女子もリーグ1位通過、チームを信じて3週間の強化期間へ

庭球女子

 約2週間に及ぶ関東大学リーグ(リーグ)も最終戦を迎えた。相手はここまで全勝の筑波大。全日本大学対抗王座決定試合(王座)優勝に向け、高いカベとして立ちはだかるであろうチームだ。「王座で勝つためにもこの勝負に勝たないと勢いに乗れない」(細沼千紗女子主将、スポ4=東京・富士見丘)と臨んだ早大が4-3で勝利し、全勝優勝でリーグを終えた。

 ダブルスでは今リーグで初めての黒星を喫した。ダブルス1の細沼・清水映里(スポ1=埼玉・山村学園)組は直近の全国大会2つを制している森崎可南子・米原実令組と対戦。序盤はキープキープが続いたが、「きょうは清水がうまく機能しなかった」(細沼)と持ち味であるストロークを封じられてなかなかペースをつかめない。5-6で迎えた細沼のサービスゲームをブレークされてファーストセットを落とした。セカンドセットは2ゲーム以上差が開くことなくタイブレークに突入したが、常にリードを許し2-7でダウン。「出だしの勝負、目の前の1ポイントで気持ちをもっと強く持たないといけない」(細沼)と課題を改めて認識したと同時に、実戦経験の少ないペアながら森崎・米原組と競ったことに関しては「少し自信になった」(細沼)と意義のある試合になった。一方、ダブルス2の上唯希(スポ3=兵庫・園田学園)・大矢希(スポ3=愛知・名古屋経大高蔵)組は安定した実力を発揮。牛島里咲・並木友花組を6-1、6-2のストレートで破り、手堅い1本として存在感を見せた。

学生ナンバーワンのペアを相手に善戦した細沼(左)・清水組

 1-1で迎えたシングルス。まず勝利したのは2の上だ。1ゲームしか与えぬ貫録を見せ、確実に1本を押さえた。チームに3つ目の白星を持ち帰ったのは金井綾香(社4=東京・早実)。ここまでのリーグでは悔しい敗北もあっただけに、「きょう最後にチャンスをいただけたので、絶対勝とうという思いが強かった」と岩井真優との一戦に臨む。序盤はバックで打たされたたかれるポイントもあったが、「自分の得意な高い弾道のストロークで相手を下げた」と深いボールで押し込んでゆく。辛抱強いプレーで相手の攻め急いだミスを引き出し、意地の白星を挙げた。続いて米原と対戦した3の大矢が早大の勝利を決めるかと思われたが、相手の好プレーに加え、大矢のミスが響きストレート負け。3勝2敗の状況で最後に勝利を挙げたのは頼れる主将だ。ルーキーの千村もも花と対戦した細沼は、ラリー戦で少しずつポイントを重ねてゆく。「隙を見せない1年生は本当にすごい」(細沼)と相手をたたえながら、千村の追い上げをかわしてチームの全勝優勝を決めた。残るは王座でも重要なカードになり得るシングルス1の清水と牛島の試合だ。ファースト、セカンドセットとも序盤はシーソーゲームとなったが、ライジングを用いてテンポよく展開してくる牛島に振られ、清水がミスをするポイントが目立つ。先にブレークを許した清水が3-6、3-6で敗れ、4勝3敗で筑波大戦を終えた。

武器を生かして勝利し、大きくガッツポーズをした金井

 「まずはほっとしている」(細沼)――1位通過での王座出場を決め、主将からは安堵の声が漏れた。夏までの個人戦では部全体として結果を残せず、不安を抱えたまま突入した団体戦だっただろう。それでも、「ピンチだった分みんなで勝つという思いや結束力が高まりつつある」(渡邊隼ヘッドコーチ、平19スポ卒=静岡・庵原)との言葉通り、主将の細沼を中心にチーム全員で戦い抜いた。今回の対戦では、王座へ向けて課題を再確認したはずだ。いよいよ今季最後の戦いまで約3週間。自分を信じ、仲間を信じて決戦に備えてほしい。

