【連載】早慶サッカー定期戦特集 第2回奥山政幸×堀田稜×宮本拓弥

ア式蹴球男子

 今季のワセダには攻守にわたって奮闘する3年生の姿がある。FW宮本拓弥(スポ3=千葉・流通経大柏)選手は得点とポストプレー、MF堀田稜(商3=浦和レッズユース)選手は中盤でのチャンスメーク、そしてDF奥山政幸(スポ3=名古屋グランパスU-18)選手は鉄壁の最終ラインを形成している。早慶サッカーでもキーマンとなるであろう3選手にお話を伺った。

※この取材は6月20日に行われたものです。

「このきっかけを逃してはいけない」(奥山)

前期を振り返る奥山

――前期のシーズンを振り返っていかがでしたか

堀田 今シーズンはじめは割といいかたちで勝利につなげられていたと思います。しかし、自分たちが本当に勝たなくてはいけない試合というかより優位に立たなくてはいけない試合で勝てなかったというのが本音です。個人的にも重要な試合で自分たちを苦しめるプレーをしてしまったと感じているので、アミノバイタルカップ2014(アミノバイタル)の後にメンタリティーのお話しがありましたが、それは本当に自分に向けられているなと思います。大事な試合で自分の弱い部分が出てしまったというのが前期の感想です。

奥山 関東大学リーグ戦(リーグ戦)が開幕して、勝ってはいました。ただし、勝っていただけで内容が伴ってない勝利でどこかごまかされていたところが前期の終わりにあらわになっただけかなと思います。やはり自分たちが目指すべきサッカーを表現できた試合がゼロと言っても過言ではなかったので自分たちが求めている理想からはかけ離れているのにも関わらず満足している自分たちがいたために課題と向き合えていなかったですし、弱さだったり甘えがこの天皇杯(天皇杯東京都予選)、アミノバイタルで固まって出てしまったのかなと思います。

宮本 リーグ戦は3位で折り返せましたけど、何一つ自分たちで満足して勝てた試合はありませんでした。強いて言うならリーグ戦7節の慶大戦(○2-0)。比較的できていたかな。それも慶大という特別な相手だからできたことで、きっかけがなければ勝てないメンタルの弱さからかなと。アミノバイタルも見ていて率直に感じました。自分としてもリーグ戦途中でケガをして4試合くらい出られませんでした。そういったところに関してもケガして悔しかったです。勝っていてチームとしては良かったですが個人的にはあまりうれしくなかったです。やはり4試合を棒に振ってしまったのは悔しいです。

――リーグ戦では3位という結果を出せましたがアミノバイタルであったり天皇杯で出てきた課題というのはどのようなところにあると思いますか

堀田 さっき政幸も言っていましたけど、自分たちは決してリーグ戦をうまく戦えていた訳ではなくて臨んだ天皇杯、アミノバイタルカップでした。それが結果的に表れてしまったのがこの二つの大会かなと。一試合目の国際武道大戦(○3-0)でもミスを突かれずに済んだから勝てただけで、2試合目もチャンスは決めきれず、エネルギーを出していこうといっても結局PKで勝っただけで、内容で言ったら決していい試合ではありませんでした。そういったあらわにならなかった部分が国士舘戦(●0-2)でとうとう出てしまったのかなと思います。なんというか結果で勝てていたので自分たちも後回しにしていた部分があると思います。そういった部分が後々の試合でピッチの上で自分たちのサッカーが表現できないというものにつながってしまったと捉えています。

――いまチームに足りていないと思うのは「決定力がないこと」なのか「流れをつくることができないこと」なのか具体的にはどのような部分だと思いますか

堀田 いまおっしゃっていた部分は二つとも当てはまることです。流れをつくれないという部分に関してはプレスを持続してかけ続けることができない。そういったところでチームの勢いを90分間保てないというのがチームが勝てない。自分たちがいいペースのところで決めきれないと自分たちはただやられてしまうと思うので、流れをつくれることと決定力はつながっているかなと自分の中では思います。

