「勝てば天国、負ければ地獄」(GK松澤香輝副将、スポ4=千葉・流通経大柏)。トーナメントでもリーグ戦でもない、唯一無二の決戦・第65回早慶サッカー定期戦が等々力陸上競技場(等々力)で行われた。1万人以上の観客を集めた一戦は前半から慶大がペースをつかむ。しかしビックチャンスなどを迎えるがものにできず後半を迎えると、FW上形洋介(スポ4=東京・早実)がヘディングで決め先制に成功。慶大のパワープレーを跳ね返しこの1点を守り抜いたワセダが、見事3連覇を達成した。
「ここまで先輩たちが勝利を築いてきてプレッシャーはあった」(MF近藤洋史主将、スポ4=名古屋グランパスU-18)。試合の序盤で主導権を握ったのは荒鷲イレブンだった。開始早々の6分、左サイドからの低いクロスに反応したMF増田湧介主将がファーストシュートを放つと、持ち味の堅い守備からの速攻を披露。FW宮地元貴のフィジカルを生かしたプレーになかなかラインを押し上げることができない。それでも10分を過ぎたところからMF近藤貴司(教4=三菱養和SCユース)、DF新井純平(スポ2=浦和レッズユース)の右サイドコンビを中心に相手ゴールに迫り始める。16分には近藤貴のグラウンダーのクロスがPA内まで通ったが、最後は誰も合わせられない。前半最大の見せ場は39分、慶大がロングボールからカウンターを展開。FW加瀬澤力が飛び出しGKと一対一を迎えるが、狙い澄ましたループシュートは枠の外へ。九死に一生を得たワセダは0-0で前半を折り返す。
この男はやはり何かをもっていた
後半も慶大のシュートから始まり、不安なムードが漂い始めたワセダ。しかしその不安を一掃したのは、やはりこの男だった。47分、CKからのヘディングが一度は防がれるも、そのこぼれ球に反応した上形が頭で押し込み先制。2年前を彷彿とさせる一撃に『紺碧の空』がとどろくエンジ一色のスタンド。この一点で楽になったワセダは徐々に『らしさ』を取り戻し始める。FW市村一貴(文3=神奈川・桐蔭学園)ら前線の選手が大胆に仕掛け、さらにセカンドボールの回収から二次攻撃を展開。78分にはFW宮本拓弥(スポ3=千葉・流通経大柏)の左サイドのシュートからこぼれ球に近藤貴が反応。惜しくもオフサイドとなったが攻撃に厚みをもたらし何度も相手守備陣を脅かす。何としても追いつきたい慶大はロングボールを多用したパワープレーを継続。試合終了間際には空中戦から危ない場面もあったが、ここはMF奥山政幸(スポ3=名古屋グランパスU-18)を含めた守備陣が奮闘し、最後までゴールを割らせず。等々力の夜空に鳴り響くホイッスル。その瞬間、ワセダの三連覇が確定した。
勝利の瞬間歓喜するワセダイレブン
ここ数試合勝ち切ることのできなかったワセダ。アミノバイタルカップ、天皇杯東京都予選では自分たちのサッカーができず、どうしても得点が奪えなかった。だからこそこの一勝がもたらす意味は大きい。決して90分を通して相手を圧倒できてた訳ではない。それでも、勝利に飢えていたイレブンにとっては何よりの結果となっただろう。「これを機にもっと成長していかなければいけない」(新井)。目指すは関東大学リーグ戦制覇。その悲願に向け、エンジイレブンが新たなスタートを切った。
(記事 増山祐史、写真 佐藤裕樹、芦川葉子)
表彰式
★やっぱり『早慶男』だった!
決勝点となるFW上形洋介(スポ4=東京・早実)が今大会のMVPに輝いた。2年前にもヘディングから先制点をマークしMVPに選ばれているストライカーは試合後、「何か持っています(笑)」と笑みを浮かべ振り返った。これで早慶戦では5戦4発。まさしく『早慶男』である上形が伝統の一戦の歴史にその名を刻んだ。
MVPに輝いた上形
スターティングメンバ―
第65回早慶サッカー定期戦 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 1 | 0-0 1-0 |
0 | 慶大 |
【得点者】(早)47上形 |
早大メンバー | ||||
---|---|---|---|---|
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 松澤香輝 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
DF | 22 | 新井純平 | スポ2 | 浦和レッズユース |
DF | 4 | 金澤拓真 | スポ3 | 横浜F・マリノスユース |
DF | 3 | 田中進之介 | スポ4 | 湘南ベルマーレユース |
DF | 13 | 西山航平 | スポ3 | 浦和レッズユース |
DF | →73分 | 八角大智 | 社3 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 2 | 奥山政幸 | スポ3 | 名古屋グランパスU-18 |
MF | ◎10 | 近藤洋史 | スポ4 | 名古屋グランパスU-18 |
MF | 7 | 近藤貴司 | 教4 | 三菱養和SCユース |
MF | 17 | 市村一貴 | 文3 | 神奈川・桐蔭学園 |
FW | 9 | 宮本拓弥 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 15 | 上形洋介 | スポ4 | 東京・早実 |
FW | →90分 | 秋岡活哉 | 政経4 | FC東京U-18 |
◎はゲームキャプテン 監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
コメント
古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
多くのお客様が観に来てくださる中で勝つことができて良かったと思います。
――試合前のミーティングでは選手たちにどのような話をなさいましたか
嬉し涙でも、悔し涙でも、試合が終了したときに心から涙を流せるような自分の全力を出し尽くした試合をしよう、と。自分たちが心からの涙を流せる試合ができれば、きっと来てくださった方々に何かを感じ取って頂けるから、という話をしました。
――前半押され気味の試合展開でしたが、後半どのようにして試合に挑みましたか
とにかく今のままではゴールは生まれない、と話をしました。ゴールを奪うためにゴールに向かって本気で仕掛けること、ダイナミックにアクションを起こすこと、クロスに対してゴール直結の入りをすることを求めました。
――最近の大会では結果がでない苦しい期間でしたが、何か特別に強化した部分はありますか
強い心をつくりあげること、それに尽きます。心を鍛え上げるためにハードな2部練習を繰り返してきました。また、選手間や、スタッフ選手間でも大きなストレスやプレッシャーがかかるような厳しい働きかけをして、それに打ち克つだけの精神力をつけていく、という取り組みをしてきました。
――きょうの試合結果で、チームにまたいい流れをもたらしたと思いますが
本当の勝負は後期のリーグ戦です。関東大学リーグ戦で優勝することだけが、支えて下さる全ての方々のご恩に報いる唯一の方法だと考えているので、この2ヶ月間、厳しいトレーニングを積み重ねる中で、部員一人ひとりがもがき苦しみ、葛藤を繰り返し、誰にも負けない強い心を身につけていきたいと思います。
