白石が単複ともに勝利! 自身初の全日本選手権での初戦突破を果たす/男子

庭球男子

 30日に開幕した国内最高峰の舞台、全日本選手権。早大から男子で唯一本戦に出場している白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)は大会2日目の31日に男子ダブルスの1回戦、1日に男子シングルスの2回戦に出場した。先日、自身のSNSで大学卒業後のプロ転向を公言した白石。「逃げずに挑戦したいという思い」(白石)を持って大会に臨んだ中で、単複ともに初戦を勝利した。白石は今回で5回目の全日本選手権出場となったが、初戦を突破したのは今回が初。この大会での負のイメージを破ることに成功した。

 

白石と田島はペアとして組むのは久しぶりであった

 大会2日目。まずは男子ダブルスの1回戦に臨んだ。今大会は白石と同い年ながら全仏ジュニアでタイトルの経験もあり、既にプロとして活動している田島尚輝(やまやコミュニケーションズ)とのペアでダブルスに臨む。第1セットは互いにサービスゲームをキープし合う展開に。何度かデュースになったゲームもあったが、両ペアともブレークはできず6-6。タイブレークは前に出てきた相手のミスを誘うようなかたちでポイントを奪うが4-3から4連続ポイントを許し、このセットを落とした。それでも「しっかりキープできていたので切り替えられました」(白石)とペアリングが浅い中でもサービスゲームを落とさなかったことをプラスに捉えた。第2セットはサービスキープの展開から、第5ゲームでデュースの末にブレークに成功。そのまま第2セットを獲得した。大会規定によりスーパータイブレークで行われる第3セットは互いにポイントを取り合ったが最後は競り勝ち。5回目の出場にして初の初戦突破を決めた。

 翌日の大会3日目。今大会、シードとしてシングルスに出場している白石は、早大OBである岡村一成(平27スポ卒=現橋本総業ホールディングス)との2回戦を迎えた。試合は序盤から白石のペースに。第1セット、第3ゲームのデュースでセカンドサーブのリターンから積極的に強打し、ブレークに成功する。その後は危なげなくサービスゲームをキープし、第1セットを獲得した。第2セットは先に相手にブレークされたが、直後にブレイクバック。速いテンポでフォアハンドを次々と打ってくる相手に対して、粘り強く戦い、ゆっくりとしたスピードながらも深く入るストロークや、前後の緩急のきいたボールでしっかり対応。「自分がやるべきことをしっかり決めて」(白石)と持ち味を発揮した。第7ゲームでブレークすると、その後はネットプレーも多く見せる。最後は5-4のサービスゲームでデュースに持ち込まれるが、逃げ切りに成功。見事ストレート勝ちを収め、ダブルスに続き、シングルスでも全日本選手権での初勝利を挙げた。

 

ストレート勝ちを収めた白石

 今年の全日本選手権は「堂々とプレー」できているという白石。シングルスは自分のテニスをしっかり貫き、ダブルスでも久しぶりのペアリングで勝利を収めた。次戦はシングルスで磯村志(やすいそ庭球部)、ダブルスで江原弘泰(エキスパートパワーシズオカ)・片山翔(平25卒=現伊予銀行)組との対戦となる。磯村はグランドスラムジュニアにも出ており、今大会でシードの選手を撃破。江原は全日本選手権の優勝経験を持つなど、どちらも手強い相手だ。それでも「やることを変えるつもりはない」と白石。自分のテニスで強敵とのハイレベルな戦いに挑む。

(記事・写真 山床啓太)

結果

男子ダブルス
▽1回戦
〇白石光・田島尚輝(やまやコミュニケーションズ) [6(4)-7、6-3、10 -8] 小ノ澤新(イカイ)・柚木武(イカイ)
男子シングルス
▽2回戦
〇白石光 [6-2、6-4] 岡村一成(橋本総業ホールディングス)

コメント

白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)