――アミノバイタル、天皇杯で勝つことができなかった原因はお二人はどのようなところにあると思いますか

奥山 本当に堀田が言ったようなことは全員に当てはまると思います。プレッシャーがかかる状況で縮こまってしまう選手が余りにも多すぎるなと思います。そういった中での精神面での弱さが苦しい状況になったときに誰もいい方向に導くことができず悪い方向に負の連鎖のようにズルズルとなってしまった。誰かが流れを変えるだけのプレーだったり、圧倒的な個の力というのを出していけなかったからこそこの3連敗につながったと思いますし、まあ本当に90分間、要所で自分たちの強みを出すことができた試合もありましたが、90分間出し続けられた試合はありません。そういったところではきょねんから言っていますが個の力というものがどうしても必要です。そういった部分が薄れかけているからこそ勝てないのかなと非常に感じています。個と言う部分でももっと違いをつくらなければいけません。本当に他人と同じ選手なんていらないと思うのでもっと個性を出していかなければいけないと思います。練習の中でももっと感情をぶつけていこうという話しが出ますが、たぶん自分たちの弱さから他人に依存するというか、殻に閉じこもっているのは楽なのでそれに甘えて成長の機会を逃していたことが、リーグ開幕しても勝てず自分たちのサッカーができず、成長できず終わった原因かなと思います。

宮本 アミノバイタルを通じて思ったのは、3つあります。決定力とパスと自身だと思います。本当にこの3つが足りなかったと思います。本当に「決定力」で言えば国士舘戦でもチャンスがなかったわけではなくて、あったにも関わらず決めきれなかった。自分も決められなかったのは問題です。ただ、パスというものを見てみると本当に効果的なパスを出しているかというと全然出していないです。そこはFWとしての不満じゃないですけど、そういうものがあります。ここで言うと直接言えよと言われると思うんですけど(笑)

堀田、奥山 (笑)

――この機会に宮本選手が本当に欲しいパスを教えてください

宮本 この機会に言うと(笑)。まあ、僕をターゲットにしてくれるのはいいんですが、全部ハイボールしかもらえないんですね。結構相手DFと駆け引きして裏にスルーパス欲しいときにもボーンと蹴られたものを走っていったりして、それだと自分は90分間走りたいなと思っています。ただ、そういうプレーは無駄に疲れてしまうだけで、言っちゃ悪いですが無駄なプレーかなと思います。専大を真似しろというわけではないですが、専大だったら足元つけて無駄がないですしああいうパスは見習っていかなければいけないなと思います。サッカーそのものではなくてアタッキングサードとかのやり方だったりは真似していいと思います。彼らのプレーも速さですし同じでもいいかなと思います。あと、自信というところでは相手に合わせてしまうということがあって、アミノバイタルの国士舘戦でも最後の最後になってからパワープレーを始めても遅いですし練習でもやってないものを突然始めても決まるものではないと思います。そういうものはどんなにミスしても初めから自分たちのサッカーを90分間通してやることをやって欲しいかなと思います。最近は最後の最後になってからやる気を出していることが多いかなと思います。また不満になりますが、裏に欲しいときでも自分に付くパスを出されてしまったりもしてもっとスピードを出していきたいと思います。そういった部分が違うなと思います。

――やはり自分の欲しいボールと違うものが来たりと意思疎通ができていないということでしょうか

宮本 はい。もっとできるんですがそれをやっていないだけだと思います。

――そんな中で3年生のミーティングがあったと伺いましたが内容はいかがでしたか

堀田 ミーティングはしましたが全員の意見をまとめようというミーティングではなくて、さっき政幸も言ってましたが、思いをぶつけ合える組織になろうということで、勝てるチームになるためにはどうするべきなのか。それぞれが言葉にして、学年全体に伝える。それに対してこれはいいこれは悪いと取捨選択して、それぞれ伝えた思いに対して行動していこうというものでした。これまでも学年ミーティングはありましたが、それぞれの口から出てくる言葉は全部素晴らしいものばかりでした。それがなんで結果に結びつかないかと言うと行動が伴っていないからです。今回のミーティングではまとめることはせずに行動するそれぞれの指標を示すミーティングになりました。