――では最後に、きょうの試合に来た方々に一言お願いします
後期のリーグ戦で、18年ぶりの優勝を勝ち取ることを改めて誓いたいと思います。またその歓喜の瞬間を皆さんと一緒に分かち合えたらと思います。これからもア式蹴球部をよろしくお願いいたします。
MF近藤洋史主将(スポ4=名古屋グランパスU-18)
――いまの率直なお気持ちは
ホッとしましたね。自分の代でプレッシャーはありましたけど、こういうふうに勝てたので良かったというか、ホッとしてます。
――試合前の雰囲気は
試合前は何が何でも勝ちたいという思いでした。おばあちゃんとか、いとことかいろんな人が見に来てくれてて、そういう人たちに自分が輝いてる姿を見せたいなと思ってました。
――緊張はありあしたか
緊張というとあれですけど、プレッシャーはありました。先輩方が連勝の記録をつくってくれてたので、自分がキャプテンの時にそれを終わらせるわけにはいかないと思ってました。
――開始早々は慶大の強みが出てましたが前半の入りはいかがでしたか
まあ、こんな感じかなと。自分たちのサッカーができないからといって焦ってしまうのがアミノバイタルカップだったりとか、天皇杯(天皇杯東京都予選)だったんで。そんなに短期間で変わるわけでもないですし、スコアも0-0でしたし、修正する部分は修正しなくちゃいけなかったですけど、自分の中でそんなに焦りはなかったです。
――サイドの選手が持った時に前線に上がっていくシーンが多かったですが、あれは意識的にですか
そうですね。どれだけゴールに向かっていけるか、相手を脅かせるかだと思ってましたし、後ろよりも前で動かす方が相手にとって嫌だなと思ってたので、そういった意味で積極的に前で引き出すってのを意識してました。
――カウンターから危険なシーンも招きましたが慶大の攻撃の印象はいかがでしたか
彼らもことしは勝負にこだわっていて、守備から攻撃への切り替えの速さってのをやってました。その中でそういった攻撃は脅威だったと感じてます。
――相手の6番(浅間翔大)とやり合うシーンが多かったですが振り返って
リーグ戦(関東大学リーグ戦)の時は結構セカンドボールとかを自分が拾って自由に展開することができたんですけど、そこを修正してきて自分に前を向かせないだとか、サイドに展開させないように注意してやってきてるなというのは感じてました。
――ハーフタイムはチームでどういったことを修正しましたか
ゴールに向かうベクトルっていうのが弱かったし、一人一人がもっとゴールに向かった攻撃をしないと何も相手は怖くないので、もっとゴールに向かうベクトルを出していこうというのを話しました。
――先制点のCKのキックはいかがでしたか
前半のところからイメージ通りのキックを蹴れてたので、流れの中でチャンスをなかなかつくれませんでしたが、CKのところで必ずつくれると思ってたので、そういった意味で得点につながって良かったと思います。
――後半の攻撃は流動性もありましたが要因はどこにあると考えてますか
やっぱり積極的なプレーも出てきましたし、得点が入った後もみんなの前への意識が強かったので、そういったところがつながったと。うまく修正して後半に入れたと思います。
――ここ数試合得点力不足が課題となってましたが、きょうはFW宮本拓弥(スポ3=千葉・流通経大柏)選手が積極的にシュートを打ちにいくなどゴールへの意識が強かったように思えます
やっぱりそれぞれが自分が点を取るっていう意識を持ってましたし、積極的なプレーが後半のところで出てたので相手にとっては脅威になってたのかなと思います。
――慶大も最後はパワープレーを多用してきましたが、守備面ではいかがでしたか
一瞬一瞬の積み重ねだと思ってたので、守備の部分でも一瞬の隙を見せたらやられますし、スコアも1-0だったので、そういった意味で全員い集中を促して、シュート打たないであったり体を寄せるであったりして、集中力を保ってプレーできたと思います。
――試合終了の時は比較的冷静な様子もうかがえましたが
うれしかったのと、ホッとしたっていう感じですね。
――正直MVPを取れなかった悔しさはありますか
ありますね。欲しかったですよ、MVP。
――点を取りたかったですか
そうですね。点も取りたかったです。
――FW上形洋介(スポ4=東京・早実)選手にはどういった言葉を掛けましたか
え、お前かよって感じですね(笑)。またお前かよと。チームの反応も、またお前取るか、って感じでしたね(笑)。
――試合後のチームの雰囲気は
すごいよろこんでましたし、達成感とかあったと思います。
――ここ数試合勝ち切れない試合が多かったですが、きょう勝てたのはチームとしていかがですか
すごい良かったですし、これをプラスに変えてオフシーズン高めていかないといけないですし、これを機にもっともっと上に上がっていきたいと思います。
――これからのオフシーズンのトレーニングどういった部分を重点的に高めていきたいですか
後期リーグ戦に向けて優勝するだけの力は全くないと思うので、一人一人がもっと強くもっとうまくならないといけないですし、もっと試合を読めるようにならないといけないと思います。オフシーズンでそういったところをかみ砕いて、高めていきたいと思います。
――きょうは1万人以上のお客さんが来てくれてましたが、応援してくださった方とここまでサポートしてくださった方へ一言お願いします
初の等々力(等々力陸上競技場)開催ということで、運営してくれる学生スタッフだったりとか大変そうでしたし感謝したいです。またきょう会場に足を運んでくれて自分たちはパワーをもらいましたし、そのおかげで最後まで走り切れたと思います。これだけ支えてくれる方がいるんだというのをきょう改めて実感できたので、そういった方々に勝利を届けられて良かったです。そしてこれからもっともっと歓喜の瞬間を迎えられるように自分たちを高めていきます。きょうは本当にありがとうございました。
GK松澤香輝副将(スポ4=千葉・流通経大柏)
――最後の早慶サッカー定期戦となりましたが、どのような意気込みで臨まれましたか
早慶サッカー定期戦で3連勝するという目標と、ここ最近4試合で勝てていなかったので、勝って終わりたいという気持ちで臨みました。
――試合前に緊張はしましたか
緊張は全くなかったです。多くの観客がいる中でのプレーというのは、2年3年のときにやっているので、決して緊張することはなかったですが、4年生というプレッシャーは感じていたので、緊張というよりは、勝たなければいけないというプレッシャーの中でプレーしました。
――試合が終了時にピッチに倒れこまれていましたが、その瞬間はどのような気持ちでしたか
ほっとした、という一言に尽きると思います。自分としては総理大臣杯で全国大会に出たかったですし、リーグ戦(関東大学リーグ戦)で専大に勝ちたかったですし、そういった中で結果を出すことができなかったので、勝っていろんな人に申し訳ないという気持ちが出てきました。4試合で1得点8失点というのは、キーパーとして不甲斐ない結果になってしまったので、無失点で終えられてほっとしました。
――試合内容を振り返ってみていかがですか
