【連載】早慶サッカー定期戦特集 第3回西山航平×新井純平×平澤俊輔

ア式蹴球男子

 ポジション争いが激しくなった今季のワセダで、特に厳しい競争が行われているのがDFラインの4枠だ。その中から、今回は同じサイドバックに位置するDF西山航平(スポ3=浦和レッズユース)、DF新井純平(スポ2=浦和レッズユース)、DF平澤俊輔(スポ2=JFAアカデミー福島)の3人に集まってもらい、互いのプレーから今季のチームについて、さらにはプライベートについてもざっくばらんに語っていただいた。

※この取材は6月19日に行われたものです。

「いままでのサッカー人生で一番悔しかった」(西山)

リーグ戦について振り返った西山

――まずはこの前期を振り返って、率直にいかがだったでしょうか

西山 前期振り返って、関東大学リーグ戦(リーグ戦)も3位ですしアミノバイタルカップ(アミノバイタル)も優勝できず、総理大臣杯(総理杯)にも出場できず天皇杯東京都予選も1回戦負けということで、結果は何も出ていないですし、結果として何も得られませんでした。個人的には0点だなと感じています。自分は途中から出させてもらっているんですが個人としても全然ダメだと感じていて、自分がチームを勝利に導けていないですし、結果としても出ていなくて自分の力の無さを痛感した前期でした。チームとしても個としても得るものが少なかったです。

新井 前期リーグ戦1位で終わりたかったなと思います。本当に悔しいという思いしかありませんし、さっき西くん(西山)も言っていましたけど、自分はスタメンで出させてもらうことが多い中で、最後のゴールへ結びつけるところに実力不足が出ているからこの結果につながってしまっているんじゃないかなとはすごく感じています。そこに関しては努力して、少しでもチームを勝たせるようなプレーをしていかなければいけないです。自分の強みのオーバーラップやそこからのクロスに対してもっと磨きをかけていかないと、この結果を変えることはできないんじゃないかなと思います。

平澤 個人としてもチームとしても全然納得のいく内容と結果ではなかったですし、自分としては明大戦(●1-2)で関東リーグのレベルの高さを痛感しました。まだまだ自分が甘かったですし、本当に自分の力の無さを痛感させられた前期でした。

――いまも少し話に出ましたが、前期で一番印象に残っている試合はありますか

新井 リーグ戦の慶大戦(○2-0)ですね。単純に楽しかったです。大勢の観客の下で試合ができることが久々でしたし、ああいった雰囲気の中でできる楽しさというのが早慶戦ならではの良いところだと思いました。その意味でとても印象に残りました。

平澤 自分としては明大戦です。相手の右サイドバックの選手(DF室谷成)は同学年で全日本選抜にも選ばれるような選手だったので、試合前から自分が勝ってやるという気持ちで臨んだんですが、結果やられて、それが本当に悔しくて後期見返してやるという思いが残った試合でした。

西山 印象に残ったというと難しいですが、一番悔しかった試合としてはアミノバイタルの国士舘大戦(●0-2)ですね。自分のミスから失点し、さらにPKを与えて自分の力を100%出し切れずに消極的になってしまい、ただピッチに立っているだけで何もできなかった悔しさだったり、自分のミスで結果的に負けて、アミノバイタルの優勝だったり総理杯の出場を自分の手で潰したことが本当に悔しくて、多分いままでのサッカー人生で一番悔しかったくらいなので、それが印象に残ってますね。

――アミノバイタルはア式にとって大きな位置づけだったと思いますが不本意な結果に終わってしまいました。アミノバイタルを振り返ると

新井 やっぱりすべては国士舘大戦(●0-2)ですかね。あそこで勝てていれば行けたんですが、そういった勝負の懸かったときに内容としても誰一人強みを出せなかった試合だと自分たちも思いますし、ワセダらしさが全くないと誰もが思った試合だったと思います。終わった後、監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)からも「メンタルの弱さが露呈した試合だった」と言われたんですが、本当にその通りで、勝てば進めるという場面で緊張感やプレッシャーに負けてしまって自分たちの良さが出せなかったんだと思います。もっともっとプレッシャーを楽しむというか、余裕を持てるようにならないと、自分たちの優勝という目標達成はできないんじゃないかと感じています。

平澤 外から見ていて、自分がこのピッチ上で関われなかったことに悔しさが残りました。ピッチに出ている人は、毎試合プレッシャーがかかった中で成長していて、国士舘大戦ではチームを背負って戦ってくれていました。僕らを大阪へ導くという気持ちも感じましたし、そんな中でサッカーができなかったことに自分としてはもどかしさがありました。