――ミーティングで実はこんな風に思ってたんだなどの驚きはありましたか

奥山 みんな思っていることは一緒で、言葉が違うだけでした。それを再確認できたことは良かったです。このきっかけを逃してはいけないと思いますし、いくつも変えるきっかけがあったにもかかわらず変えきれなかったことがこのような結果を招いてしまったので、言動に責任を持って向き合ってやっていきたいなと思いました。

――ミーティング後練習がありましたが何かポイントを絞って取り組んだものはありますか

宮本 感情をぶつけ合う。

奥山 まあ、そうだよね。

宮本 間違っていてでもいいから自分の思っていたことを言葉に出すこと。というのはきょうはなかなかあったと思います。

――熱い言葉と言えば、試合後に古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)から言葉をもらうシーンもありましたがどのように感じていましたか

堀田 まあ、監督の言葉一つ一つには監督の行動が伴っているので説得力がありますし、自分たちに足りない部分を的確に指摘いただけるのでありがたいなとは思います。ただ、自分たちでなんでもっと先にこのことが言えなかったのだろうと思うことがあります。言われる前に何とか気付けなかったことは問題に感じます。いつも自分たちが変わるときには監督の言葉があって、それじゃあ学生主体を掲げているのに先陣を切っているのはいつも監督だなと言う風にはいつも感じます。さっき政幸も言って言いましたがこれが最後のチャンスだとするなら、自分たちが問題に気付いて改善してという作業をできるようにならなければいけないなと思います。それをするためには組織の一人一人が自分の思うことを伝えていかなければいけないと思うので監督の言葉をいただくためにそういったものは考えさせられます。

――ここからはお一人お一人に質問させていただきたいと思います。まず宮本選手に質問ですが前期FWとして点を稼げていないことについてはどのように感じていますか

宮本 いやあ、結果が出ないのはFWとしては屈辱的です。でもまあ、決定力というか自分に足りないものはシュートを打てるのに打たなかったり、シュートのチャンスを自分で逃していること。それを他の人からも言われていてそこが自分が足りないところだなと思います。

――奥山選手に質問になりますが雰囲気としてはボランチはこのまま続けるようですか

奥山 監督がどう考えているか分からないので何とも言えませんが、練習の中でもボランチをやりました。まだ、ボランチとしては半人前というか自分の強みが出し切れていないなというのが正直なところです。ただ、そういうところはトライしていかなければいけないなと思っています。これから現実的に自分が上のステージを目指すと考えたときにこの身長でセンターバックをやることは厳しいと思います。自分自身やれる自信はありますが、評価が下がることは間違いないです。ボランチはセンターバックのプレーにつながると思います。いまはどちらのポジションがいいというこだわりはありません。ただ、試合に出続けることで成長できると思うので、与えられた役割を自分の中で落とし込んで挑戦し続けるだけかなとは思います。

――ボランチをやりたいかと言われるといかがですか

奥山 そこは、はいとはまだ言えないですね(笑)。

宮本 自分はやりたいですよ!

一同 (笑)

宮本 ボランチやりたいですもん!

奥山 リーグ戦の流通経大戦(△1-1)のボランチは大好評でしたね。

宮本 いやあ、違うんですよ。政幸もそうだと思うんですけどいろいろなポジションをやっているんですよ。高校時代から。だからいまFWやってるんですが、なんか本職が分かんなくなっちゃった(笑)。

一同 (笑)

宮本 だから結果が出ないというのもあるんですよ。本当にFWが一番合ってるのかなって思うことも結構あるんですよ。

――宮本選手の一番好きなポジションはどこですか

宮本 ボランチです。

一同 (笑)

宮本 でもサイドバックも好きです。本当にいろんなポジションやっていて、堀田と高校時代に試合したときはボランチのアンカーでしたもん。

堀田 宮本が変なところで出てるって話題になったんですよね。

――堀田選手も高校時代はFWをやられていたということですが一番好きなポジションはどこですか

奥山 左サイドバックでしょ。

堀田 いやあ、やっぱりサイドのアタッカーが自分には合ってるかなと思います。

――一番好きなポジションは

宮本 ボランチです(笑)

一同 (笑)