前半は自分たちの強みを出せたり出せなかったりといった状況でしたが、実際にゴールへの強さがまだまだ足りなかったと思います。守備の部分でもスローインや相手の1本のキックから、ピンチをつくられていて、試合全体を通していつやられてもおかしくない状況が数多くあったので、まだまだ守備のところで隙も多くありますし、課題の残ったゲームだったと思います。
――個人的にご自身のプレーを振り返ってみていかがですか
慶大の攻撃パターンとして、リスタート、セットプレーからの得点を多く挙げられていたので、そこに対してまずクロスに出るということを意識しました。クロスに対してアグレッシブにチャレンジすることはできたかなと思いますが、キックのところですべて成功したかと言われると、そうではなかったと思いますし、声が通りにくい中での連携というのは、まだまだ足りないのではないかと思うので、個人的にはまだまだ満足のいくプレーはできなかったと思います。
――今回の早慶サッカー定期戦は、どのような試合でしたか
毎年そうですけど、この1年この試合のために準備してきた期間というものが長くて、リーグ戦の早慶戦とはまた違ったものだったので。勝てば天国負ければ地獄ということを認識していたので、そういったゲームだなと思いますし、勝つしか許されないゲームかなと思います。
――最後に夏に向けての課題、また意気込みをお願いします
まだまだチーム内で競争というのは足りないと思いますし、4年生はことし最後ということで、最後に試合に出て引退するという気持ちがまだまだ4年生の中には足りていないと思うので、そういったことを練習からみせる選手というのはまだまだ少ないですし、チームどうこうというより、4年生が自分が試合に出て活躍すんだという思いを練習から表現することは大事だと思います。チームとしてももちろんトレーニングの中で自分たちの強みに磨きをかけることだったり、チームとしてまとまりを出すこともそうですけど、4年生がチームを引っ張れるような集団になっていけるように、ぼくも含めて4年生に促していきたいなと思います。
FW秋岡活哉(政経4=FC東京U-18)
――最後の早慶サッカー定期戦(早慶戦)でしたが、どのようなお気持ちで臨みましたか
ことしが最後の早慶戦ということで自分が出て活躍できたらいいなと思っていたのですが、正直に言うとチームは勝ちましたが、自分は最後に少ししか出場できなかったので悔しい思いがあります。
――チームの勝利が決まった瞬間はどのようなお気持ちでしたか
3連勝しようとみんなで話していたので、勝つことができた瞬間は本当にうれしかったです。
――久しぶりの公式戦になりましたが調子の方はいかがですか
自分の自己管理の甘さやケガをしてしまったせいで、前期は全然チームに貢献できなくて、いまもなんとか間に合わせたという感じなんです。試合が終わった後に監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)から「ここからだ」という話をされましたし、最後に少し出してもらえたのでこれから後期への期待もあると思うので、後期はチームに貢献できるようにしていきたいです。
――具体的にはどういったケガをされたのですか
早慶戦の1カ月前に足首の靭帯(じんたい)を断裂してしまいました。松葉杖になってその時に全治2カ月と言われて絶望感を味わったのですが、最後の早慶戦ということで、チームに1週間帯同しないで治療だけに専念させてもらったり、トレーナーに復帰までの日替わりのスケジュールを立ててもらったりして、きょうに合わせてプレーできる状態に持ってこれたのは良かったと思います。
――交代するまでベンチで試合を見ていていかがでしたか
早く出たいなと思っていて、0―0の状態で途中投入されるのが自分にとっては一番理想的だったのですが、洋介(FW上形洋介、スポ4=東京・早実)が点を決めてくれて出れるかなと思ってどきどきしながら見ていました。
――途中出場する時に、古賀監督からは何と声を掛けられましたか
監督からは、「追ってこい」と言われました。ゲーム展開的に最後しっかり試合を締めるというところと、個人的にはチャンスがあったら点を決めたいと思っていました。
――少しの時間ですが出場して自分自身のプレーに関してはどう思われていますか
2、3分しか出ていないと思うのですが、2回くらいチャンスに結びつけられそうなシーンがあってそこをしっかりものにできなかったというか。スローインから反転したシーンやゴール前で背負いながらコントロールしたシーンはプレーの精度を高めていったらチャンスになったかなと思うのでそこは反省しています。
――スタメン争いに勝つための課題は何でしょうか
3年から継続してプレーできていないということが現状なので、ケガをしないことと、オフシーズンも厳しいトレーニング続くと思うのですが、しっかりコンディションを上げていって後期のリーグ戦(関東大学リーグ戦)には万全の状態で行きたいと思います。
――今後の具体的な目標を教えてください
スタメンを取って、後期のリーグ戦は11試合ありますがそこで10得点はして、インカレ(全日本大学選手権)では5得点して、関東リーグ優勝と日本一に自分が貢献したいと思います。
FW上形洋介(スポ4=東京・早実)
――試合を終えたいまの感想をお願いします
いやあ…。うれしさというよりも、ほっとしたという思いが強いです。ほんと自分にプレッシャーをかけていたんで。それに打ち勝った自信というか、達成感というのはあります。
――チームの状態はいかがでしたか
天皇杯東京都予選で負けて、一人一人が吹っ切れました。目つきが変わった選手も多かったですし、試合の中でも言い合ったりぶつかったりする場面もありました。それこそがワセダだと思うので、きょう勝てるなという感じはしていました。
――直前になってケガをされたようですが
紅白戦で接触して、バーナー症候群というのになってしまって。「1週間くらい安静にして」と言われたんですけど、「時間がないんです」と医者に話しました。そしたら2、3日でやっていいということになりました。
――焦りなどはありましたか
はい。足首もやってしまっていて。Bチームから始まって、やばいなって思っていました。でも監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)が上げてくれました。
――試合内容について伺います。立ち上がり、早大は硬かった印象がありますが
硬かったですね。
――その中でも上形選手は積極的にバイタルエリアなどに入っていっていましたね
はい、自分は体が軽かったです。
――以前、慶大の守りは堅いというふうにおっしゃっていました
(自分が)早慶戦で点を取っているから、意識されていたかなというのはあります。なかなかフリーにさせてもらえなかったですね。いつも以上にプレッシャーがかかっていたかなと思います。
――ハーフタイムに話し合ったことは
「このままじゃ勝てない」という声がチーム内で上がっていました。そこでスイッチを入れ直したという感じですね。「一瞬一瞬後悔のないようにやろう」という話をみんなでしていました。
――後半開始早々にゴールを決めましたね