――アミノバイタルの国士舘大戦のハーフタイムに、GK松澤香輝副将(スポ4=千葉・流通経大柏)が厳しい言葉をかけていたのが印象的でしたが、あの言葉をどのように受け止めましたか

西山 かけてくれた言葉というのは、自分たちの力はこんなものじゃないだろ、ということと、ここまで応援に来てくれる人たちに対して恥ずかしくないのか、という言葉をいただいて。それは言われなくても全員の選手が分かっていたことですし、感じていたことですが、言われて変わったとかいうのではなく、前半でああいうプレーをしてしまったことがダメで。国士舘大戦や前期を振り返っても、自分たちは個として弱くて変にまとまっているだけで、自立した選手がほとんどいなくて誰かに依存しているだけです。勝負の懸かった試合になったときに、やはり他人に依存しています。それらは普段の東伏見のトレーニングがすべてで、全員が努力しきれなかったことだったり、トレーニングの量が足りなかったからそういった結果になったんだと思います。国士舘大戦は、自分たちが積み上げてきたものがただ単に足りなかったということが証明されただけだと思います。

新井 自分はあの言葉を受けて、率直に後半やるしかないと、それしか思いませんでしたし、マツくん(松澤香輝副将)が言っていたことは間違っていなくて、あの前半の全員の出来は、見に来てくださる人に申し訳ない出来でしたし、もっとやらないとだめだろという言葉もすべてその通りでした。あの時は後半ですべて出すしかないなと思いましたが、結果としては負けているわけで、ハーフタイムにああいったことを言われてみんなに火がついたと思うんですが、やっぱりそれじゃあ遅いですし、後半のようなモチベーションを試合前からつくって試合で発揮できないようではまだまだじゃないかな、と思いました。

平澤 僕たちもベンチ裏でマツくんの激を聞いていましたが、前半見ていて本当にそう思いましたし、もっと出ている選手たちならやれると感じていました。それをもっと前半のうちから、僕たちが選手に言わないといけないと感じましたし、国士舘大戦では出てる選手だけでなく、ベンチに入れなかった選手も戦わないと、ああいった厳しいプレッシャーのかかった試合では勝ちに結びつけることはできなかったのかなと感じました。

――みなさんから少しメンタルについての話が挙がりましたが、先日の天皇杯東京都予選の試合もそういった面が露呈したということでしょうか

西山 あまり気持ちとしては整理できていないのですが、相手が強くて負けたというよりは自分たちのサッカーをできずに負けたと思っています。自分たちが負けた試合は多分全部そうなんですが、ことし自分たちの個の強みを出し切れていないのが現状で、きのうもその例であって、自分たちの力が出し切れないのは単に出すだけの力がないということです。力を付けるための取り組みも足りないし甘いし、その分の取り組みができていないのが自分たちの弱さです。自分たちが劣勢になったときにはね返すだけのメンタルが無いですし、そのメンタルというのははね返せる自信が無いから消極的になってしまうのだと思います。きょねんだったらそこではね返せていましたし、もっともっと自信がつくだけのトレーニングや積み重ねがあったと思います。いまの自分たちはそこの積み上げが少ないですし、圧倒的な自信が少ないです。きのうもそうですし、自分たちの力が出せないイコール自分たちのやってきたことが単純に足りないということです。ただ、きのう高校生相手に負けたことは本当に悔しかったですし、試合が終わった後も立ち直れなかったですし、改めて自分たちの本当に弱さを痛感しました。

新井 きのうの試合は完全に自分のせいで負けた試合だと思っています。相手に一度早い時間帯にやられたシーンがあったんですが、その時点で落ち込みすぎて、自分が静かになってしまいました。そこがメンタルなんだと思いますが、やはり試合は90分間あるので、やられることもあると思いますが、その後の対応がきのうの試合では良くなかったというのがあります。やられても次にやり返せばいいですし、修正してやり直せばいいだけで、そこの精神面がまだまだ足りないかなと。やられたときにはね返す力というのがまだまだ無くて、次は俺がやってやるというような意気込みがないと、きのうのようなゲーム展開になってしまうと思いますし、1日空いた中でもそう思ったので、そこに関してはもっとポジティブに自分で意識的にモチベーションをつくることが大事だなと感じました。

平澤 きのうの試合に自分が出たとき、果たして自分はやれたかということを考えたとき、多分変えることはできなかったと思うし、それがいまの自分の力だと思います。でもやはり、アミノバイタルに負けて総理杯に出られなくて、天皇杯予選に負けて本戦に出られないですが、そこからどうポジティブに考えられるかが勝負だと思います。逆に行けなかった分夏休みを使って思いっきり練習する時間もありますし、サッカーを考えて理解する時間もあります。ここからは本当に勝負だと思いますし、きのうの試合はチームが変わるきっかけでないといけないと思います。