宮本 サイドバックも好きです(笑)

奥山 堀田は一回見たことあるよね。

宮本 そうなんですよ。堀田と高校時代やったことあるんですけど、その時はボランチのアンカーでした。

堀田 宮本が変なところにいると思って(笑)とんでもないキックで(笑)

――堀田選手は高校時代FWのポジションをやっていたんですよね

堀田 ウイングをやっていました。

――どこのポジションが好きですか

宮本 サイドバック(笑)

堀田 いや、でもサイドのアタッカーが自分に合ってると思います。

――リーグ戦の早慶戦で今季一番のワセダらしさを出せたとおっしゃっていましたがどのような点がワセダらしさだったのでしょうか

堀田 試合の序盤からチーム全体がいい雰囲気で、それぞれが前へ前へプレッシャーをかけて相手に勢いをつけさせなかったですし、自分たちもボールを奪ってすぐにゴールに向かうことができました。前半のいい状態からこのようなことができて、後半でも自分たちが体力的にきつくなった状態でボールを奪って勝利できたことは一番ですね。そして無失点で勝ったことも。あとは慶大という相手に対して自分たちの色を出して勝利できたということが一番ワセダらしさが出たところです。

――リーグ戦ではチームに貢献したいとおっしゃっていましたがその点振り返って

堀田 その点に関しては全く貢献できなかったと思っています。貢献できたと考えるよりも、勝たなきゃいけない試合で力を発揮できたかで考えた場合、明大戦(●1-2)と専大戦(●0-3)は特に責任を感じています。毎週ゲームがあったということで他の試合でゴールやアシストをできていました。しかし、正直そんなことよりもあの2つのゲームでチームに勝利をもたらせられなく、むしろチームの流れを崩すような軽率なプレーをしてしまったことをものすごく大きく捉えていて、前期のシーズンを振り返ったときに、まだまだチームの力になれていないと考えています。

――リーグ戦で成長できた部分は

一番はゲームを通じで90分間で強度が落ちなくなったというところです。あとは、昔だったらパスに逃げていたんじゃないかという部分で自分で仕掛けにいけるようになった部分ですね。この2つのことは前よりも良くなったと思います。

「ネイマールが好き」(堀田)

好きな選手にネイマールを挙げた堀田

――3選手は寮で生活されているということですが寮の雰囲気というのは

堀田 僕は通うこともできたのですが、朝練の時間が早くて、始発でもギリギリだったというのが入る決め手でした。あとは、サッカーに打ち込める環境が東伏見に備わっていて、それを最大限に生かすためには寮に入って仲間と生活することによって成長できる部分をあったので寮に入りました。寮の雰囲気は…。

奥山、宮本 (笑)

堀田 何笑ってるの(笑)

宮本 堀田真面目に答えてるなと思って(笑)

――誕生日会とかはすごく盛り上がるそうで

堀田 はい。誕生日会ではホイップクリームを顔にぶつけるとかやってますね

――みなさんやられているんですか

堀田 はい。もう突撃して(笑)

――奥山選手は寮の雰囲気というのは

奥山 寮に入ることで意識が変わる選手がいたと思いますし、周りの選手が頑張っていたら自分も頑張らなくちゃいけないと単純に思います。そういった自分を高めるという意味でいい環境にあると思いますし、一人でいるのは好きじゃないので、すぐ近くに誰かいるのは楽しいです。一回名前出せって言われているんで名前出しますけど、MF川井健吾(創理3=東京都市大付)というチームメイトがいるんですけど、川井とよくゲームしたり楽しんでいるのがいいリラックスになるので、寮に入って良かったと思います。

――宮本選手はいかがですか

宮本 高校から寮だったので、高校の時と比べるとみんな真面目かなと思います。ただ、レスリング部のすごい大きい人がいるんですけど、まじ怖いっす(笑)。優しいらしいんですけど、横を通るとぶん殴られるんじゃないかなと思うくらいです。

