夏の全国王者相手に完敗

ア式蹴球男子
今季リーグ戦初先発となった西山

今季リーグ戦初先発となった西山

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)第13節、前日に首位・専大が勝利したために優勝に向けて勝利が求められるワセダの対戦相手は総理大臣杯で優勝した流通経大だ。前期リーグ戦では3-0で快勝したものの、アミノバイタルカップではPK戦の末に敗れた相手であり(●4-4、PK2-4)、リベンジを果たしたいところ。しかし立ち上がりの失点で出鼻をくじかれると追加点を与え前半を折り返す。反撃を試みた後半だったが、最後までワセダらしさに欠けた試合となり、終了間際にはPKで失点。結果、内容ともに奮わず、0-3で完敗となった。

 風下に立った前半、ワセダはいきなり失点する。2分、ショートコーナーからのクロスをMF古波津辰希(流通経大)が右足で合わせゴール。「集中力が欠けていて、そこを相手に簡単に突かれてしまった」(MF池西希、スポ4=浦和レッズユース)と振り返るように立ち上がりからワセダらしい粘り強いディフェンスを見せられない。その後もロングボールのセカンドボールを相手に拾われ、攻め込まれるシーンが目立つ。それでも25分にはFW宮本拓弥(スポ2=千葉・流通経大柏)とMF近藤洋史(スポ3=名古屋グランパスU-18)が立て続けにシュートを放つもいずれも相手GKが好セーブ。さらにチャンスを作るも、相手の球際での粘りに苦しめられ、決めきれずにいると32分に追加点を与えてしまう。GKのパントキックからヘディングでそらされFW田上大地(流通経大)に裏を取られるとループシュートを冷静に決められ、0-2。勝ち点を得るべく、ゴールを狙う後半はワセダが流通経大を押し込んで試合を進めていくが、宮本のポストプレーを中心とした攻撃は引いた相手を崩し切るには至らない。さらにパスやクロスが合わず、またミスも目立ち決定機を作れない時間が続く。そして86分、ロングボールに対し自陣ペナルティエリア内で処理が曖昧になったところを相手につかれ、PKを与えてしまう。それを田上にしっかりと決められ万事休す。最後まで時間を上手く使う流通経大に夏の王者の貫録を見せ付けられ、0-3で敗戦した。

完敗を喫しうなだれるイレブン

完敗を喫しうなだれるイレブン

 「自分たちの強みを出せずにいて、それが90分間続いた結果が0-3」とMF中田航平主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)が語るように、試合全体を通してハードワークや球際での強さといったワセダらしさに欠ける内容となってしまった。「チームとして整えていて崩されたというよりは自分たちの甘さや緩さが今回の失点に全て結びついた」(DF金沢拓真、スポ2=横浜F・マリノスユース)という言葉が全てを物語る。後期リーグ戦開幕以降4試合で8失点は堅守を誇るワセダにとってただ事ではない。さらに攻撃でも速攻で少ないチャンスをものにしてきたワセダだが、引いて守る相手に対しての課題が顕在化した。

 前期リーグ戦で開幕戦での敗戦以来、試合を重ねていくごとにチームとして成長していった時のように、ここからワセダらしさを取り戻せるか。この敗戦で首位・専大との勝ち点差は再び『5』。これ以上勝ち点を落とせない状況で迎える次節の相手は、専大に勝利するなど後期に入って調子を上げている国士大。リーグ優勝に向け、真価が問われる。

(記事 下村龍史、写真 増山祐史)

