【連載】王座直前特集『挑戦』 第7回 金井綾香×助川峰理

庭球女子

 第7回に登場するのは金井綾香(社4=東京・早実)と助川峰理(スポ4=東京・富士見丘)だ。今季の団体戦では苦しい戦いもあったものの、シングルスで勝利に貢献した金井。助川はその金井のベンチコーチとして、そして最上級生として、戦い続けるチームを支えてきた。四年目のシーズンを迎えた二人は、今季のチームをどう見ているのか?4年生らしい重みのある言葉で語ってくれた。

※この取材は9月24日に行われたものです。

「切羽詰まっている状況の中でもチームとして一歩前に進めた」(金井)

リーグでは最終戦で4年生の意地を見せた金井

――まずここまでの振り返りから入りたいと思います。お二人にとっては最後のシーズンとなりましたが、個人戦をどう振り返りますか

金井 春関(関東学生トーナメント)は結構悔しい負けもあったのですが、自分なりにすごく成長できた部分があって、自信を持って戦えました。でも早慶戦(春の早慶対抗試合)では勝ちはしたのですが気持ちの部分でいいプレーができなくて、その後から(助川さんと)二人で縄跳びを毎日やるということを決めて。1日千回と二十跳び100回をインカレ(全日本学生選手権)まで続けたんですけど、二人ともインカレでいい結果が出せなくて。

助川 (笑)

金井 二人で病んだんですけど、そこから夏関(関東学生選手権)も単複共に1回戦で負けてしまって、気持ち的にすごく落ちた部分もあったんですけど、それでも助川に助けてもらって何とかリーグ(関東大学リーグ)では最後いいかたちで終わることができて良かったなと思います。

――なぜ縄跳びをチョイスしたのですか

金井 早慶戦が終わった後に土橋さん(登久志監督、平元教卒=福岡・柳川)から「俺は毎日縄跳びをしていた、大事な場面でこれまで毎日やってきた積み重ねが自信になる」とアドバイスをいただいて。何する?って話して二人で決めて、夜10時くらいから家の前で縄跳び始めたりとかしてました(笑)。

――助川さんは関東学生新進選手権(新進)から振り返っていかがでしょう

助川 新進はシングルスは2回戦で負けてしまったのですがダブルスはベスト4に入れて、大学に入って初めての表彰状でしたし、廣川(真由、社3=埼玉・浦和学院)とは結構長く組んでいたのでやっと二人で結果を出せてすごくうれしかったです。春関ではまず単複本戦だったのは初めてで、単複共に2回戦負けでどちらもインカレ予選スタートだったのですが、インカレではダブルスで本戦、シングルスは予決(予選決勝)で負けてしまって。正直自分の思っている結果は出せなかったのですが、大学の個人戦を全体的に見ると、シングルスは1回本戦に上がれてダブルスも最後に本戦に上がれたので、高校時代と比べるといい成績とはいえないのですが、自分なりに結果は出せたのかなと思いました。夏関は米原(さくら、スポ1=埼玉・秀明英光)が左手の靭帯を切ってしまってダブルスは試合も出られるか分からない状態だったのですが、その中で一つ勝てたのは私の中ですごく大きくて。最後は同士打ちに負けてしまったので(●2-6、2-6木村優子副将、教4=千葉・秀明八千代・山田菜津子、文構1=石川・大聖寺)全然切り替えられなくて、「何でこんな終わり方なんだ」と思っていた部分はあったのですが、最終的に同士打ちで負けたのはある意味良かったのかなと思います。シングルスは西里さん(夏子、山梨学院大)に惜しかった部分もあって(●6-7、1-6)すごく悔しかったのですが、競れたという部分は自分では良かったかなと思って。個人戦が終わってしまってあっけない感じはあったのですが、私のやることは金井を勝たせることだとすぐ切り替えることができたので、リーグでベンコとして勝たせることができたのは私自身すごくうれしかったです。

