引き分けに終わり、逆転優勝が遠のく

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦もいよいよ大詰めの第19節。前節の早慶戦を制し、首位を走る専大との勝ち点差を7に詰めた2位・早大は6位につける明大との一戦に臨んだ。前半早々に先制点を奪い幸先の良いスタートを決めた早大だったが、前半のうちに同点を許すと、後半は試合の主導権を握られてしまう。試合終了間際にかけて再びリズムを掴むも、得点を挙げるまでには至らず。今節引き分けに終わった専大との勝ち点差を詰められず、逆転優勝が遠のく痛い引き分けを喫してしまった。

先制点を決めた榎本。きょうのゴールでリーグ戦10得点となった

 逆転優勝を狙う早大と全日本大学選手権への出場権獲得を目指す明大。互いに負けられない試合となったこの一戦は“早明戦”の名に恥じぬ、白熱の90分間となった。試合が動いたのは10分。PA内でシュート性のパスを受けた近藤貴司(教3=三菱養和SCユース)がダイレクトでボールをはたくと、その先に待っていたのはFW榎本大希(スポ4=横浜F・マリノスユース)。落ち着いてゴールに流し込み、早大に先制点をもたらす。リードを奪った以降は、細かくパスを繋ぐ明大の攻撃に対して落ち着いた対応を見せ、試合を進めていった早大。しかし42分、縦に速いパスワークから相手に裏を取られると得点を許し、同点に追いつかれてしまう。その後スコアはそのままに、前半は終了。ピンチらしいピンチは少なかったものの、終盤からは明大がやや押し気味になりつつある試合展開に後半に向けて不安の残る前半となった。

 そして迎えた後半。試合は前半終盤から続く明大ペースのまま動いていく。両SBが高い位置を取る明大の厚みのあるボールポゼッションを前に、受け身となってしまう時間帯が続く早大。「セカンドボールを拾えなかったからこそずっと押し込まれる時間が長くなってしまった」(MF中田航平主将、スポ4=横浜F・マリノスユース)、「ボールを奪った後もプレッシャーが速く自分たちの技術不足でああいう長いボールを蹴らざるを得ませんでした」(MF池西希、スポ4=浦和レッズユース)との言葉通り、守備から攻撃へのパスの繋ぎや切り替えが上手くいかない場面が印象的であった。だが、終盤に入り中盤でのスペースが目立つようになると、早大もサイドを起点に攻め込み始め、迎えた84分。右サイドからのマイナスの折り返しに中田が走り込み、シュートを放つ。勝ち越しゴールかと思われたが、相手GKのブロックに遭い、勝ち越しならず。後半はスコアが動くことなく、1―1と両者痛み分けで試合終了となった。

後半攻め込まれながらも好セーブで得点を許さなかった阿部

 きょうの試合を終え、逆転優勝をするためには残り3試合で勝ち点差7をひっくり返さなければならなくなった早大。残る3試合は中大、桐蔭大、そして専大といずれも難敵であり、優勝への道のりは一層、厳しさを増したと言わざるを得ないだろう。しかし、諦めている選手は1人として居ないはずだ。「可能性が1%でもあれば自分たちはそこに向かって全力を尽くしてやるだけ」(GK阿部雄太、人4=千葉・渋谷教育学園幕張)。優勝に向けて、まずは絶対条件である3連勝を飾りたいところだ。

(記事 八木和基、写真 辛島寛文)

