今回で91回目を迎える早関定期戦が早大東伏見グラウンドで行われた。関学大は昨年の全日本大学選手権(●1-2)でワセダが苦渋を舐めさせられた、記憶に新しい因縁の相手。屈辱を晴らすべく臨んだこの一戦は開始早々に先制点を許してしまう。しかし直後にFW上形洋介(スポ4=東京・早実)のゴールで同点に追いつくと、その後はハードワークを武器に相手を攻め立てる。セットプレーから2点を追加すると、守備でも危険なシュートを打たせず。攻守に圧倒し3-1で記念すべき40勝目を達成した。
「絶対に負けられない相手」(上形)と意気込んだこの試合。ワセダは開始早々にFW宮本拓弥(スポ3=千葉・流通経大柏)がミドルシュートで相手ゴールを脅かし、幸先いいスタートを切る。しかし10分にPA前でフリーの選手に一瞬の隙を突かれ、強烈なシュートを決められてしまう。それでも動揺することなく攻め立てると20分、左サイドでボールを持ったMF堀田稜(商3=浦和レッズユース)のクロスの跳ね返りを上形が押し込み同点。さらに持ち味の運動量、DF新井純平(スポ2=浦和レッズユース)の積極的なオーバーラップなどで徐々に相手を押し込んでいく。すると35分にCKからDF田中進之介(スポ4=湘南ベルマーレユース)が頭で合わせ逆転に成功。2-1で前半を折り返す。
得意のオーバーラップで攻撃に厚みをもたせた新井
迎えた後半もエンジのユニフォームがピッチで躍動する。52分にFKを得ると、MF近藤洋史主将(スポ4=名古屋グランパスU-18)が右足を一閃。ボールは鮮やかに左隅へ吸い込まれ追加点を決める。対する関学大も得意のショートパスを主体に攻めるも、ハイプレスでシュートまでいかせない。逆に64、70分には宮本が惜しいシュートを放つなど試合を支配し続ける。関学大は84分、状況の打開を図り全日本大学選抜にも選ばれているFW呉屋大翔、MF小林成豪を投入。しかし最後まで守備陣が集中を切らさず奮闘。終了間際にもチャンスをつくるなど、危なげない内容で快勝を収めた。
1ゴール1アシストの活躍をみせた近藤洋主将
昨年の悔しさを晴らすような快勝劇だった。攻撃面でも多くのチャンスをつくったこの一戦に選手たちも大きな収穫があっただろう。また、「もっと基準を上げていかなくてはいけない」と近藤洋が語るように、来る関東大学リーグ戦に向けチームに慢心はみられない。今季こそ頂点に立つため――。『WASEDA The 1st』への新たな挑戦が幕を開けた。
(記事 増山祐史、写真 松下優)
★Bチーム戦も開催!
ことしからBチームも定期戦が行われた。ケガで調整中のMF近藤貴司(教4=三菱養和SCユース)や、新戦力のDF熊本雄太(練習生=東福岡)など多くの選手が出場。試合は前半、2ゴールを奪うもディフェンスのミスなどで同点に追いつかれてしまう。後半、途中出場のMF今来俊介(練習生=神奈川・桐光学園)のゴールなどで一時2点差をつけるも、相手のスルーパスに対応できず再び同点に追いつかれ引き分けに終わった。この悔しさを糧に、Aチームの選手を脅かす存在となっていってほしい。
復調の気配をみせた近藤貴
第91回早関定期戦 | ||||
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早大 | 3 | 2-1 1-0 |
1 | 関学大 |
【得点者】(早)20上形、35田中進、52近藤洋 (関学)18出岡 |
スターティングメンバ―
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 松澤香輝 | スポ4 | 千葉・流通経済大柏 |
DF | 23 | 新井純平 | スポ2 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 田中進之介 | スポ4 | 湘南ベルマーレユース |
DF | 4 | 金沢拓真 | スポ3 | 横浜F・マリノスユース |
DF | 22 | 平澤俊輔 | スポ2 | JFAアカデミー福島 |
MF | 27 | 園田慎一郎 | 社4 | 東京・早実 |
MF | ◎6 | 近藤洋史 | スポ4 | 名古屋グランパスU-18 |
MF | 7 | 鈴木裕也 | 練習生 | 埼玉・武南 |
MF | →80分 | 小林大地 | スポ2 | 千葉・流通経済大柏 |
MF | 14 | 堀田稜 | 商3 | 浦和レッズユース |
FW | 9 | 宮本拓弥 | スポ3 | 千葉・流通経済大柏 |
FW | →83分 | 山内寛史 | 商2 | 東京・国学院久我山 |
FW | 11 | 上形洋介 | スポ4 | 東京・早実 |
FW | →88分 | 中山雄希 | スポ2 | 大宮アルディージャユース |
◎はゲームキャプテン 監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
コメント
MF近藤洋史主将(スポ4=名古屋グランパスU-18)
――3-1と快勝でしたが振り返って
昨年勝てなかった相手なので、絶対勝とうという強い気持ちを持ってた結果勝てて良かったです。
――自身も1ゴール1アシストでしたが調子はいかがでしたか