ごっつぁんゴールですね。セットプレーで、拓真(DF金澤拓真、スポ3=横浜F・マリノスユース)がヘディングしたのがはじかれて、上に上がったボールを頭で入れた感じです。
――ごっつぁんゴールと言っても、常にゴールを意識しないと入らないようなゴールだったように思います
ありがとうございます。小っちゃいころから、自分のところに転がってくるんですよね。何か持っています(笑)。
――その後、ワセダは落ち着いてプレーできた印象があります
そうですね。拓真中心に後ろが締めてくれたので、勝ち切ることができました。
――たくさんの方が応援に駆け付けていましたね
きょう見に来てくれた人は、自分がゴールする姿だったりボールを追い掛ける姿だったりを見に来てくれた人だと思います。実際に点を取ることができて良かったです。
――長年一緒にプレーする園田選手(MF慎一郎、社4=東京・早実)は惜しくも出場なりませんでした
そうですね、あいつの涙を見て気持ちが伝わってきました。何だろうな…。一緒に出たかったのは確かですが、あいつの分まで頑張れたかなと思います。
――今後に向けて
自分はプロを目指しているんですけど、その自分の夢のためにも、チームが関東大学リーグで優勝するためにも、大事な夏になってくると思います。個人としてもチームとしてもこの夏が勝負になってくるので、一日一日を無駄にせずやっていきたいです。
MF近藤貴司(教4=三菱養和SCユース)
――最後の早慶戦を終えて感想を
勝てたことは本当に率直にうれしいですし、3連勝した意味は本当に大きいと思うので勝てて良かったです。
――初めてとなる等々力陸上競技場での開催でした
最初に感じたのがピッチ状態がすごく良いなって。動き回れるかなって感じました。あと、バックスタンドに観客が入っていたので、より人が多くいる感じがしたので、やっていてすごく楽しかったです。
――慶大に対しては今季関東リーグでも戦っていますが、きょうの試合について何かこれまでと違った部分はありましたか
スカウティングする時はいつもブロックを引いてきてそこからカウンターというイメージを共有しているんですけど、個人的には、やった中でも前からプレッシャーきて、『早慶戦仕様』のような戦い方をしてくると思っていました。きょうも同じような感じできたので、むしろありがたかったなと思っています。
――前半は相手の勢いに押されている印象もありましたが
自分は押し込まれてるとは感じていなかったですし、その中でチャンスもありましたし、そこで決め切れなかったのがちょっと痛かったかなというふうには思っていました。
――右サイドで攻撃の起点となりました
対峙(たいじ)した選手もそこまでスピードは無かったので、相手の背後であったり、純平(DF新井、スポ2=浦和レッズユース)とのコンビネーションをうまく使って崩せてはいたんですけど、きょうもゴールに結び付けられなかったので、まだまだだなって思います。
――後半の入りに関して
ゴールを決めたいなというふうに思ってました。0-0だったら本当につまらない試合になってしまうなと思ったので、ゴールを奪いたいなと。
――後半からはワセダがチャンスをつくり出す場面が多く見られてきました
洋介(FW上形、スポ4=東京・早実)がゴールを決めてから相手が前掛かりになってきたので、自分のスペースは非常に空いているなと感じた中で何度か良いボールが入ってきてチャンスがつくれていたんですけど、そこでダメ押し点を決められなかったので、駄目でした。
――相手のカウンター攻撃などで危ない場面もありましたが、試合を通して守備面での評価は
カウンターの場面は自分たちのミスで奪われてというところで、そこは一人一人の意識というか能力だと思いますし、まだまだだと感じました。ただ、CKやスローインの場面で最後の最後まで体を張って守ったというところでは評価できるのかなと思っています。
――ご自身が目標とされていた『得点を決める』ことは達成できませんでした
それに尽きると思います。チャンスはつくれていてもゴールを決めなきゃ意味が無いので。練習します。
――ご自身のところで決定機が巡ってこなかったという部分はありますか
やっぱり、みんな前に前にと攻めていっている中で、視野というか見えている範囲が狭いので、逆サイドである自分たちの右のところで、純平や自分がフリーという場面が何度もありました。そこは出ている選手に改善してもらうことができればなと思います。
――ゴールを決めることはできませんでしたが、良い位置へのクロスを上げるなどチャンスをつくり出しました
チャンスはつくりましたけど、ピンポイントのクロスを合わせられなかったですし、前半洋介に出したスルーパスも通らなかったので、まだまだ最後の質というのを上げなくてはいけないかなと思います。
――ご自身の思う『ベストゲーム』には届かなったというところでしょうか
全然納得していないので。試合内容を見ても、90分間を通して自分たちのサッカーができたわけではないので、きょうは本当に勝てただけかなと思います。
――これからしばらく公式戦が無い中で、これからのシーズンをどのように過ごしていきますか
テスト期間の1週間以外は2部練が続くので、その期間に対しては一人一人がよりサッカーに集中できると思います。7月はまだ授業がありますけど、8月から始まる菅平合宿と東伏見合宿では一人一人がよりサッカーに向き合って成長していくことがチームに必要だと思うので、全員でやっていきたいと思います。
――今季最大の目標は『関東リーグ優勝』だと伺っています。後期につなげていくために、この夏はどのような位置づけになりますか
個人的には勝負の夏だと位置付けていますし、2部練など練習がたくさんある中で、自分のストロングポイントであるスピードやドリブルをより極めていかなくてはならないです。Jに練習参加するチャンスもあるので、活躍というか評価を高めるチャンスを生かせるかは自分次第だと思っています。1日1日を大事にしてやっていきたいと思います。
MF園田慎一郎(社4=東京・早実)
――早慶サッカー定期戦(早慶戦)を終えて、いまのお気持ちを教えてください
早慶戦というのは、やはりお互いのプライドと意地がぶつかり合うすごく大切な試合なので、ワセダが勝って良かったと思います。
――試合終了直後、泣いていらっしゃいましたがその時には何を考えていたのですか
この早慶戦は中学生のころから出たいなと思っていて、10年くらい自分の憧れであり目標だった試合なので、それに出ることができずに終わった虚しさと寂しさが一気に込み上げてきたという感じの涙でした。
――それはやはり悔し涙ですか
そうですね。悔しさの方が大きいかなと。完全に個人的な涙になってしまいました。
――試合を見ていていかがでしたか
みんなが一人一人戦ってくれていて、ワセダらしい戦いが観客の方にも伝わって会場全体が一つになって早慶戦という試合をつくりあげていたので、とても良かったと思います。
――FW上形洋介選手(スポ4=東京・早実)がMVPを取りましたがそのことについてはどう思われますか
MVP奪還ということを掲げていましたし、そこにいて押し込むというあたりが上形らしさだったと思います。その1点で勝ってMVPを取って勝利に導いてくれたので心からおめでとうと言いたいです。
――試合後に上形選手とは話されましたか
