【連載】『逆襲のホイッスル』 第1回 上形洋介×近藤貴司

ア式蹴球男子

 エンジイレブンの絶対的エースであるFW上形洋介(スポ4=東京・早実)と抜群の突破力でサイドを支配するMF近藤貴司(教4=三菱養和SCユース)。ワセダを支えてきた2人の戦いもついに最終章を迎える。大の仲良しであるこの2人に、集大成となる全日本大学選手権(インカレ)への思いを熱く語っていただいた。

※この取材は11月25日に行われたものです。

「自分たちの手で逃した」(上形)

今季を振り返る上形

――関東大学リーグ戦(リーグ戦)後期全体を振り返っていかがでしょうか

近藤貴 後期全体を振り返った中で一番は、優勝を目指してやっていたのでその目標を達成できなかったことはもちろん悔しいですし、その中でも最後まで自分たちの目標を自分たちの手で失ってしまったという感覚が強くて、上位チームとの対決で勝てなかったことがその一番の原因ですし、いまの自分たちの実力なのかなという風に思います。

上形  自分も終盤に上位対決になって、例年よりは自力で優勝できる可能性が残っていたので、そこに対してのモチベーションというのはチームで持っていたんですけど、その中でも勝ち切れず優勝を自分たちの手で逃したという印象が強いです。

――リーグ戦を終えてみて4位というのは、昨年よりも順位を2つ落としてしまっての結果でした

近藤貴  シーズン始まる前から監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)も言っていたように、自分たちが入部してから5位、3位、2位とリーグ戦がきていてことしは1位をとらなければ過去を乗り越えることもできないし、支えてくれる人たちも優勝を望んでいるというのも、OBと話して感じていた部分でした。4位という結果もそうですけど、1位になれなかったことがすごく悔しいです。

上形  監督もおっしゃっていた通り、1位でなければ何も意味がないので、きょねん2位でことし4位という差というよりも、1位になれなかったということに対して悔しさがあります。あときょねんの勝ち点を上回ることもできなかったので、きょねんより成長したことの証として見せることができなかったというのも残念です。

――先制されるとなかなかひっくり返すことができないという試合が多かったような印象がありますが、それについていかがでしょうか

近藤貴  自分たちのやっている感覚としては、入れられてもそんなに慌てずやれていたんですけど、結果として先制されると逆転できないというのが実力と言ったらそれまでですけど。恐らく自分たちとしては最後の慶大戦(第22節、●0-1)に象徴されるように、相手に守備ブロックをつくられると攻撃のところでうまくいかないというのが例年の課題で、それを克服できなかったことがその結果につながっているのかなと思います。

上形 自分自身後期は後半から出場することが多かった中、劣勢の流れを変えられなかったり得点という形で貢献することができなかったです。そういった途中から出てくる選手が結果を残せなかったですし、そこから象徴されるように試合を決定づける選手が少なかったと感じました。

 

――特に後期は得点数が伸び悩んでしまったが

上形  前期を戦って相手がワセダの戦い方を研究してきて、速さを出させないようディフェンスのブロックを2枚つくってきたときに自分たちのアイデアが少なかったです。それが得点数の減少につながってしまったと思います。

――守備の面では明大と順大の19失点に次ぐリーグ2位の20失点だった

近藤貴  そのデータについて監督からは守備に関してはポジティブに捉えてもいいのではという話があって、やっている側からしても守備におけるいままで積み重ねてきた強みに関しては自信をもってやれていました。ただ失点の半分が専大と明大に奪われているので、結局攻撃の質が高い相手に対しては自分たちの強みにはなっていないと振り返って感じます。そこの部分はインカレに向けて高められるように、一人一人が取り組み始めているところです。

上形  貴司からもありましたけど、相手の個々の質が上がったときに、いつものようにプレッシャーをかけてもボールが取れなくなってしまって粘り強く守備ができずに失点する場面が多かったです。トレーニングの中からそういった想定をすることが失点を防ぐことにつながるんじゃないかなと思います。

