またしても勝ち切れず グループリーグ突破は絶望的に

ア式蹴球男子

 グループリーグ突破に向けてもう負けが許されない状況のワセダ。前節から約一ヶ月をあけて迎えたきょう、埼玉工大と対戦した。序盤に、FW中山雄希(スポ2=大宮アルディージャユース)のゴールで幸先よく先制点を挙げるも、その後は相手のシンプルに裏を突いてくる攻撃に手を焼き、20分に同点ゴールを許してしまう。なかなか自分たちの流れを取り戻せないまま試合はハーフタイムへ。後半に入り、またも中山の個人技が光り勝ち越しに成功し、このまま逃げ切りたいワセダ。しかし77分、痛恨のPKを与えてしまう。それを決められまさかの同点。インディペンデンスリーグ(Iリーグ)優勝に向けた大一番は引き分けという悔しい結果に終わった。

 勝利に向け早めの得点が欲しいワセダ。そんな思惑通り、開始8分に中山が相手DFのこぼれ球に反応。左足を振りぬき、先制弾を叩き込んだ。しかしその後は埼玉工大ペースで試合が進んでいく。DFの裏を狙ったロングパスに対応し切れず、ボールを支配することができない。そんな重苦しい展開の中、20分に左サイドを崩され手痛い失点。同点とされてしまう。なんとか流れを取り戻したいワセダだが、なかなかフィニッシュのかたちをつくれない。逆に埼玉工大FWの強いプレーなどで何度もピンチを迎えてしまい、追加点こそ許さないものの、厳しい状況で前半を折り返した。

全得点をたたき出した中山

 「俺たちはこんなもんじゃないだろ」(MF中谷幸葉、スポ4=千葉・八千代)。ハーフタイムで気持ちを入れなおしたワセダは、後半に入りいきなり好機を演出。GK岩井稜(文3=静岡・藤枝東)のロングフィードを受けた中山がそのままインサイドに切り込みシュートを放ち、反撃の狼煙(のろし)をあげる。その後もDF木下諒(社1=JFAアカデミー福島)などを中心に両サイドからチャンスをつくりながら迎えた70分、木下のロングパスに抜け出した中山が相手DFを背負いながらも冷静に決め、勝ち越しに成功する。その直後、またしても中山が今度は右サイドを駆け上がりゴールを狙うもクロスバーを直撃。追加点には至らなかったが、ワセダ主導で試合は進んでいく。さらに追加点を決めて試合を楽に進めたいワセダだったが77分、相手のクロスに対してクリアし切れずPA内で痛恨のハンド。PKを決められ、再び試合は振り出しに。勝ち越しを狙い、果敢に攻めるも反撃及ばず試合終了。2-2の引き分けで、グループリーグ敗退をほぼ決定づける結果となった。

サイドからロングボールを供給した木下

 Iリーグ優勝に向け状況は厳しくなった。しかし、まだグループリーグ突破の可能性がゼロになったわけではない。さらに、多くの選手から「Aチームに食い込んでいきたい」という言葉が聞かれたように、目標はあくまでもAチームだ。そんな中で残された数少ないチャンスを生かすためにも、「自分たちはワセダとして残された試合を勝ち切るのが責任だと思う」(中谷)との言葉通り、ワセダの誇りを胸に、次節の躍動に期待したい。

(記事 進藤翔太、写真 桝田大暉)

スターティングメンバ―

Iリーグ第11節
早大 1-1
1-1
東京国際大
【得点者】(早)8、70中山 (埼)22望月、77石川
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 岩井稜 文3 静岡・藤枝東
DF 樫尾和明 スポ2 名古屋グランパスU-18
DF 山本新太郎 スポ1 ジュビロ磐田U-18
DF 日高裕介 スポ3 横河武蔵野FCユース
DF 木下諒 社1 JFAアカデミー福島
MF 安田壱成 スポ1 ベガルタ仙台ユース
MF →86分 鈴木裕也 スポ1 埼玉・武南
MF 須藤駿介 スポ1 静岡学園
MF 10 清水大志 創理4 東京・早大学院
MF →70分 臼倉宏 文構1 東京・暁星
MF 鈴木崇文 文構2 東京・早実
MF →61分 中谷幸葉 スポ4 千葉・八千代
FW 中山雄希 スポ2 大宮アルディージャユース
FW 11 西本八博 スポ2 岐阜・多治見北
MF →80分 牟田翼 基理3 佐賀・鹿島
 監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース)