――今回の全日本選手権はどのような目標で臨んでいますか

レベルの高いメンバーがいる中での戦いですが、その中でシードもいただいています。今年で5回目(の出場)ですが、例年よりはそんなに気まずくないというか、場の空気に飲まれていなくて。それはもう全日本選手権に対する慣れだと思いますが、学生大会とは違う日本で一番レベルの高い大会なので、今までは強い選手がいたら気持ち的にめげてしまっていました。今年はそういうのがなくて堂々とプレーできています。目標としてはベスト4を第1の目標としているので、あと2つ頑張りたいと思います。

――先日、ご自身のSNSで卒業後のプロ転向を公言していましたが、それを受けての今までとの気持ちの違いなどはありますか

覚悟というのがすごくできていて、やはりプロになるということを考えると学生の中だけではなくて、年とかも関係なく一緒に戦っていかなければならなくなります。そういうことを公言した後の全日本選手権なので、今回は自分の中で逃げずに挑戦したいという思いがあります。

――ダブルスは田島選手とのペアですがどういった経緯で決まったのでしょうか

尚輝とは12歳以下くらいから東京でずっと一緒で。あいつは高校を卒業してプロになりましたが、それでも早稲田に来て一緒に練習をやってたりしてすごく交流が深いので、僕から誘いました。

――昨日のダブルスの試合を振り返っていかがですか

僕と田島のペアはジュニアの頃に海外の試合で組んだことはありますが、久しぶりということでペアリング的にもあまりマッチしてなかったのが第1セットでした。その中でもお互いにサービスゲームをキープし続けて6-6、6-7ということで、落としましたがしっかりキープできていたので切り替えられました。小ノ澤さんのサービスゲームとか、第1セットもリターンゲームでブレークチャンスもあったし、そういった中で仕方がないというようにすぐ切り替えられて、第2セットから2回ブレークして自分のサービスゲームは変わらずキープして。第3セットも第2セットのいい流れのままいけたかなと思います。

――シングルスの試合は振り返っていかがですか

ジンクスというか本戦に出るのが今年で5回目なのですが、未だに1回も勝てていなくて。4年も連続で1回戦を負けると、少し心の中で全日本選手権は縁がない大会と思ってしまって、そういった中でシードをいただいて迎えた初戦だったので正直、結構緊張しました。岡村さんには今まで勝ったことがなかったし、ダメかなというのはありましたが、今日は気持ちを見せられたかなと思います。逃げないということと、テニスの技術面とかそういうことは置いておいて、どのポイントも必死で頑張ってファイトするということだけを考えていたので、それがたぶん粘り強さにつながって、要所でいいプレーができたかなと思います。

――デュースのゲームを多くとりましたが、そういったところにつながってきていましたか

今日は大事なところで迷いがなかった気がします。慌てずに自分のできるテニスということを考えて、粘り強く返し続ける、でもチャンスが来た時にいくというように、自分がやるべきことをしっかり決めて臨めました。競った場面とかデュースとかの場面でも、何か変えなければと思わずに、いつも通りという気持ちでできたのが良かったかなと思います。

――全日本選手権での初勝利ということに関してはどのように思いますか

「やっとか」という思いが一番で、今まで負けたけど惜しかったり、あと少し足りないという試合があって選手権では勝ちきれなかったので、そのなかで今日の5-4のサービスゲームだったり、そういうところでデュースがあって相手にブレークポイントがある中で、逃げ切れたというのは精神的にはすごく大きくて。これを弾みにできるかなと思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

明日は試合がなくて空くのでしっかり休みます。第4シードの望月(勇希)さんが負けたのが予想外で、磯村(志)は2つ下なのですが、日本代表だしジュニアのグランドスラムにも出ている経験者なので、もちろん油断はしてないですし、やることを変えるつもりはないです。別に相手が誰だろうとファイトするのと粘り強さを持ち味としてプレーするのは変わらないし、年下ということもあってプレッシャーがかかるとは思うので、それは今のうちから「緊張するよ」と自分に言い聞かせておいて、その中で負けられないという気持ちも持って頑張りたいと思います。