ルーキー清水がインカレ女王に!

庭球女子

 全日本学生選手権(インカレ)もついに最終日を迎えた。早大からは清水映里(スポ1=埼玉・山村学園)が女子シングルスの決勝に登場。仲間の声援を受けながら、慶大の主将・江代純菜をストレートで下して学生の頂点に立った。

 ファーストセットでは序盤からジュースが続いた。それぞれが意地を見せてサービスゲームをキープしたが、江代のダブルフォルトもあり徐々に清水がペースをつかんでゆく。「ムーンボールで下げさせて前にくるのが江代さんのパターン。それより先に私が前に出られるように意識していた」と、積極的に前に出てドライブボレーでポイントを重ね、5-2まで追い込んだ。しかし、ここから江代が反撃を開始。「深くていい感じにはねるとライジングで打ちやすくなる。相手からしたらダメージのないボールになって、あちらのペースになってしまった」。5-4の清水のサービスゲームでブレークポイントまで追い上げられる。しかし、ここをサービスエースでしのぐと、その後もサーブから展開するプレーでキープに成功。「大事なところでサーブがよく入ってくれた」とファーストセットを奪った。

重要な場面でサーブからポイントを重ねた清水

 セカンドセットの序盤はブレークが続いた。しかし、「ファーストセットでしっかり下げさせたりラリーしてポイントを取ったりできたので、セカンドセットになってから相手が先に攻撃したり展開したりしようとし過ぎてミスが増えた」と徐々に江代の乱れが目立つようになってくる。ラリーからいいかたちポイントを重ね、4ゲーム目にこのセットで初めてサービスゲームをキープ。プレッシャーをかけて江代のミスを誘い、振られても粘り強く拾って相手に流れを渡さない。「ファーストから流れをつかめた。1ポイント1ポイント集中して試合を運ぶことができた」。最後はリターンエースを決め、全国の頂点に立った。

勝利の瞬間、清水はコーチ陣や部員に向け笑顔を見せた

 「1年生で優勝できたということがすごくうれしい。素直に本当にすごくうれしい」――清水は試合後に笑顔で言葉を重ねた。今大会、早大勢は清水を残しベスト32で全選手が敗退。早大の名を背負って戦い続けたが、「1年生でノーシードですし、プレッシャーも感じることなく伸び伸びプレーできた」と勝利を収め続けた。しかし、インカレ女王の称号を手にしたルーキーに慢心はない。「1部校のエースの方々とはあまり直接対決をしていなくて勝てていない。まだこれからも気を引き締めなくては」。団体戦では厳しい戦いが予想されるが、フレッシュな力でチームに貢献してくれることだろう。

(記事 熊木玲佳、写真 矢野聖太郎、熊木玲佳)

ルーキーながらインカレタイトルを手にした清水

チャンピオンスピーチ

清水 まずはじめにこの大会を開催するにあたり全日本学生テニス連盟の皆様、各スポンサーの皆様、審判をしてくださった皆さま、ありがとうございました。そして日頃からご指導くださる土橋監督(登志久、平元教卒=福岡・柳川)をはじめ、嶋崎監督代行(徹夫、平元商卒=神奈川・桐蔭学園)、コーチ陣の皆さま、ありがとうございました。そして、初日から心強い応援とサポートをしてくださった早稲田大学庭球部員の皆さま、影で支えてくれたお父さんお母さん、ありがとうございました。ここまで応援しにきてくれた松田美咲ちゃん(亜大)、ありがとうございました。1年生で優勝することができてとてもうれしいです。この結果に満足せず、もっとレベルの高いところでも戦っていけるようにこれからも練習を頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

結果

▽女子

シングルス決勝

○清水映里6-4、6-1江代純菜(慶大)

関連特集

インカレ直前特集『Let Waseda Reign Again』/全日本学生選手権

関連記事

女子ダブルスはベスト4止まり、シングルスは優勝へ王手/全日本学生選手権(08/14)

正念場で意地を見せ単複共に準決勝へ/全日本学生選手権(08/13)

強敵相手に苦戦・・・ベスト8入りは清水と細沼・上組のみ/全日本学生選手権(08/12)

コメント

清水映里(スポ1=埼玉・山村学園)

――優勝おめでとうございます。今の率直なお気持ちはいかがですか

とってもうれしい気持ちでいっぱいです。

――決勝を前にしてどのような気持ちが一番大きかったですか

わくわくしている気持ちも大きかったですし、チャレンジャーな気持ちで緊張というよりは楽しみだなという。試合を追うごとに調子も良くなってきていたので、楽しみだなという方が大きかったです。

――決勝に上がってきたのは森崎可南子選手(筑波大)ではなく江代純菜選手(慶大)でした

私も森崎さんの方を注目して試合を見ていたのですが、(江代選手も)すごく乗っていて。4年生ですしキャプテンですし、最後の大会に懸ける思いがすごく熱いのも伝わってきました。どうなるのかなという部分はありました。