現在の勝ち点【21】6勝3分2敗

コメント

MF清水大志(創理4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っててどうでしたか

今週からTRAUM CUP2014(TRAUM CUP)に参加していて、その中で課題に対してしっかり取り組めて、チームとしてもいい雰囲気の中臨んだ試合でした。ただAチームが見ている中で力を発揮できなかったのはすごく悔しいです。

――スタメンでの出場でしたが何か意識する点はありましたか

自分自身スタメンで出るのがきょねんのこのリーグ以来で、絶対に勝つという気持ちで臨みました。

――相手の裏を突いて蹴ってくる攻撃に対しての守備はいかがでしたか

相手のバイタルエリアの部分をしっかりケアすることができず押し込まれたので、そういうとこでみんなで共通した意識で守備できてれと思います。

――攻撃が単発になった時間帯で意識した点はありますか

自分が意識したのは、自分がアクションを起こして裏に抜け出すということです。前半の部分でラインも下がり押し込めなかったのは後半に修正できたんですが、前半の内に修正できなかったのが悔しいです。

――ハーフタイムでの指示は

自分たちがこれまでやってきたことを信じようと再確認しました。

――TRAUM CUPを経てのきょうの一戦でしたが、何か大会から生かせた部分はありましたか

自分のところでバイタルのパスコースをケアして、ボランチが出た場面でその部分を埋めるというのはできたかなと思います。チームとしては厚みを出そうとしたんですけど、それができなくて残念です。

――グループリーグ突破がかなり厳しくなりましたが、試合後のミーティングではどういった話をしましたか

自分たちは優勝という目標を掲げてやっていた中で厳しい状況になってしまい、潰えてしまったという話も出ました。それでもみんなには個人の目標がそれぞれあり、そこに向かって挑戦しなくてはいけないので、Aチームに刺激を与えられるように次の試合もしっかりやっていこうという話をしました。

――清水選手にとっては残り4カ月間で引退となりますが、最後のシーズンへの意気込みをお願いします

自分が本気でサッカーをやるのはこの期間が最後だと思うので、サッカーが嫌になるくらい、サッカーで燃え尽きれるくらいチームのことを考えて、Bチームから1人でも上に上がれるように、そして自分自身の目標でもある関東リーグ(関東大学リーグ戦)に近づけるように最後死ぬ気で努力します。

MF中谷幸葉(スポ4=千葉・八千代)

――2-2で引き分けとなりましたが、試合を終えて感想は

直近にTRAUM CUP(TRAUM CUP2014)という大会があったんですけど、そこで取り組んできたことというのが今節の立ち上がりでは出せませんでした。ハーフタイムに俺たちはこんなもんじゃないだろって話をして、自分自身も後半途中から入ったんですけど勝ち切ることができずに、自分たちの力の無さというか、自分たちが自信を持って積み重ねてきたものがあったにも関わらず実際に試合に出せないというのが自分たちの課題であって、自信を持って強みを出すというところまでまだ自分たちはきてないのかなというのが率直な意見です。

――具体的にTRAUM CUPで取り組んできたことというのは

攻撃面では、FWの選手のアクションに対して2列目やバックラインがどんどん前に出て、攻撃に厚みを加えようというところです。守備に関してはバイタルエリアのケアです。お互いに守備のポジションを意識することで一番守らなくてはならないところを自分たちで守って、そこから次に危険なエリアに押し出していこうということで、特に中盤の絞り込みというところを意識してやっていました。

――外から見ていた前半の感想は

率直に、みんな力、エネルギーを出し切れていないなというのが感想でした。やっぱり合宿からの連戦で疲労も溜まっていると思うんですけど、その中で自分たちのエネルギーを最初から出し切れなかったというのが悔しいところです。

――具体的に戦術についてはハーフタイムにありましたか

自分たちの中でプレッシャーが掛からないという場面が多くて押し込まれる状況になっていたので、もっと前線から声を掛けて狙いどころを共有してプレッシャーを掛けていこうということは話しました。

――後半途中でご自身がピッチに入る時にはどのようなことを意識していましたか

自分たちの守らなければいけない場所というのをまず確認して、どんどん積極的に押し出していこうというのはチーム全体と話しました。自分としてはこういう均衡した試合の中で、自分自身がチームを勝たせたいという気持ちで入りました。

――ドリブルで裏へ運ぶ場面もありましたが、実際にピッチに入っていかがでしたか

自分のアクションやドリブルでチームの攻撃に深さや厚みを加えたいと思っていたので、積極的にプレーしようと思いましたが、最後のシュート精度で得点までつながりませんでした。やっぱり1点取って勝ち越した中で、最後まで集中力を保ち切れずに勝ち切れなかったというのが守備の課題です。

