ここ3試合勝ちがなく、もう負けられないワセダ。真夏のような暑さの中で、駒大と対戦した。中盤の上をボールが飛び交う展開が長く続き、互いに得点を挙げられないまま前半を終える。均衡が破れたのは55分、FKをきっかけにワセダは失点を喫する。それでも61分にFW武颯(スポ1=横浜F・マリノスユース)が技ありのシュートを決め同点に追いつく。さらに直後の63分には途中出場のMF仲谷将樹(社1=石川・星稜)が冷静に決め、勝ち越しに成功。駒大のシンプルなクロスに危ない場面も幾度かあったが、全員でゴールを守り切り試合終了となった。インディペンデンスリーグ(Iリーグ)優勝に望みをつなぐ勝利となった。
いつものように積極的に仕掛けるも、相手の強固なフィジカルの前に思うように攻め切れない。一方で駒大は積極的にボールを前線に送り何度もチャンスをつくるが、ワセダの守備陣が立ちはだかり得点を挙げられない。押され気味だったワセダも次第にペースを掴み、攻撃の時間を増やしていく。22分には相手DFがクリアミスしたこぼれ球を拾ったDF鈴木崇文(文構2=東京・早実)がそのままシュートを放つも、惜しくも得点とはならなかった。攻守の切り替えが素早い試合運びとなり、両者とも満足にシュートを打てないまま0-0で前半を折り返す。
積極的に戦線に顔を出した鈴木崇
後半、立て続けにサイドを攻めゴールを狙う。しかし55分、PA付近からのFKをきっかけに先制を許し、前節と同じく先制点を奪われる苦しい展開となる。負ければ優勝がなくなる――。この失点が攻撃陣を奮起させた。61分、中央付近でボールを受けた武が個人技で相手DFをかわし、ゴール左上を狙ってシュート。相手GKも手が出ないほどの素晴らしい軌道を描き、待望の同点弾となった。なおも63分、MF今来俊介(商1=神奈川・桐光学園)が絶妙なスルーパスを出すと途中出場の仲谷がうまく反応、確実に決めた。逆転され、後がない駒大は残り時間の多くを得意のパワープレーに費やした。それでも80分にはGK岩井稜(文3=静岡・藤枝東)が鋭いシュートをパンチングで防ぐなど、随所で良いプレーが見られそのまま試合終了。3試合ぶりの勝利によって、首の皮一枚で優勝の可能性を残した。
途中出場から逆転弾を決めた仲谷
ゴールを決めた武、仲谷、そしてその2ゴールそれぞれに関わった今来と、各所で1年生が目立った。「1年生は結構期待されているうまい選手が多い」と今節、献身的な働きをみせた鈴木崇も語る。ここのところ決定力不足に悩んでいるだけに、勢いのあるルーキーの力が必要になってくるだろう。残り少なくなったIリーグの行方ももちろんだが、未来のワセダ戦士の活躍にも目が離せない。
(記事 菖蒲貴司、写真 高柳龍太郎)
スターティングメンバ―
Iリーグ第9節 | ||||
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早大 | 2 | 0-0 2-1 |
1 | 駒大 |
【得点者】(早)60武、63仲谷 (駒)57鈴木 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 岩井稜 | 文3 | 静岡・藤枝東 |
DF | 2 | 永井あとむ | スポ4 | FC東京U-18 |
DF | 3 | 熊本雄太 | スポ1 | 東福岡 |
DF | 4 | 日高裕介 | スポ3 | 横河武蔵野FC |
DF | 5 | 鈴木崇文 | 文構2 | 東京・早実 |
MF | 6 | 鈴木裕也 | スポ1 | 埼玉・武南 |
MF | →12分 | 海野洋介 | 社4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 7 | 小林大地 | スポ2 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 8 | 今来俊介 | 商1 | 神奈川・桐光学園 |
MF | 9 | 中谷幸葉 | スポ4 | 千葉・八千代 | FW | 11 | 武颯 | スポ1 | 横浜F・マリノスユース |
FW | →90分 | 西本八博 | スポ2 | 岐阜・多治見北 |
FW | 10 | 牟田翼 | 基理3 | 佐賀・鹿島 |
FW | →58分 | 仲谷将樹 | 社1 | 石川・星稜 |
監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース) |
現在の勝ち点【18】6勝1分2敗
コメント
MF小林大地(スポ2=千葉・流通経大柏)
――きょうはボランチでの出場となりましたがいかがでしたか
ボランチは初めてじゃないし、できるポジションなのでチームを勝たせようと努力しました。
――これまでのFWのポジションよりもフリーでボールを受ける回数も多かったですがいかがでしたか
中盤ってこともあり前を向きやすいポジションなので、いい状況でボールを持ってやりたいことができたと思います。
――相手はフィジカルを押し出してくるチームでしたがどういったプレーを心掛けましたか
きょうは自分の上をボールが通ることが多くなると思ってたので、セカンドボールを拾うことを意識して臨みました。
――サイドチェンジからいい攻撃も生まれてましたが
相手が片方に固まることが試合中に分かったので、少し意識的にやりました。
――守備面ではいかがでしたか
相手はロングボールを多用してきて体も強かったですけど、しっかりセカンドを狙えてうまく守備できたと思います。
――逆転で勝ったことはどう捉えてますか
前向きな捉え方をしてます。最後まで走り切ることもできましたし、最近勝ててなかったのできょうは勝ち切れて良かったです。
