無念の完敗…リーグ戦、王座でのリベンジ誓う(早慶対抗試合/女子)

庭球女子

 昨年の早慶対抗試合(早慶戦)を制した早大。しかし、その後の王座出場校決定トーナメント決勝、全日本大学対抗王座決定試合(王座)決勝では慶大に完敗している。王座決勝で敗れてから約半年。雪辱を果たすことを目標に、3年ぶりに有観客で開催された早慶戦に臨んだ。昨年の主力がメンバーに残った早大は、初日のダブルスを1-1で2日目につなげたが、シングルスでは勝利を挙げられず、1-6で再び慶大に完敗。リベンジは関東大学リーグ(リーグ戦)に持ち越しとなった。

 

 唯一、勝利を挙げた神鳥・齋藤組

 団体戦の鍵を握る初日のダブルス。ダブルス1には昨年の全日本学生選手権(インカレ)を制した石川琴実主将(社4=東京・白鵬女子)・吉岡希紗(スポ4=三重・四日市商)組が出場。慶大の強敵・永田杏里・佐藤南帆組に攻撃を許されず、第1セットを2-6で落としてしまう。レストを挟み、気持ちを入れ替えた石川・吉岡組は、吉岡のネットプレーが次々と決まり、第2セット第1ゲームを先取。しかし、その後は前衛のミスが続き、1-3とリードを広げられる。相手のミスを誘い逆転を試みたが、最後まで流れをつかめず、4-6で敗退した。ダブルス2に出場したのは、神鳥舞(スポ3=東京・早実)・齋藤優寧(スポ2=岡山学芸館)組。こちらも昨年の全日本学生室内選手権(インカレインドア)で優勝し、日本一に輝いたペアだ。序盤から、大川美佐・堤華蓮組をストロークで圧倒し、第1ゲームをブレークすると、第2ゲームも齊藤の力強いサービスでキープ。徐々に慶大が調子を上げて4-4となるも、息の合ったプレーで第1セットを6-4でつかんだ。第2セットも拮抗(きっこう)した試合展開だったが6-4で制し、最初の1勝を挙げた。

 1-1で迎えた2日目のシングルス。2面展開で行われ、最初に登場したのはシングルス4の渡邉優夢(社2=兵庫・相生学院)とシングルス5のルーキー・金子さら紗(スポ1=埼玉・浦和麗明)。渡邉は慶大の今田穂をストロークで左右に揺さぶり、一気に4-1までリードを広げる。しかし、わずかにコートにボールが収まらず、逆転を許して4-6で第1セットを落とす。セカンドセットも再びストロークで攻めていくが、スライスでかわされ、ポイントを取り切れない。そのまま4-6で敗退した。金子は慶大の同じくルーキーの大橋麗美華と対戦。「出だしで思ったボールが入らなかったことに焦ってしまい、どんどん簡単なミスが増えた」と、1ゲームも奪えずに第1セットを落としてしまう。第2セットは丁寧にボールを運び、3-1とリード。4-1にできるチャンスがあったが、リターンミスでこのチャンスを逃す。これを機にボール1つ分ほどのアウトが増え始め、4-6でストレート負け。ルーキー対決は慶大に軍配が上がった。

 もう後がない早大。ここで試合に入ったのはシングルス2の神鳥とシングルス3の梶野桃子(社2=京都外大西)。神鳥は試合開始直後から持ち前の鋭いストロークで猛攻し、難なく第1ゲームを獲得。好調な滑り出しを切ったが、慶大の永田杏里も追い上げる。徐々に簡単なミスが増え始めると、苛立ちが隠せない神鳥。2-6でファーストセットを落とした。第2セットもなかなか感情をコントロールできず1-4と大きく先行される。体に異変を感じた神鳥はメディカルタイムアウト(MTO)をとったが、復調せず、1-6で敗退。早大の負けが決まった。

 

 梶野は善戦したが一歩及ばなかった

 梶野は序盤から接戦をしいられ、第1セットはタイブレークに突入。4-1でリードしたが、ラケットを振り切れなくなりミスを重ね、セットを落とす。気持ち新たに挑んだ第2セットは、ポイントを取るたびに声を出し、自身やチームを鼓舞。勢いそのままに6-3で獲得。早大の負けが確定した中で突入したファイナルセットも善戦するが、一歩及ばなかった。最終試合はシングルス1の大将戦。吉岡は、慶大の絶対的エース・佐藤と対戦した。佐藤のテンポの速いストロークで左右だけでなく、角度をつけられ前後にも揺さぶられた吉岡。最後まで攻撃に転じることができず、0-6、2-6と完敗した。

 リベンジに向けて挑んだが、1-6と返り討ちされた早大。昨年と変わらない主力を揃えながらも慶大に敵わなかった。リーグ戦では、全敗に終わったシングルスで白星を挙げられるかが鍵になるだろう。「リーグ、王座では春の早慶戦の結果をひっくり返せるように頑張りたい」と力強く誓った石川主将。かつて王座13連覇を成し遂げた早大は、再び頂点に辿りつけるのか。早大の新たなスタートに期待がかかる。

(記事・写真 横松さくら)

結果

●早大 1―6 慶大 ▽女子ダブルス D1● 石川琴実・吉岡希紗 [3-6、4-6] 佐藤南帆・永田杏里 D2○ 神鳥舞・齋藤優寧 [6-4、6-4] 大川美佐・堤華蓮 ▽女子シングルス S1● 吉岡希紗 [0-6、2-6] 佐藤南帆 S2● 神鳥舞 [2-6、1-6] 永田杏里 S3● 梶野桃子 [6(4)-7、6-3、2-6] 堤華蓮 S4● 渡邉優夢 [4-6、4-6] 今田穂 S5● 金子さら紗 [0-6、4-6] 大橋麗美華