奥山 歩き方がね

宮本 歩き方が本当に怖いです(笑)。

堀田 宮本も思われてると思うよ(笑)。

宮本 思われてるのかな(笑)。

――オフの日の過ごし方についてお聞きしたいのですが堀田選手はアンケートのア式あるあるにオフの日に危機感に襲われると書かれていましたが

奥山 火曜には比較的ハードなトレーニングが待っているので、オフに体を動かさずに遊んでいることにこれであした大丈夫なのかと思っちゃうんですよね。なんでか分からないのですがすごい罪悪感があって、結構チームメイトの中でもオフの日でもグラウンドに出ている人がいるので、そういう人たちがトレーニングで成長していることをイメージして、俺遊んでていいのかな、追い抜かれたりしないかなといい意味で危機感を感じています。

――みなさんは危機感を感じていますか

奥山 (宮本選手の方を見て)あなたは感じないでしょ(笑)。

堀田 宮本は感じていないと思いますよ(笑)。

奥山 堪能してるでしょ?(笑)。

宮本 堪能している(笑)。

――オフの日は宮本選手は何をしていますか

宮本 月曜日は2、4、5限が授業なので…何もしてないです(笑)。何もしてないな本当に。2,4,5限って何もできないじゃないですか(笑)。でも全部東伏見なのでそれは良かったんですけど。あとはゲオでDVD借りて見てます。

――どんなDVDを見ているんですか

宮本 最近ドラマとか多いですね~。

堀田 いつだかさ、俺の名前使ってドラえもん見てるって言ってたじゃん。あれ、めっちゃいじられたんだけど(笑)。

宮本 前は堀田とドラえもん見ていました。

堀田 一時期見てました(笑)。

宮本 ドラえもんって結構感動するんですよ。

堀田 借りてくるのが宮本なんですよ。そうすると大体ドラえもんなんで。選択を任せているんで(笑)。

宮本 堀田も結構楽しく見てるんですよ。いい話だなって。

奥山 好きなんでしょドラえもん?

堀田 たまに見るといいよね!

――奥山選手はどう過ごしているんですか

堀田、宮本 最近は?(笑)最近は?(笑)

奥山 まあそれはちょっと…汗かいちゃうからな(笑)。特にやることないですね。

――ワールドカップについて聞いていこうと思うのですが、まずはここまでの日本の戦いぶりについてどう思いますか

宮本 日本代表入りたいからそんな悪いこと言えませんよ(笑)。けど、最初コートジボワール戦見ていた時に本田圭佑選手が決めたときはいけるんじゃないかと思っていたんですけど、ドログバ選手が出てきた時に、日本の選手と比べて期待感が出ていたのでやばいなと思いました。これは一般人としての意見ですけどね。

――本日のギリシャ戦を観戦していかがですか

宮本 途中で寝ちゃいました(笑)。早く起きたんですけど8時くらいに寝ちゃいました(笑)。

――みなさんで見ていたんですか

宮本 ばらばらでした。俺と政幸(奥山)が同部屋なので一緒でしたけど。

奥山 こいつが寝てるのを横目で見ながら、一人で「うわ」とか言っても反応しなくなっていきました。

宮本 途中まで反応してたんですけど、寝ちゃいましたね。

――奥山選手は日本の戦いぶりに関しては

宮本 残念だなと思います。いままでやってきたサッカーができていないと多くのメディアから言われていて、僕もそうなっては欲しくなかったと思っていたんですけど、自分たちにもつながるところがあると思うのでいい勉強をさせてもらっていると思います。

堀田 僕も考えていたことは一緒で、僕たちが悩んでいることで悩んでいるのかなと思っています。

――いま、名古屋グランパスU-18の杉森考起選手が帯同されていると思うんですけどどう思われていますか

奥山 杉森はそんなに絡みはなかったですけど、小学生のころからスーパーな選手として騒がれていました。一緒にプレーする機会はなかったですけど、すごいやつがいるとは聞いていたので、サポートメンバー選ばれてうらやましいですし、自分も頑張らなくてはいけないと素直に思いました。

――ワールドカップ全体を見てどう思いますか

宮本 ドイツは強いです。スペインは正直何やってんだって話になってしまうんですけど、個人的にイングランド応援していたのに2敗してしまったので悔しいです。

――昨年のアンケートにプレミアリーグでプレーしていることを想像してモチベーションを上げているとおっしゃっていましたが、プレーできるとしたらどのチームでプレーしたいですか