(記事 熊木玲佳、写真 松澤勇人、熊木玲佳)

結果

○早大4-3筑波大

ダブルス1
●細沼千紗・清水映里5-7、6(2)-7森崎可南子・米原実令
ダブルス2
○上唯希・大矢希6-1、6-2牛島里咲・並木友花

シングルス1
●清水映里3-6、3-6牛島里咲
シングルス2
○上唯希6-0、6-1並木友花
シングルス3
●大矢希3-6、3-6米原実令
シングルス4
○金井綾香6-3、6-3岩井真優
シングルス5
○細沼千紗7-6(7)、6-3千村もも花

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コメント

渡邉隼ヘッドコーチ(平19スポ卒=静岡・庵原)

――男女共に全勝優勝という結果になりました。関東大学リーグ(リーグ)を終えどのようなお気持ちですか

とにかく王座(全日本大学対抗王座決定試合)に出ることが最大の目標だったので、全勝したいとは思っていたのですが、勝てたということが彼ら、彼女らの頑張りだったのかなと思いますね。最低ラインは突破できて、まだ続きがあるので優勝に対しての喜びは半分くらいですかね。

――最終戦を終え、部員の皆さんにはどんな言葉を掛けられましたか

男子に関して言えばまだ実力が出せていないというところがあるので、もう一度気を引き締めて、と。女子に関して言えば、正直インカレ(全日本学生選手権)の結果などを見るとタフなところがあったので、毎日毎日ヒロインが変わるところはあって。不安がある中で彼女たちの力を存分に出せましたし、清水(映里、スポ1=埼玉・山村学園)など下級生の新しい力が多く活躍できたのは上級生の取り組みが下級生に伝わっているので、そういう意味ではまだまだ成長するチームになっているかなと。あと3週間弱ですが、伸びしろがたくさん見えている状況なので、王座に向けて楽しみだねという話は最後にしました。

――改めて男子のリーグの戦いぶりをどう振り返りますか

やはり下馬評ではインカレの結果を見る限り早大が(強い)、というところはみんな思っていたところですが、それを意識せずに一戦一戦戦おうと。どの大学にもチャンスがある中で自分たちがやるべきことをしっかりやっていくと。(早大は)シングルスのメンバーが充実している中でライバルである慶大はダブルスがすごく充実しているので、今後2、3週間をどういう風に過ごさなくてはいけないかという課題は明確になったかなと思います。みんなで努力していくしかないかなというところですね。

――お話にもありましたが、女子は個人戦で悔しい思いをした選手が多い中で力を出せていたのではないでしょうか

清水がインカレではシングルスで(ベスト16から)1人で頑張って、夏関(関東学生選手権)では上(唯希、スポ3=兵庫・園田学園)であったり上・大矢(希、スポ3=愛知・名古屋経大)組であったり、一つ一つ活躍してくれて。リーグでは全員が頑張ったとは思うのですが、キャプテン(細沼千紗女子主将、スポ4=東京・富士見丘)であったり金井(綾香、社4=東京・早実)であったりが頑張ってくれました。男子より女子の方がピンチだった分、みんなで勝つという思いや結束力が高まりつつあるという感じですね。まだ満足していない選手もたくさんいますし、勝つにはもっともっとたくさんの課題があるとみんな思っているはずなので、あと2、3週間で成長できれば王座のチャンスも高くなってくるかなと思います。