――次節、そしてAチーム昇格への意気込みをお願いします
Iリーグ(インディペンデンスリーグ)はもう負けられないので絶対勝つのと、自分個人としてもIリーグでアピールしてAチーム上がって試合出て、その中でもAチームを勝たせたいと思ってます。
DF鈴木崇文(文構2=東京・早実)
――チームとして久々の勝利となりましたが、試合を終えていかがですか
負けたら後が無い状況だったので、とりあえず勝てて良かったと思っています。
――自身も久々のスタメンでしたが
前回は練習の段階であまりうまくいかなかったので駄目だったんですが、1週間頑張って(スタメンを)勝ち取れたので結果を残したいなと思っていました。
――チーム内の競争の激しさがスタメンからも伺えますが、その点についてはいかかでしょうか
本当に安定というものは無くて、1回の練習でポジションを奪われてしまうような緊張感があります。
――1年生の活躍も目立ちましたが
1年生は結構期待されているうまい選手が多いんですが、2年生として絶対に負けられないです。
――積極的にシュートを狙いに行っていたのも意識してのことだったのでしょうか
やはりシュートを決めることが一番のアピールになると思うので、その点については意識して打ちにいっていました。
――きょうはサイドバックでしたがサイドハーフでやることも多いと思います。自分のベストボジションといったものはあるのですか
どちらのポジションもできるので、そういったものはあまりないですが、サイドバックの方が自分の強みであるスピードや運動量をより生かせるかなと思います。
――きょうは両チームともなかなか球が落ち着かない試合展開となりましたが
相手も蹴ってくるチームだったので、試合前からこのような展開になることはある程度予想していました。そういった中でも勝てたのは大きいです。いままでだと、こういった相手に打ち勝つというのは難しかったですが、こういう蹴ってくる相手に打ち勝てたのは自信につながったと思います。
――反省点を挙げるとしたらどういったことがありますか
この1週間の練習でいろいろな目標があったんですが、1週間でやってきたことがあまり出せなかったかなと思います。裏へのアクションだったり、アクションで相手を置き去りにすることができていなかったかなと感じました。まだまだ足りないです。
――最後に、次戦以降へ向けて一言お願いします
次の試合も負けられないです。とりあえず1位通過が絶対条件だと思っているので、絶対負けないように次の1週間も頑張っていきたいです。
MF今来俊介(商1=神奈川・桐光学園)
――きょうの試合全体を振り返って
一週間準備してきた中で前半は自分たちの良さが出せませんでした。でも接戦の中で勝てた、ということは一つ良かった点だと思います。
――フィジカルを押し出してくる相手に対しボールが落ち着かない時間帯もありましたが、その時間にどういったプレーを心掛けましたか
相手のサッカーは分かってたので空中戦になるのは予想できてました。その中でセカンドボールをいかに拾うかを意識してやってました。
――今来選手自身が中に入ってきてボールをさばき、逆サイドに振る場面もありました
サイドに展開すればチャンスになると思ってました。ボールを持った時チャンスだったら自分で仕掛けていきたいんですけど、まずは簡単にはたくことを意識しました。
――先制点のアシストの場面を振り返って
ボールを出してすぐ自分が動くことで颯(FW武颯、スポ1=横浜F・マリノスユース)がフリーになったので良かったと思います。
――2点目もスルーパスで起点になりました
自分はパスしただけなんで、決めてくれたという感じですね。
――ここ3試合勝ち星がなかった中できょう勝てたのは大きいと思います
そうですね。今週一週間すごくいい準備ができてたので、いい準備ができればいい試合ができると分かりましたし、また一週間頑張りたいです。
――ゴールの方も狙ってますか
そうですね。最近ゴールが乏しいので狙っていきたいです。
――次節への意気込みをお願いします
自分的には先制点が大事だと思ってるので、自分が決めれるようにまたしっかり準備していきたいです。
FW仲谷将樹(社1=石川・星稜)
――きょうの試合を振り返って
駒大は球際も強く、自由にやらせてもらえないという部分もあったのですが、途中出場でひとつゴールを決めることができて、満足はしていないですが、結果を出せたことがうれしいです。
――途中出場でしたが、どのような調整をしていましたか
途中から試合に出るのは難しいことですし、きょうは特に緊張した試合だったので、精神的にも体力的にもしっかり準備して、特にメンタルの部分では絶対に自分が入ってフワッとした雰囲気にならないように心がけていました。
―― 今来選手からの絶妙なスルーパスにうまく反応してのゴールでしたが、そのプレーを振り返って
自分は、裏に抜けてDFと横に並んだら勝てる自信があるので、横に並んだ時点で「もらった」と思いました。
――フィジカルが強い駒大の選手に対してどのような印象を持ちましたか
自分自身も一度接触で負傷したのですが、駒澤は球際が強くて他にはないプレッシャーがありました。
――仲谷選手も含めて1年生の活躍が目立ちますが、どのように感じていますか
1年生が引っ張っていこうと常に学年で言っていることですし、(1年生が)結果を出すことで他の1年 生にも刺激になると思うので、今はいい感じで来ていると思います。
――優勝の可能性がある中で、次節に向けての意気込みをお願いします
ひとつでも負けると優勝はないということで、自分たちは常に緊張感のある試合をこなすことで成長できていると思うので、成長できる機会をもっと増やすという意味では、次も必ずゴールを決めてどんどん次につなげていきたいです。