――女子は全体としてインカレで思うように結果を残せませんでしたが、あの時期にチームとして危機感はありましたか

金井 危機感しかなかった(笑)。

助川 インカレでこんなに勝てなかったのも四年間で初めてで、こんなにみんなが負けるなんて、という雰囲気はすごくありました。

金井 その中でも1年の清水(映里、スポ1=埼玉・山村学園)が優勝してくれて、夏関でも上(唯希、スポ3=兵庫・園田学園)とか大河(真由、スポ2=千葉・秀明八千代)、上・大矢(希、スポ3=愛知・名古屋経大高蔵)組とかが結構頑張ってくれたので不安な中でも希望の光が見えていて。下を向いている場合じゃないよねということで、みんなで元気を出しながらやってこられたかなと思います。

――団体戦シーズンを迎えるにあたり、チームとしての取り組みや話し合いはありましたか

金井 やっぱり選手はもちろん楽しんでテニスしてほしいと。もちろん王座(全日本大学対抗王座決定試合)が何連覇とかあるけど、それに挑戦しているチャレンジャー精神を持ってということはいつのミーティングでもみんな言ってましたね。

――実際にリーグが開幕してからのチームの戦いぶりはいかがでしたか

助川 その危機感がいい意味で働いたかなと思いました。あとことしはサポートの人数が例年より少なくて、4年がボーラーをしていたり、私たちが四年間経験した中で初めてのチーム体制で。それが選手にいい意味で伝わって「私たちも頑張らなきゃ」と思ってもらえて、すごくいい雰囲気でリーグを終えられたかなと思います。自分が一番上だから「ああいいチームだ」って感じてるんだと思うんですけど(笑)、四年間の中で一番いい雰囲気で戦えていたんじゃないかなと思いました。

金井 もちろん助川が言っていた通りなのですが、振り返ってみれば1年生で初めてリーグに出た選手がいたりとか、辻(紘子、教3=東京・早実)が初めて早慶戦に出たりとか、危機感がある中でも一歩チームとして前に進めた部分がすごく大きくて。切羽詰まっている状況の中で新しい力がどんどん出せたのはすごくいいなと思いましたし、4年生がボーラーやっている姿を見て「絶対頑張らなきゃ」と思いました。あと早スポさんがすごくいい写真をたくさん撮ってくれて、本当にお気に入りの2枚で(笑)。

助川 最高でした(笑)。

――金井さんはご自身の試合をどう振り返りますか

金井 夏関、インカレの結果で自分が出られるか分からないという立場の中で、山梨学院大戦ではすごくいい試合ができたのですが(○6-0、6-2石野碧)、逆に明大戦ではみんながすごく必死に応援してくれている中で最後勝ち切れなくて、悔しい部分が大きくて(●6-2、6-7、6-7)。その後の2戦は出られなくて、正直「もうこれは私の出番がないのかな」と思ったりとか・・・。それでも4年生として何をしなくちゃいけないんだろうとか、そういうもどかしい、難しい気持ちがあった中で最後にチャンスをいただいて、実際自分のベストなプレーができたわけではありませんが、その中でも勝ちにこだわって最高のかたちで終われたかなとは思います(○6-3、6-3岩井真優、筑波大)。

――助川さんはベンチコーチとしてその金井さんをどうご覧になっていましたか

助川 金井が頑張ってきたのを一番近くで見てきましたし、もちろんインカレだったり夏関だったりで悔しい思いをしていたのを全部聞いていたので、去年4戦出ている中で今回は2戦出られなかったというのは私自身悔しくて。明大戦で勝たせてあげられなかったことも実際金井一人の責任じゃなくて、ベンチコーチでアドバイスがうまくできていなかったという部分もあったと思うので、私自身も悔しい思いをしていました。でも(筑波大戦の)前日にこの二人でできる最後の試合になるかもしれないから最後やり切ろうと話して、楽しくやろうって言って笑って終われたのは本当にうれしくて。本当にいいかたちで終わらせてくれて・・・ありがとうございましたっていう感じです(笑)。

