【連載】王座直前特集『挑戦』 第5回 上唯希×大矢希

庭球女子

 連載第5回に迎えるのは上唯希(スポ3=兵庫・園田学園)と大矢希(スポ3=愛知・名古屋経大)の3年生ペア。下級生の頃から団体戦に出場していた二人は、今季単複共に安定した戦いぶりを見せ、上級生として一回り頼もしくなった印象だ。厳しい戦いが予想される全日本大学対抗王座決定試合(王座)においても重要な役割を果たすであろう彼女たちが、来る3年目の大舞台に向けて意気込みを語る。

※この取材は9月25日に行われたものです。

「1年生に勝敗を懸けないよう、縁の下の力持ちになる」(上)

リーグでは負けなしの上

――まずはここまでの振り返りから入りたいと思います。今季の個人戦はどう振り返りますか

大矢 春関(関東学生トーナメント)、夏関(関東学生選手権)とダブルスは優勝することができたのですが、インカレ(全日本学生選手権)は結果を出せなくて、あまり良くないなという感じで。リーグ(関東大学リーグ)では、個人的には、満足はいっていないのですが、上と組んで全勝することができて、チームとしてとしてはそんなに悪くないと思います。シングルスもあまりいい結果が出なくて、夏関はリタイアというかたちになってしまって。納得できないところもあるのですが、ここからは団体戦シーズンなので、切り替えて頑張りたいなと思っています。

 1年生の頃から毎年私は春に成績を残していないので、大して春の結果を気にしてはいないです。インカレはシングルスは第1シードだったのですが、2試合目で負けてしまって、ふがいない結果になってしまって。ダブルスは3連覇が懸かっていたのに負けてしまって。自分に重圧をかけて負けてしまったので、自分に対してのプレッシャーに打ち勝てなかったというのがあったのですが、でもその分夏関は思い切ってやろうと思っていたので、シングルスは決勝で負けてしまったのですけど、(単複)両方決勝に上がることができて、インカレまでの自分に対してのプレッシャーは夏関では克服できたのかなと思います。リーグに関しては長い戦いだったのですが、ダブルスも大矢と組んで全部ワセダに勝ちを持ってこられましたし、シングルスでも一応全部勝ちを持ってこられたので、そのままの流れで王座(全日本大学対抗王座決定試合)に持ってこられたらなと思います。

――特に今年は女子がインカレで悔しい思いをしました。チームとして危機感というのはあったのでしょうか

大矢 そうですね。インカレで清水(映里、スポ1=埼玉・山村学園)が優勝し、ダブルスでは細沼さん(千紗女子主将、スポ4=東京・富士見丘)と(上)唯希のペアがベスト4に入ったのですが、それ以外のメンバーが結果を出せていなくて。その後すぐにリーグが始まるという状況だったので、本当にことしは王座にもいけるのかという不安もある中で、リーグでは団結してといいますか、一人一人がやることをやって勝てたので良かったかなと思います。

 インカレでは清水が頑張ってくれたのですが、ワセダの女子はシード陣がほとんどみんなこけてしまって。ふがいない結果に終わってしまったとは思うのですが、プラスに取れば、シードは結構上位にいましたし、ちゃんと自分たちの力を発揮すればリーグでもワセダは勝てると思っていました。自分が結果を出さなければ負けるという危機感はインカレで実感したのですが、みんなしっかりそれまでの過程で試合に勝ってシードがついているわけなので、ちゃんと自分の実力を出し切ればいいのではないかなという風に切り替えることはできました。

――リーグが始まる前に不安はありましたか

 リーグ戦への不安はあまり・・・。

大矢 私はリーグでシングルスに出るのは初めてだったので、結構「単複出るんだ」と緊張したといいますか、ダブルスは隣にパートナーがいてくれているので去年とかもあまり気負いすぎるということもなかったのですが、シングルスは1対1なので、ちょっと緊張はありました。

――その緊張はどう乗り越えたのでしょうか

 1戦目乗り越えたら大丈夫じゃない?