コメント

石川琴実主将(社4=東京・白鵬女子)

――王座で慶大に敗れてからリベンジに向けてどのように取り組みましたか

 王座が終わって新チームになって、チームとしては個々の技術を上げることと、確実なダブルスを作るというところで、ダブルスの強化をチームとして努めてきました。

――ダブルスを振り返っていかがでしたか

 2-0にしたいところで自分達が落としてしまって1-1になったことで、シングルスの子たちにはすごくプレッシャーをかけてしまうような結果を自分自身が作ってしまったなというところです。ただ、ダブルス2が団体戦でのペアリング初ながらも、気合とか協力しながら1試合持って帰ってきてくれたっていうのは、素直にうれしかったかなと思います。

――シングルスでの出場はありませんでしたが、シングルス陣の戦いぶりはいかがでしたか

 シングルスは厳しい結果になってしまったかなというのが正直なところです。本当に実力の差を見せつけられたなと。団体戦は何があるか分からないとは伝えていたのですが、その中でも慶応の方がしっかり力を出し切ってきたかなという印象です。出ていた子たちはやることをやってくれていた。今日の100%は出し切ってくれていたかなと思います。

――慶大とは王座でも戦うことになると思います。次に向けて意気込みをお願いします

 この負けを真摯に受けとめて、前を向いてまたみんなで1から頑張っていくしかないかなと思います。リーグも他大学の戦力が拮抗(きっこう)している中で、そこをまずは勝ち上がるというところでも厳しい状況に置かれているということは確かなので、もう一度みんなで危機感を持って、必要なことを考えてリーグ、王座では春の早慶戦の結果をひっくり返せるように頑張りたいと思います。

金子さら紗(スポ1=埼玉・浦和麗明)

――大学では初めてとなる団体戦で早慶戦の舞台に立ちましたが、いかがでしたか

 緊張は思ったよりなかったのですが、朝の練習では自分の調子が良いと思っていたのに試合に入ったらぜんぜん入らなくて。そこに焦りを感じてしまって、ファーストは自分のテニスができずに取られてしまって、途中からはやっと自分のテニスを取り戻したという感じがありましたが、持ち直すのが遅かった分、自分のゲームを持ってくることができず相手に押し切られて負けてしまいました。

――第1セットを振り返っていかがですか

 出だしで思ったボールが入らなかったことに焦ってしまって、どんどん簡単なミスが増えたことで0-6という結果になってしまいました。

――第2セット、リードした場面もありましたが、いかがでしたか

 3-1の時にゲームポイントがあったのですが、そこで相手のいいサーブが来たというのもあったのですが、リターンミスをして結局取れなくて、そこから巻き返されて。そういうところの一本が相手が一枚上手だったのと、自分は逆にそこの技術もだし、気持ち的な面でも足りなかった部分が多かったから、最後巻き返されて逆転負けになってしまったと思います。

――最後にこれからに向けて意気込みをお願いします

 今までダブルスを得意としてやってきたのですが、大学ではシングルスをもっと頑張りたいと思っていて、今コーチ陣もいろんなアドバイスをして気にかけてくださっているので、それに応えられるように普段の練習を一生懸命して、団体戦でもチームに勝ちを持ってこられるような選手になりたいなと思います。

神鳥舞(スポ3=東京・早実)・斎藤優寧(スポ2=岡山学芸館)

――このペアで団体戦に出場するのは初めてでしたが、試合前の心境はいかがでしたか

神鳥 歳を重ねれば重ねるほど緊張して、今日はコートに向かうまで地に足がついているのかよくわからない感じでした。でも10分アップが始まったら、もう緊張せず、結構のびのびとやれました。

斎藤 自分は、昨日の女子ミーティングで泣いてしまって。それぐらい緊張してたんですが、意外に、今日の方が気持ち的には楽で。(ペアは)心強い先輩なので。

神鳥 (笑)。

斎藤 頼りながらやろうと思っていたので、そんなに心配はしていなかったです。

――6-4で取った1セット目を振り返っていかがですか

神鳥 気持ちで戦った試合だったので、内容をすごく覚えているわけではないのですが、離したくても離せないゲームが多かったり、デュースが長く続いたりしたので、もうちょっと楽にセットを取れたのかなとも思います。それでも、しっかり強気でやるところはやれたのかなと思います。

斎藤 なかなか離したいところで離せなかったり、簡単なポイントを与えちゃうところがあって。自分たちで苦しい展開にしてしまったのかなと思います。ですが、結果的に1セット目を取って流れを持っていけたのでいいかなと思います。

――続けて、2セット目はいかがですか

神鳥 1セット目を取ったことによって気持ち的に楽になって。自分はリターンも強く打てるようになって、引くことなく前でも後ろでもプレーできたかなと思います。

斎藤 気持ち的に、1セット目を取れたことは楽になって。サーブも思いっきり打てたり、ボレーもちゃんと決められたことは守ってできました。でもリターンミスが大事なところででてきてしまって、そこはまた改めて課題かなと思います。

――試合が終わっての心境は

神鳥 とりあえずホッとしたのですが、まだ明日もあるので、気持ちを切らさずに頑張りたいと思います。

斎藤 ダブルス1が負けてしまっていたのもあり、勝ててよかったなというのが一番です。舞さんも明日のシングルスに良いかたちで臨めるようにと思っていたので、すごく嬉しいなと思います。

――明日への意気込みを教えてください

神鳥 どういうかたちで自分にシングルスが回ってきても、全力で、今できることをしっかりとやりたいと思います。

斎藤 明日はサポートになるのですが、1日目に自分が選手として感じたことを、コート上でやってくれている人に、「本当に頑張ってほしい」という思いを伝えながら応援したいです、結果的に勝てるように、サポートできたらなと思います。