金井 (笑)

――リーグが終わり、チームの戦いを全体としてどう振り返りますか

助川 筑波大相手だとダブルス2-0にするのがとてもカギになってくると思うし、それは部員全員が分かっていることだと思うので、ダブルスをこの短期間でどれだけ詰められるかがカギになってくるのかなと思います。きょうの朝ミーティングで各学年の反省を言っていったのですが、3年生が「4年生を笑って送り出したい」と言ってくれた時は結構うれしくて。やっぱり4年生をいいかたちで送り出したいと思ってくれる後輩がいるのは4年にとってもすごくうれしいことで、私たちができることを精いっぱいやろうと改めて思うことができました。

金井 シングルスに森崎さん(可南子)が出ていないという状況の中での4-3で、1位通過できたことは素直に喜んでもいいと思うのですが王座で優勝するとなったらまだまだ課題がたくさんあるので、みんな浮かれているわけではないと思います。きょうはリーグ明け1日目の練習だったのですが、しっかりいい雰囲気でできていたのかなと思います。

――先ほどダブルスのお話もありましたが、リーグを通して見つかったチームとしての課題は

金井 やっぱり・・・ダブルス?

助川 ダブルス。やっぱりリーグより(シングルスが5本から3本に)本数が減るので、1本の重要性がすごく大きくなってきます。その中でダブルスは絶対に2-0にしたいなと思うのと、もしかしたら去年のように有明で声出しができないかもしれないので、応援の人たちが選手にどう伝えていくか、パワーを与えるのか。普段の練習でどれだけ一生懸命見てアドバイスしてきたかというところが出ると思うので、あと2週間ちょっとしかないのですが、やることをやるしかないという感じですね。

――収穫はありましたか

金井 さっきも言ったのですが、初めて出られた選手が多かったことですね。去年までだと特に女子の場合は選手が固定されているイメージが強かったのですが、ことしは春関で剱持(梓、社2=東京・早実)・森川(菜花、社2=山口・野田学園)がベスト4に入ったりだとか倉持(美穂、商1=東京・早実)が夏関で上といい試合をしていたりだとか(●6-4、3-6、3-6)、「私は選手じゃない」と思わずに、みんながテニスに対してひた向きに頑張って結果を残してくれるということはチームにとっていい影響だと思います。王座では5本しかないけれども、「私は試合に出ないから」とかじゃなくて、みんなが競って「私が出るんだ」という雰囲気をチーム内で出していけたらいいかなと思います。

「選手が勝ってくるのは当たり前じゃない」(助川)

リーグではベンチコーチとして金井と共に戦った助川

――ここから少し砕けたお話もしていきたいと思います。まずお二人は入学前から東京でテニスをしていましたが、ずっと前からの知り合いでしたか

金井・助川 (笑)

助川 早実と富士見(富士見丘高)なので、東京だしよく当たるしという感じだったのですが、全然友だちじゃなくて。

金井 いや、怖いんですよ(笑)。

助川 いやこっちが怖いんですけど。

金井 すっごいむすっとした顔してて。

助川 お互い無愛想で人見知りなので。私の父は(金井さんと)友だちだったんですけど。

金井 助川のお父さんがすごく私に話しかけてくるんですよ。

助川 すぐナンパするんです、私の父は。こっち(助川さんのお父さんと金井さん)はしゃべるんですけど、ここでは全くしゃべったことがなくて、大学になって初めてしゃべるようになりました。