大矢 1戦目がS1(シングルス1)になっていてすごく緊張したのですが、まさか自分が(シングルス)1で出るとは思っていなかったので、それがあったから後の試合でもそんなに気負わずできたのかなと。あとは応援の方を向いて笑っておけば大丈夫かなと思ってやっていました(笑)。

――リーグ戦に向けての取り組みは何かあったのでしょうか

 ワセダ的には絶対にダブルスを2-0にしたかったので、もうここ(上・大矢組)はずっと固定で練習させてもらっていて。夏関で優勝して結果を残せたのもプラスになりましたし、夏関からリーグの間もずっとこのペアで練習させてもらえたので、不安とかはなくリーグに挑めたかなと思います。

大矢 チームとして・・・。最後に球出しをやるんですよ、チャンスボールとかスマッシュとかなんですけど。毎年リーグ前の恒例みたいで毎日やるんですけど、打ってない人もめっちゃ声を出すんですよ。その雰囲気が「リーグくるな~」という感じがします。

 私は短期集中型で、パパッと自分で前日にずっと試合の課題をして、「今日はサーブだけでいいや」とか、早慶戦前はストレートアタックがたくさんくるとわかっていたので、ストレートアタックの練習だけといったことをずっとやっていました。なので、長々とした練習はリーグではあまりやっていません(笑)。

――実際にリーグが始まってみて、チームの雰囲気や戦いぶりはどうご覧になりましたか

 チームの雰囲気は良かったのですが、ちょっと雨で予定がぐちゃぐちゃになってしまって。ちょっと疲労が選手もサポートもたまっていたのかなと思います。

大矢 去年まではなかったのですが、ことしからは4年生がボーラ―に入ってくださったりとかして。今までは1年生がボーラ―として入っていたんですけど、ことしは人数の関係でそうなったのですが、そういう風にしたことによって前よりも「これは1年生の仕事だから」とかじゃなくて、全員でやっていこうというのが強くなった気がしますね。

――亜大戦の前日のミーティングで上選手が「3年生が盛り上げます」と言ったそうですが、3年生がプッシュしていこうという気持ちは強いのですか

大矢 (笑)。

 (ミーティングで)一人一人何か言うのですが、1年生から言っていって、3年生のトップバッターがたまたま私で。亜大は3年生のレギュラーがすごく多くて、試合に出ているのが3年生が多くて。

大矢 うん、多いよね。

 4年生が1人しか出ていなかったり、3年生がとにかく多くて、「打倒3年生」になったらやっぱりこっちも3年生が頑張らなきゃなと思って。巻き込みました、同期の3年生を(笑)。頑張っていこうぜ、と(笑)。そしたら乗ってくれました。

大矢 いや、つられました(笑)、その後に言う人が、「3年生、頑張っていきます」って(笑)。

――リーグ戦を振り返ってみて、お二人ともシングルスでも安定感があったと思いますが、いかがでしたか

大矢 最後負けちゃったので(●3-6、3-6米原実令、筑波大)ちょっと終わりが悪かったのですが、それ以外の試合を振り返ってみると具体的には悪くなかったなと。3戦は勝ち星を持ってくることができましたし。早慶戦は雰囲気が他の大学とは違うと感じていますが、その中で勝ち星を挙げられたというのは結構自信にもつながりましたし、相手もプレッシャーなどを背負っていたとは思うのですが、勝てたというのは良かったです。最後(負けた試合を)抜けば、良かったです。

――大矢選手がシングルスでも結果を残せるようになった要因は

大矢 ん~。あまり全国で結果を残せているわけではないのですが・・・。自分の中で、前は得意なこととそうでないことが結構はっきりしていたんですけど、今は結構どのショットも得意不得意がなくなってきて、それが結構自信につながって、それで少しずつ勝てるようになってきているのかなというのがあります。