関東大学リーグ戦第12節
早大 0-2
0-1
流通経済大
【得点者】(早) (流)2古波津、32,86田上
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 松澤香輝 スポ3 千葉・流通経大柏
DF 26 西山航平 スポ2 浦和レッズユース
DF 奥山政幸 スポ2 名古屋グランパスU-18
DF 金沢拓真 スポ2 横浜F・マリノスユース
DF 三竿雄斗 スポ4 東京ヴェルディユース
MF ◎4 中田航平 スポ4 横浜F・マリノスユース
MF 池西希 スポ4 浦和レッズユース
MF 近藤貴司 教3 三菱養和SCユース
MF →80分 竹谷昂祐 スポ4 ガンバ大阪ユース
MF 近藤洋史 スポ3 名古屋グランパスU-18
MF →71分 石川拓 スポ4 神奈川・日本大学高
FW 25 宮本拓弥 スポ2 千葉・流通経大柏
FW →75分 山本寛史 商1 東京・国学院久我山
FW 10 榎本大希 スポ4 横浜F・マリノスユース
◎はゲームキャプテン
監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
専大 31 13 10 37 17 20
早大 26 13 19 14
桐蔭横浜大 20 13 22 21
明大 19 13 21 19
中大 19 13 17 15
流通経大 17 13 14 17 -3
筑波大 16 12 19 17
日体大 16 13 14 17 -3
国士大 16 13 17 21 -4
10 順大 15 13 24 21
11 慶大 10 12 16 33 -17
12 東洋大 13 19 27 -8
※第13節終了時
※上位5校は全日本大学選手権の出場権獲得
※6位は北信越大学リーグ2位のチームとプレーオフ
※流通経大は総理大臣杯で優勝で全日本大学選手権の出場権を得たため、6位以内の場合下位チームが繰り上げ
※下位2校は関東大学リーグ戦2部リーグに自動降格

コメント

MF中田航平主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)

――きょうの試合を振り返って

立ち上がりから相手に優位に攻められて、自分たちの強みを出せずにいて、それが90分間続いた結果が0-3という結果になってしまったと思います。

――流通経大はアミノバイタルカップで敗れ(●4-4、PK2-4)、総理大臣杯王者ということでしたが、印象はいかがでしたか

自分たちが経験できていない経験を彼らはしていて、しかも学生主体でまとまったチームに日々なっていたので、手強い相手だと思って臨んだ一戦でしたが、予想通りというか予想以上に相手の迫力がありました。

――前半、立ち上がりの失点以降、チャンスを決めきれなかったり、後手に回る場面がありましたが、いかがでしたか

風下ということもあって相手ペースで進む中、なんとかゴール前までいけたんですけど、決定機までいかなかったのが実際あって、決定機に持っていったり、2次攻撃3次攻撃につなげないといけないときょうの試合を通じて感じました。

――後半、相手を押し込む時間もありましたが、決定機を作れませんでした

相手陣地でプレーする時間が長かったかもしれないですけど、結局シュートに至るシーンというのが非常に少なかったので、もっとチームとしてパスやクロスの制度を上げていかないとこの相手には勝てないと感じました。

――強風もあった中、全体的にワセダらしさに欠ける試合となってしまいましたが、原因は

自分たちがプレッシャーをかける前に上手く前にボールを蹴りこんだりして、FWもすごい強力でしたし、それに対してセカンドボールも拾えずに後手後手になってしまって、自分たちがしたいことを出来なかったのが90分間続いたので、ワセダらしいサッカーというのはできませんでした。

――専大との勝ち点差を再び5に広げられた中、次節は国士大戦です。それに向けて

気持ち切り替えてやるしかないですし、これ以上専大に引き離されたら優勝戦線から外れてしまうと思うので、次の国士大戦に万全な状態でやれるように持っていきたいです。

MF池西希(スポ4=浦和レッズユース)

――完敗とも言える内容でしたが今の率直な気持ちは

内容的には完敗だったんですけど、開始早々に失点したり、自分たちに時間帯に得点できなかったりと自分らのミスが続いたのが原因だったのかなと。前期はそこでなんとか勝ててたんですけど、きょうはそういう細かい部分での集中力のミスであって、決して必要以上に卑屈になる必要はないと思いますし、またしっかりとトレーニングするのみです。

――前半簡単に2失点を喫してしまったが原因は

開始すぐに点取られたときとかもそうでしたけど、自分たちに集中力とかが欠けていて、そこを相手に簡単に突かれてしまったのかなと。あと風とかも上手く対処できなかったのが原因だと思います。ただ完璧に崩されて取られた訳じゃないので、また切り替えてトレーニングで修正するだけかと思います。

――ハーフタイムでの指示は

まずそれぞれのポジショニングをしっかり修正して、必ず自分たちの時間帯が来るからそこでしっかりうちらしさを出して、逆転しようという話はしてました。実際後半はうちのほうがチャンスもシュート数も多かったと思うし、あとは点だけっていう内容でした。