――ワセダのサッカーは前線からの守備が求められますが、攻撃の選手としての守備の意識とは

近藤貴  守備をしないと試合には出れないですし、1年目からそれを意識しながら取り組んできました。4年目となったいまはチームとしてやるべきことをできているからこそ試合に出ていると思うので、そこは最低限やれている自信があります。でもやっぱり攻撃の選手なので、後期は1点しか取れなかったのがチームの目標を達成できなかった一番の原因なのかなと思っています。

上形  自分はいま一番前のポジションなのですべての守備は自分のところから始まると思います。一人目ということで後ろの選手が少しでも楽になるように前で体を張って、いい状態で相手の前線にボールを送りこませないような働きを心掛けてやっています。

――リーグ戦を通して、変わってきたこと、成長してきた部分はありますか

近藤貴  チームとしていい方向に進んだのかなと思うのは、怪我人が復帰したり、Bチームから上がってきた選手がいたりすることで、実際に最後、堂本(FW堂本大輝、スポ4=兵庫・三田学園)がメンバーに入ったりと、Aチーム内で3チーム体制でできたということは良かったと思います。逆の方向性としては、練習の雰囲気ということで、もう少し気を引き締めて一個一個、促してやっていければもっと緊張感のあるトレーニングにつながって、それが公式戦でのプレーにつながっていたのかなというところはあります。個人としては、点が取れなかったので良くなったことはないですし、ただ悪くなる一方でした。

上形  チームをあまり客観視できない人間なので、貴司が言ったことを自分も感じていましたが、逆に硬すぎる雰囲気でも駄目かなと思っていたので、オンとオフをはっきり、やるときはやったり盛り上がるところは盛り上がったりやれていたと思います。でももっと勝負のところでもっと勝敗にこだわることができていたら、実際に公式戦でも結果が変わってきたのかなということはいま思います。個人としても、後期は数字を出すことができなかったので、ワセダのサッカーを体現する意識、ワセダが求めているFW像というのをこの1年を通して理解できたというか。

近藤貴  え、いまさら?(笑)

上形  より深く理解できたと思うので!(笑)そういう感覚は自分の中にはあったので、後期試合になかなか出られなかったですけど、自分の中で成長したかたちはありましたが、でも結果がすべてなので。自分も後期1点しか取れていないので、あとは何とも言えないです。

――先ほど失点数の少なさの話の中では少し出てきましたが、古賀監督からはリーグ戦を終えてどのような話がありましたか

近藤貴  リーグ戦が終わってからは、さっき話したように、ポジティブに捉えれば守備の面で失点数から見ても自分たちとしてやりたいことはやれたというところとです。あと、今後始まるインカレに向けて、勝ち上がっていったら阪南大、明大、専大と当たるというところで、そういった個の質が高い相手と相対する可能性が高いので、そういった部分で守備のベースをより高めていくというところ。そして、守備を高めるためには、攻撃をやらなければ駄目なので、結局は攻守両面高めていこうという話がありました。

上形  はい、ありました。

一同  (笑)。

――後期を通してご自身のプレーを振り返ってみると

近藤貴  前期よりもアシストを決めたいという目標を立てて後期に臨んだので、まずはその目標を達成できなかったことも悔しいですし、それが自分の実力なんだと思います。プレーを振り返ってみても、決定的なチャンスもあまりつくり出せなかったイメージがあるので、チームに対しては申し訳ないプレーしかできなかったなという印象があります。

上形  自分は途中出場の試合が多くて、その中でも決定的なチャンスは覚えている中でも4回くらいつくり出せたんですけど、結局そこで決め切れなかったです。途中から試合に入る難しさはあると思うんですけど、そういう中でもやっぱり点を決めてアピールしてスタメンの座を奪っていくことに時間がかかっていってしまったのは本当に反省点ですし、数字としてチームに貢献できなかったのでそこが申し訳ない気持ちでいます。

――100点満点で言うと、ご自身のプレーは何点になりますか

近藤貴  10点くらいですかね。

一同  (笑)。

近藤貴  自分に厳しく。4年目ということもそうですし、自分が結果を出せればリーグ戦優勝できると、可能性とかではなくそう信じてやってきたので、結局勝利に貢献するプレーができなかったというのが、その点数です。