話すことはあまりなくて、すれ違った時にハイタッチをしたりとか。お互いの言いたいことはアイコンタクトくらいでわかりますし、後でゆっくりおめでとうと伝えたいです。
――早実の方もたくさん応援に来ていたと思いますが、やはりうれしかったですか
みんなが高校時代のユニホームを持って一つになって応援しようと言ってくれていたので、こうやって自分たちの試合を見に来てくれて盛り上げてくれて、また一緒に会った時にそれが話題となって仲が良くなっていくのかなと思います。
――これからポジションを奪うために自分に何が必要だと思いますか
もう一度自分の原点に戻るというか、自分の強みをほかの人には負けないものにしていかないといけないと思います。それができればまた試合に出る機会はおのずと来るのかなと思っているので、残り半年ないですが、自分の行けるところまで行ってワセダの勝利に貢献できるようにしたいです。
DF田中進之介(スポ4=湘南ベルマーレユース)
――ラストイヤーの早慶戦、どのような意気込みで試合に入りましたか
きょうの試合はワセダの勝利を信じてくれている多くの人たちに勝利を届けたい、そして自分としても必ず勝ちたい、そう思ってプレーしました。
――前半は押される時間帯が続きましたが
そうですね。相手がやりたいことを真面目にやってきた中で、自分たちがそれにうまくフィットできなかったと思います。自分たちは前からボールを奪いに行くことを意識してやっているんですけど、相手のボール保持者が顔を上げて前線の2トップにロングボールを供給してきて、そのボールに対応して守備する形になってしまっていたので後手にまわっていたと思います。相手の攻撃に対して守っているようでは、あのように主導権を握られてしまうと思いました。
――相手のカウンターで危ないシーンがありましたが、そこを振り返っていかがですか
あのシーンも相手が良い状況で顔を上げてFWの動き出しを見て、それに対して良いボールが出たと思います。危険なところで金澤(拓真、スポ3=横浜F・マリノスユース)と相手の選手が一対一になって、そこで勝負に負けてピンチになったのですが、まずボール保持者に自由を与えないことであったり、危険なエリアで相手に一対一の勝負をさせないことであったり、そういった点がおろそかになったことが重なってあのようなピンチになってしまったと思います。
――金澤選手とのコンビはどうでしたか
彼は非常にリーダーシップがあってたのもしいですし、前にチャレンジしていくことが得意なプレイヤーなので、自分が彼の長所を引き出して色を出しやすいように会話をしながらやっていました。ことしのはじめにあった早関定期戦でも拓真(金澤)と組んでいましたし、最近は彼と組むことが多いので、不安はあまりありませんでした。
――セットプレーで惜しいヘディングシュートがありました
そうですね。きのうの夢でCKのチャンスの場面で上に外してしまったんですよ。なので、きょうは絶対に叩きつけなきゃいけないなと思って力んだら、逆に叩きつけすぎてしまってゴールを超えてしまったので、ちょっと力みすぎたなと思ってます(笑)。
――後半に入って雰囲気が大きくかわりましたが、ハーフタイムにはどんなことを話し合いましたか
あまり戦術的なことは話していなくて、ただ自分たちが今までやってきたことをしっかりやろうということを話しました。そういった点で後半の立ち上がりに押し込むことができて、セットプレーで点を取ることもできたので、良い流れで後半を迎えられたと思っています。その後にも、上形(洋介、スポ4=東京・早実)であったり宮本(拓弥、スポ3=千葉・流通経大柏)であったりが相手にロングボールを蹴らせないように詰めてくれたので、自分たちは守りやすくできていて後半もしっかり主導権を握れたいたと思います。
――上形選手の得点シーンについて
率直にすごいことだと思います。彼がゴールを決めることによって自分たちは勝つことができたので、『早慶戦男』じゃなくてただの「エースストライカー」でしたね。
――試合が終わった瞬間はどのような気持ちでしたか
色々なことに関して自分にプレッシャーを懸けてやってきた中で、ひとつの結果が出たということで非常に感極まる場面でした。
――ご自身のプレーを振り返って特に良かったところはありますか
自分から宮本の裏へのアクションに対してボールを出したと思うんですけど、ああいったバスを出すことで前向きなプレーにつながりますし、相手のディフェンスラインを下げることにもなるので、もっといいパスを供給できるようになれればと思います。あのパスが通ったことが自分の中での一つの成長だと感じました。
――夏に向けてどのようなトレーニングをしていきますか
まだまだ自分たちは力不足なところがたくさんあるので、ひとつでも成長できるようにやっていきます。チーム内で競争して、さらに高められるようにやっていきたいと思います。
FW市村一貴(文3=神奈川・桐蔭学園)
――おめでとうございます。いまの率直な感想をお願いします
早慶戦ということで、これだけ多くの方々に見に来ていただいて結果として勝つことができたっていうのは、自分のサッカー人生の中でも一番うれしい出来事の一つになりました。そして自分自身この早慶戦で活躍することを一つの目標としてきたので、本当に勝つことができてよかったと思います。
――きょうはスタメンでの出場となりましたが、それについては
関東大学リーグ戦(リーグ戦)やアミノバイタルカップはベンチから見ていることが多かったんですが、その中で常にスタメンで出ることのイメージはしていたので、スタメンで出ることに不安とかはあまりありませんでした。これまでたまっていた思い、悔しさをこの試合でぶつけてやろうっていう気持ちで試合に入りました。
――早慶戦ということで特別な思いはありましたか
1年生のときは外から早慶戦を見て、圧倒されて感動してそのときからいつか自分も早慶戦に出たいっていう気持ちがありました。きょうも国立競技場(国立)から等々力競技場に変わりましたが、多くの方々が応援しに来てくださって、早慶戦っていうのは特別な試合だなと改めて感じました。
――きょうの試合を振り返って
前半はなかなか自分の強みやアグレッシブな姿勢っていうのを出せず、難しい時間が続いたんですけど、後半は前半に比べたら積極的にゴールに強く向かっていくことができたのかなと思います。ただ、決めきれるシーンがいくつかあった中で決めきれなかったので、まだまだ自分自身の力不足というのも感じました。
――前半は慶大ペースでしたが、後半はワセダが試合を支配していました。なにかハーフタイムで話し合ったことはありますか
前半の反省点として、ワセダの強みであるゴールに強く早く向かっていくということが全くできていなかったというのがありました。そこを改善するために、後半は個人が自分の意志で攻めようというのをチームで共有しました。
――きょうの試合、プレーをする上で意識したことは
早慶戦ということで自然と気持ちが高まるというのは予想できたので、その中で冷静に自分自身のいつも通りのプレーをするための準備を試合前からしてきました。試合中も自分の強みであるアクションの部分といったところを出していこうと考えていました。
――最後に、スタメン争いの厳しいポジションですがこれからどのように仕掛けていきたいですか