関東大学リーグ戦第19節
早大 1 1-1
0-0
1 明大
【得点者】(早)10榎本 (明)42石原
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 1 阿部雄太 人4 千葉・渋谷教育学園幕張
DF 26 西山航平 スポ2 浦和レッズユース
DF →74分 田中進之介 スポ3 湘南ベルマーレユース
DF 2 奥山政幸 スポ2 名古屋グランパスU-18
DF 3 金沢拓真 スポ2 横浜F・マリノスユース
DF 6 三竿雄斗 スポ4 東京ヴェルディユース
MF ◎4 中田航平 スポ4 横浜F・マリノスユース
MF 5 池西希 スポ4 浦和レッズユース
MF 7 近藤貴司 教3 三菱養和SCユース
MF 8 近藤洋史 スポ3 名古屋グランパスU-18
FW 25 宮本拓弥 スポ2 千葉・流通経大柏
MF →83分 石川拓 スポ4 神奈川・日本大学高
FW 10 榎本大希 スポ4 横浜F・マリノスユース
◎はゲームキャプテン
監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 勝 分 負 得点 失点 得失差
1 専大 42 19 13 3 3 47 23 24
2 早大 35 19 10 5 4 30 25 5
3 筑波 30 19 8 6 5 34 24 10
4 国士舘大 28 19 8 4 7 31 28 3
5 中大 27 19 7 6 6 34 25 9
6 明大 27 19 7 6 6 29 25 4
7 桐蔭横浜大 24 19 7 3 9 25 35 -10
8 流通経済大 25 19 6 7 6 21 26 -5
9 日体大 21 19 5 6 8 22 28 -6
10 順大 20 19 5 5 9 32 31 1
11 慶大 19 19 6 1 12 24 47 -23
12 東洋大 16 19 4 4 11 27 39 -12
※第19節終了時
※上位5校は全日本大学選手権の出場権獲得
※6位は北信越大学リーグ2位のチームとプレーオフ
※流通経済大は総理大臣杯での優勝で全日本大学選手権の出場権を得たため、6位以内の場合下位チームが繰り上げ
※下位2校は関東大学リーグ戦2部リーグに自動降格
コメント

MF中田航平主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)

――きょうの試合を振り返って

前半の立ち上がりから自分たちらしいサッカーが出来たのですが、勝たなきゃ意味がないので。内容より結果を追求していく必要があると思います。

――立ち上がりこそミスからピンチもありましたが、先制点を奪いました。振り返って

得点シーンも前からプレッシャーだったり、皆がゴールに迫っていたからこそ僕のところにこぼれ球がきたと思います。チーム全体として前からいこうだったり、ワセダのサッカーをしようという意識があったからこそ生まれた得点だと思います。

――セーフティに前に蹴り出す場面が多く見られましたが、いかがでしたか

明大は非常に良いチームなので、少しのミスや隙をついてきます。自分たちが100%の決断が出来ない時はセーフティにした方が勝てると思ったので、そういう意識を全員で持ってセーフティなサッカーをしました。

――明大にボールを保持されながらチャンスはほとんど与えていなかった中で、失点を喫しました。振り返って

僕がプレッシャーに前にいった時にボランチの選手に簡単に前を向かせてしまって。ああいう時にしっかりと判断だったり、正しい守備をしないと少しずつリズムが崩れてゴールまで迫られてしまうので、自分たちの一瞬の隙をつかれたかなと思いますね。

――後半は明大に一方的に攻め込まれる展開になりましたが、いかがですか

セカンドボールを拾えなかったからこそずっと押し込まれる時間が長くなってしまったので、自分たちの中で前に蹴る選択肢も悪くはないですけど、セカンドボールを拾うためにも、チーム全体をコンパクトに保てば良い形を作れたかなと思います。

――終盤に決定的なチャンスもありましたが、いかがでしたか

僕が決めていれば勝てたと思うので、そこは自分自身反省して、次同じシーンがあったら絶対に決め切るという強い気持ちを持って臨みたいです。

――次節は中大戦です。厄介な相手が続きますが、それに向けて

ここ数年を考えたら明大、中大、専大だったりというところに勝ち切れていない部分があって。ことしも明大には1勝1分なので、勝ち切れてはいません。それと同じように中大も前半戦では勝ちましたけど(○2-1)、2勝しないと昨年までと何も変わらないですから、手強い相手ですが、しっかりと注意して勝ちたいと思います。

GK阿部雄太(人4=千葉・渋谷教育学園幕張)

――きょうの試合を振り返っての感想をお願いします

前半に幸先よく先制点を取れて、その後も裏をついて相手を押し込める攻撃が出来て球際のところなども気持ちの入ったプレーをやれていたので、良い感じで試合に入れたと思っていました。同点に追いつかれてはしまったんですけど負ける気は全然しなくて、正直悔しい思いがあります。

――明大とは前期の対戦時でも苦戦しました。どういうことを意識して臨みましたか

監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)の方から「今の4年生はダメだった1年の時から成長して、ベンチ入りも含めたここにいる4年生の力で打ち勝って行こう」、「明治に勝たなければ優勝はない」と話があったので、その中でも4年生を中心に気持ちを高めてやっていこうという話をしました。