――きょう緊急ミーティングが開かれたということでしたが、どのような話をしたのでしょうか

西山 きょうのミーティングは学年ごとに分かれて、選手それぞれがきのうから1日考えたことを話し合っていました。自分たちの学年では率直に感じることを話してもらいました。それぞれが思っていることを聞きましたし、チームというよりは個人個人変わらなければいけないという話がありました。自分たちの学年では4年を超えるだけの圧倒的なリーダーシップを発揮して、4年よりも引っ張るという目標を立てたのですができておらす、監督にもしきりにチームを前進させるのは誰だということを言われます。ですがそれよりもまず自分に集中すればいいし、4年を超えるとかそういうことではなく、自分が思った通りに行動すればいい。自分が感じたことを行動すればいいだけなのにいまみんなできていませんし、変に抽象的なものにとらわれているのがいまの3年の問題です。きょねんだったら個人がもっとエネルギーを持ってやっていたよねとか、練習もやっていたよねとか、きょねんの方がプレーは良かったよねときょねんのことを思い返すと、その時はチームのことを引っ張ってやろうとかそんな強い気持ちをもっている奴はいなかったですし、そのとき感じていたのは自分がうまくなりたい、ゲームに出たい、Aチームに行きたいといったサッカーの根本を考えてみんな取り組んでいたと思います。まずはそこから考え直して、個として行動すること、がむしゃらに必死にもがくしかないということを確認しました。

新井 2年としてもいまの状況だったり思ったことを言ってもらって、きのうの試合を外から見ていてどう思ったかを聞いた時、試合を通してチームの意図が見えなかったという意見がけっこう多かったです。やはり意思疎通ができていないから自分たちのサッカーができないんじゃないか、というところに行き着きました。毎回負けるたびに自分たちの100%の力が出せなかったというかたちで終わってしまいますが、試合に入る前は誰もが絶対100%出してやろうと思っている中で、100%出せないのは何故かを考えた時に、先ほど言ったメンタルというのが大きくあると思いますし、それ以外でもチームをどうこうというよりもまず個じゃないかということも言っていました。いつもシーズンに入る前に一人一人がどういったかたちでチームに貢献したいかという誓いを立てるのですが、みんなまだまだその言葉に対して責任を持てていないです。自分たちの学年では最終的にAチームに上がって活躍すると言っていた中で、現時点でそれができている人が何人いるかといったらやはり1人もいないです。そこに対して危機感や、個人的にはいらだちを感じないといけないと思いますし、もっともっと自分自身に追求していかないといけないと思います。そういったところで個でのこだわりがまだまだ足りないのではないかと感じました。

平澤 ほぼ純平が言ってくれたんですが(笑)。自分個人として一つ言ったのは、ピッチ外では一人一人が自立してやろうとしている訳で、ある程度やれているとは思うんですが、もっとサッカーに目を向けてサッカーに向き合って欲しいと言いました。やはり結果が出ていない状況で、少し考えればうまくいくこともあるだろうし、周りに意見を聞けば自分がもっとサッカー選手として成長できると思うので、もっと自分のサッカーに対してチャレンジする姿勢を出していけば成長できると思うと言いました。

――少しリーグ戦の話に戻りますが、11節の専大戦(●0-3)に敗戦した際に専大との差を感じることはありましたか

新井 僕は決定力の差だと思いました。

西山 俺も思いました。

――具体的にはどういったことなんでしょうか

新井 例えば専大戦では、自分の強みであるオーバーラップからのクロスというシーンはつくり出せたと思うんですが、そこで決定的なクロスを上げられなかったり、ちょっとずれたクロスでも専大は決めてくることがありますし、やはりそういったところでの差が決定力につながるんじゃないかと思います。

西山 決定力の差というのは終わった後のインタビューでも言わせてもらったんですが、前半などは自分たちも強みを出せていた中で0―3ということで、決める時に決め切れるのはやはり専大ということでした。こちらがチャンスをつくっても、守る時に守れるのは専大であって、スコアを動かす力というのは自分たちと専大との差なんじゃないかと思います。自分たちが強みを出した中でも、相手は確実に3点取ってしまいましたし、自分たちはあれだけチャンスをつくっておきながらも結果0点でした。それが自分たちと専大との守る決定力、攻める決定力の差だったんだと思います。0―3の試合ではなかったと思いますが、結果そうなってしまったというのが大きな差だなと思います。