上形  8点。たかしが10なら自分は8かなって感じですね。俺も実際勝利に貢献するプレーができなかったですし、優勝するために自分が点を取ってことしはチームを勝たせようという気持ちで臨んだんですけどできなかったので、そういう点数になるかなと思います。

――上形選手は最後の2戦で先発に復帰されましたが、その時に改めて感じた先発に対しての思いは何かありましたか

上形  やっぱりスタメンから出ることは試合への入りやすさというのもありますし、実際に出る時間も長いのでその分ゴールに絡めるチャンスも多くなります。それに比べてやっぱり途中出場は決められた時間の中で結果を残さなければいけないという重圧もありますし、実際にチャンスの数も少ないので、最初から出るときはある程度自分の思い描いたプレーを90分通してできるんですけど、短い時間だとその1プレー、1チャンスに本当神経を注がないといけないので、途中出場の難しさというのは改めて感じることができました。

――後期の中では、ルーキーのMF鈴木裕也(スポ1=埼玉・武南)選手がリーグ戦初出場初ゴールを決めたり、FW山内寛史(商2=東京・国学院久我山)選手が前半にハットトリックを達成するなどがありました。やはり下級生の活躍というの刺激になるのでしょうか

近藤貴  ヒロ(山内)がハットトリックした時に自分の点数を超えられてしまったので悔しい気持ちもありましたし、それで自分も決めなきゃという危機感もより強くなりました。また、自分がベンチになった時に裕也(鈴木裕)が点を決めたのもうれしい反面悔しさもあったので、そういった意味では下級生からも刺激をもらうことができたので、それはチームにとってプラスに働いたと思います。

上形  自分も夏にあまりワセダの練習に出られなくて、帰ってきた時にヒロのワンプレーに懸ける強度だったり守備の一歩踏み込んだりするところを見て刺激を受けましたし、自分もまだまだ足りてないなというのを改めて思って、そこから自分でも意識してやるようになりましたし、確実に刺激は受けています。

――山内選手がこの1年間で大きく変わったと思うところはどんなところでしょうか

上形  守備で、ボールを奪いにいく強度や一歩踏み込むところで、自分もFWなので分かるんですけど、ボールを前線で追って相手のロングボールに足を出したときになかなかボールを当てることができないんですけど、ヒロはそこで足を出して当ててスローインにさせたりとか、あと切り替えの強度を上げることで相手からボールを奪い返したりとか、そういう局面での力強さというのが増したのかなって自分は感じました。

――先ほどご自身への厳しい評価が出てきましたが、振り返ってみて成長したなと思う部分はありますか

近藤貴  あんまり成長した感覚というのはないんですけど、それはまあインカレが終わったりだとかで分かる部分だと思うので、いまはないです。

上形  終わり?

近藤貴  以上です。

上形  まじかよ…(笑)。2年目と3年目で試合に出させてもらうことはあったんですけど、そこに比べて今季は90分間走り切ることができるようになったんじゃないかなって思います。最初から最後までアクションを起こし続けたり前線からボールを追ったり、4年になったという責任感からか分からないですけど、そういう力は付いた気がします。

――近藤貴選手は、これまでだとケガでシーズン途中にチームを離脱してしまう期間もありましたが、今季はケガによる長期の離脱はありませんでした。それはいままでと大きく違う部分なのでしょうか

近藤貴  自分の体について分かってきた部分があるので、あとはケガに対して少し敏感になれたので、そのことによってアイシングであったりすぐケアをしてやっていくことはいままでの経験からできるようになったのかなと思います。

相思相愛

上形選手をベタ褒めする近藤貴

――では方向を変えて、お二人のプライベートな面に質問を移りたいと思います

近藤貴  いいっすね。欲しかったっす。

――お二人はとても仲が良いということですが、サッカー以外で普段のお互いの印象はいかがですか

上形  成長した部分とかでも大丈夫ですか?さっきサッカーは全然成長してないって言ってたから。

近藤貴  ぜひお願いします。

上形  前までぎりぎりになってのドタキャンが多かったんですけど、今季に入ってからそういうのがなくなりましたね。前々からこの日は何しようって言ってたのに、その日のぎりぎりになって「やっぱりきょういいや、家でゆっくりする」みたいな。最近ないね、そういうの。