――その王座では筑波大がかなり怖い相手になります

彼女たちも優勝というものを見たことがないチームなのでどういう風になるかは分からないのですが、努力してそれをコートで表現できれば我々にも間違いなくチャンスがありますし、彼女たちにもチャンスがあると思います。真摯(しんし)に相手と向き合って、自分と向き合って、一日一日を過ごしていけば。(筑波大が)強敵なのは変わらないので、みんなが見て見ぬふりをするのか、逃げてはいけないと思って戦うのかというところが重要かなと。強いということは去年の時点から分かっていましたが、強いから負けていいのかというところはみんな思っています。強いからこそ相手に勝つ準備をするということはずっとずっと言っていますし。大学に入る前の過去の戦績だけ見ればあちらのメンバーの方が実績を持っている中で、努力すればチャンスがあると全員が思っているので。まあやってみないと分からないですね(笑)。

――王座へ向けてカギになる選手は

女子は間違いなく細沼、清水ですかね。新しい力も出てくるかもしれないですが、やはり細沼は夏に悔しい思いをしているので、このまま「自分が(引っ張っていこう)」という思いを持ってくれると思います。清水はこのリーグ戦に関しては先輩たちに助けてもらっているという思いもあるはずなので、奮起してくれるかなというところですね。男子で言えばやはり島袋(将、スポ2=三重・四日市工)に活躍する場を与えるかどうか。下の選手が充実している中で、インカレチャンピオンだからといって出られる保証はないので、上で出して勝てないのであれば下でどんどん強い選手を出していくことも考えなくてはいけません。島袋は単複共に頑張らなくてはいけない選手であることは明確ですね。

――これから2、3週間でどのようなチームを目指していきますか

やはりどこのチームもいいチームなので。きょうやった筑波もそうですし、慶大、関西もそうですし、全国いろいろな代表が出てきます。最後に勝ったチームが強いということですね。最後に納得のいくチームをつくりたいです。

細沼千紗女子主将(スポ4=東京・富士見丘)

――リーグを全勝優勝で終えました。今のお気持ちは

王座優勝を目標にやっているのですが、その通過点としてリーグ優勝があったのでまずはほっとしている感じです。

――きょうの筑波大戦はお互いに王座出場が決まっている中での対戦になりましたが、どのような意気込みで臨みましたか

王座になると5本勝負なので今回とは違うのですが、王座で勝つためにもこの勝負に勝たないと勢いに乗れないなとはみんなで話していたので、絶対に勝とうと臨みました。

――ご自身のダブルスを振り返って

相手が速いコートが好きなので少し嫌だなと思ったのですが、意外と私も踏ん張ってラリーできたので良かったなと。でも清水がうまく機能しなかったなと思って、いつもは清水が後ろで私が前でというパターンが多かったのですが、きょうはあまりそれがうまくいかなくて、そこが課題かなと思います。ファースト(セット)は最後の私のサービスゲームをブレークされてしまったということでサーブにまだまだ課題があるということと、セカンドセットはタイブレークの始めに離されてしまって、私たちは出だしが肝心なので、出だしの勝負であったり目の前の1ポイントであったりで気持ちをもっと強く持たないといけない試合でした。

――森崎可南子・米原実令組(筑波大)とは何度か対戦していますが、どのような印象がありますか

去年のリーグでは大矢と勝ったのですが、やはりインカレインドア(全日本学生室内選手権)、インカレで優勝しているペアだけあって隙がないなと。他のペアには結構隙があるのですが、あまりないんですよね、あそこのペアは。でもあまり組んでいなくて上(唯希、スポ3=兵庫・園田学園)・大矢より全然ダブルス力がない私たちでも競れることが分かったので、少し自信になったかなと思います。

――ご自身のシングルスの試合を振り返って

たぶん当たるだろうなと思っていて、2日前くらいから対策、分析をしていたのですが、対戦したことがないからかあまりいいイメージが浮かばなくて。団体戦はいつも緊張しないのですが、シングルスに入る前は今までにない緊張で、「これはやばいな」と思ったのですが、試合になると楽しめて良かったなと。でも相手がすごくファイトしてくる子で、諦める時間があるという分析もあったのですが、そういう時間がなくて。隙を見せない1年生は本当にすごいな、1年生であれだけ堂々と戦えるのは脅威だなと思って試合していました。