――上選手はリーグ戦を振り返っていかがでしょうか

 私はあまり団体戦は緊張しないタイプなんですけど、去年は緊張しなさ過ぎて、バコバコ打ち過ぎてしまって。5戦分全部言われてしまって、コーチ陣に。去年は1回筑波大の森崎選手(可南子)に負けてしまったんですけど、それ以外も「打ちすぎだ」って言うために全てベンチコーチが変わってしまって。それでことしは、打ち過ぎないということだけを心掛けて、試合をしたらいいように表れて。攻守の判断はしっかりしていこうというのはリーグ前に考えていて、それをうまいことできたかなと思います。

――お二人が組んだダブルスでは全勝でしたが、王座で優勝するためには確実に取りたい一本だと思います。責任感や手応えなどはありますか

大矢 確実に取りたい一本ではあると思うのですが、責任というのはあまり感じていなくて。感じなければいけないとは思うのですが、あまり感じ過ぎるとプレーにマイナスなイメージで出てしまうかもしれないので、「勝たなければいけない」というよりは「勝ちたい」という気持ちでプレーするようにはしていきたいと思います。王座でもどのペアも苦戦すると思うのですが、あまり「絶対取らなければ」というよりは「勝ちたいな」という風に思えるように頑張りたいと思います。

 筑波大戦の牛島(里咲)・並木(友花)組と戦った時に、春関では負けてしまって。インカレは勝ったのですが、ファイナルスーパータイブレークで。その相手に6-1、6-2で勝ったり、セットを落としていなかったりと、それが自信になって。これをしっかりと王座でも発揮できればいいかなと思います。シングルスの本数が王座では5本から3本に減ってしまう分ダブルスが重要になってくると思うので、ダブルスもリーグでつけた自信をしっかりぶつけていきたいなと思います。

――リーグ戦は1位通過となりましたが、リーグ戦前と後で変わった点などはありますか

大矢 変わった点というよりは、とりあえず安心しました。これまで結構ワセダって敵なしという感じで強くて、私たちはあまり知らないのですが、王座にいっても1セットも落とさないという代があったりして。今は結構他の大学も「絶対王座取ってやる」という気持ちできていますし、そんな中で自分たちがワセダの代表として出るというのは始まる前は不安もあったのですが、結果は1位通過ということで、自信というよりはとりあえず良かったという安心感が大きかったです。

 変わった点・・・。特に私何も考えないからな(笑)。チームの雰囲気は、慶大に勝った時は、みんなほっとしたとは思います。個人的には、一つの試合、一つの試合と考えていたので、あまり個人としてはないですね。

――リーグを通して生まれた課題はありますか

大矢 そうですね・・・。チームとしてみると、ワセダはダブルスで2-0、シングルスは4、5と下の方で勝って勝敗が決まるとか、シングルス3、4が取って勝敗が決まるというパターンがすごく多かったのですが、王座ではシングルスが3本しかない中、勝負が終盤になっても分からないということもあります。シングルス1には清水が固定で、2-2で1年生に緊張したところを任せなければいけないとなると3年生としてはちょっと情けないと思うのですが、逆に言えば、そこに(勝敗を)もっていかせないというのが大切だなと思っていて。リーグは(シングルス)4、5があるのですが王座ではないので、不安には感じていないのですが、ちょっと心配というか、やるしかないなという感じです。

 大矢も言ってくれたのですが、清水には絶対(勝敗を)懸けないようにはしたいです。春の早慶戦(早慶対抗試合)とかも清水と隣同士で出ることが多くて、私が先に試合に入る時に、「楽しんできて」と言っていて。1年生に勝敗を懸けるのは上級生としては申し訳ないというか、チームとして1年生頼りというのは情けないので、そこは上級生を始め、縁の下の力持ちにならなければなと思います。リーグも王座も全部、そこは一緒です。

同級生ペアだからこそ・・・

リラックスした表情で語り合う二人

――ここからは少しプライベートな話に移っていこうと思います。お互いどういった人柄でしょうか

 多分正反対です。

大矢 うん、私もそう思う(笑)。唯希ちゃんから聞きたい。

 私は、よくマイペースって言われるんですよ。のんびりしていて適当で、ほわんとしているタイプとよく言われるんですけど、大矢は、いい意味で言うと細かく考える、悪い意味だと考え過ぎちゃう、だと思います。神経質、というか。私は結構練習も「きょうはこれでいいや」と思うこともあるのですが、大矢は気になるところは最後までやり通す、というか。まあ正反対ですね。

