ホームで快勝!夏へ向けて成長の時

庭球女子

 ことしも、両校の意地と意地がぶつかり合う戦いが行われた。早大のホームコートで開催された第98回早慶対抗試合。女子はダブルスで強さを見せるとシングルスでも確実に勝利を重ね、6勝1敗で慶大を下した。

 ことしのチームもダブルスの安定感は健在だ。この日は関東学生トーナメント(春関)から組み替え、ダブルス1を上唯希(スポ3=兵庫・園田学園)・大矢希(スポ3=愛知・名古屋経大高蔵)組、2を細沼千紗女子主将(スポ4=東京・富士見丘)・清水映里(スポ1=埼玉・山村学園)組が任された。最初に入ったダブルス2は江代純菜・山藤真帆組との対戦に。「前日の練習でうまくいっておらず不安もあった」(清水)としながらも、1本目から細沼のアングルボレーが決まり、いいかたちでポイントを重ねてゆく。相手の好プレーも随所で見られたが、「二人で1+1が5くらいになった」(細沼)とダブルスならではの相乗効果で6-1、6-0と圧倒。いい流れを早大に呼び込んだ。続くダブルス1は島津全日本室内選手権で2位の成績を収めており、「互いの動きをよく分かっていていいペアリングをしている」(大矢)という同級生ペア。押野紗穂・村瀬早香組に崩されても食らい付き、隙を突いて決めていった。第1セットでは競った場面でも攻め切ってタイブレークを取ると、第2セットでは早大ペースに。6-2で仕留め、全勝で翌日のシングルスにつないだ。

細沼が清水の緊張をほぐし、流れを早大に呼び込んだ

 2日目のシングルスでは5の金井綾香(社4=東京・早実)が昨年の同じ舞台で敗れている向井マリアと再戦。全日本学生選手権(インカレ)や春関で勝利を収めている相手ではあるが、「絶対に去年の雪辱を果たす」(金井)と気合いを入れて臨んだ。第1セットでは向井に固さも見られ6-1で奪うが、第2セットでは「攻め急ぎすぎてしまった」と金井のミスが増え、試合は最終セットへ。序盤でブレークされ苦しい場面が増えるも、「ベンチコーチや応援の声を聞いて、もっと冷静にならなくてはと思った」と耐え続けた金井。徐々にペースを取り戻し、6-1で決着をつけた。早大の優勝まで、残るは1勝。シングルス4は細沼と江代の主将対決に。第1セットを6-1で先取した細沼が第2セットでもたたみかけるかと思われた。しかしジャッジでもめるポイントが重なり、「切り替えないといけないのにずるずる引きずってしまった」(細沼)と最終セットまでもつれ込んでしまう。粘りを見せるも踏ん張り切れず、慶大に1勝を奪われた。主将が敗北する中でチームの勝利を決めたのは、今回団体戦でシングルス初出場の大矢だ。「私の前の試合で金井さんがしっかり勝ってくれていたので、いい流れをつなげていこうという気持ちで入った」(大矢)。西田奈生に振られても拾い続け、ミスを誘った大矢。攻守の切り替えが光り、ストレート勝利を収めて優勝を決めた。シングルス2でも上が村瀬との一戦を制し、ルーキーながらシングルス1を務めた清水もフルセットの末に勝利。6-1と突き放して早慶戦を終えた。

チームの勝利を決めた大矢

 単複共に女王の貫録を見せた早大。チームとしては勝利を収めたものの、試合後のあいさつでは黒星を喫した細沼が涙で言葉に詰まる場面も見られた。「本当に情けない」(細沼)と肩を落としたが、下を向いてばかりもいられない。「シングルスは誰がエースになってもおかしくない。逆に全員が『自分がエースになってやる』と思ってレベルアップしてほしい」(渡邉隼ヘッドコーチ、平19スポ卒=静岡・庵原)、「個人戦だけでなく団体戦も私の代で優勝したいので、練習やトレーニングを全員で頑張っていく」(細沼)。夏には、一回り成長した主将を筆頭に、さらにたくましくなったチームの姿を見せてくれるはずだ。

(記事 熊木玲佳、写真 田中佑茉、川浪康太郎)

★ルーキー清水がシングルス1として堂々たるプレー

勝利の瞬間大きくガッツポーズした清水

 ルーキーながら、堂々たるプレーでシングルス1としての役目を果たした。

 ランキングの規約上、出場すればシングルス1として試合をすることが確定していた清水映里(スポ1=埼玉・山村学園)。チームの勝敗が決まった中での試合ではあったが、「やはり他の対抗戦では味わえないような独特の雰囲気の中で試合が始まった」と振り返る。また、村瀬早香を相手として想定していたために、実際の対戦相手となった押野紗穂は分析不足。緊張や不安をぬぐい切れず、第1セットを落としてしまう。しかし、「1年生だし、勝敗も決まっているので気負うこともない」と開き直った。戦術的にも「相手はカウンターやクロスが得意。角度の少ない中でラリーしていく方がいいのかなと思った」と試合を進める中で修正し、徐々にポイントを奪えるように。勢いづいた清水は、チームメートの応援を受けながらフルセットの戦いを勝ち切った。