金井 入学する前に年末合宿をやるのですが、そこで初めてしゃべりました。

――実際に話してみていかがでしたか

金井 第一印象は、「その顔でめっちゃディスってくるじゃん」っていう(笑)。

助川 それはこっちのせりふなんだけど(笑)。

金井 すごい衝撃だったのが、「うわやっべえこの顔ブスじゃん!」とか言って(笑)。「いやいやその顔が言うなよ」と思って。

助川 いや、私女子校なんですけど、女子校ってそういうの普通じゃないですか。

金井 そうなんですか?わりと初対面でそれ言われて、「は、その顔で言うの?」って(笑)。最近は言い返しますけど。

助川 ベンコを通していい関係性になってきました。

金井 マブダチですね。

――なぜ助川さんをベンチコーチに指名したのですか

金井 去年の時点で絶対に同期から選ぼうと思っていて、・・・なんか助川を選びました。

助川 なんか決定的な理由つけてよ、何となくみたいなの全然うれしくないんだけど(笑)。

金井 いや、あるあるある、ある。やっぱり私バックハンドが苦手で。助川さんはすごくバックが上手なんですけど、そのバック欲しいなと思って。

助川 (爆笑)

金井 二人で足せばすごく強いと思うんですよ。

助川 私フォアハンド苦手なので。

金井 ただ、メンタルが二人とも弱い(笑)。

助川 どんなに練習しても試合で絶対ビビるんですよ(笑)。二人でめっちゃ練習してるんですけど、いざ試合になるとガチガチになるんですよね。

――それでもベンチコーチとしては金井選手が試合で堅くなったら和らげてあげなくてはいけないのではないのでしょうか

助川 もう「いつも通りだよ、ビビるのは」って。ビビるのは前提で、その中でできることをやるという感じなので。

金井 ベンチに戻るとすごく存在感があって(笑)。

助川 安心感もあるでしょ?

金井 ・・・安心感もあって。ビビってるのかもしれないんですけどすごく堂々とアドバイスくれるので、「あ、オッケ!!」って(笑)。

――実際に助川さんはビビっていても出さないのか、どっしり構えられているのかどちらなのですか

助川 いやもうどっしりです。

金井 あ、ビビってないんだ。

助川 自分がプレーしてないんで全然ビビってないです、実際。相手のベンコよりはいいベンチコーチだろうという自信はありますね。

金井 でもすごくうれしかったのが、明大戦の時に私の走っている姿を見てるだけで泣けてきたって(笑)。

助川 ファイナルのタイブレで2-4から4-4くらいになった時に目の前をすっごい走り回ってて、なんかもうそれだけで泣けてきちゃって・・・「本当よく走るな頑張れ!!!」って感じで・・・。私意外と涙もろいんですよ。去年のリーグの早慶戦でも金井が勝った瞬間に泣いちゃって、ことしの早慶戦も泣いちゃって。

金井 泣いてたの?

助川 泣いてたよ、向井(マリア、慶大)に勝った時(○6-1、2-6、6-1)。

金井 知らなかった・・・。

助川 泣きました。筑波との最終戦も泣いてて。

金井 それは泣いてなかったよ(笑)。

助川 垂らさなかったんですけど、(目に)たまってました。金井のテニスってすごく応援したくなるテニスで、もう「が、頑張れ!頑張れ!!」みたいな感じになるテニスなので余計なんですけど。すごい泣けました。

金井 じゃあ二人で泣いてたってこと(笑)?

助川 そう。

金井 気持ちわる(笑)。

金井・助川 (爆笑)

助川 きもいな。

金井 うん、きもい・・・。

――ベンチコーチに入る際、手元のノートには何を書いているのですか

助川 試合中はファースト(サーブが)入った入らなかった、ポイント取った取られたとかをつけていて、ファーストが入った時はこれだけポイントが取れてるよということを見て分かるようにしています。それで次のチェンジコートで何を言うかを書いてますね。