平澤 西山くんが決める力、守る力と言っていましたが、本当に両ゴール前の質が現れた試合だったと思います。専大だったら河津(DF河津良一)という選手がいて、たとえ純平にサイドを破られても中でしっかり守っていてゴールを破らせなかったですし、攻撃だったら一瞬の隙を見逃さなかった前澤(FW前澤甲気)という選手がいました。実力差というのは見ていてそんなに感じなかったんですが、最後の質という部分で少し足りなかったかなと思いました。

オンとオフの切り替え

ユース時代を振り返る平澤

――お互いの印象は。まず西山さんについてはいかがですか

新井 ツンデレ(笑)。

平澤 ツンデレありますよ。きょうは当たりが強いなと思っていたら、いきなり優しくしてくれるんです。

――西山さんと新井さんのお2人はユース時代からの付き合いになりますが

新井 結構前からこんな感じで、優しいので上下関係とかは「いいんだよ」とかって言ってくれる人なんで、生意気にいっちゃうんですけど。裏で何言ってるかは分かんないです(笑)。

――浦和レッズユースでは上下関係は厳しかったのですか

新井 全くです(笑)。ひどいですよ。

西山 こいつはバカでした。

――新井さんについての印象は

西山 プライベートだったらバカだなと思います。ワセダには少ないバカさというか。足りない部分でもあると思うので。みんな真面目なんでね。バカというか破天荒というか。分かるでしょ?

平澤 分かります。

西山 ワセダっぽくない部分を持っているんで、すごいいいと思います。 

平澤 きょねんの4年生の小松君(MF小松聖音、平26商卒)を受け継ぐようなオンとオフの切り替えがあります(笑)。

新井 オンとオフの切り替えができればいいんじゃないかなと思います。

――平澤さんの印象はいかがですか

西山 真面目です。でも抜けているんで本当はこいつが1番バカなんじゃないかと思ったりします(笑)。

新井 俺もそれは思います。結構確実になっていないことを、例えば、「あしたって休講だっけ?」とか聞いたりした時に、「うん、そう」って普通にぱっと言っちゃうんですよ。それで調べてみたら全然休講じゃない。そういう空返事多いよな? 

平澤 空返事はね、する。

一同 (笑)。

西山 雰囲気で答えてるんでしょ?

平澤 雰囲気というかね、勢い。

新井 めっちゃ部屋汚いですし。パッと見真面目っぽいじゃないですか。結果もう全然ダメっすよ。

平澤 最近はめっちゃいいんだよ。

新井 一時期すごい酷かった。窓側で窓開けて、窓の外に服とかポーンって置いてて。

平澤 服は置いてない。あれはなんだっけ。靴とかかな。破れた靴とか。置いといて後から捨てようと思ってやらないパターンですね。

――プレー面でお互いすごいと思うところは。まず西山さんに関しては

新井 対人。

平澤 1対1。

新井 体強すぎて、倒れたところほとんど見たことないです。逆に自分はそこが課題としているところなので学びたいです。

平澤 対人は強いですね。僕がケガした理由も(笑)。僕の判断が少し遅れて、ボール離すのが遅かったらガッと足元に強くプレッシャーかかって、それで持ってかれたっていう(笑)。

西山 ファウルじゃないんで。これだけは言わせてください。

平澤 僕の判断ミスです。

――新井さんについてはどんな印象ですか

平澤 クロスですね。

西山 アップダウンの量であったり、質であったり、クロスの質だったり、本当に率直に言うとすごいなと毎回思っています。そこは自分の足りないところでもありますし、見習っています。守備の面でもことしに入ってから対応も良くなって、そんなに体は強くないですけど、その分の上手さっていうのは自分ももっともっと参考にしていかなければならないなと思っています。

――平澤さんについはいかがですか

新井 基礎能力が半端ないです。聞いたんですけど、(アカデミーでは)ひたすら止めて蹴るをやっていたらしくて、それが本当に長けているなと自分は感じます。自分の絶対蹴れる位置に置くし、左サイドバックをやることが多かったですけど、左足でもそれが同じようにできていました。やっぱり止めて蹴るというのはサッカーの大事なところだと思いますし、そこの能力がすごいなっていうのは正直に思います。