 「早大の庭球部のために全員が動いてくださっているということを肌で感じた」と初めての団体戦を振り返った清水。秋に向けて貴重な経験となったことだろう。今後の女子部を担う、頼もしい選手の上々デビューだ。

(記事、写真 熊木玲佳)

結果

○早大6-1慶大

シングルス

ダブルス1
○上唯希・大矢希7-6(4)、6-2押野・村瀬
ダブルス2
○細沼千紗・清水映里6-1、6-0江代・山藤

シングルス1
○清水4-6、6-1、6-1押野紗穂
シングルス2
○上7-5、6-0村瀬早香
シングルス3
○大矢6-2、6-2西田奈生
シングルス4
●細沼6-1、4-6、4-6江代純菜
シングルス5
○金井綾香6-1、2-6、6-1向井マリア

※通算成績=58勝40敗、3連勝

コメント

細沼千紗女子主将(スポ4=東京・富士見丘)

――早慶対抗試合(早慶戦)にはどのような気持ちで臨んでいましたか

早慶戦で7-0というのは私が入部してからなかったので、個人的にもチーム的にも絶対7-0を取るということを目標として、出た試合は絶対勝とうという気持ちで臨んでいました。

――早慶戦前にはチームの皆さんにはどのようなお話をされていましたか

その7-0を目標にして、今までたくさん練習をしてきたのでそれを信じて頑張っていこうと言っていました。

――単複のオーダーを振り返って

まあ慶大は予想通りで、こちらの予想が当たったなという感じでドンピシャだったので後はやるだけだったのですが・・・。

――きのうのご自身のダブルスはいいかたちで勝利しました

清水(映里、スポ1=埼玉・山村学園)が始め緊張していたので私が4年生らしく引っ張っていこうと思ったらすごくいいプレーができて、清水もだんだん緊張がほぐれてきました。1ゲームしか与えなかったのですが、本来ならもう少し取られるようなペアに対して、二人で1+1が5くらいになったのでああいういいプレーができたのかなと。

――きょうのシングルスは苦しい試合になりましたね

ファーストセットはすごくいいかたちで取れたのですが、セカンドセットで少し相手のジャッジが続いてしまって、切り替えないといけないのに切り替えられなくて、ずるずる引きずってしまって・・・。すごく課題としているのですが、ファイナルセットもそのままずるずるいってしまったので、もっと私らしいプレーができたら簡単に2セットで終わった試合だったのかなと思います。

――その後は清水選手のベンチコーチにも入っていましたが、他のシングルスはどうご覧になりましたか

本当に4人が頼もしくて、自分が本当に情けないなと思いながら・・・。

――個人としては悔しい早慶戦になりましたか

悔しいというよりは、本当に情けないなと。あまり悔しいという気持ちはなくて、何やってるんだろうという感じですね・・・。

――個人戦、団体戦と続いた2週間でした

春関(関東学生トーナメント)の直前にメンタルにくることがあって全然テニスに集中できなくて、周りに話せばよかったのですが1人で抱え込んでしまって。最後の春関だから頑張ろうと思ったのですが全然だめで、負けてからコーチや同期にも打ち明けました。チームでやっているのに1人で抱え込んでしまうことが結構あって、本当にだめだなと思うのですが、春関はそれで全然だめで。早慶戦は切り替えようと思って髪もばっさり切って、切り替えられはしたのですが、マッチポイントの切り替え(の重要性)だとかを感じた試合だったなと。

――気持ちに左右された部分が大きい期間だったのですね

もうそれしかないと思います。

――これから夏に向けてどう過ごしていきますか

去年インカレ(全日本学生選手権)で準優勝していてダブルスも2年生で準優勝しています。単複優勝を狙える位置にいると思うので、しっかり頑張りたいです。個人戦だけでなく団体戦も私の代で優勝したいので、練習やトレーニングを全員で頑張っていきたいと思います。

金井綾香(社4=東京・早実)

――最後の早慶戦にはどのような思いで臨みましたか

1年前は悔しい負け方をしていて、もちろん私が出られる保証もなかったのですが、選んでいただいたので、選んでくれた人や応援してくれた人に感謝しながら戦いました。

――昨年も対戦した向井マリア選手(慶大)との試合でした

1年前の早慶戦でマッチポイントまでいって負けてしまって、その負けが最後でそこからは勝っているのですが、同じ舞台でそういう負け方をしているので、絶対に去年の雪辱を果たすという意味では気持ち的な部分で気合いを入れていきました。