まあセットプレーからのゴールとアシストだったので、個人的にはもっとやれたのかなと思います。ただその中でもああいうFKをちゃんと決めれたのは良かったというか、収穫かなとは思います。あとはもう少し流れの中で点を取れるように、もっと全員が個の力で打開できるようレベルアップしていかなくてはいけないと思いました。
――間もなく行われる関東大学リーグ戦(リーグ戦)に向けても弾みがつく勝利だと思いますが
ひとついい材料にはなったと思います。でもリーグ戦で優勝するっていう自分たちの目標から逆算すると、やっぱりもっと基準っていうのを上げていかなくてはいけないなと個人的には思いました。なのでチームのみんなにもしっかり伝えて、個人がもっとレベルアップしないとリーグ戦では戦えないということを肝に銘じていきたいと思います。
FW上形洋介(スポ4=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
新チームになって初の公式戦ということで、立ち上がりはプレーに固さが出てしまいました。一試合通してワセダの強みを出せたかなと思いますが、個の部分で打ち負けていたところもありましたし、その点は課題として残りました。
――関学大というと、昨季の全日本大学選手権(インカレ)の初戦で負けた相手ですが、今回は3-1で快勝することができました。その要因は何でしょうか
試合前から関学大は、昨年の早関定期戦(●1-2)とインカレ(●1-2)で負けたこともあり、絶対に負けられない相手として挙がっていました。そういった部分で選手一人一人のモチベーションも高かったので、プレーに反映できていたのだと思います。
――自身も1得点を挙げましたがいかがでしたか
0-1の状況で自分にチャンスが来たので、これを決めてチームを流れに乗せたいと考えていました。気持ちを込めて打ちました。
――練習試合でも得点を重ねていますが、復帰後のコンディションはどうでしょうか
昨季、後期の初めに足を骨折して手術を受けました。ブランクが約半年ほど空いてしまったにも関わらず、体の状態をここまで戻せたことは良かったと思います。ですが、まだまだ自分の理想とはほど遠いですね。自分は今季の関東リーグで得点王になることを誓わせて頂いているんですが、そこから逆算すると自分の力はまだまだだと感じています。もっと自分の強みを出せるように努力していきます。
――今回の早関定期戦では新戦力の台頭もありました。チーム内の競争も激しくなっているのではないでしょうか
昨年もFW片山(瑛一、スポ=埼玉・川越)さんであったりFW榎本(大希、スポ=横浜F・マリノスユース)さんのような関東を代表するようなFWがいました。それ以外にもFW宮本(拓弥、スポ3=千葉・流通経済大柏)やFW秋岡(活哉、政経4=FC東京U―18)、2年にFW中山(雄希、スポ2=大宮アルディージャユース)、FW山内(寛史、商2=東京・国学院久我山)がいて、ワセダのFWは非常に層が厚いです。ですが、たった一回の練習でも気を抜いたらすぐにポジションを奪われてしまうという危機感があってこそ、自分を成長させることができると感じています。みんなで高めあっていきたいと思います。
――最後に、開幕を間近に控えた関東大学リーグ戦に向けての意気込みをお願いします
さっきも言いましたが、個人的には得点王を目指しています。そしてチームとしては17年振りのリーグ制覇に向けて進んでいくだけなので、まずは開幕戦で勝利をつかめるように残りの2週間で少しでも(プレーの質やチーム全体を)高めていきたいです。
新井純平(スポ2=浦和レッズユース)
――初の公式戦となりましたが、どのような気持ちで臨みましたか
定期戦ということで、まずはエンジのユニホームを背負って戦っているという責任を忘れないようにしていました。それを前提に、初めての公式戦だったので、ここでアピールして自分のポジションを勝ち取るという気持ちでいました。そして、関東大学リーグ戦(リーグ戦)も近いですし、そこで出て、活躍してやろうという気持ちを持っていました。きょうは絶対に勝とうと思って、そのことだけを考えてやりました。
――3-1という結果でしたが、どのように捉えていますか
前半の初めの方に1失点してしまったというのはチームとしての課題だと思います。そこを無失点で抑えられなかったのはディフェンスとしてまだまだだったり、チームとして力不足だったりっていうところがあると思うので、ビデオを見るなどして改善していかなければいけません。得点に関しても、自分の持ち味のオーバーラップが何回かあった中で、クロスの質だったり、中に合わせられなかったりというところが足りないところだなと思うので、日々の練習からそこを意識してやっていかなければいけないなと思います。そこで合わせられればもっと点を取れました。3点じゃ、まだまだ足りなかったのかなとは感じます。
――積極的に攻める場面が多く見られました
自分は運動量っていうのを武器にして日々やっているので、アップダウンのところは毎回の試合で意識しています。
――ポジション争いも激しいと思いますが、リーグ戦に向けて一言お願いします
ワセダとしては1ポジションを3人で争うというかたちでやっている中で、いまは自分が出させてもらっていますけど、誰が出てもおかしくないという危機感も持ってやっています。自分の持ち味はもちろん、さっき言った課題とかを克服していかないと出続けることは難しいと思うので、そこを意識して練習して出られるようにしたいです。そしてリーグ戦で貢献できるようにやっていきたいです。