宮本 チェルシーです。FWで考えたらリバプールなんですけど…(笑)。チェルシーだとダビド・ルイスとかランパードとかといっしょに組み立てたら面白いかなと思います。

堀田 イメージもさ、ディフェンスラインじゃん(笑)。

宮本 いや、中盤(笑)。

堀田 中盤とか意識してるから点取れないんじゃん(笑)。

宮本 でも、スアレスとかのゴールはちゃんと見てるよ!ただ、僕だけじゃないと思うんですけど、日本人とは違うなとつくづく思います。なんであんなシュート入るの、ってのが多いじゃないですか。あれ見ちゃうと首かしげちゃいますね。

――奥山選手はワールドカップを見ていて注目しているチームはありますか

奥山 寮生の中で優勝予想しているんですけど、多くの人がブラジルやドイツと言っている中でそれじゃつまらないのでクロアチアを応援しています。ブラジルに健闘してそれで満足しています(笑)。4-0で勝ったので決勝はブラジルとクロアチアでクロアチアが優勝します(笑)。

堀田 言い切った(笑)。

宮本 すごいな(笑)。

――堀田選手は注目しているチームは

堀田 ブラジルですね。ネイマールが好きなので。

宮本 つまんない。つまんない(笑)。

――意外なチームを予想している人はいますか

宮本 クロアチアですね。あ、あとはチリ。

――ちなみに誰がチリを

奥山 西山(DF航平、スポ3=浦和レッズユース)です。

宮本 ベルギーもいましたよ。やまし君(MF山下翔平、商4=ヴィッセル神戸ユース)。

宮本 俺は最初ガーナとか予想してたんですけど(笑)。

堀田 あとはいないよね。

――MVPや得点王になりそうな選手は誰ですか

宮本 俺3人います。

奥山 そんなにいるの?

宮本 いまのところね。ファンペルシー、ロッベン、スアレス。ネイマールもあると思うんですけど、ブラジルだとつまらないですから(笑)。オランダは絶対にあの攻撃がこの大会中に沈むことはないと思うので。絶対上までいくと思います。

奥山 悔しいんですけど、アンケートで現実見てブラジルと書いてしまったので、優勝ブラジルのMVPがネイマールですかね。開幕戦で2点取って悔しくて(笑)。ブラジルの国歌を歌うときの感じもすごく好きなので。本当はブラジルが好きなんですけどクロアチアと言ってしまった身分なので…。でも…MVPはダビド・ルイスとかにしておきますかね(笑)。

――堀田選手はやはり予想はネイマールですか

堀田 取ってもらいたいですね。ブラジルが優勝したら彼が取ると思います。

――決勝戦予想は

宮本 クロアチア?クロアチア?(笑)

堀田 どこだろ?

宮本 普通にいけばブラジルとドイツでしょう。

堀田 うーん、ドイツとオランダがやっているところを見たいですね。攻撃が2チームともすごいので。対戦したときにどういう試合になるかが知りたいですね。

――ネイマールのどのようなところが好きなんですか

堀田 アイディアというか、そこでそんなことやるのっていう感動が、サッカーの一番いいなと思うことなので。初めてネイマールのプレーを見たときに、自分がやっている環境でこのプレーをやったら怒られるだろうな、こんなことをやる勇気はないなというプレーを遊んでるかのようにやってる姿を見て、こんな楽しくサッカーをやれたらいいなと思ったのがネイマールを好きになったきっかけです。自分もそういう部分がサッカーの一番楽しい部分だと思うので、ずっと彼が結果を出すことを応援してきて、いまこういう風に注目される選手になったのでぜひ頑張ってほしいと思っています。自分が魅了された選手なのでぜひみんなにもそうなってほしいです。

――真似したいプレーはありますか

堀田 リフティングとかはまねしたりするんですけど、プレーの中でやろうとはしているんですけど、シンプルなプレーが体に染みついちゃっているので、なかなかそれをプレーで出すことはできないんですけど。でもいつかそういうプレーを出せたらワセダは真面目でシンプルなサッカーをしていると思うので、自分はワセダの最低限のプレーをすれば、点さえ取れれば何をしてもいいという考えを持っているので、いつかやれたらなと思っています。