近藤貴  前期で例を挙げると、園田(MF園田慎一郎、社4=東京・早実)の誕生日会を直前に断ってキャンセル料を払えって言われた事件はあったんですけど(笑)。それ以降後期からは反省して急な誘いだったり、むしろ自分から暇ってLINEして自分から誘うくらいにはなったので、そういう意味ではアクティブになれたのかなと思います。ただ逆に、洋介の方がノリが悪くなったのかなというのは少し気がかりな点です。

上形  でも結局行くじゃん!…でもちょっと何か迷うようになりました。結構無茶な誘いがあるんですよ。

近藤貴  それをいままでは応えてきたのが洋介だったんですけど、良さが薄れつつあるのかな。

上形  ちょっとそれは改善するわ。

近藤貴 お願いします。

一同  (笑)。

――園田選手の誕生日会はどうして行かなかったのですか

近藤貴  その日確か筑波大戦(○1-0)があったんですけど、すごい疲れてたので断りました(笑)。

――お互いについてこんな一面があるよという紹介はありますか

上形  (近藤貴選手について)シャイかな?意外とシャイな一面も。

近藤貴 いや意外じゃないよ。

上形 初対面の人に対してはシャイボーイになっちゃって、ちょっと仲良くなるともうガンガンいけるみたいな。でもそれも最近改善しつつあるよね?それも最近成長しつつある部分かなと(笑)。ピッチ外でも急激な成長が見られるかなと。ピッチ内でもしてると思うけどな。

近藤貴 意外な一面は、まあイケメンなので女の子への対応はうまいかなって。WAPの講演会があった時、女の子とペアになれみたいになって、自分は1つ下の学年の智子(トレーナー前田智子、スポ3=福島・会津)としか喋れなかったんですけど、一番に話しかけてフランクに喋ってるのを、後ろから見ていました。

上形 一番じゃねえよ(笑)。

近藤貴 やっぱりすごいなって思いました。うれしい反面…。

上形 いや、一番じゃないからね。全然。余って余ってやばいってなってちょうど、っていう。

近藤貴 慌ててるメンバーの中で一番早かったです。結局、アクションを起こしたらゴールをとるみたいな、ピッチ内と通じてるなって改めて感じました。

――オフの日にお2人で何かすることはありますか

上形 基本2人で…、あ、1人…たまについてくるけど…。

近藤貴 1人ついてくるやつはいるんですけど、それは言わなくて大丈夫です。もう1人の名前は言わないようにします。3人で銭湯に行きます。

上形 調子乗っちゃうからね、名前を言うだけで。

近藤貴 名前は伏せておくんですけど、『S水大志』ってことで。基本2人で行ってて、たまにS水が行けるときについてくるって感じで。S水もたまに嫌な顔するよね。「まじ?俺も行くの?」みたいな顔をするけど行きたそうなオーラを出しているから、俺らも対応慣れてて「じゃあいいよ」って言うと、何か「やっぱ行く」みたいな。

近藤貴 オフじゃなくね?

上形 ああ、そうか。それは試合の2日前です。

近藤貴 オフはあんまり会わないです。オフにはあんまり会いたくないので(笑)。基本一人でスタバ行って本読んでiphone片手に…嘘です。それはやめておきます。何もしてないです。基本授業とかゼミがあるので、何もなく終わってしまいます。

上形 俺はたまに会いますかね、S水と。いや、これはやめておこう。園田とか、あとむ(DF永井あとむ、スポ4=FC東京U―18)とかと飯行ったりします。

――そのS水さんと3人で仲がいいのですね

近藤貴 仲がいいって言うよりは、向こうが入ってくる。

上形 邪魔!俺らはあいつが邪魔なんですけど、入ってきたがるから、まあ。

近藤貴 入れてあげてるっていう感覚が正しいね。

――このお2人での対談というのは初めてだと思うんですけど、ここまでいかがでしたか

近藤貴 洋介の良さを皆さんにはもっと知ってもらいたいので、もっと言いたいことはたくさんあります。それを世の皆さんに知ってもらえたらと思っているので、いますごく楽しいです。

上形 俺ももっと、近藤貴司っていう人間を引き出した方がいいのかなって。本当に秘めてるので。自分から出すというよりも、引き出されてどんどん出てくるって感じなので。コーラにメントスを入れたみたいな。

近藤貴 …ちょっと良く分からないです。

上形 もうどんどん引き出しが出てくるので。

近藤貴 鬼に金棒的な。

上形 …ちょっと違うかな。

――逆に、この質問はした方がいいみたいなのはありますか

近藤貴 自分の好きなところを教えてとか?