――戦術的な面での対策などは何かありましたか

明大はサイド攻撃がすごく強いので、クロスの準備というか前段階でしっかりとポジショニングを取って、相手に簡単にやらせないというのを話していました。

――試合に関してですが、押し込まれる時間帯が多かったように見えました

後半の最初から途中まで、攻め込まれる場面がすごく多かったんですけど、枠内に来たシュートというのがほとんどなかったと思うので、そこは最終的なところでCBを中心に守れていたのかなというのはありました。

――失点シーンを振り返ってどうでしたか

CBとボランチの2人がボールに食いついてしまって、そこでパスを出されて決められてしまったと思うんですけど、そこでボールに食いつかせないような前段階での準備というところで僕の方からボランチとCBに伝えれば良かったなというのが1つと、シュートのところで股を抜かれてしまったんですけど、そういったところを含めてシュートを止め切れる能力というのを高めていきたいと考えています。

――セカンドボールでの競り合いで負けるシーンが後半は特に多く見られました

前半は結構拾えていて良い感じだったんですけど、後半になってCBとボランチのところでボールを強く弾けなくなって、相手のFWも強く競り合いに来ていましたし、相手のボランチ2枚も準備を早く来ていました。そういったところでの1つの競り合いで競り勝てればセカンドボールを取れる確率も高まると思うので、そこで競り勝つこと、そして予測という部分を高めていけたらなと思いました。

――残り3試合で首位・専大との勝ち点差が7です

優勝の可能性は全然あるので、可能性が1%でもあれば自分たちはそこに向かって全力を尽くしてやるだけですし、状況とか関係なしに自分たちがやれることを100%、それ以上出してやっていかなくちゃいけないと考えています。

MF池西希(スポ4=浦和レッズユース)

――引き分けとなりましたがこの勝ち点1をどう捉えてますか

引き分けになってしまった、という感覚です。もちろん相手も強いチームですし簡単にいくとは思ってなかったですし、チャンスの数はお互い同じくらいかもしれないですけど、そのなかでもしっかり自分たちのリードを守り切って勝ち点3を取りきらなくちゃいけないなと思います。

――序盤は守備のミスから相手にチャンスをつくられましたが振り返っていかがですか

前半の入りで自分たちがちょっとばたばたしてしまって、簡単な場面でミスを繰り返してしまったのは修正しなくちゃいけないとは思いました。でも守備に関してはそのミスくらいで、あとは特に大きなチャンスを相手につくらせてなかったので、何かを大きく修正する必要はないと思います。

――1-1で終えた前半を振り返っていかがですか

やっぱり自分たちが先制して良いかたちで前半を進めてただけに、あの場面で無失点に抑えて1-0で後半を迎えたかったです。ただ相手が相手だけにそう上手くいくとは思ってなかったですし、ある程度は想定内でした。むしろ後半に自分たちのチャンスを活かせず追加点が取れなかったのが悔しいです。

――後半はボールを簡単に長く蹴ってしまいなかなか前線に収まらなかったですが

相手にパスワークで押し込まれて、ボールを奪った後もプレッシャーが速く自分たちの技術不足でああいう長いボールを蹴らざるを得ませんでした。ただシンプルに前に蹴りだして大希(FW榎本大希、スポ4=横浜F・マリノスユース)に1対1で仕掛けさせたりするのもうちらしいかたちなので、単に技術不足なで片づけられることではないと思います。それよりもきょうはどうしても勝ちたかったので、結果という点で凄く悔しいです。

――前節は出場停止でリフレッシュした状態でのきょうの試合でしたが

前節の早慶戦で小松(MF小松聖音、商4=北海道・札幌光星)が良いプレーを見せたなかで、きょう自分を起用してくれたのでなんとかチームの信頼に応えたかったですし、色んな重みを背負って試合に臨みました。それだけに勝ちきれなかったのは悔しいです。

――首位・専大との差を縮めることはできなかったですが

もう優勝のためには勝ち点を落とすわけにはいかなかったのですが、でももう悲観しててもしかたないし、まだ可能性は少しでも残されてるのでそれに向かって戦うだけです。相手もここ2試合勝ててないし、それには必ず何か原因があって相手も苦しんでると思うので、まだ何が起こるか分からないなら自分たちは全部勝ってその可能性に懸けるだけだと思います。

――次節・中大戦にむけ意気込みをお願いします

相手もインカレ(全日本学生選手権)への出場を懸けて本気でぶつかってくるとは思いますし、かなり手ごわい相手ではありますが、自分たちにはもう勝利しかないので勝つだけです。

