待ち望んでいた瞬間だ。現在J2に所属する愛媛FCがきょう、MF近藤貴司(教4=三菱養和SCユース)の入団を発表した。前所属・三菱養和SCユースで素地をつくり、ワセダでは入部早々にスタメンとして活躍。今季も関東大学リーグ戦(リーグ戦)で6ゴールを挙げるなど、右サイドを主な主戦場として駆け回った。そんな韋駄天(いだてん)が「幼い頃からの夢」と語っていたプロサッカー選手という夢。ついに憧れのステージへの挑戦権を手に入れ、最高のクリスマスプレゼントとなった。
1年次のリーグ戦開幕戦でいきなりスタメンデビューを果たすと、そこからワセダの主力として戦い始める。2年次には全日本大学選手権での優勝をピッチの上で味わうなど日本一にも貢献。関東選抜にも選ばれ大学サッカーを代表する選手へと成長し、最終学年の今季は欠かせない存在としてチームを引っ張ってきた。そんな近藤貴の武器は何と言っても大学随一の速さだ。ボールを奪うと電光石火のごとく相手陣地を切り裂き、ゴールに迫る。相対するDFにとってはまさに脅威。右サイドから数々の好機を演出し、スピードスターの名を欲しいがままにした。
新天地となる愛媛FCは、2005年にJFL優勝を果たし2006年にJ2に昇格。しかし1年目の9位を最高に、ここ数年は15、16、17位、そしてことしの19位と順位を落としている。長年失点数の少なさを武器としていたが今季は58失点。得点力増強だけでなく守備の立て直しを図る愛媛FCにとって、攻守両面に優れた近藤貴の加入は吉報となるだろう。上位浮上、そして悲願のJ1昇格を目指す来季、大卒ルーキーの活躍がカギを握っている。近藤貴の挑戦は新たな舞台へ――、試合はまだ始まったばかりだ。
(記事 芦川葉子、写真 辛嶋寛文)
1年次から主力としてワセダを勝利に導いてきた近藤貴
◆近藤貴司(こんどう・たかし)
1992(平4)年4月26日生まれ。167センチ、63キロ。東京・早大学院高出身。前所属・三菱養和SCユース。教育学部教育学科教育心理専修4年。