――4年生はどのような学年ですか

金井 うるさいです。

助川 本当にうるさい(笑)。十人十色という感じですね。みんな個性が強くてキャラが濃いですね、他の学年に比べても。

――同期内のおすすめは

金井 同期内のおすすめ・・・。助川です。

助川 まあ私ですね。

金井 そこは綾香って言えよ。

助川 あ、ごめんなさい。こいつです。

――おすすめポイントを教えてください

金井 一つは顔じゃないですか、美女じゃないですか。

助川 あーね。うん、うん。

金井 あと、結構ばかなんですよ。でもミーティングでは「いいこと言うじゃん」みたいな。明大戦で私が負けちゃったじゃないですか。その後のミーティングで、「選手が勝ってくるのは当たり前じゃないんだ」って。

助川 で、泣いてた(笑)。すぐ泣くんですよ、金井はまじで。私は淡々としゃべってるんですけどみんな笑い始めて、「何なに」って見たら一人で「ぐすっぐすっ」って。

金井 (爆笑)

助川 例えば選手は、朝のコート掃除をしてたら「ありがとう」とか最後の集合で「きょうもサポートありがとうございました」とかってサポートに言ってくれるんですけど、選手が勝って「お疲れ」っていうのは全体の集合では言わなくて個々で言うっていう感じなんですよね。だから全員が全員に言うことはないのかなと思って、それって違うなと。金井の試合を見て、7-0にする難しさ、1本取るって本当に大変なんだなと思って・・・言いました(笑)。

――助川さんから見た金井選手のおすすめポイントは

助川 これはうそじゃないんですけど、実際尊敬していて。

金井 あ、してるんだ。

助川 してるしてる。本当にテニスにひた向きだし、妥協しない部分は本当におすすめポイントですね。ベンコをするにしても選手でそういう部分が見えてこないと本気で応援しようとは思えないと思うので、金井のベンコで良かったなと改めて思う部分はあります。全体の練習が終わっても「練習して」って言ってきてよく二人で練習するのですが、私たちは選手とベンコの関係だと一番練習してるのかなと思っていて。

金井 去年からずっとね。去年のリーグ、王座が終わって、次は私が助川を強くする番だってことで新進に送り出したんですけど・・・(笑)。

助川 それでベスト4(笑)。

金井 素晴らしい(笑)。

――ことしのスローガン『挑戦』にちなんで、個人的に挑戦したことはありますか

助川 縄跳び・・・。

金井 いや挑戦したよね(笑)。

助川 一人では無理でした、あの縄跳びは。常に二人でやっていたわけじゃないんですけど、金井がやってるから「あ、やばいやらなきゃ」っていうのは。「二人だからこれ続いてるよね」って。

金井 初めてこんなに続いたって感じでしたね。

助川 私縄跳び苦手で、それまで一回も千回跳べたことなかったんですよ。でも金井が「きょうから千回にしよう!」て言って、「え、連続・・・?まだできたことない・・・」って感じだったのですが、できるようにもなって。そこは成長を感じられましたね。

金井 心は一つになりましたね。絆は誰にも負けないです。

助川 どこにも負けない自信はあります。

金井 でも一つ不安なことがあって・・・。

助川 え、何?

金井 卒業したら遊んでくれるのかなって・・・。

助川 急に言ってくるんですよ、「卒部しても遊んでくれる・・・?」って。遊ぶんですけど絶対に(笑)。

金井 いや、仲良しじゃなくて私が一方的に好きなんじゃないかって。

助川 勝手に不安がってるだけ。「大丈夫だよ、ちゃんと遊んであげるよ」って言ってるのに「え~本当に~?」みたいな。ちゃんと私も好きですよ。

金井 もっとちゃんと表現してくれないとさ。

助川 愛を伝えるのが苦手なのであまり伝えられていないのが残念ですね。これからどんどん伝えていこうと思います。

金井 私あんまりお酒飲めないんですよ。一人であっちの世界にいって。

助川 それが不安らしいです。私は飲めるといえば飲めるんですよ。

金井 常に笑顔です。つい最近なんですけど、助川が酔っ払ってて私が看病してたら「あやかはよくがんばった・・・」って(笑)。

助川 酔った時に出る言葉って本音じゃないですか。

金井 「わたしはなんにもやってない!!」とかって(爆笑)。覚えてないらしいんですけど。

助川 それが私の本音です。尊敬してるし、いつもありがとうって。

「ことしも連覇できれば本当に自分たちの力を証明ができる」(金井)