――JFAアカデミーの練習は基礎基本に忠実にという感じだったのでしょうか

平澤 はい。中学からやっていたのですが、中学はその練習がとても多くて、止めて蹴る、止めて蹴るの繰り返しがほぼ毎日でした。

西山 純平が言った通りトータルのアベレージが高いなと思っていて、全部がハイレベルな選手だと思っています。本当に止める蹴るのレベルはチームでもトップレベルです。

新井 左足のクロスは全然ダメだけどな。

平澤 そこは課題ですね。

――オフの日はどのように過ごされていますか

西山 僕は実家が大好きなので近いですし帰ったり、友達と会ったり、練習したり。練習は毎週やっているんですけど。いいオフの使い方をしていると思っています。

平澤 オフの日は何もしないというか、ノープランが多くて。暇だったら映画でも見に行こうかなと思うくらいです。あとは新井をはじめ、同部屋の佐藤(MF佐藤飛天、スポ2=清水エスパルスユース)とかが楽しそうなことしてるなと思ったら付いていくぐらいです(笑)。

新井 そんな楽しそうなことしてないですよ。

平澤 でもほんと彼女思いなんで(笑)。

新井 最近あるのは浦和レッズユースの時の元10番だった中村俊介っていうやつがよく連絡してきて、あいついつも1人なんで遊びに行くんですけど、サッカーもたまにやったりもします。ハマっていたのは、ここ最近は行ってないんですけど、俊輔も誘ったりしてカフェめぐりしてました。西山君とかにも「いい店ありますか」なんて聞いたりしていて、渋谷とかのカフェ行ったりしてました。でも自分コーヒーダメなんで、そこに行ってもオレンジジュースとかめっちゃかっこ悪いもの飲んじゃいます(笑)。結構やってたよね?

平澤 やってたね。

新井 興味があるので、最近は行けてないのでまた行ってみたいなと思います。

――W杯はご覧になっていますか

西山 ちょくちょくは。

新井 どうしても遅くなってしまうので録画して見てます。

――応援している国は

西山 寮でどこが優勝するかという予想をみんな立てていたんですけど、僕はチリにしました。あえてのチリですよ(笑)。本当はブラジルですよ。でもブラジルが多くてつまんないんでチリにしたんですけど、いまチリが圧倒的な勝利を重ねているので、本当に行くと思います(笑)。

新井 自分はあえてのオランダです。寮でみんな予想を書いていて見た感じだとやっぱりブラジルが圧倒的で、スペインも多くて、アルゼンチンとかで。見たらオランダがなくて、それでオランダって書いて誰も書くなって横に書いときました(笑)。なんでかというと比較的強いイメージが自分の中でもありますし、オランダがW杯前に親善試合をやってロッペンが相手選手に削られて、自分のプライドにかけて削り返したんですよ。そのプレーでロッペン変わったなと思って、こいつ今回はやってくれるんじゃないかと思って全てロッペンに託しました。

平澤 僕はイタリアって書きました。手堅く勝てるし、やっぱりピルロに期待しています。最後かもしれないんで。ピルロの神がかったプレーっていうのに期待しています。イタリアも1勝していますし、このままいけば優勝かなって思ってます(笑)。

 

――平澤さんは事前に取ったアンケートで尊敬する人にMF中田航平元主将(平26スポ卒)親子と書かれていますが

平澤 これには訳があって、僕の高校の時の監督が航平君(中田航平)のお父さんで、本当にお父さんも航平君も尊敬できる人で、お父さんからサッカーを教えてもらったっていうのもありますし、航平君は完璧な人でかっこいいし、歌もうまいし、頭もいい人なんで本当に尊敬している人です。 

――新井さんは監督をあげていますが

新井 いままでの監督がダメとかではなくて、ああいう監督が初めてで、例えば、練習終わった後でも走ってますし「なんで走ってるんだろう」って思うけど、でもそれには絶対意図があると思います。選手が努力しているなら自分も努力しなきゃいけないっていうのがあるからこそそういったこともやっているんだと思いますし、オフの日も絶対にグラウンドに来て、ボール蹴ってたりしていて、そういった姿を見て選手と同じ目線というか、選手にやらせることだけじゃなくて自分も言っているんだったらそれなりのことをしないとっていうのが多分あるんだと思います。そういった姿に驚いたというか、人としてというところに関してもすごいと思っています。

――古賀監督はどういった人物ですか

西山 1番尊敬しているのは古賀さんで、この世界の中で誰よりも練習している監督だと思いますし、練習終わった後走ってますし、誰よりもボール蹴ってますし、それがなんでかっていったらよく分かんないんですけど。監督あんだけやっているんだったら選手もやらなきゃダメだと思いますし、人間としても試合前であったり、ピッチ外のゴミ拾いであったり、1人で率先してやって、そういう面での刺激を与えてくれる存在です。常に選手に刺激を与えようと取り組んでいて、その監督を見ていつも刺激を受けて、自分たちが何かやろうとか、監督もやってるからこれやらなきゃとかしています。そんなことができる監督は古賀さんしかいないと思っています。人間としても監督としてもこんなにすごいなと思う人は出会ったことがなくて、古賀監督に会えたことがターニングポイントになりました。いままで生きてきた中で本当に1番の財産かなと思いますし、出会えたことに感謝しています。