――清水選手と牛島里咲選手(筑波大)の試合は王座でも大事なカードになり得ると思いますが、どうご覧になっていましたか

清水はこの速いコートで有利かなと思ったのですが、逆に相手の方がテンポが速くて先に攻められてしまうという感じでした。でも清水はインカレの遅いコートで優勝しているので、(王座の会場である遅い)有明(のコート)になれば清水のペースになるかなと思います。

――きょうのオーダーは変則的ではありましたが、この結果はどう捉えていますか

森崎は(シングルスには)出ていなかったのですが、勝ちは勝ちなので、早大が勝てたことは素直に喜んでいいと思います。でも王座では森崎が出てくると思いますし本数も減るので、もっとダブルス、シングルスの強化が必要だなと改めて思いました。

――最終戦を終え、チームの皆さんにはどのような言葉をかけられましたか

大矢とかも結構悔しい試合もあったと思うのですが、チームは勝ったので1回オフでリフレッシュして、と。ちょうどきょうで王座の初戦まで3週間なので、本当に王座で優勝しようという気持ちを1人1人が持って頑張ろうということを言いました。

――この3週間でチームをどう強化していきますか

インカレが終わった時には王座にいけるかも分からないと思ったんですよ。私が一番駄目だったのですが、(インカレでは)みんな1、2回戦負けが多くてどうしようと思って。リーグ優勝はそんなに簡単なことではないので、そこはみんなを褒めてあげて、ここからは先ほど言った通りダブルスの強化であったり、シングルスの『この一球』の精神であったりを改めて感じながら練習しなくてはいけないかなと思います。

金井綾香(社4=東京・早実)

――リーグを全勝優勝で終えました。今のお気持ちをお聞かせください

正直インカレが終わってから不安な気持ちが大きかったので、ほっとしています。

――最終戦に臨むにあたってのチームに雰囲気は

ここまで4戦戦ってきて、応援の雰囲気だったり勝ち方であったり、早大の方がすんなり勝てていたと思うので、そこはやはり経験の差で勝っていると思っていました。みんなが絶対早大の方が強いと信じて戦ったと思うので、それがこのような結果につながったと思います。

――きょうの試合にはどのような意気込みで臨みましたか

(シングルス)4ということで、米原、岩井(真優、筑波大)、千村(もも花、筑波大)の誰と当たるか分からない状況で、インカレから調子も気持ちも上がらない中でもしかしたら学生最後の試合になるかもしれないので、できることをやって絶対に勝ちたいと思って臨みました。

――試合内容を振り返って

相手の背が小さいので、自分の得意な高い弾道のストロークで相手を下げることができていたので、そこに関しては良かったです。自分の武器をうまく使えて、いい試合ができたかなと思います。

――リーグでは3戦出場しました。全体的に振り返っていかがですか

インカレではなかなか思うような試合ができず、夏関でも単複1回戦負けで、不安だらけで自分が出られるかどうかも分からない状況の中で、初戦はすごくいいかたちで勝てました。でも2戦目の明大戦は、気合いは十分だったんですけど負けてしまって、そこで悔しいというかすごく落ち込んでしまって。そこから3、4戦目と出られずにもどかしい気持ちもあったのですが、きょう最後にチャンスをいただけたので、絶対勝とうという思いが強かったです。

――最上級生として、今のチームはどう見えていますか

4年生の存在感がすごく大きくて、個性豊かな後輩たちが慕ってくれていると思っています。私はこのチームが大好きですし、みんなも大好きだと思っているはずです(笑)。

――王座までの期間、どのように過ごしていきたいですか

5本勝負ということで自分が出られるかは分からないのですが、いつ出てもしっかり勝てる準備はしたいと思います。最上級生として、自分が頑張ることによって練習でもいい雰囲気をつくれると思うので、最後までリーダーシップを発揮できればいいなと思います。