堀田(MF堀田稜、商3=浦和レッズユース)や太郎(MF田中太郎、商3=静岡・藤枝東)といった素晴らしい選手たちとポジション争いをしていくことになると思うので、このままスタメンで出場し続けるっていうのは絶対にできない。なので、さらに自分の強みを伸ばして弱みを改善して、個の力を高めて実力でスタメンになれるように頑張っていきたいです。
DF奥山政幸(スポ3=名古屋グランパスUー18)
――早慶サッカー定期戦でしたが普段の試合と気持ちは違う面はありましたか
特別な思いは意識しないでも入っていますし、意識しないでも力が入るというか、気持ちの高ぶりは非常に大きかったです。また、僕が入ってから早慶戦では負けていないということでプレッシャーはありましたけど、そのプレッシャーも楽しみながら試合に臨めたのでモチベーションを高く保てて良かったです。
――等々力陸上競技場(等々力)での早慶サッカー定期戦でしたが例年と違いはありましたか
国立競技場(国立)はやはり聖地ということで特別な感情は抱きますが、等々力も国立とは違ってスタンドとの距離が近くて、非常に観客の方たちに近いなと感じていて、それが自分たちの力にもなりましたし、人数的にも早大のサポーターの方が慶大よりも多かったので初めての等々力でしたけどポジティブなイメージを持ちました。
――前半は押し込まれて、奥山選手自身も低い位置でのプレーが目立ちましたがいかがでしたか
そうですね。この前の天皇杯予選では苦しい時間帯で我慢しきれずに失点してしまったので、きょうは全員の守備意識を高く守ることができたと思いますし、危ないシーンでも体を投げ出したりと個人個人の小さな積み重ねが相手の隙を作ったと思います。きょうの守備を最低基準としてもっと上を目指してやっていきたいと思います。
――奥山選手は今試合チームのファーストシュートを打ちましたがそのことについてはいかがですか
シュートっぽいシュートではなかったんですけど、チャンスがあれば狙っていこうと思っていたのでそこは良かったです。ただ、あそこで枠内に飛ばせないのは自分の力不足だと思うので後期開幕までにはつけなければいけない力だと思います。きょうのような展開の中でも得点を奪っていける選手にならなくてはいけないなと感じました。
――結局、ことしゴールを決めたのもFW上形洋介(スポ4=東京・早実)選手でしたが、上形選手の早慶戦での強さについてはいかがですか
本当にもってるなというのが率直な感想です。拓真(DF金澤、スポ3=横浜F・マリノスユース)がヘディングしてそのこぼれ球でしたけど、人一倍早慶戦への思いがあるからそこにこぼれてくるんだと思います。慶大に対して自分に自信があるから思い切ったプレーができるのかなと感じました。
――ここまで調子が悪いチームでしたが勝ち星を挙げられた要因はどういったところだと思いましたか
本当にこういったプレッシャーのかかる試合で自分たちらしさが出せずに負けていたと思うので、まずは自分たちの原点に立ち返ろうということで、自分たちが積み上げてきたものを磨くことである程度の成果を出すことができました。ですが、まだまだやらなきゃいけないことはたくさんあるので、この夏の期間で更に磨いてほかに差をつけられるかが大事なので頑張っていきたいと思います。
――後半に一度相手にカウンターのチャンスを与えてしまうボールロストはあったものの安定したプレーでチームを支えました。ご自身のプレーを振り返ってみていかがでしたか
後半も押し込まれる状況が続いていて、あの状況でもっと自分が裏に抜けて深さを与えられれば多少は流れを変えられたかなという反省は強くあります。押し込まれた状況でうまくファーストディフェンスにいけることは今までよりも思い切り良くできたのでそのことは良かったです。まだまだ守備の面では自分は自信を持っている部分なのでやれたと言えますけど、もっと攻撃面でチームにとってプラスになっていかないといけないなと感じています。実際ボールを奪われて危ないシーンを一回つくらせてしまってもいるので、試合を流れを読んだ状況判断というか、自分が試合をコントロールするくらいの意気込みでやっていかないと上を目指してはいけないなと感じました。
――上を目指すと言えばこれから全日本大学選抜(選抜)の合宿も控えていますがそのことについてはいかがですか
前回の合宿ではスタメンで出られずに悔しい思いをした中で、以前は所属ではセンターバック、選抜ではボランチということで難しい面もありましたが、今はボランチとしてチームでもやらしてもらって慣れてきています。なのでこれからはもっともっとプレーの領域を広げてチャレンジをしていくことで評価されると思うので自分の持ち味を存分に出せるようにしていきたいです。合宿先がスペインということでどんな相手かは分からないですが、確実にうまい相手だと思うのでそういった中で自分を試して何かしらを持ち帰ってきたいと思います。
――最後に後期に向けて意気込みをお願いします
まあ、あと2カ月ありますが、前期を終えて3位ということで誰も満足していないと思うので、後期の最終節に早慶戦があると思うのでそこで勝って優勝を決められるように、ここからの2カ月間苦しい練習を耐えるんじゃなく、自分から取り組んでただやらされるのではなく、能動的な練習をして自分の強みや弱みと向き合って個人としても一回りも二回りも大きくなって開幕を迎えたいと思います。
DF金澤拓真(スポ3=横浜F・マリノスユース)
――いまの気持ちをお聞かせください
単純にうれしかったです。連敗続きでチーム状況的にも苦しかったですし、そんな中で定期戦という大きな舞台で勝利できたのはチームとしてもうれしいです。いろんな意味で大きな一勝だったのかなと思います。
――ご自身も、前期途中からスタメンに定着し、そのまま定期戦にもスタメン出場ということで、また格別な思いがあるのでは
そうですね。一つの目標としてやってきましたし、出れることに対してもすごい喜びがありましたし、そこで勝利できたことは仰っていたように格別なうれしさというものもあったので、いまは純粋に楽しかったとかうれしいという気持ちでいっぱいです。
――少し試合内容について聞いていきたいと思います。前半からある程度ワセダが優位に立てていたのかな、と思いましたがご自身はどう感じていたのでしょうか
前半はお互いシンプルにやっている中で、あまり決定機も無かったですし、試合としてはあまりゴールに向かう勢いが少なかったのかなと思います。ハーフタイムでもゴールへのエネルギーを持っていこうと(話し合った中で)、後半の立ち上がりは特に自分たちが優位に相手の陣地で押し込めたと思うんですが、得点してから10分後位から試合終了まで押し込まれるシーンが多かったです。実際に自分たちがボールを奪うためのエネルギーだったり、ゴールに向かうためのエネルギーを高い基準で示すことはできなかったと思います。勝ちはしましたが、自分たちのやるべきこと、目指すサッカーを考えるとまだまだ課題は多かったのかなと思います。
――後半はご自身も得点に絡みそうなシーンもありましたが、やはり攻撃の意識は強く持っていたのでしょうか
