響いた試合終了の笛。地に伏せる選手と、天を仰ぐ選手にこの試合の結末が表れていた。

試合後、肩を落とすイレブン

 「相手の質も高かったですし、そういった相手に対して打ち勝つだけの力がまだまだ無い」(MF平澤俊輔、スポ3=JFAアカデミー福島)。試合を振り返っても、気を緩める場面も、集中を切らす場面も無かったが、それでも勝ち上がれなかった。いまのチームに何が足りないのか、そしていま何をすべきなのか。改めて再び見つめ直す必要があるだろう。悲願の関東王者の座はまだ遠いところに見える。しかし、それでも頂点を捉える力はあるはずだ。再開される関東大学リーグ戦も残り一節となったが、ここでどんな戦いを見せられるか。立ち止まっている暇は、無い。

(記事 佐藤凌輔、写真 藤巻晴帆)

スターティングメンバー

アミノバイタルカップ2回戦
早大 1-0
0-2
筑波大
【得点者】(早)10宮本(筑)69、81中野
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ3 東京・国学院久我山
DF 新井純平 スポ3 浦和レッズユース
DF 18 飯泉涼矢 スポ2 三菱養和SCユース
DF ◎4 金澤拓真 スポ4 横浜F・マリノスユース
DF 12 八角大智 社4 千葉・流通経大柏
MF 平澤俊輔 スポ3 JFAアカデミー福島
MF →73分 大丸瞬 教4 東京・早実
MF 14 小林大地 スポ3 千葉・流通経大柏
MF 田中太郎 商4 静岡・藤枝東
FW →86分 中山雄希 スポ3 大宮アルディージャユース
MF 堀田稜 商4 浦和レッズユース
MF →83分 相馬勇紀 スポ1 三菱養和SCユース
FW 宮本拓弥 スポ4 千葉・流通経大柏
FW 10 山内寛史 商3 東京・国学院久我山
◎はゲームキャプテン
監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実)

DF新井純平(スポ3=浦和レッズユース)

――いまの率直な感想をお願いします

きょねん3回戦で負けて悔しい思いがあって、ことしこそは絶対優勝したい、大阪に行きたいって思いが強かった中で、きょうこういった負け方をしてしまって素直に悔しいです。

――先制点を奪えただけに、逆転を許したのは悔やまれますが

先制点を取れたのは大きいと思っていて、チームの中でも先制点を奪った試合は良い感じで試合を進められたりっていうのがあったんですけど。前半早い段階でああやって点を取れて前半1-0で折り返せた中で、後半立て続けに失点して逆転負けしたっていう結果は本当に悔しいです。

――後半は相手も徹底して左右に振ってきた印象ですが

自分の意識していたところとしては、相手がパスで左右に揺さぶってくる中、相手のFWも動き出しが良い選手が多かったので、最終的には間を割らせないことを意識していました。サイドを攻めてきた時の対応は前半からできていたと思っていたので、失点のシーンに関しては1失点目は不用意なかたちで失点してしまいましたけど、2点目はサイドからやられることは想定内でした。ただ、中の準備やクロスへの対応といったところでまだまだ甘さがあったんじゃないかと思います。

――チーム全体を通して水際で守っていたところ、あと一歩及ばずそれが崩されたという印象もありますが、そこで守り切れない原因というのはどういったところにあると考えますか

自分自身守備の選手ということで、後半の入りから1-0でリードしているっていうこともあって、心のどこかで「守り切れば」って気持ちがあったのかもしれないと感じています。見て分かる通り、攻撃がほとんど無くて守備に追われてしまったってことがあって、ボールを奪ったあともっと大切にすることであったり、相手が前掛かりになっているのであれば裏のスペースに落として一回押し上げてもう一度体制を整えることだったり、そういったところの判断が甘かったと思います。こちらが奪ったあとすぐに取り返されて、二次攻撃、三次攻撃とやられてしまったことで、守備で体力を消耗してしまったので、そこは自分たちの課題だなと思います。

――では、チームを通してこの日の一番の課題を挙げるとしたらどういった部分でしょうか

相手がつないでくるチームに対して、自分たちの良さとして、どんなにつなげられてもハードワークし続けて守備でも焦れずにやることを徹底していたと思うんですけど、そこで疲れと同時に緩みが生じて、ああやって失点してしまったんだと思います。そういった意味では、自分たちの強みとは言ってますけど、その強みの濃さがまだまだ薄いんじゃないかなと感じるので、どういった相手でも勝つためには自分たちのチームの色が必要になってくると思うので、それをもっとトレーニングのところから色濃くしていかなきゃいけないんじゃないかなと感じました。

MF平澤俊輔(スポ3=JFAアカデミー福島)

――筑波大に対してチームではどのような対策を話し合われていましたか

相手が長い時間ボールを持ってくるだろうなというのはチームで共有していて、ある程度持たれる時間はあっても粘り強くやって、奪ったボールを早くカウンターにつなげていこうという話をしていました。

――先制点を奪った後、なかなか追加点を奪うことができませんでしたがその点についてはいかがですか

奪ってからの前へのパスをなかなかつなげることができなかったので、自分たちの攻撃ができなかったのかなと試合をしている中で感じていました。

――その前へのパスをつなげられなかった要因は

引いてしまうというかたちになってしまって、そこから奪ってからのスイッチが入らずにいたので、奪ってから前に出ていくというところをもっとチーム全体で共有してやるべきだったなというのを感じます。

――守備の要を欠くというかたちで臨んだ今試合ですがやはり厳しい状況だったのでしょうか

代わりに入った涼矢(DF飯泉、スポ2=三菱養和SCユース)がうまく持ち前のチームを鼓舞する力だったり高さだったりというのは出していましたし、彼自身の強みが試合には出ていたと思うのですがそれ以上に相手の質の高さというのがありました。まだまだ自分たちが弱いというのをすごく感じました。

――相手の守備も高く前でボールを触れず厳しい時間が続きましたが振り返っていかがですか

相手の質も高かったですし、そういった相手に対して打ち勝つだけの力がまだまだ無いというのがきょう分かりました。帰ってから練習するしかないなと思います。

――後半は防戦一方となってしまいましたがその原因は

やはり取ってから出ていく力というのがまだなかったなというのを感じました。取る位置も低かったですし、前から取りに行かないと自分たちのゴールというのはなかなか見えてこないと思うので、相手がうまい中でも自分たちが前からプレッシャーをかけて取りにいけるように練習の中からやっていきたいなと思います。

――ご自身のプレーを振り返ってはいかがですか

自分自身、自陣に釘付けにされましたし相手の攻撃を守るのに精一杯でした。攻撃という面では自分の強みである前に出ていくというところを全然出せなかったので、相手の質が高かろうと強みを出せるようにやっていきたいです。

――次戦に向けては

次は順大でリーグ戦(関東大学リーグ戦)に戻りますが、切り替えてというか、自分たちは上を目指してやっていくしかないと思うのでもっと成長できるようにやっていきたいと思います。