大矢 私も正反対だと思っています(笑)。いい意味でいったら気楽というか、自分の考えというか、自分のペースを持っていて、どこにいってもそれはずれないんだろうなというのが結構うらやましいところでもあり、私にはあまりないようなものを持っていたり。たぶんお互いそうなんだろうなというところで。足して2で割ればちょうどいいなと思うんですけど(笑)。

 そんな感じ~(笑)。

――お二人は他の学年とペアを組むことがあると思いますが、同期と組むのは組みやすいのですか

大矢 そうですね。

 楽ですね。

大矢 適当でもいい、みたいな。接し方を先輩だからとかで気にするわけではないのですが・・・。

 「ごめん」の重みが同期だと半減する、というか(笑)。

大矢 あー分かる、分かる(笑)。

 言っている気持ちは一緒なのですが、込めなければいけない気持ちが、同期だと「あ~ごめん!」なのが、先輩とかだと「本当にごめんなさい」みたいな。

大矢 「本当にすみません!」みたいなね(笑)。

 切り替えが早くいきます、「あ~ごめん、次頑張るわ」みたいな感じで。

大矢 「私がミスっちゃったから、今の・・・」みたいなことを考えるのは、全然ないです(笑)。結構「今の前上がったほうが良くない?」だとか「今のはもっと思い切って打ったほうが良くない?」だとか、結構試合中もポン、と言葉が出てくるので、思ったら言えるというのは、同期ならではだと思います。

――部のスローガンでもある『挑戦』にちなんで、最近テニス以外でも挑戦したことなどはありますか

上・大矢 挑戦・・・!?

 最近新しいことに取り組んだ、ということで、この前パドルテニスを初めてしたんですよ(笑)。

大矢 あ~!(笑)

 パドルテニス分かりますか?

大矢 テニスコートのちっちゃいバージョンで、壁に覆われているんですよ。

 後ろの壁も全部使ってするテニスで。

大矢 それでネットがあって、2対2でやっていて。打って、(壁から)跳ね返ってきたのをポンと打ってもあり、といったゲームで。

 同期の副務の和田(隼友、社3=栃木・足利工大付)が誘ってくれて。2年生の佐藤(祥次、スポ2=大分鶴舞)とか下地奈緒(社1=沖縄尚学)とかとやって。結構楽しかったです。

――レベルも高そうですね

大矢 高かったです(笑)

 ずっとミックスダブルスでやっていて、まあうまい人と下手な人の差がすごかったです(笑)。あ、ちなみに田中優之介(スポ1=埼玉・秀明栄光)はすごく下手でした(笑)。

大矢 あと佐藤祥次も。

 下手でしたね(笑)。

――下手な理由はあるのですか

上・大矢 センスです。

一同 (笑)

 楽しかったですね。挑戦というほどではないですが、新しいことに取り組めました。

――大矢選手は何か挑戦したことはありましたか

大矢 ん~・・・。3年生になってから難しい授業を取ろうと思って、解剖学とかを取っていて。でもすごく難しくて分からなくて。でも(テストは)選択問題だったから、どれか書けば大丈夫!と思ってやったらBがきて、やった!みたいに。3年生になったからちょっと勉強頑張ろう、と思っていて。せっかく医科学にいるので。テニスに生かせたらなと思って入ったのですが、まだあんまり。

――ゼミでもそういった研究をされているのですか

大矢 ゼミではスポーツ心理学をやっていて。それも、あまり実戦で生かせるものはまだやっていないですね。早くやりたいです。引退する前には。

――上さんはゼミに入っていらっしゃいますか

 はい。私は楽で楽しそうなところに(笑)。スポーツ経営学をやっています。結構友達もたくさんできて、楽しいです。

――3年生はとても雰囲気がいいイメージがありますが、どういった学年ですか

大矢 個性的ですね。一個上とは違う個性という感じですね。4年生は一人一人の色が濃いなと思うのですが、すごくパステルカラーが並んでいる感じで。3年生は、それとは違うような個性があるというか、みんな性格が違うというか。抜けてる人もいるし、ほわほわしている人もいるし。すごくきっちりしていないと嫌な人もいますし。