平澤 僕がワセダへの進学を志望した理由として古賀監督というのがありました。練習参加を色々な大学でさせてもらっていて、ワセダの練習に参加した時に印象に残ったのが、古賀監督とその監督の下で練習している学生の皆さんが1つの目標に向かってやっている姿で、その姿を見て自分がここに入学してもっと成長したいと思いました。古賀監督という存在は練習参加という短い間でしたけど、自分が成長できるなというのを感じさせるくらい本当に素晴らしい人でした。いまでも自分たちに刺激を与え続けてくれているので尊敬できる素晴らしい人だと思っています。

――西山さんはアンケートにはMF池西希(平26スポ卒)選手と書かれていますが

西山 僕と池西君は地元も一緒で、小学校も中学校も一緒で、小学校からずっと追い続けたというか、近くで見させていただいて、レッズの頃も1番面倒を見てもらって、いろいろとうるさいですけど(笑)。自分のことを思って、人のことを考えて行動できる人で、いまでも時間があったら伏見まで来てくれますし、チームのことだったり自分のことであったり、頻繁に連絡もくれますし、自分が駄目な時であったら飯に誘ってくれてたくさん話をしてくれます。自分に足りないところであったり全部当ててくるんで(笑)。ピッチ外でもピッチ内でも大切なことをやってきていて、それをピッチの中でも証明してくれていますし、本当に人間としても尊敬できる部分があります。でも超えたいなというのはあるので大学あと2年間で池西希を超えて見せたいと思います。

――MF近藤洋史主将(スポ4=名古屋グランパスU―18)の印象は

西山 洋史くん自身も昨年よりキャプテンになってチームを背負う責任であったり自分が一番示さないといけないというところだったり、練習でもピッチ外でもすべての場面で自分がリーダーになってやっていくという姿勢をことしになってすごく感じていて。本当にワセダの中でいま一番チームのことを思ってくれていて、そういう面ではすごいなと思います。そういう選手がチームメートの中に少ないのもありますし、もっともっとキャプテンだけではなくてリーダーシップというのを持った選手が年齢関係なく出てこなければいけないと思います。洋史くんが示してくれているので、自分たちも呼応してリーダーシップを取れるような存在にならなければいけないなと思いますし、そういった部分で見本になる存在になっています。

新井 ほとんど言われてしまったのですけれど(笑)。チームを一番引っ張ろうとしている存在だなというのは感じていて。その中で、シーズンが始まる前に一度、洋史くんは試合には出ていなかったのですがBチームの選手が主として出ている試合があって、その時に試合のハーフタイムで4年生が「後半はもっとこうしていこう」というのを言う機会があって、洋史くんは座って見ていたのですけれど、「もっとこうしていこう」という発言をした4年生に対して泣きながら「お前が一番プレーで示せてないのによく言えるな」みたいなことを言った時があって。「お前より1年の方が全然やろうとしているよ。気持ち見せているよ」みたいなことを、涙流しながら言った時があって。自分はその時に率直に本当にチームのことを考えていてそこまで感情を表に出して、しかも同い年の同学年の人にそこまで言えるなんてすごいなと思いましたし。それがキャプテンだなというのは強く感じたところです。まあとはイケメンなんで(笑)。イケメンでキャプテンなのでちやほやされているので(笑)

西山 サッカー知らない人もあのキャプテン格好いいよねみたいなことを言ってくるよね。

新井 みんな聞いてくるもんね(笑)。

平澤 純平からもありましたけれど感情を表に出して。やはり一番チームを背負っているというか、チームが苦しい中で一番苦しんでいる人が洋史くんで。それに対してもっと周りの人たちがやらないといけないなというのを本当に強く感じていて。洋史くんがあれだけ引っ張っていてプレーで示してくれているのにもかかわらず周りがそれに応えられていないというか。そういったところに申し訳なさというかもっとやらなきゃいけないなというのを感じさせてくれる人なので。洋史くんはそういった面でもア式を象徴する人だと思います。

「感動を与えられる側になりたい」(新井)

伝統の一戦に向け意気込む新井

――チケットのノルマは達成できそうですか

西山 僕は、本当に来てくれることがうれしくて。無料で渡しちゃうちゃうんですよ(笑)。うちの母も「それは仕方がない。それは金じゃない」と言ってくれているので。本当に観に来てくれることがすごくうれしいので。観に来てくれるのにお金を取るのは申し訳ないなと思って(笑)。30人ぐらいに渡しているのですが、全部タダで(笑)。周りにも配ってねとたくさん渡しています。