明るく、前向きに王座への思いを語った金井(右)と助川

――新チームが発足してから、対抗戦も含めここまでの団体戦はどう振り返りますか

金井 さっきダブルスが課題と言っていたのですが、筑波大以外には負けていなくて。私はシングルスしか出たことがないので最近よく思うのですが、ダブルス2-0にしてくれるってすごくありがたいことだなと感じています。

――自分がシングルスに入る時の安心感が違うということでしょうか

金井 そうですね、2年生の時のリーグの早慶戦で0-2から私が落として結果的に負けてしまったという経験をしていて。0-2になった時の不安感というのが本当に苦しいなという経験をしていたので、去年もそうでしたけどことしも2-0で回ってくるということがどれだけ幸せなことだろうと感じています。

――助川さんはいかがですか

助川 私は今回上、大矢がすごく頼もしくなったなと改めて感じました。1、2年生の頃に比べたらすごく堂々とプレーしているな、上級生になったんだなと感じる瞬間が多くなりました。あとは清水も1年生でS(シングルス)1というすごく圧がかかるポジションなのですが、1年生らしくすごく堂々と戦ってくれていて、みんなで戦っている感があるかなと思っています。その中でも4年生の二人(細沼千紗女子主将、スポ4=東京・富士見丘と金井さん)が試合に出てくれることは同期としてすごくうれしくて。もちろんみんなで戦うことが大事だと思うんですけどチームを引っ張っているのは4年生なので、1本、2本を取ってきてくれるのは同期としてもすごく頼もしいし、チームを引っ張りやすいなと感じています。これも自分が最上級生だからだと思うんですけど(笑)、すごくいいチームだし例年よりもみんなが「4年生のために」と思って戦ってくれている印象は強いです。

金井 お世辞かもしれないけど、後輩がすごく「引退するのが寂しいです」って言ってくれる(笑)。

助川 とりあえず口だけでも言ってくれるのはうれしいですね(笑)。

――王座を2、3週間後に控えた今のチームの状況、雰囲気はいかがですか

助川 いいと思います。筑波に4-3という結果だったのですがそんなにどんよりとした空気もないし、王座まで時間がないということもあって落ち込んでいる暇もないと思うので、あと少しだしやるしかないという気持ちを持ってみんなやってくれているのかな、ときょうの練習を見ても感じました。

金井 いいと思います。リーグ中には不安を抱えている選手もいたので、少ない期間ですけどしっかりケガも治して、王座ではみんなが万全の状態で臨みたいです。

――お二人にとっては最後の王座になりますが、楽しみ、緊張、不安などどのような気持ちですか

金井 半々ですね。

助川 楽しみと不安が半々ですね。でも寂しいですね。・・・まあそんなこと言ってる場合じゃないんですけど(笑)。

金井 そうなんですよね(笑)。

助川 すごく寂しいです。でも寂しいとか言ってる場合じゃなくて。森崎が出てない状態で4-3だったので、みんな感じているとは思うのですがすごく怖くて。でもきっとみんなならやってくれると信じています。

金井 みんな怖いという感情は少なからずあるとは思うのですが、4年生がそういう感情を出してしまうと後輩もすごく不安になってしまうのではないかなと思うので、特に私たちは幹部でもないですし、チームの雰囲気が明るくなってくれれば。