――次の試合に向けての意気込みを

自分たちもこの試合に当たって、優勝するためにはもう絶対に負けられない一戦だとプレッシャーを背負って戦いました。勝ち切ることはできませんでしたが、優勝と自分たちが最初に誓った大きな目標で、それを達成することは厳しいですけど、自分たちはワセダとして残された試合を勝ち切るのが責任だと思うので、そういった思いで臨んでいきたいと思っています。最終節に向けては、自分の力でチームを勝利に導くというのが一番ですし、結果だけでなく内容もチーム全体で満足いくものにするために、勝つことに満足するのでなく何点も何点も取りにいくくらいの気持ちでやりたいと思います。

DF木下諒(社1=JFAアカデミー福島)

――グループリーグ突破が厳しい状況になりましたが、いまのお気持ちを教えてください

Bチームはずっと遠征に行っていたのですがそこで課題を持って自分たちで話し合いをしながら進めてきた中でIリーグ(インディペンデンスリーグ)を迎えたわけですけど、その課題に取り組めたかというとまだまだですし、Aチームに刺激を与えるほどの取り組みはできなかったと思います。それが2―2という結果につながってしまったので、残念に思っています。

――勝ち切れなかった要因は具体的に何でしょうか

遠征では攻撃に厚みを持たせるというところで、前線にボールを配給した際にそこに2、3人が厚みを持って攻撃することや、守備ではゴールからボールを奪いにいく姿勢を出すことに取り組んだんですけど、その面が甘くて自分たちのチャンスでもう少し厚みを持って攻撃しなければいけなかったですし、ここぞという時に強いパワーを発揮してゴールに迫っていかなければいけなかったと思います。

――ディフェンス面では相手の攻撃にどのように対応していましたか

前半はなかなかファーストプレッシャーが決まらなくて少し押し込まれた時間があったんですけれど、DFラインは4人で試合前にしっかり話し合ってラインを保ってボランチやサイドハーフに声を掛けながら中を絞らせてそこから圧力を与えていくようにやっていたので、そういう面では特に問題はなくできたかなと思います。

――1失点目のシーンを振り返っていかがですか

自分のところでインターセプトした後にクリアを選択すれば良かったのですが、中のクロスに対してもGK(GK岩井稜、文3=静岡・藤枝東)も反応していたので防ぎ切れない失点ではなかったと思います。

――ではなぜ点を許してしまったのでしょうか

ゴールを守るんだという姿勢や絶対にやらせないという気持ちの部分が、あのゴール前で緩んでしまったのだと思います。

――攻撃面についてお聞きします。木下選手がドリブルで仕掛けるシーンも何度かありましたが、ご自身はどのように評価していますか

サイドを突破したりサイドに厚みを持たせることを得意としているので、そういうところでチームを活性化させたり、キックの面で自分がボールを持ったときにFWが動き出してくれるので、そこに丁寧なボールを配給できるように常に意識しています。サイドに厚みを持たせるという部分ではまあまあの出来かなと思います。

――2点目のアシストをされましたがそのシーンを振り返っていかがですか

自分がボランチの須藤(MF須藤駿介、スポ1=静岡学園)からボールを受けたときにフリーでFWの動きが見えていたことと、雄希くん(FW中山雄希、スポ2=大宮アルディージャユース)がいい動き出しをしていたので前にいた相手のセンターバックの頭に引っかからないようにスペースにボールを送るように意識して蹴りました。

――先ほど遠征に行かれたとおっしゃっていましたが、そこでBチーム全体の収穫はありましたか

大会(TRAUM CUP 2014)に出たのですが、その中でケガ人やサブだった人たちも含めてチーム全体で一丸となって戦うというところでチームの一体感が出て1つの目標に対して取り組んでいくという姿勢が前よりも感じられるようになったことは収穫だと思います。ただその中で優勝できなかったので課題をこっちに持ち帰って、これから関東リーグ(関東大学リーグ戦)が始まりますが、Aチームに食い込んでいけるように課題を克服していかなければいけないと思います。

――次戦へ向けての意気込みをお願いします

変わらずにチームとして取り組むべきことは取り組んで、個人としてもチームを活性化させるようなアクションを起こしてゴールに迫る姿勢を見せていって、見ている人の心を動かせるような試合をしていきたいです。

FW中山雄希(スポ2=大宮アルディージャユース)