――後半何度か惜しい場面を作り出していたが点が取れませんでした、原因はなんだと思いますか

自分たちも必死に点を取ろうと激しくいきましたが、やはり相手にあれだけしっかり守られたりGKに良いセーブをされるとなかなか点が取れませんでした。ああいう時間帯になんとか押し込めれば流れも変わると思ったんですけど、やはり最後のシュートの場面で決定力を高めていくしかないと思います。

――試合後のロッカーの雰囲気は

痛い負けだったのでどんよりしてました。もちろん負けはつらかったですけど、ただ下を向いていてもどうしようもないし、まだまだ試合数も残ってるので前を向いて戦っていくしかないと思います。悲観ばかりしていても仕方ないので。

――次節はここ数試合好調の国士大ですが意気込みをお願いします

相手は好調ですけど、まずは自分たちがしっかりトレーニングのなかからやっていくことが大事なので、きょうの反省点をしっかり修正したいです。専大とも勝ち点差が離れてしまいましたが、また専大が負けてうちが勝てば勝ち点差は2で、2なら直接対決で逆転できるので、自分たちはまずこれ以上離されないよう1戦1戦戦っていくだけです。

FW榎本大希(スポ4=横浜F・マリノスユース)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

開始早々に失点してしまって、前半、相手の勢いに包まれてしまったところがあって。そのまま2点目取られて最後まで盛り返せなかったという感じでした。

――きょうの敗戦の原因は

ああいうふうに立ち上がりで失点してしまうと、うちとしては相当厳しくなるっていうのは分かっていたんですけど、ああやって失点してしまって。2点目もロングボールの一本で入れられてしまって、ああいうふうな形で立ち続けに失点してしまうとちょっと苦しくなるのかなというのが今のところです。

――前半に2失点して苦しくなったというお話でしたが、ハーフタイムに後半に向けてのお話はしましたか

特にマイボールになったときに、前の選手が積極的にアクションを起こして、そこに躊躇なくボールを送り込むっていうのを、全員で徹底してやるのを統一して入りました。

――榎本選手としてはあまりシュートが打てない時間が続きましたが

1試合通して、ロングボールとかハイボールが多くなって、ボールが入ったとしても混戦状態というか、なかなかフリーの状況で受けれるシーンが少なかったと思うし、そういう中で自分としても苦しい試合展開だったと思います。

――次の国士大戦に向けての改善点は

やることは本当に変わらないですし、次の試合に向けて、もう一度今までやってきたことを見失わないように、きょうの敗戦で何か変わってしまわないようにしたいです。

CB 奥山政幸(スポ2=名古屋グランパスU-18)

――きょうの試合を振り返って

本当に自分たちのサッカーができなかったです。自分たちが持ち味としている所を相手に出されて、監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)からも完敗という話があったのですが、きょうは完敗です。

――試合の敗因は

前半の早い段階から相手の前のエネルギーがすごくて、そこでかなり受け身になってしまったことだと思います。

――前半2失点で折り返しハーフタイムでディフェンス内での連携を確認した上で後半望まれたと思いますが振り返って

自分たちは背が低いCBの2人なので、それに対して相手は大柄の選手をぶつけてきて、そういう所のギャップを狙われたと思うので自分と拓真(DF金澤、スポ2=横浜F・マリノスユース)で話し合いながら直そうとしたんですけど、結果的に最初入った所はいけたのですが、跳ね返された後のボールが裏に出された時に失点とか目立ったので、本当にゲームの中で修正していく力がないとこれから先勝つのは厳しいかと思います。

――今後に向けての改善点は

まずは単純にボールを奪うという所でボランチの選手がリスクを冒して前にいっている分、自分たちもラインを押し上げないといけないですし、奪った後もボールを失うシーンも数多かったと思うのでそういう所を確実にマイボールにしていき、そこから速さを出してゴールに繋げるという所が自分たちの強みでもあるので、そういうサッカーをしていかなければ勝てないと思います。

――次節は後半戦調子を上げている国士大との試合ですが次節に向けての抱負は

国士大のFWの選手も大きい選手がいると思うので、シンプルに長いボールを入れてきて、また今回のようになってしまうかもしれないので、まだ1週間あるのでしっかりとこの1週間高めて、次は無失点で勝てるようにやっていきたいと思います。

DF金沢拓真(スポ2=横浜F・マリノスユース)