――(ネイマールのプレーを)実際にしてみたりするのですか

堀田 リフティングとかはしますよ。でも、固いシンプルなサッカーが身についているので、なかなかそういうプレーで出すことはできません。しかし、いつか出せたらいいなとは思っています。ワセダは真面目でシンプルなサッカーをすると思われていますが、自分は最低限のプレスをした上で点さえ取れれば何をしてもいいという気持ちを持っているので、自分がいつかその様な選手になれたらと思っています。

宮本 好きな選手はジェラード、マルディーニです。ルーニーも昔から好きですが、基本はボランチが好きですね(笑)。でも、ワントップならファンペルシーとかは本当にうまいと思います。ドログバも好きです。

――ボランチに憧れる理由は

宮本 ボランチに憧れるというか、俺のプレースタイルとしては前線で何かをするのではなく、後ろからの方が得意なんですよ。ドリブルでも何でも。でもいまそれに向き合っています。前でもやはりできなくてはいけないので。ユースの頃はセンターバックで、そこから徐々に上がってきました。今はFWになって、競り合いと走りはできるようになりました。これだけは確実に言えます。

――MF近藤洋史主将(スポ4=名古屋グランパスU-18)が、アンケートで前期衝撃的だったことに宮本さんのボランチを書いていらっしゃいましたが

宮本 光栄です。アミノバイタルカップから、負けたら俺をボランチに下げるというかたちができているので、うれしいです。オプションも増えますし。しかしそれはそれで、FWとして結果を残したい気持ちはあります。それは無いといけませんが、ボランチも好きということです。

奥山ボランチが、ね(笑)。

堀田FWも、好きなんでしょ(笑)。

――奥山選手は、好きな選手などいらっしゃいますか

奥山前ならプジョルと答えていたのですが、引退してしまいましたから。ボランチで使われるようになって、ラームとか、ルイスグスタポとか、ちょっと渋めの選手が好きです。センターバックやボランチで、そういった選手の映像はよく見ています。

――ご自分に還元したいプレーはありますか

奥山 ワールドカップではありませんが、ダビド・ルイスがコンフェデの決勝のときロングボールでサイドを切り分けた感じなど、ボールを奪って果敢にゴールへ向かっていき、最初に顔を出せる運動量とか。そういったところに憧れます。

――大学サッカーの選手で尊敬している方はいますか

堀田 俺は仲川輝人(専大)です。

宮本 対戦するセンターバックで嫌だなと思ったのは・・・。

奥山 いない?!(笑)。

宮本 俺を本気にさせたのは…

奥山 本気出せよいつも(笑)。

宮本 本気にさせたのは高麗大です。あそこは競り合いが本当に強かったので。

――片山瑛一選手(平26スポ卒=現ファジアーノ岡山)がベストゴール賞に選ばれていましたが、同じFWとしてどう思いますか

宮本 片山くんのあんなボールはワセダで見たことがありませんでした。胸トラップして、すぐにシュートとか。どちらかと言うと相手とぶつかりながらシュートというようなプレーを見ていたので、あのようにゴールが奪えるということはやはり素質があると思います。同じようなイメージは自分も持っていますし、プロの自覚を感じます。

「シュートをゴールにズドンと突き刺したい」(宮本)

早慶サッカーへの意気込みを語る宮本

——ここからは第65回早慶サッカー定期戦についての質問になります。奥山さん、宮本さんはきょねんも出場されていましたが、振り返っていかがですか

宮本 ワセダの強みを出して、結果、僕もアシストできましたし。僕はベンチから見ていて、きょねんの早慶戦は勝って当たり前というか、勝つべきだなと思いました。

奥山 自分たちの強みを出せた試合という印象です。今でも、試合前のミーティングの映像であの試合が使われるくらいです。自分たちの3年間でトップクラスで自分たちの強みを出せた試合ですね。勝てたのも大きいですし。