FW榎本大希(スポ4=横浜F・マリノスユース)

――きょうの試合を振り返って

優勝のためにも絶対勝たなきゃいけない試合だったので強い気持ちを持って臨んだのですが、勝ちきれなく悔しいです。チャンスで自分が決めきれればと後悔してます。

――先制点の場面を振り返って

うちらしくないといえばうちらしくないですけど、ただああいう風につないで抜け出して、っていうのは普段の練習からねらってました。なかなか出ないかたちですけど、状況によってつないで裏を狙うようなシーンを織り交ぜていってもいいと思います。相手に対策を絞られにくくなりますし。

――ハーフタイムでの指示は

簡単な相手じゃないことは分かってましたし、先制点を守り切って追加点を奪ってっていう風に甘くいくとは思ってなかったです。だからハーフタイムでもそんな慌ててはなかったし、比較的落ち着いてたと。とにかく慌てず、まずは自分たちのサッカーをしようと、かたちはつくれているので、そこまで問題はないという話をしました。

――後半はボールが収まらず攻撃のヘルプも少なかったですが

こういった試合展開は後期に入ってから多かったですし、そういうなかでどう選手たちが考えて動くかをもっと徹底したかったです。自分たちが押し込まれたとき、ボールを奪ってから他の選手がサポートしにいくというのがきょうはおろそかでしたし、セカンドボールをただ拾いにいくだけじゃだめだと思います。もっと連動してボールを大事にして攻撃に厚みを加えていかないと、これから先強い相手とやったときに通用するように攻撃の精度を高めていきたいです。

――試合終盤にはいくつもチャンスがあったが勝ち越すことはできませんでした

あの場面で点を取りきるチャンスはかなりあったし、あのかたちを終盤ではなく後半の始めでつくりたかったです。サイドから縦に突破してそこからクロスの質を上げることでチャンスが多くつくれてたので、ただシンプルにクロスを出したりするんじゃなく、もっとパワーを出してゴール前で冷静に攻め切りたいです。

――次節・中大戦に向け意気込みをお願いします

中大もいいチームですし簡単な試合にはならないと思うんですけど、泥臭く、どの試合でも勝利のみを追求して全力で戦います。

DF奥山政幸(スポ2=名古屋グランパスU-18)

――試合を振り返っていかがでしたか

残りの試合全て勝つという意気込みでやってきて、強い相手でしたけど、アグレッシブに攻めることができたのはよかったです。自分たちの持ち味も一応は出すことができました。ただ、一度の決定的なチャンスを決められ、うちは何度かあったチャンスを無駄にしてしまいました。まあ、本当にもったいない、悔しい試合になってしまいました。

――一定の満足度がある一方で勝ちきれなかったことについてはいかがですか

まあ、勝負の分かれ目というのは決めきれるか決めきれないかというところ。防げるか防げないかというところ。自分たちの失点としては一瞬の隙をつかれたと思うのでそういうところは修正しなければならないなと思います。

――相手にボールが渡るとなかなか奪い取ることができませんでしたがそのことに関してはいかがですか

相手はうまい選手が多いのでこういう展開はある程度想像していましたが、のぞくん(MF池西希、スポ4=浦和レッズユース)や航平くん(MF中田航平、スポ4=横浜F・マリノスユース)中心にプレッシャーをかけてくれて自分たちは一番危ないところを締めるという守備を徹底できたのでそこまで怖さは感じませんでした。

――失点シーンに関してはどのように感じますか

そうですね相手の16番のところで良い状況ができてしまって、フリーにしてしまいました。それに自分が半歩食いついてしまって、そこのギャップにうまく走りこまれてしまいました。自分の判断も磨くべきですし、自分がもっと周りの選手を動かすことができたらそのような状況は起きなかったと思います。もっと個の力も磨いていきたいです。

――サイドバックに入ってからは攻撃に積極的に絡む姿勢が見られましたがそのようなところについてはいかがですか

まあ、そこまで攻撃は得意ではないですけど、サイドバックに入ったからには攻撃に参加しなければいけないと思いました。今回はどうしても点が欲しい状況だったのでその気持ちが前へのプレーにつながったと思います。

――まだ続くリーグ戦への意気込みをお願いします

今回の引き分けで優勝は厳しくなったのは確かですが、試合が終わってからも「信じてるぞ」と言ってくれる部員がいて、そういう部員全員の期待を裏切らないようにここからは全勝したいと思います。