新井 僕は、無料はちょっと考えられないですね(笑)。ちょっとキツいですね(笑)。なので、必死になって宣伝しています(笑)。あとは親にも協力してもらって・・・めちゃめちゃ頑張っています(笑)。もうそろそろなくなりそうなので、大丈夫そうです。

平澤 僕も無料はちょっと厳しいのですけど(笑)。きょねんより枚数は売れているのですけれど本当に余っているので。『平澤のチケット』が(笑)。ホントに、平澤のチケット余っているので本当にお願いします。僕のツイッターからダイレクトメッセージを送っていただければ、飛んでいくので。よろしくお願いします!

――慶大の印象はいかがですか

西山 きょねんと比べて変わったなというのは思っていて。きょねんは負ける気が全くしなくて。試合内容とか、選手のたたずまいというかピッチ外での雰囲気を見て、「負けないだろ」と思っていたのですけれど。ことしの慶大はいろいろ変わってきていて、本気度がいままでで一番強いのかなと。簡単には勝てないのかなと思います。

新井 いままで1年生の頃とかはJr.リーグぐらいでしか慶大と戦う機会がなくて。ことしに入ってから霧島(第6回大学サッカーフェスティバルin霧島、●0―3)などで慶大のトップチームと戦えるようになって。感じたのは守備がやはり徹底されているなという印象がとてもあって。きょねんのトップの慶大がどうだったのかというのは見るだけでしか分からなくて。それでも変化というのは見られたのではないかなという印象はあります。関東リーグの順位的にも降格ギリギリのところに居ましたし。そこからの底力というか危機を乗り越えてきている分恐怖というか変化というのはとても感じています。

平澤 変なプライドを捨てて勝負に執着してくるというのはことしから変わってきた部分だと思いますし、霧島で負けて、関東リーグでは勝ちましたけど(第7節、○2―0)本当に侮れなくて。純平も言いましたけれど徹底された守備から攻撃につなげてくるというところは脅威だと思いますし、自分たちもそういったところで対策していかないとやられてしまうと思うので。自分たちも慶大には絶対に負けられないので。絶対に勝てるようにもっと練習で成長できるようにやっていきたいと思います。

――早慶サッカー定期戦というかたちでは3人とも初めての出場になると思います。特別な思いはありますか

西山 出られるかは分からないですが、1年2年のときは運営側で早慶サッカーを観て。観ていてすごい格好いいですし、あそこでプレーできる喜びや、あの観衆の中で勝った時の喜びというのは観ていてもすごいと思ったのに、あそこに立っている人はどんな気持ちなのだろうというのはすごく思っていて。それを体験したくて。きょねんも自分はたくさん人を呼びましたけど、そういった応援してくれる人の中で自分がピッチに立ってプレーできるというのは本当に楽しみで。きょねんとかは人を呼んで、結局自分は出ていないので。そういう人たちに自分が出ている姿を見せたいですし、こんなことやっているんだぞという証明というものをしたいですし。なので、本当に出て、勝ちたいです。一緒に喜びたいですみんなと。

新井 伝統的な早慶戦は特別だと思いますし、自分もきょねんはグッズ販売をしていて。グッズ販売しているなりに頑張ってはいましたけれど、やはり一番はピッチでやっている選手を見ていて本当にうらやましいと思っている中で、グッズ販売を一生懸命やっていました。けれど出たいですし、販売していてみんなには楽しさの材料を与えていましたけれど、ことし感動を与えられる側になりたいからこそゴールを奪うだとかアシストするというかたちを残したいな、というのはあります。

平澤 自分もきょねんピッチ外から見ていて本当に素晴らしい舞台だなと思っていて。ああいった中でプレーするのは選手として特別なことだと思うので。本当にことしはピッチに立ちたいという思いで練習にも取り組んでいきますし、早くケガを治してピッチに立ちたいという思いは胸の中にあるので。それだけを目指して練習して、そこで勝てるように、成長できるように本当に頑張りたいと思います。

――注目の選手はいますか

西山 上形くん(FW上形洋介、スポ4=東京・早実)です。早慶戦のパンフレットに上形特集みたいなものがあって。それを書けと言われたので書いたのですけれど。なので書いただけです(笑)。でも、MVPも獲っているので、早慶戦にはめっぽう強いので。ことしもやってくれるだろうと思います。(隣で対談中の上形選手をチラっと見る)

上形 今度メシ行こうよ!