一同 (笑)。

近藤貴 いや改めてじゃないとこんなこと聞けないので。

上形 何だろう…。(近藤貴選手は)一緒に居て素でいれる、気を遣わなくていいというか疲れないというか。それが一番ですし彼はもう本当に面白いので、二人でいると笑いが絶えないですね。それが幸せです、俺は。

近藤貴 (上形選手は)さっきも言ったんですけど、顔がかっこいいので、女の子がすごく寄ってくるんですよ。真面目にイケメンなので。だからそこに自分がいると、自分もモテているような感覚になれるので。

上形 やばいわ、こいつ。マジで(笑)。全然そんなんじゃないです。

近藤貴 でもこの前自分で「俺、顔濃い女性にモテるわ」って。「あの子多分俺のこと好きだわ」とかたまに言ってます。

上形 俺も貴司と一緒に居すぎて、たかしが好きそうな女の子はだいたい見て分かります。顔写真いくつか並べられたら「これでしょ」っていうのはできます。しかも彼モテるんですよね、結局。結果として見えてくるものとしては近藤選手の方が数字として出していると。

――近藤貴選手のモテエピソードがあれば

近藤貴 実際1つ爆弾はあります。投下はできないですけど。

一同 (笑)。

上形 やっぱりSNSを通してくるんですよね。近藤貴選手中身めっちゃいいじゃないですか、その中身を知ることでさらにその女性が魅力を感じてしまうっていう展開は結構ありますね。その後どうなっているかは分からないですけど。そこまでお伝えしておきます。

近藤貴 …次いきましょう。

一同  (笑)。

――遠征や前泊の際の面白エピソードがあればぜひ教えてください

上形 Instagramじゃね?やったじゃん、毎日後輩の動画撮るやつ。

近藤貴  あーそれか。Instagramに同部屋のやつと毎日日替わりで面白ムービーを投稿して、結果は自分が出演させていただいたムービーが一番いいね数が多かったっていう自慢話になるので言いづらいんですけど(笑)。

――ちなみにどんなムービーだったんですか

近藤貴  そのときは八博(FW西本八博、スポ2=岐阜・多治見北)と出演したんですけど、松任谷由実の『ルージュの伝言』って曲を、“あの人のママに会うために”ってやつを八博が歌いながら踊るっていう動画です。

一同  (笑)。

近藤貴  しょうもないんですけど(笑)。

上形  結構シュールなね(笑)。

近藤貴  面白い動画かなって思います。それはInstagramを見ていただければ。

上形  それぐらいかな?

近藤貴  あ、でも遠征中に洋史(MF近藤洋史主将、スポ4=名古屋グランパスU-18)の彼女さんから誕生日のメッセージムービーを撮るよう頼まれていたので、ばれないようにバスとか部屋で撮っていました。

上形  おれ結構イタズラが好きなので、後輩の岸浪(GK岸浪卓志、社学2=東京・早実)がいない間に部屋に入ってキーパーのユニフォーム並べて、iPadで自分の顔を置いて(笑)。それ結構面白かったです。

近藤貴  それは確かに面白かった。

上形  (岸浪から)良い反応が返ってくるのでイタズラしがいがあります(笑)。幅広くイタズラするんですけど、やっぱり岸浪は良いっすね。良いよね?