 多種多様みたいな。男子がすごく仲良くて、グループとかじゃなくて全員で。結構スポーツ科学部が多くて一緒にいることもあるのですが、3年男子の中にはすごく入りやすくて。

大矢 確かに、話しやすいよね。

 アウェーを感じないというか。

大矢 居心地の良さがあります。

――ベンチコーチはお二人とも同期の方がされていますが、選んだ理由などはありますか

大矢 私のベンチコーチは廣川(真由、社3=埼玉・浦和学院)で。最初に選ぶんですよ、誰がいいか。そこで廣川がいいと指名して。上のベンチコーチが澤田(実梨、文構3=奈良・帝塚山)で、ダブルスは廣川がうまいので、ここ(上・大矢組)のダブルスは廣川が見ようということになりました。同期の方が言いやすいのではないかなと思って同期がいいというのはあって、廣川は結構ズバッと言えるタイプで、ちょっとこんなこと言っちゃったらまずいだろうなというのがないので。試合中は遠慮している場合ではないので。

 私は、前から「上ちゃんは澤田だよ」と周りから言われていて、私は「あ、そうなの、じゃあ澤田で」という感じで。もちろん同期がいいというのはあって、そこで廣川か澤田で。大矢が廣川だったので、周りに「澤田でしょ」と言われていたので澤田にお願いしたら「オッケー」という感じで、澤田になりました。そんな感じです(笑)。

大矢 仲がいいんですよ、この二人。

「自分たちだってできるんだぞという気持ちでいたい」(大矢)

今季は単複でチームに貢献している大矢

――それでは、いよいよ迎える王座に向けての質問に移りたいと思います。改めて、ことしのチームはどのようなチームでしょうか

大矢 雰囲気は、1年と4年の壁が前は厚かったというか、上級と下級もなんですけど、下級の間でも厚かったと思います。私が1年の時は、先輩に話しかけられたら答えるのは普通なんですけど、自分からは話しかけたくないなというのはあって。なんか怖い、とか、なんかミーティングで怒られるのではないかというのがあって。今は下級生もそういう風に思っていないと思いますし、隣でああやって1、4年生が話してすごく笑っている(この日、隣では木村優子女子副将、教4=千葉・秀明八千代と清水選手の対談が行われていました)のを見ると、すごく安心しますね。

 緩くはないのですが、いい意味でぎくしゃくしないで、風通しがいいです。

――その雰囲気をつくっているのは4年生なのですか

 みんなですかね。全体的に雑用とかが減って、私たちが1年生の時は雑用の面ですごく怒られていたのですが、雑用が減ることで、怒られるネタも減った、というか、そういうのが積み重なっていってしゃべりやすくなる感じですかね。

――団体戦では、応援があったり、ベンチコーチがいたりと、個人戦とは違う面もあります。一方でプレッシャーなども生まれると思いますが、個人戦と団体戦の気持ちの持ちようの違いなどはありますか

 団体の方が緊張はしないですね。でも言い方は悪いのですが、応援が2、3人とかのほうが落ち着きます。何言ってくれているか聞き取れるからで、応援がたくさんいると拍手プラス声で何を言っているかわからなくて、「わー!」ってなっちゃっていうままで。的確なことを言ってくれているので、少人数のほうがやりやすく、声が聞き取れるので。個人戦は自分で戦っているのですが、団体戦はみんなもついているので、緊張はしないですね。

大矢 何か違うのですけど、何かは分からなくて、でも団体戦の方が好きです。自分のコートが盛り上がってくれるとうれしいです。例えばエースを決めてガッツポーズをしている時に応援している側も乗ってくれると、自分のコート乗ってるんじゃない?みたいなことを感じるのが好きです。