――きょうの試合の全体を振り返ってみてどうでしたか

個人的にはチームを勝利に導けなかったというのが本当に悔しいです。おとといまで大会(TRAUM CUP2014)にきょうのIリーグ(インディペンデンスリーグ)のメンバーで参加していて、行く前と行った後では大きく成長できていたので、きょうの試合で監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)やAチームのメンバーに証明したかったんですけど、あまりそのことを示すことができなくて、本当に悔しい思いでいっぱいです。

――そんな中でも個人としては2ゴールを挙げるなどいいプレーが多かった印象ですが

いやでもFWなので、2点奪われたなら3点目奪いにいかなきゃいけないし、一回クロスバーに当てたシーンもあって、やっぱりああいう場面で決め切れないとチームも勝ち切れないと思うので、今回の敗戦は自分の責任だと思っています。

――きょうの結果で、Iリーグのグループリーグ突破は厳しい状況となってしまいました

きょうは本当に負けられない試合だったんですけど、こうやって勝ち切れなくて、自分たちはIリーグ優勝っていうのを目指してやっていて、きょうで(グループリーグ突破は)本当に厳しくなってしまったんですけど、あくまでも、関東大学リーグ戦に出て勝利に貢献するっていうのがひとりひとりみんなの目標で、下を向いている暇はないと思うので、切り替えて練習に取り組んでいきたいと思います。

――いまお話にも出てきたように、関東大学リーグ戦がいよいよ来週に迫ってきましたがそれに向けてはどのような気持ちですか

自分は前期のリーグ戦では途中交代とかで(Aチームに)多く関わらさせてもらったんですけど、勝利に貢献することができていなくて、むしろ出たときはチームに迷惑掛けた試合も多くあったので、後期はゴールを取って自分が勝利に貢献したいっていう気持ちがあります。あと1週間という中でできる限りアピールして、関東大学リーグ戦のピッチに立てるよう、残り1週間大切にしていきたいと思います。

FW西本八博(スポ2=岐阜・多治見北)

――試合を終えて全体の感想をお願いします。

チームとしてはタフなスケジュールのなかでしたけど、本当にみんな1本目強く行けてなかったりとか、TRAUM CUP2014(TRAUM CUP)でやってきたことをなかなか出せないなかで前半を終えてしまいとても残念で、後半それをみんなで頑張ってやっていこうって言って、やろうとしたなかでもそれほど力が出せなかったのが本当に悔しかったなと思います。

――早い先制点から追加点まで時間のかかった攻撃を振り返っていかがですか。

前半はシュート数も少なくてFWが攻撃を引っ張っていくことが全然できていなかったので、そういうところで自分がもっと引っ張っていったり、雄希(FW中山雄希、スポ2=大宮アルディージャユース)ともっとコミュニケーションとってやっていかなきゃいけなかったと思うんですけどそういうことができなくて、ハーフタイムにみんなでやっていこうて言って、それで力出して後半最初の方からやっていけたので得点取れて良かったと思うんですけど、得点取った後それほどエネルギーを出していなかったと思うので、そついうところでみんなで声掛けてやらなきゃいけなかったと思います。

――ポストプレーなど西本選手個人の出来はいかがでしたか。

前半の最初の方ボールが全然収まらなくて自分としては苦しい時間帯でしたけど、徐々にボール受けに行ったりとか触る回数増やしていくことで収まるようにはなっていったので少し良かったとかなとは思いますけど、自分が受けて周りの味方を生かすプレーてのがあまりできなかったので、そういう周りを生かすプレーがもっとできるようにならないとなと思います。

――もう一人のFWの中山選手との連携で意識したことはありますか。

特にいつも意識してはないんですけど、距離感近くしてこぼれ球拾いあったりパス交換したりっていうのを意識していますね。雄希は自分で仕掛けることができるので、自分がおとりになって雄希が仕掛けるスペースを作ったりっていうのは意識して、雄希がやりやすいようにプレーすることを意識しています。

――グループリーグ突破が厳しくなってしまいました。

チームとしてIリーグ(インディペンデンスリーグ2014 )優勝しにいくってのは目標に掲げていたことなので、その目標に対して自分たちが達成しづらい状況にしてしまったのは責任感じてますし、このIリーグ獲るのが難しくなってしまいましたけど、違う目標に対して自分たちがやれることはあると思うのでBチームとしてもっともっとAチームに食い込んでいくことであったりとかそういうところをやっていきたいと思います。

――Iリーグ最後の試合に向けて抱負をお願いします。

自分はFWなので得点取ってチームを勝利に導くことが一番だと思うので、今回得点取れなかったので得点というかたちでチームに貢献していくことを意識してこっからトレーニングしていきたいと思います。