——みなさんの学年は早慶戦負け知らずですが、ことしはどのような気持ちで試合に臨まれますか

堀田 もちろんワセダの色を90分間出し切って、当たり前のように3連覇したいです。

奥山 慶大には負けられない、勝たなければいけないと思います。

——早慶サッカーは特別な試合でしょうか

宮本 観客の人数もリーグ戦とは比べ物にならないくらいいますし、使えるスタジアムも、ことしは等々力陸上競技場(等々力)ですが、フロンターレのホームですし、そういうところでサッカーができると思うと自然と気持ちが昂ります。

——早慶戦での役職についていらっしゃると伺いましたが、どのようなお仕事をされているのですか

堀田 僕は、地域のお店に協力してもらってPRする仕事をしています。このあたりのいつもお世話になっている飲食店だったりとか、キャンパス付近の店だったりとか、そのような方々にTwitterでその店を紹介する代わりに、そのお店で早慶戦のPRをしていただいています。

宮本 僕もPRです。 各キャンパスでビラを配っています。聞く話によると、本キャンでは所沢キャンパスよりビラをもらってもらえるらしいですね(笑)。

――早慶戦ではどのようなプレーしてみたいですか

堀田 僕は自分のスピードを生かしたドリブルや抜け出しで、直接点に関わりたいです。点を決めて、チームの勝利に貢献したいです。後はワセダに入ってから守備のやりがいというものを感じられるようになってきたので、そういう部分で活躍したいです。

奥山 自分はいつも通り、ボールを取るなど地味な役割で貢献したいですが、素直なところでは点を取りたいということもあるので、早慶戦くらい目立ちたいなと思います。

宮本 俺も、綺麗でなくていいので、シュートをゴールにズドンと突き刺したいです。ことしに入って、ベストなゴールというか自分で理想にしているゴールは立命館大戦のときなので、あのときのようなシュートを決めたいです。

——慶大の選手で注目している方はいらっしゃいますか

堀田 俺は端山豪です。個人的に、小学校で仲良くなって、チームも浦和ユースと東京ヴェルディユースでどこか敵対視していたチーム同士でした。お互いずっとライバルチームに所属していて、大学でもこうして相手チームにいます。そういう中でも彼の技術の高さは、自分でも好きな選手の一人です。その選手と同じピッチで戦って、勝利できたらうれしいなと思います。

奥山 全日本でやった、増田湧介くんと、端山と、溝渕(雄志)という選手ですね。

——早慶戦へ向けての意気込みをお願いします

宮本 絶対にゴール決めます。

奥山 ゴール決めます。

堀田 3連覇して、慶大の戦意を喪失させるような試合をして、自分がゴール決めます。

——ありがとうございました!

(取材・編集 辛嶋寛文、近藤廉一郎、丸山美帆)

早慶サッカーに向けて意気込みを色紙に書いてもらいました

◆奥山政幸(おくやま・まさゆき)(※写真右)

1993年(平5)7月23日生まれ。身長173センチ、体重69キロ。名古屋グランパスU-18出身、スポーツ科学部3年。今季はセンターバック、ボランチ共にハイパフォーマンスを続けている奥山選手。全日本大学選抜ではU-21日本代表に勝利するなど調子はうなぎのぼり。早慶サッカー当日もMVP級の活躍をしてくれることでしょう!

◆宮本拓弥(みやもと・たくや)(※写真中央)

1993年(平5)5月21日生まれ。身長182センチ、体重85キロ。千葉・流通経大柏高出身、スポーツ科学部3年。今季はボランチなどでも出場した宮本選手。本人も「守備は嫌いじゃない」と話していました。早慶サッカーでは得点だけでなく、献身的な守備にもぜひ注目してみてください!

◆堀田稜(ほりた・りょう)

1994年(平6)2月8日生まれ。身長174センチ、体重66キロ。浦和レッズユース出身、商学部3年。高校2年時の練習参加で大遅刻をしてしまったという堀田選手。当時のことを「いまでもゾッとする」と振り返ってくれました。いまでは設備の整った寮生活で練習に打ち込めてるのも、今季の躍進の要因となってるかもしれません。