――厳しい戦いが予想される王座においても特に筑波大戦はヤマ場だと思いますが、筑波大の印象は

 筑波大の前に、ちゃんと勝ち上がらなければいけないですね。関西の大学も強いですし。筑波大の印象としては、やっぱり牛島、森崎の二人が強いので、そこまでにしっかり勝敗を、と考えるとダブルスを2-0で取るというのはすごくカギになってくると思います。また、森崎・米原もすごく強いですけど、やはり流れ的には最後に残っている(シングルス)2本(牛島、森崎)が強いので、前に決着をつけなければ、ワセダは厳しい戦いになるのかなと。

6.34

大矢すごく強いなあという印象はあります、どの選手もうまいですし、今回のリーグも4-3ですし。でも、春関では剣持(梓、社2=東京・早実)・森川(菜花、社2=千葉・野田学園)が米原・森崎に勝っていますし、上がインカレインドア(全日本学生室内選手権)で牛島選手に勝っていますし、引けを取るというのはあまりないのかなと。自分たちから見て筑波大というのは強いなと思うのですが、筑波大から見ればワセダも選手がそろっているなと感じると思うので、あまり強いからといってマイナス思考にならずに、自分たちだってできるんだぞという気持ちでいたいと思っています。

――お二人は単複で出るとなると、勝利に大きく関わることとなると思います

大矢 (このペアリングで)単複出たら二人で3本で、3本取れたら勝ちが決定しますし、出たら3年生で勝ちが決められるようにしたいと思います。

 いいこと言った(笑)。まあ、そういうことですね(笑)。3本取れるということがベストだと思いますが、チーム全体となるとダブルスがすごく大事になってくると思います。王座はシングルスが3本しかないので、ダブルスがすごく大切で。シングルスの練習ももちろんするのですが、王座前はダブルスの練習をしっかりしていけたらなと思います。

――勝利へのカギとなるものは何でしょうか

大矢 ダブルスで、向こうのD1(ダブルス1)に出てくる米原・森崎組にどう勝つか、というところが結構キーになると思います。

 そこを倒せればね、結構流れが。

大矢 牛島・並木も強いのですが、もう一つのペアは結果も出していますし、インカレも優勝していますし。そこにどう打ち勝つか、ということがすごくキーになると思います。

 米原・森崎を倒せればワセダに流れを持ってこられるというか。春関に剣持・森川に負けた以外はほとんど負けていないですし、リーグでも対抗戦でも負けていないと思うので、向こうは負ければすごくショックを受けるだろうし、筑波大のチーム自体にもショックが大きいと思うので、そこを倒せばこっちは乗れると思うし、ダブルスは重要、キーになってくるのではないかと思います。

――チームとしては王座に向けてどのような練習をしていますか

大矢 今はダブルス強化、ですかね。

 この週はこれ、という予定があるみたいで、来週はダブルスといったところでしょうか。

――王座もお二人とも3年目ですが、ことしの王座はお二人にとってどのような大会でしょうか

 ラスト有明、ですかね。ことしの王座はまたことしの王座だよね。

大矢 うん。私は去年よりも4年生に笑って引退してほしいなと思うようになりましたし。一番長く接した先輩でもありますし、王座連覇して、どの代も引退したいと思いますし。

 毎年勝ちたいとは思うんですけど、勝ちたいの気持ちが毎年大きくなっていますね。大矢も言ってくれたんですけど、ことしの4年生は1年生の頃から接していて。1年生の頃はよく怒られていたんですけど(笑)。今も女子部室は、3、4年生が一緒で、関わっている時間も長いので、あと2週間でいなくなってしまうっていうのと、戦うのもあと3戦といったところで、やはり笑顔で引退してほしいと思います。毎年思っているんですけど、やはり関わりが長いので、だんだん王座への気持ちの入りが増してきていると思います。

――一番一緒に過ごしてきた4年生と戦う最後の試合です。改めて4年生への思いをお聞かせください

大矢 関わりが深かったのは、細沼さんと金井さん(綾香、社4=東京・早実)で、二人ともダブルスを組ませていただいて。試合先でご飯に連れていってもらったりして、フリーの日まで(会う)というわけではなかったのですけど、試合とか部室で一番関わったのはレギュラーの先輩方だったので、寂しいですね、そう考えると。まだ実感が湧かないです。自分たちが一番上になっちゃうんだ、という感じですね。