近藤貴  うん。いいよ、あいつは。

――部屋割りはどのように決めていますか

上形  勝手に決められているんですよね。おれと貴司を一緒にしたらうるさくなるのがばれているから大体違う部屋なんです(笑)。

――石川遠征では大人数が一部屋に集まったところがあったとか

近藤貴  どっかの部屋があったな。基本4人ぐらいなんですけどね。

上形  たまにあるんですよね、大部屋はハズレみたいな。そこには入りたくないよね、できるだけ(笑)。

――あいつと一緒は嫌だな、あるいはあいつ一緒だったのは良かったという思い出はありますか

近藤貴 いっぱいあるんですけど、三年のときのダボス合宿のときは中田航平くん(中田航平、平26スポ卒=横浜F・マリノスユース)と一緒の部屋で、寝れないということで下ネタの話をして(笑)。

一同 (笑)。

近藤貴  すごい盛り上がっていつの間にか寝るってのがその部屋の恒例でした。ことしは岸浪と一緒だったんですけど、朝起きるのがめちゃくちゃきついので起きたときどっちかが声でスイッチ入れるんですけど言わなかった方が踊りだすみたいな(笑)。これでダボスは乗り切れました。岸浪にもおれ(近藤貴)がいなかったら乗り切れなかったっすと言わせた程だったので面白かったです。

上形  悪い方は…、1年目か2年目かにさっきも出たS水くんのいびきがまあうるさくて(笑)。ア式では有名なんですけど、ほんとにあいつのいびきはア式全体に迷惑かけていると思うので反省してほしいですね。

近藤貴  そこはもう名前出していいんじゃない?

上形  清水(MF清水大志、創理4=東京・早大学院)って言うんですけど(笑)、すごいいびき大きいですね。

――憧れの選手や生まれ変わったらこの選手になりたいという人はいますか

近藤貴  います。上形選手です。

上形  (笑)。

近藤貴  ほんとストライカーでゴールを絶対決めてくれるので。チームの信頼も厚いですし、決めた後のパフォーマンスもものすごく様になっているというか。顔がかっこいいというのもそうなんですけど、動きとかもすごい憧れています。

上形  おれは上形って言われたから言い返すわけじゃなくて、ほんとに近藤貴選手です。

――相思相愛ですね

上形  はい。もしおれが貴司のスピードをもっていたとしてもここまでうまく使い切れていないというか。すべての力を自分のものにして、相手にとって脅威となるプレーを出し続けることができるので、このスピードこの技術があったら怖いものなしです。近藤貴になりたいですね。

ワセダの集大成

インカレ優勝にはこの二人の活躍が不可欠だ

――では方向を変えて、インカレについてお聞きします。インカレに向けてチームで取り組んでいることはなんでしょうか

近藤貴  より強い相手と戦うので、守備の面でプレッシャーの強度やオフの状態の選手の準備などといった自分たちの強みをより高められるようにすることです。それに攻撃を高めなければ守備も高まらないので、攻守両面を高めることをチームとして意識しています。

上形  最近監督から主体性についての話があるんですけど、インカレは負けたら終わりという中、一人一人が自立して戦える人間でなければ勝つことはできないのでもう一度そこに目を向けています。後は4年生がどれだけできるかだと思います。最後は4年生の力が必要になってくると思うので本当にそこの部分ですね。

――チームの雰囲気はいかがですか

近藤貴  競争という面で監督からは始まる前からハッパかけられてますし、メンバーに入ってない人たちも残り3枠の追加登録枠に向けてチーム全体でばちばちとした良い雰囲気でやれています。サッカーの部分では、チームはインカレを優勝するレベルには至ってないと思うのでそこをいかに高められるか、個人としても試合に出る為にやっていけるかということが大事になってくると思います。

上形  貴司が言ったことがすべてです。

――最後となるインカレに向けてどのような気持ちでいるか

近藤貴  本当に優勝したいので、その為には4年生の力もそうですし自分が活躍しないと。2年生のときは当時の4年生の人たちが活躍してくれて優勝させてもらったという感覚が強いので、今度は日本一という形で卒業したいという気持ちが強いです。

上形  自分はまだインカレに出場したことがなくて、2年生のときはメンバーに入ることもできず昨年はケガで後期一度も試合に出れてなくて、ことしが最初で最後のインカレになります。インカレに対しては悔しい思いが個人的には強いので自分の力でそこに向かってやっていけるように頑張っていきます。