――分析は十分にできていましたか

きのう森崎さんとの戦いを4年の増田さん(啓孝、政経4=Nido de Aguilas International School)と一緒に見ていた時に、こういうボールを打った方がいいとかこういうのがうまいとか言ってくださって。あとベンチコーチをしてくださっている木村優子さん(副将、教4=千葉・秀明八千代)も夜に分析の画像と文でこういうところが苦手だよと伝えてくださって。きのうの押野さん(紗穂、慶大)との戦いの時もしてくださって、それがすごく頭に入っていたので試合中も何回も思い出してプレーできていたことがありがたかったです。

――きょうはどのような狙いを持ってプレーしようと思っていましたか

やはりムーンボールで下げさせて前にくるというのが江代さんのパターンだったので、それより先に私が前に出られるように意識していました。逆に走らせてムーンボールにさせてドライブボレーというのは分析でも言ってくださっていたので、自分から展開できればいいのではないかなと思っていました。

――実際にそのパターンでのポイントも多かったですね

多かったですし、5-4の30-40の時にいいところでサービスエースが決まったり、大事なところでサーブがよく入ってくれたので、そこが良かったかなと思います。

――ファーストセットを振り返って、5-2から5-4まで追いつかれました

隼さん(渡邉ヘッドコーチ、平19スポ卒=静岡・庵原)からはストロークが良すぎて逆に相手にはそんなにダメージのないボールになっていると言われてしまって。深くていい感じにはねるとライジングで打ちやすくなるので、江代さんはそれが得意ですし、江代さんからしたら腰のあたりで打てるボールになってしまって、ダメージのないボールになってしまったところが5-2からあちらのペースになってしまったのかなと思います。自分にはいいショットでも相手からしたら嫌じゃないボールとかもあるので、そこはきょう学べたところかなと思っていて。ムーンボールを効かせて、自分の得意なスピンを生かして展開できていれば6-2でも取れたかなと思いますが、あそこで気付けたことが収穫かなと思います。

――セカンドセットではブレークが続きましたが、4ゲーム目でいいかたちでのキープができましたね

そうですね、あそこは大事なところだったと思っていて、その3-1の後ブレークできたのですが、私がポジションでプレッシャーをかけている時に相手がダブルフォルトしてくれたのも大きかったです。あとはファーストセットでしっかり下げさせたりラリーしてポイントを取ったりできたので、セカンドセットになってから相手が先に攻撃したり展開したりしようとし過ぎてミスが増えた部分もあって、ファーストから流れをつかめたのかなと思います。

――落ち着いて試合できましたか

後ろで先輩方とか隼さん、弥起さん(石井コーチ)、嶋崎さん(徹夫監督代行、平元商卒=神奈川・桐蔭学園)とかが応援してくださって、毎ポイント毎ポイント「落ち着いて」とか「いつも通り」とか言葉をかけてくださっていたので、そのおかげもあって。本当に1ポイント1ポイント集中して、試合を運ぶことができたかなと思います。

――きのう東伏見からもエールがあったとおっしゃっていましたね

先輩方とか同期のみんなとかがLINEのメッセージをたくさんいただいていて、朝から先輩方にも頑張れと言っていただいたり、高校の時からライバルだった松田美咲ちゃん(亜大)もきょう駆けつけてくれたりして。会場にはいないけれど頭の中で庭球部員の皆さんとか、陰で支えてくださった皆さんのことも力に変えられた部分が良かったかなと思います。

――今大会では早大勢の早期敗退が目立ちましたが、早大の名を一人で背負うプレッシャーなどはありませんでしたか

あまり考えていなくて。個人戦ですが、早大という名前を背負って戦っているので、先輩方の方がプレッシャーもあったと思いますし、私は1年生でノーシードですし、プレッシャーも感じることなく伸び伸びプレーさせていただきました。あまりなかったですね。

――今大会を単複で振り返って、どのようなインカレになりましたか

まずインカレが始まる前のインタビューではシングルスで優勝することが第一で、その次はダブルスと言っていたのですが、とは言いつつもダブルスでも(優勝を)狙える位置にいると思っていたので、ベスト16で負けてしまったのはすごく悔しかったのですが、春関(関東学生トーナメント)とは逆にダブルスで先に負けてしまったからこそシングルスでは頑張ろうとシフトチェンジすることができたので。1年生で優勝できたということがすごくうれしい。素直に本当にすごくうれしいので、ちょっとダブルスで負けてしまって悔しいのですが、満足しています。

――春関の悔しさは晴らせましたか

優勝したとはいえ森崎さんとか牛島さん(里咲、筑波大)といった1部校のエースの方々とはあまり直接対決をしていなくて勝てていないので、そういう意味ではこれからリーグ(関東大学リーグ)、王座(全日本大学対抗王座決定試合)で当たるかもしれないですし、まだこれからも気を引き締めていかないといけないなと思います。

――今後は関東学生選手権、リーグが続いていきますね

まずは体をしっかり休ませてベストな調子で臨めるように調整することと、逆に今回優勝したからこそ追われる立場になるかもしれないので、変わらずチャレンジャーの姿勢で試合に臨むことを忘れずに。これから団体戦のシーズンになって早大を背負って戦うので、個人戦よりも1ポイント1ポイントを大切に戦っていきたいなと思います。