西山 よろしくね!(笑)。

新井 僕は貴司くん(MF近藤貴司、教4=三菱養和SCユース)ですね。貴司くんはきょねんも点を取っていますし。貴司くんっていつも試合前とか本当に自信を持っていて、そういった中で早慶戦という大勢の中でプレッシャーが掛かった中でも彼はやってくれると思います。

平澤 上くん(上形)です。早慶戦に強いですし、相手も嫌なイメージしかないと思うので。上くんのハットトリックで勝つと思います。

――MVP予想は

西山 流れ的に・・・上くんでしょう(笑)。

新井 貴司くん。

平澤 僕はアンケートには洋史くんって書きました。ただただ洋史くんに獲ってもらいたいなという思いで書きました。

――早慶サッカーで俺のこのプレーを見てくれというところはありますか

西山 いままで呼んできたけれど出られなかった分、出るチャンスがあるならば自分が一瞬一瞬を本気で戦っている姿を見てほしいですし。左サイドを自分から相手の攻撃を止めて、点につながるプレーや自分が試合を決定づけるプレーをしたいので。観に来てくれている人にはそういうプレーを観て、感動してもらって。観に来てよかったと思わせるように。そういうプレーをして勝ちたいです。

新井 とにかく持久力や運動量。誰が観ていても「こいつどんだけ走ってんだ」と言わせるようなパフォーマンスをしたいです。とにかく「こいつスゲー走れるな」とびっくりさせるようなところを見せたいです。

平澤 自分は純平みたいなオーバーラップだとか西くん(西山)みたいな対人の強さというのはないですけれど、得点の2シーン前には自分が関わっているだとかそういったところが自分の強みというか。『水を運ぶ』選手ではないですけれどそういったところでチームに貢献していきたいと思っているので。目立たないですけれどそういったところで注目してもらえればうれしいかなというのはあります。

――最後に、早慶サッカーであなたは何のために戦いますか?『I Play For ○○』を教えてください

西山 『親』です。前も書かせてもらったのですけれど。寮に入ってからより一層親のありがたみを感じて。自分が出てない試合でも1年生の時からずっと試合を観に来てくれていて。本当に親には感謝してもしきれなくて、親のことを考えるといつも涙もろくなってしまうのですけれど。そのぐらい親に感謝しているので。親のためにも自分があのピッチの中で戦っている姿を見せたいなと思います。

新井 『期待してくれている人』のために戦いたいと思っていて。いままで本当に1年の頃はほとんど公式戦に出場できなかった中で、それでも自分の友達は自分のことを信じてくれていて、活躍してほしいとか「俺はお前のことやれると思っているよ」というような言葉を掛けてくれたなかで、本当にこの早慶サッカーではそういった友達も呼んでいますし。自分がもし出られたらそういった人のために全てを懸けて。1年の頃は全く試合に出られなかったなかで申し訳なさというか期待を裏切ってしまった中でのことしなので。そういったいままでの思いを全て出せるようなプレー、戦いをしたいと思います。

平澤 『ワセダに関わる全ての人』です。ワセダに入って、ア式だけでなくてワセダに入ったことでいろんな面で成長できましたし、そういった人たちがいなかったら早慶サッカーもないだろうし、こういう環境でサッカーもできていないと思うので。その人たちのために全力でプレーしたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 市川祐樹、高柳龍太郎、藤巻晴帆)

それぞれの意気込みを色紙に書いていただきました

◆西山航平(にしやま・こうへい)(※写真中央)

1993年(平5)9月1日生まれ。171センチ。埼玉・早大本庄出身。前所属・浦和レッズユース。スポーツ科学部3年。試合を見に来てくれることが何よりも嬉しいと語る姿が印象的でした。西山さんが出場していなくても、試合のたびに足を運んでくれたご両親のために早慶戦をプレーすると誓ってくれました!

◆平澤俊輔(ひらさわ・しゅんすけ)

1994年(平6)4月11日生まれ。175センチ、67キロ。福岡・富岡出身。前所属・JFAアカデミー福島。色紙に字を書く際、何度も何度も書く言葉の確認をしていた平澤選手。しかしそれにも関わらず、漢字をど忘れという天然っぷりを発揮してくれました(笑)。

◆新井純平(あらい・じゅんぺい)

1994(平6)年11月12日生まれ。身長173センチ体重62キロ。埼玉・大宮南高出身。前所属浦和レッズユース。スポーツ科学部2年。毎試合さまざまな色のスパイクを履いて試合に出場している新井選手。芝の深さなどを確かめたうえでその日にあったスパイクを選んでいるそうです。早慶サッカー当日も「絶対カラフルにします!」と宣言してくださいました。新井選手のスパイクの色にも注目です!