そうですね。守備の選手ですが、攻撃にはどんどん貢献しなくてはいけないと思いますし、それがある意味自分の課題だと思います。フィードだったり持ち出すこと、セットプレーで得点をねらうことだったり、そういったところで攻撃的な貢献度を上げていこうという気持ちでいまやっているので、チャレンジして自分の領域を広げていきたいと思います。
――きょうの試合では選手たちがいつもよりも積極的にコミュニケーションを図ろうとしていたように見えましたが、そういった意識はありましたか
声援が大きい分、プレー中になかなか声が通らないところがあったので、少しプレーが切れた時には、コミュニケーション取れる機会を逃さずに少しでもイメージの共有をとっていました。試合中取れない分は、集中を促す声だったり、そういった共有を数多くしていました。
――慶大のセットプレーから何度も危ない場面が生まれてしまいましたが、その点についてはいかがですか
セットプレーは慶大が強みにしている部分の一つなので、それが勝敗を左右することが多かったのでチームとして意識していました。一人一人が最後体を張ってボールかき出すシーンもありましたが、そういった意識があったから守り切れたんだと思います。
――きょうは後半からDF八角大智(社3=千葉・流通経大柏)選手が出場するなど、ますますDFの4枠は競争が激しくなっているのでは
ボランチの大丸(MF大丸瞬、教3=東京・早実)だったりが、いまケガから帰ってきて競争が激しい中で、きょうの試合を迎えるに当たっても前日まで誰がベンチに入るか分からない状況でした。そういった競争ができているのがチームにとってプラスだと思いますし、自分も一度レギュラーを落とされているので危機感を持ってやれています。自分自身も2度とレギュラーを外されるようなことはしたくないですし、この競争をプラスにとらえてこの競争を勝ち抜いていきたいと思います。
――天皇杯東京都予選の後、チームを立て直す時間があったのは大きかったのでしょうか
各学年でミーティングをしてどういう意識でやっていくかという話もしましたし、平日でも2部練を行って少しでも自分たちが成長できる機会をつくった中でチームとして勝利できたことは大きいです。勝ったからこそ自分たちの課題に目を向けないといけないと思いますし、2カ月あるのでそこでしっかり向き合って一回り二回り成長したいと思います。
――あえて今回の反省点を挙げるなら
自分個人としては前半に自分の判断ミスで決定的なシーンをつくられてしまいましたし、まだまだ個人の領域で守り切れていません。チームとしてはずっとサッカーの本質、素早くシンプルにゴールに迫るということを高めている中で、それを本当にいいかたちでできたシーンというのは無かったと思います。自分たちが目指しているサッカーを突き詰めていくだけだと思うので、そのシンプルなところに立ち返って精度を高めていきたいです。
DF西山航平(スポ3=浦和レッズユース)
――初の早慶戦ということでしたが、意気込みは
今回が初の早慶戦出場ということで、1、2年生の時は仕事をやっていてその時からずっと憧れの舞台ではありましたし、見ていて本当にすごく出たいと思っていた舞台で今回自分が出ることができて、またチームも勝利することができてすごい喜びを感じます。
――憧れの舞台で勝利ということでしたがいまの率直なお気持ちは
チームとしての状況はあまり良くない中で、早慶戦に勝てたことは本当に良かったと思います。出ている選手だけではなくてずいぶん前からこの早慶戦を作り上げてくれた部員の人であったり、きょうピッチに立てないけれど周りで仕事を頑張ってくれた選手だったり、全部員が勝利のために行動してくれた結果だと思うので部員全員に感謝したいですし、全部員が勝ち取った勝利だと感じています。
――前半は相手に攻められる場面も多くありましたがいかがでしたか
なかなか自分たちが前に進むことができなくて、自分たちの強みである能動的にボールを奪って早くゴールに迫るという基本的なところが少し弱まって、前に向かうベクトルが少なく、ラインを下げられなくて、低いラインでのサッカーをしてしまったのが前半の良くなかったところです。後半はその分前でプレッシャーをかけることによってボールを奪えたので、自陣ではなく相手陣でサッカーをできたのが良かったと思います。
――後半からは積極的に攻めていましたが、どういった話をされましたか
ハーフタイムで、どんどん自分たちで積極的にアクションを起こしてそれをもっと連動して周りが関わることと、ゴールに向かうというのが前半少なかったので後半はサッカーの本質であるゴールに向かうというところを全選手でやっていこうという話し合いをしました。話し合ったからこそ後半立ち上がりすぐにその勢いで攻め込んで、勝ち取ったコーナーキックから得点できたことは本当に良かったと思います。
――ご自身のプレーを振り返って
振り返るとまだまだ全然満足感もないですし、自分が勝利まで導くっていうところまでいけていなくて、それはもう自分の実力のなさが出ているだけだと思います。きょうの勝利はチームとして本当にターニングポイントとなったと思うので、ここから後期までの長いオフシーズン中に、チームとしても個人としても能力を上げてスキルアップしてやっていく必要があるのではないかなと思いました。
――後期リーグ戦へ向けての課題は
チームとしてはもっと自分たちの強みを出すだけの自信、(強みを)ゲームで出すだけの実力をつけるためにトレーニングからもっとやっていかないとダメだと思いました。個人としても自分の強みである守備の部分を試合の中で一試合通して90分間どこの場面を切り取っても自分が守備で貢献しているという実力を出すためのスキルアップや、攻撃参加の部分が自分の課題でもあります。自分の課題や強みに向き合う期間があるのでもっと高めて、まずは個として全員がレベルアップして最後にトータルとしてチーム全体の力が大きくなれば関東リーグ制覇というのは目指せると思うので2カ月のオフシーズンを本当に個として成長できるように一瞬一瞬大事にしてやっていきたいと思います。
DF八角大智(社3=千葉・流通経大柏)
――試合を終えて、今の率直な気持ちは
一言、いまはうれしいです。
――きょうの試合を振り返って
途中出場で、チームを勝利に導くプレーをしようと思いました。結果、得点には絡めなかったのですがチームが勝利したので良かったと思います。
――前半をベンチから見て思ったことは
慶大が自分たちのやろうとするサッカーを防いできた印象です。見ていて崩すのが難しく、チャンスも作れなかったのでセットプレーが鍵になると思いました。そんな中、後半にセットプレーで点を取れたのはとてもうれしかったです。
――後半からの出場、どんな意気込みで臨んだか
途中出場の時は1-0の状態だったので、まず守備でやられないということを考えた上で、自分の強みを出して行こうと思っていました。
――途中出場する時どんな指示を受けたか
指示は特にありませんでした。いつも通り、集中してやれというメッセージを受けました。
――自身のプレーについて
ディフェンダーとして残り20分で出るのはとても難しくて、個人的には得点を取りに行ったのですが取れなかったので課題は残りました。
――きのうのミーティングで話し合ったことは
学年の4年生を中心として各学年のリーダー達が早慶戦への思いを述べて、主務や副務などがそれぞれの思いを背負って戦えるのが早慶戦であるので、ワセダの誇りを持って戦おうと話しました。