 結構存在感が強い学年の方々で。そこがすっぽり抜けてしまうと、空いているスペースが大きくなっちゃうというか。チームとしても。

大矢 部室も広くなっちゃうね。

 そうそう。今の1、2、3、4年の中で一番存在感があるというか。声も大きいし、オーラもあるし、発言も力があるし・・・。寂しくなっちゃうのかなというのはありますね。2、3週間後のことを考えると。

――王座の中で、ずばり、自分の役割は何だとお考えですか

大矢 ダブルスに出るつもりでいるので、先にダブルスは入りますし、そこで1つ勝ち星をあげるというのは自分の役割なのではないかなと思っています。

 単複どっちに出ようと、ちゃんとワセダに1勝を持ってくる。大矢も言ってくれたのですが、出れたらしっかり1勝を取って帰ってくるのがチームが一番欲しいもの、というか。1勝の積み重ねで3勝になるので、持ち場でしっかり1勝を勝ち取って。もし出なくても、応援しているコートで自分たちに1勝を持って帰ってきてもらうようにといいますか。与えられた持ち場でしっかり役割を果たすというか・・・。私が真面目なこと言ったら変な感じするね(笑)。

大矢 (笑)。負けていても盛り上げたいです、私は。声が大きいのか、声が通るらしいんですよ、私。有明は声を出せるか分からないんですけど、応援にいてもコートに立っていても、相手の印象に残るくらい盛り上げたいなと思います。

 大矢は応援の声と「カモン」の声が全然違うんですよ。普段の声より「カモン」の声のほうが高くて、かわいい声になるんですよ。みんな結構ドスのきいた「カモン」を言うんですけど、(大矢は)高いんで、通るんですよ。声が大きくなるにつれてハイトーンになってきて。だから試合などをしていて聞こえたりするので(笑)。

大矢 ほんと(笑)?やった。

――最後に、改めて王座への意気込みをお聞かせください

 まとめないとな。最後だし。

大矢 そうだね。4年生を笑顔で送り出せるように、盛り上げます!

 出たらちゃんとチームに1勝を持って帰ってきます!出なくても、チームみんなで戦っていることは一緒なので。みんな仲良くチーム力はあるので、どこの大学よりも元気にいきたいなと思います!

――ありがとうございました!

(取材・編集 中村朋子)

二人で1枚を書き上げてくださいました!

◆上唯希(うえ・ゆいき)(※写真左)

1996(平8)年11月2日生まれ。167センチ。兵庫・園田学園出身。スポーツ科学部3年。今季の主な成績は、関東学生トーナメントシングルスベスト8、全日本学生選手権ダブルスベスト4、関東学生選手権シングルス2位、ダブルス優勝。全日本学生ランキングシングルス3位、ダブルス5位(2017年9月付)。夏休みの思い出は、助川峰理さん(スポ4=東京・富士見丘)の家でバーベキューをしたこと、と楽しそうに話した上選手。プライベートでも上級生、下級生関わらず仲がいいからこそ、4年生への思いはより一層深まっているそうです。この思いを、ぜひ王座の舞台でぶつけてほしいですね!

◆大矢希(おおや・のぞみ)(※写真右)

1997(平9)年1月25日生まれ。163センチ。愛知・名古屋経大高蔵高出身。スポーツ科学部3年。今季の主な成績は、関東学生トーナメントシングルスベスト16、ダブルス優勝、関東学生選手権シングルスベスト8、ダブルス優勝。全日本学生ランキングシングルス9位、ダブルス1位(2017年9月付)。上選手とは正反対の性格とおっしゃっていた大矢選手。対談中もマイペースな上選手ときっちりとした大矢選手の性格の違いが伺えました。王座でも上選手とダブルスを組むことになれば、同級生ペアのコンビネーションに注目ですね!