助川 それだけで十分です。私たちの役割はそこなんですよ。「引っ張る」じゃなくて「盛り上げる」。

金井 でも私たちすぐふざけちゃうんですよ。

助川 いい意味で捉えると、盛り上げる。悪い意味で捉えると、すぐふざける。

金井 そこのさじ加減を2週間で。

助川 しっかり微調整していきます。

――王座で最大のカベとなるであろう筑波大にはどのようなチームだという印象がありますか

金井 ことし初めて春の早慶戦を見にきていたりとか、本当に1、2年前はただテニスを楽しんでいるチームだなという印象だったのですが、ことしの筑波は違ってチームとして王座を取りにきているなという印象をすごく受けて。牛島(里咲、筑波大)の戦い方も2年前だとすぐ「へんっ」って感じだったのですが、インカレのダブルスもすごく気合が入っていましたし、リーグのシングルスもすごくチームとして戦っているなという印象を受けたので、本当にいいチームだなと。こちらも負けずにチーム力で、for the teamで戦いたいなと思います。

助川 確かに去年に比べるとチーム力でやってきているなという印象はあるのですが、それ以上に私たちがやってきたということは自信を持って言えるので。個々の力で考えると怖いとは思うのですが、チーム力ではこちらの方が上だということはみんな分かっていると思います。そこをしっかり自信を持って選手はプレーしてほしいなと。

――王座で優勝するためのキーポイントは

金井 ダブルス2-0と言ってますけど、実際0-2になる可能性もないことはないので。絶対1本を取れる保証もないですし、ダブルスが本当にまず大きなヤマ場かなとは感じています。

――最後の王座になりますが、ことしの王座はお二人にとってどのような大会ですか

金井 自分たちの力の見せどころ。私たちが1、2年の頃は本当に戦力的に圧倒できるチームで、実際不安要素がなかったのですが、筑波が強いという状況の中で周りが「ことしは危ないんじゃないか」と言っている。それでもことしも連覇できれば本当に自分たちの力なんだなという証明ができる。自分たちの力の見せどころかなという王座です。

助川 すごいいいこと言うじゃん。

金井 カモン(笑)!

助川 インカレとかの結果を見てすごく不安な部分もあったのですが、リーグであそこまでみんなが堂々と戦ってくれて、ひやっとする場面があまりなかったので、リーグ前のチーム状況と比べると確実にみんなのテニスの状態は良くなっていると思います。あまり選手を不安がらせるようなびくびくした態度は出さないで、私たちが堂々として「やるしかないんだよ」とリーダーシップを取ってチームを引っ張っていけたらいいなと思います。私はあまりチームを引っ張るという立場じゃなくて、みんなが楽しく部活できればいいなと思っていたくらいのポジションなので引っ張るという感じじゃないのですが、最後までみんなが楽しく部活でいるように王座を迎えたいと思います。笑って終わりたいです。

――最後に、改めて王座に向けて意気込みをお聞かせください

助川 王座取ります!

金井 俺たちが王座だ!

――ありがとうございました!

(取材・編集 熊木玲佳)

「マブダチ」のお二人の対談でした!

◆金井綾香(かない・あやか)(※写真左)

1995年(平7)10月11日生まれ。身長159センチ。東京・早実高出身。社会科学部4年。今季の主な実績は、関東学生トーナメントシングルスベスト8、ダブルスベスト16、全日本学生選手権ダブルスベスト16。全日本学生ランキングシングルス18位、ダブルス15位(2017年9月付)。引退後も助川さんと遊べるか不安がっていた金井さん。王座で優勝を果たし、同期の皆さんで楽しく卒業までの日々を過ごしてほしいです!

◆助川峰理(すけがわ・みねり)(※写真右)

1996年(平8)1月17日生まれ。身長170センチ。東京・富士見丘高出身。スポーツ科学部4年。「私、意外とシャイなんですよ」と話してくれた助川さん。引退時にはお酒の力を借りずに、チームの皆さんと感謝の気持ちや喜びを分かち合ってほしいですね!