――試合前のチームの雰囲気
個人的にはあまり良いとは思っていなくて、その前の公式戦で勝てていなかったのでどうしても振り切れていないような気がしました。いつも勝っている時よりは重い感じがしました。
――後期に向けた課題
前季はケガであまり試合に出れていないので、ケガをせずレベルアップしてリーグ戦で勝てるようにチーム全員で頑張りたいと思います。
FW 宮本拓弥(スポ3=千葉・流通経大柏)
――3連覇おめでとうございます。試合を振り返って
前半は攻め込まれるシーンが多かったと思うんですけど、それでもDFが守って一つのチャンスを上形くん(FW上形洋介、スポ4=東京・早実)が決めきった。本当にいい試合だったと思います。
――前半慶大に攻め込まれる場面が多かったように思いますが
自分たちのエネルギーがなかったわけではなくて、相手のエネルギーがあってパワーとかも出してきて、こうなることは予想されてたんですけど、DFラインが頑張ってくれました。そして、前線から見ていて、前半は収まりどころはあまりなかったように感じていたんですけど、後半は左サイドに流れたりと自分たちのためをつくれたりできたので良かったと思います。
――ハーフタイムではどのようなことを話されていたんですが
前線からのプレスをもっと強くしていこうということと、攻守の切り替えを早くしていこうということを話していました。個人的には後半でシーンによってポジションを変えていけたことが良かったと思います。
――慶大のカウンター攻撃の印象は
慶大のカウンターはしっかりブロックをつくって動きを制限させて、ボールを奪ってから右サイドの7番の選手(川田悠介)であったり、宮地元貴選手のスピードは早かったです。右サイドで西山が(DF西山航平、スポ3=浦和レッズユース)崩されて失点してもおかしくない場面があったと思います。
――最近では、アミノバイタルカップや総理大臣杯予選と思うような結果を出すことが達成できませんでしたが、この早慶戦へ向け取り組んだことは
早慶戦で負けたら、立ち直れないほどどん底に落ちるなと思っていたので、何が何でも勝ってチームを立て直すことを意識してやりました。
――後半、宮本選手ご自身のシュートの場面が増えましたが点までつなげられなかったのは
本当は点を取りたかったです。本当に点を取りたかったのでシュートの数も前半多かったのですがその気持ちが得点につながらなったのは残念です。それはトレーニングをしなければいけないので入れられるように努力していきます。
――夏の期間中、見つかった課題などをどのように改善していきたいですか
まずはシュートの精度を上げることです。そしてシュートまで持っていける力を付けていきたいです。
――後期リーグ戦に向け抱負をお願いします
攻守の切り替えを早くするなどのハードワークをしっかり強くしていくということが大事になってきますし、シュートの精度を高めるなど個で打開できる選手がワセダにいないわけがないので、自信を持ってプレーできるように頑張っていきたいと思います。
DF新井純平(スポ2=浦和レッズユース)
――初めての早慶サッカーでしたがまずピッチに入った瞬間はどういった気持ちになりましたか
前期の印象に残った試合でリーグ戦(関東大学リーグ戦)の慶大戦(第7節、○2-0)を挙げたのが、純粋に楽しかったからと言っていたのですが、きょうは本当にそれ以上の迫力を感じました。試合前はそんなに緊張とかはしてなかったのですが、ピッチに立った瞬間は「おお、すげぇ」となって。単純に感動して。前期の試合以上に楽しい試合になりそうだなというのは感じました。
――どんなプレーを心掛けて試合に臨みましたか
自分のプレーでは自分の持っている持ち味をすべて出して、大勢の人たちに『新井純平』っていうのはこういう選手なのだと分かってもらおうというか。この人いい選手だなと思われるような自分の持ち味を出せればと思って。自分は持久力を売りにしている中でとにかく走って、サイドのアップダウンであったりクロスであったりといった面でアピールできたらなというのは思ってやっていました。
――終わってみて勝利ということになりましたがいまはどういった気持ちでいますか
いろんなプレッシャーがある中で、たくさんの方が応援してくれた中で勝利というかたちで終わることができたのは自分自身とてもうれしかったので。勝ったことに対してはうれしさがありましたけど、内容としては自分からの攻撃参加、点につながるプレーというのができなかったというのが終わってみて感じたところなので。ああいった中でもっと目立てる選手にならなきゃいけないなというのは感じました。
――慶大は前半から9番のFW宮地元貴選手に当ててきていました。その部分で高さに対する対策などは練っていましたか
対策という対策はしていなかったですけれど、あの9番が強い選手というのはもともと分かっていたことで。あそこでまず1人が思い切り競り合って、その後どこに落ちてもいいようなカバーは試合の中で必ず1人いるようにして。9番の高さというのは相手の武器でもあったと思うので。そういったところは心掛けてやっていたところです。
――序盤は押し込まれる展開が続いてなかなか自分たちのペースに持っていけなかった前半だったような印象を受けたのですが
試合の入りとしては、相手が押し込んできている中で自分たちは1度簡単に大きく前へ蹴り出してそこからというかたち自体はそこまでは悪くはないかなと思うのですが、相手に押し込まれた中で、自分たちのペースをもう少し長い時間つくり出せないと。というのは感じていて。自陣でプレーする機会が多かったと思うのですけれど、前半を無失点で抑えられたというところは自分たちの粘り強さでもあると思いますし、点を取らせないという執念のところでは0点に抑えられたので本当によかったのではないかなと思います。
――その中で30分には新井選手のオーバーラップもありいいかたちができていました。そこから攻撃の感触、イメージはかたちになりつつあるなという印象はありましたか
前半押し込まれていた中で守備に回っている機会が多かったので。その中でも攻撃参加というのは常に狙っていたので。あそこから結構攻撃参加のイメージというのができたと思いますし、最後の質のところで点につなげられないというのがまだまだ課題なので。そこはまだまだ自分自身甘いところというか。もっともっとやり込んでいかないといけないのではないかなというのは思います。
――試合を通して、リスクのある中で新井選手がサイドから内のスペースに走り出すシーンなども多くありました。その部分は意識していたところですか
相手のサイドバックの選手がだいぶ自分のオーバーラップ、貴司くん(MF近藤貴司、教4=三菱養和SCユース)の縦への突破を警戒していたので。変化といったところで自分が中に入ったことで相手のディフェンスの変化というのを見て、次はオーバーラップをしてみるといった部分。そういったところで変化を付けてみようかなというのは意識してやっていました。
――ディフェンスではMF増田湧介選手とのマッチアップの中で宮地選手とポジションを入れ替わったりしながらサイドに開いてきたりと対応が難しい場面も多かったと