――完敗と言っても差し支えない内容だったと思います。試合を振り返って

おっしゃる通りに完敗だったと思います。立ち上がりに失点したことと、その後も立て続けに押し込まれる状態が続いて、何も自分たちがフィールドの中で変えることができずに2失点目をして前半を終えてしまって。後半は押し込む時間が長い中で一回でも決定機は無かったですし、1つのピンチでPKを取られて失点もしてしまって・・・。公式記録を見たら相手は3本のシュートで3点取っている中で、自分たちは7本シュートに至っていますけど、本当に決定的なものだったといったら絶対違いましたし。結果的にこういった形で完敗してしまったのは、前半の立ち上がりの悪さが全ての要因かなと自分は思ってます。

――3失点はいずれとも崩し切られての失点ではなかったと思いますが

最初の失点は相手のショートコーナーからの流れを先に押し込まれた形ですし、2点目も相手のGKのパントキックから生まれた失点なので、本当に自分たちの準備不足というか関係性の部分の問題でした。ちょっとしたポジショニングで気を遣うところも足りなかったし、3失点目も声をもっと掛けるだけで防げたものだったと思うので、チームとして整えていて崩されたというよりは自分たちの甘さや揺さが今回の失点に全て結びついたと感じています。こういう形での失点は一番無くさないといけないですし、自分も含めて後ろの選手が痛感しているところです。

――後半は風上の陣地になりながらも、攻撃の形をうまくつくれませんでした。原因は何だと思いますか

ことしに限らずなんですが、引いた相手を崩すことがワセダの課題としてあります。きょうのハーフタイムではFW宮本(拓弥、スポ2=千葉・流通経済大付属柏)をターゲットにして厚みを加えて、そこから攻撃を開始しようとチーム全体で共有して後半に臨みました。ただ、宮本が競り合った後のセカンドボールであったり、自分たちが跳ね返したあとのセカンドボールであったり、試合を通してセカンドボールを拾える機会が少なかったと思います。結果的にそのことが攻撃面でも上手くいかなかった原因かなと感じています。

――攻守両面で課題が散見される試合となってしまいましたが、試合後に選手間ではどのようなコミュニケーションを取りましたか

試合後GKの松澤(香輝、スポ3=千葉・流通経済大付属柏)くんと自分と政幸(DF奥山、スポ2=名古屋グランパスU-18)の3人で話し合ったのは、次の対戦相手である国士大のFWにも190センチぐらいあるFWがいて、きょうの試合を見て絶対に同じようにパワープレーというかロングボールを多用してくるので、個人個人としてはGKも含めてハイボールの処理をしっかりと行うことです。また3失点目の連係ミスなどは自分たちの中で改善できるところなので、この1週間で必ず改善していこうという話はしました。まずはGKとセンターバックの3人の関係ですけど、しっかりと修正して次の試合に臨みたいと思います。

――ワセダの真骨頂であるハードワークや球際の強さというものが、ここ何試合で少しずつ薄れているようにも見えてしまいますが

第11節の中大戦(○2-1)は前線から凄いプレッシャーをかけて高い位置でボールを奪う形が立ち上がりからできていて、それが結果的に勝利に結びつきました。ただ逆に、今季のここまでの試合を振り返っても立ち上がりで自分たちのハードワークというものが出せなかったときは、いつも引き分けだったり負けたりという試合が続いています。自分たちでは立ち上がりの重要性というものに関しては声を掛けあって認識はしていますが、失点シーンも含めて、どこか自分たちで力を出し切れずに相手の勢いに負けてしまっている面があると思います。本当にそこがいまの全ての課題です。だいたいどの試合にしても後半に相手の足が止まって押し込める場面が多い中で、さらに立ち上がりで相手がフレッシュなときにハードワークなどで相手を上回れるかが今後の試合の勝敗を分けると思うので、自分たちの強みに関して改めて見つめ直さないといけないかなと感じています。

――次節は首位の専大に黒星をつけるなど、絶好調の国士大が相手となります。国士大の印象とともに、意気込みをお願いします

国士大は後半戦負けなしということで(3勝1分)、多分中断期間を経て本当に修正してきたんだと思います。まだ映像などを見れてはいませんが、この1週間で国士大をしっかりと自分自身で研究して、きょうの試合の課題も頭に入れながら心身ともに良い準備をして、次は勝てるように取り組んでいきたいと思います。