――組み合わせ表を見ての率直な感想は

近藤貴  全国大会なのでどこが当たっても強いです。その中でうまく勝ち上がっていけばまず当たる阪南大には2年生のときの総理大臣杯で悔しい思いしてますし、その後の明大、専大にも今季に限らず悔しい思いをしているので、勝ってこそ今までの思いを晴らすことができると思います。やりがいがあるというか、日本一になる為には倒さなきゃいけない相手がいるので全力で戦って今までの思いを晴らしたいです。

上形  トーナメントなのでどこが上がってくるかわからないのでまずは初戦に勝って、一戦一戦先を見ないでいきたいです。

近藤貴  せこくないですか、いまの(笑)。もちろん一戦一戦が大事になります。

――慶大とやりたいですか

両者  ぶっ潰したいです。

上形  やれるならもう一回やりたいですね。

――インカレでのワセダの注目ポイントは

近藤貴  インカレはこのチームでやれる最後の試合ですし、ピッチ上の選手はもちろん、ピッチ外の選手もチームが勝つ為にそれぞれ働くと思うので、そういった全員の思いがこもった姿を見てくれたらうれしいです。

上形  勝利に対する一人一人の泥くささであったり、後期は下級生に助けられた分インカレでは自分たち4年生が優勝に導くのでそこを見てほしいです。

――ワセダの注目選手は誰ですか

近藤貴 上形選手です。

上形  さすがに変えない?これは(笑)。

近藤貴  いや、これガチだから(笑)。やっばりゴールを決めなきゃ勝てない中、その面に関して一番秀でてるのが洋介なので。練習や自習練習のときにやってる形があるので、ここでは言えないですが、それをインカレの舞台で出して自分がアシストして洋介が確実に決めてくれればめちゃくちゃうれしいです。その画はいま描けました。

上形  確かに。いま描いた(笑)。おれも貴司かな。今季とてつもないマークを受けて相手から近藤貴を抑えれば大丈夫だと思われると思うので、インカレではそれをも弾き飛ばして彼はやってくれると思います。貴司のシュートに詰めにいったりだとか、貴司の周りにいれば何か起こると思うので狙ってやっていきたいです。

近藤貴  結局おいしいとこ持ってくじゃん(笑)。

上形  おれの活躍も貴司次第だからさ(笑)。

――最後にインカレに向けて抱負をお願いします

近藤貴  いろいろ言いましたけど、チームとして日本一になって全員で喜びたい気持ちが一番です。その中で個人として活躍できれば一番ですけど、チームとして結果を出せるようにまずは初戦に向かって良いかたちで臨めるように練習から全員で切磋琢磨してやっていきます。

上形  日本一目指してチームのために…

近藤貴  いや、変なこと言わなくていいよ(笑)。もうちょい言いたいことあると思うので。

上形  日本一になるため、チームのために汗かいて、個人的にもワセダの集大成なので、この4年間で得たものを惜しみなく出したいです。まあそれよりもこのチームで日本一になって最後笑って終わりたいので、そのために一日一日成長して少しでも優勝に近づけるようにやっていきたいです。

――良さを引き出しきれましたか

近藤貴  悪くない対談でした。

一同  (笑)。

――ありがとうございました!

(取材・編集 芦川葉子、桝田大暉)

終始笑顔の絶えない対談となりました

◆上形洋介(かみがた・ようすけ)(※写真右)

1992年(平4)9月25日生まれ。180センチ、76キロ。東京・早実高出身。スポーツ科学部4年。ワセダが誇る情熱のホットラインがトークでも炸裂。近藤貴選手を世に知らしめるべく、積極的なアプローチで対談を盛り上げてくれました。最初で最後となるインカレへの思いは人一倍。集大成のピッチで躍動する「上形華劇弾」を見逃すな!

◆近藤貴司(こんどう・たかし)(※写真左)

1992(平4)年4月10日生まれ。167センチ。63キロ。三菱養和SCユース出身。教育学部4年。対談当日、ア式蹴球部のスーツをかっちり着こなして表れた近藤貴選手。プライベートでも仲が良いという上形選手と、ラブラブトークを繰り広げていました。大学での競技生活も残りわずか。最後の舞台に向け、凛々しく抱負を語ってくれた近藤貴選手にぜひ注目してください!