早慶サッカー定期戦展望

ア式蹴球男子

 ことしも早慶サッカー定期戦(早慶サッカー)の季節がやってきた。伝統の一戦は7月1日(水)、等々力陸上競技場(等々力)にて開催される。毎年1万人近くの人が足を運び、その観客動員数は大学サッカー界でも一二を争うほどだ。まさしくビッグマッチ。試合終了のホイッスルが鳴り響いた直後、ピッチ上で吠えるのは『覇者』か、それとも『王者』か――。そして、そこではどんな戦いが繰り広げられるのだろうか。

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)前期を4位で終えたワセダ。その特徴は、統率力に長けたDF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)を中心に形成する、鉄壁の最終ラインだ。リーグ戦前期のワセダの総失点は11点と、これはリーグ全12チーム中3位であり、結果は数字にも表れている。しかし今回、その鉄壁の一角を担うDF奥山政幸副将(スポ4=名古屋グランパスU-18)の欠場が決まった。精神的支柱とも言える選手を抜いてどこまで戦えるのか、そしてその穴を誰が埋めるのか、注目である。一方で、課題は得点力不足。このカベを打ち破れるかどうかは、最前線でゴールを狙うFW宮本拓弥(スポ4=千葉・流通経大柏)のほか、両翼を担うMF堀田稜(商4=浦和レッズユース)とMF田中太郎(商4=静岡・藤枝東)ら、4年生がカギを握っているのかもしれない。

金澤主将は誰よりも勝利にこだわる

 対する慶大は5位でリーグ戦前期を終えた。こちらも守備力に定評があり、DF宮地元貴とDF久保飛翔主将がその要を担っている。宮地は昨季、FWを任されていたが自らの希望で再びDFに。高さを生かした競り合いの強さと、ボールへの執着は人一倍強い。ワセダの4連覇を阻止すべく、ラストイヤーの意地を見せられるか。さらには2年生のMF渡辺夏彦や、1年生のMF松木駿之介など下級生からも目が離せない。松木は1年生ながらリーグ戦3得点の活躍で存在感をアピール。しかし、不安要素もある。攻守の柱となるMF端山豪の欠場だ。それでも早慶互いにキーマンを欠いていることから、状況はイーブンとも言えるだろう。

大舞台で勝利を飾れるか

 両校のプレースタイルに加え、リーグ戦の順位の上でも両者の実力は伯仲していることからも、点数が大きく動く展開にはならないだろう。ワセダのこれまでの戦いを振り返ると、先制していても後半に攻められ追い付かれることもあった。したがって、ワセダとしては2点目を奪えるかどうかがポイントになるはずだ。学生主導で築き上げる最高の舞台で、エンジイレブンと荒鷲イレブンが激突する。意地とプライドを懸け、全身全霊で戦うその姿は、大観衆に感動を与えてくれるに違いない。

(記事 佐藤凌輔、写真 藤巻晴帆、桝田大暉)

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