――具体的な対策はありましたか

春関でも対戦しているので、その反省ももちろんあったのですが、自分のプレーをすることが一番なので、相手というよりは自分のプレーをすることを意識しました。

――試合内容を振り返ってはいかがですか

ファーストセットは相手も緊張していてあんまり良くなかったのですが、セカンドセットで自分から攻め急ぎすぎてしまいました。ファイナルセットの出だしもそれが続いていたのですが、ベンチコーチの声や応援の声を聞いてもっと冷静にならなきゃなと思って、そこからは自分のペースでできました。

――チームの課題と収穫はどういった部分ですか

今回6-1という大差で勝ったことはよかったのですが、それぞれの課題ももちろんありますし、私は今回出させていただいたのですが、他にもまだ選手はたくさんいます。そういう意味では層の厚いチームではあるのですが、まだ王座(全日本大学対抗王座決定試合)で優勝できる保証はなくてまだまだ足りない部分があると思うので、リーグ(関東大学リーグ)に向けて立ち振る舞いであったり、テニス以外の面でももっと強いチームをつくっていきたいです。

大矢希(スポ3=愛知・名古屋経大高蔵)

――早慶戦に向けてはどのような意気込みで臨みましたか

きのうシングルスのオーダーが発表されて、自分がシングルス3に出場するということになって。シングルスの公式戦に団体戦で出るのが初めてだったのですが、コートに立ったら緊張はしていたもののいい緊張で、不安な緊張はしていませんでした。ホームだったこともあるのですが、私の前の試合でしっかり金井さんがファイナルセットで勝ってくれましたし、いい流れをつないでいこうという気持ちで入りました。

――ダブルスでは島津全日本室内選手権などで結果を残している上唯希選手(スポ3=兵庫・園田学園)とのペアリングになりました。コンビネーションはいかがですか

上とは同期でもありますし、普段からも学部で一緒にいて、すごくコミュニケーションは取れています。ダブルスでもお互いの動きをよく分かっていて、いいペアリングをしていると思います。

――ダブルスの試合内容を振り返って

きのうのダブルスは両セットとも最初にリードされてしまって、出だしがよくないと監督、コーチから言われて、そこが私たち二人の課題です。リーグ、王座では二人で出るのか分からないのですが、改善していきたいです。

――シングルスはチームの勝ちを決める試合になりましたが、心境は

隣のシングルスが負けてしまってから、私が勝ったらチームが勝てるということは少し意識したのですが、あまり意識してもいけないなと思って、私は私の試合を応援してくれる人たちを見て頑張ろうという気持ちでいました。

――春関、早慶戦を終えて見つかった課題と収穫は

春関のシングルスは森崎(可南子、筑波大)に負けたのですが、きょう出させていただいて、これからはリーグや王座でシングルスでも活躍できる選手になりたいと思いました。森崎は去年も王座に出場していた選手ですし、きょうだったら押野さん(紗穂、慶大)とか村瀬さん(早香、慶大)とか、そういう選手と私がやっても勝てるようになりたいです。

清水映里(スポ1=埼玉・山村学園)

――早慶戦にはどのような意気込みで臨んでいましたか

シングルス1で出させていただくということでプレッシャーもあったのですが、勝利に貢献できるようにという思いはずっとあって。何とか勝ちたいなという思いはありました。

――初めての早慶戦でしたが、実際の雰囲気はいかがでしたか

私が入る時はもう先輩方が勝ってくださったので(チームの)勝敗も決まっていて、プレッシャーもなくできるなと思っていたのですが、やはり他の対抗戦では味わえないような独特の雰囲気の中で試合が始まりました。村瀬さん(早香、慶大)が(シングルス)1で出てくるという予想でこの1、2週間練習をしていたのですが、オーダーが発表されて押野さん(紗穂、慶大)ということで分析が足りない部分もあって、第1セットはその緊張とプレーの雑さが出てしまって落としてしまいました。2セット目からは「1年生だし勝敗も決まっているので気負うこともないな」と思って吹っ切れてやることができたので良かったかなと。

――情報が少ない中で第1セットを戦っていたとのことですが、そこから試合の中で修整していった点はありますか

押野さんはすごくカウンターやクロスが得意な方なので、自分から無理にクロスで角度をつけるよりは真ん中で角度の少ない中でラリーしていく方がいいのかなと思いました。フォアのクロスを軸に左利きらしいプレーができればいいかなと思っていたので、それがだんだんうまくいくようになってプレーに自信が持てるようになってきて、流れがこっちにきたという感じですね。

――ダブルスでは春関から組み替えもありましたが、振り返っていかがですか

前日の練習であまりうまくいっていなくてちょっと不安があったのですが、千紗さん(細沼)がすごくリードしてくださってすごく調子も良くて、私のミスもすごくカバーしてくださって。私は一生懸命やるのみだったので、千紗さんにはすごく感謝しています。

――今回の早慶戦は清水選手にとってどのような大会になりましたか

1年生で緊張もあったのですが、選手だけではなくて先輩方がサポートしてくださったり同級生が一緒にボーラーとして戦ってくれたり、本当に庭球部全員で試合を戦っているのだなと言うことをすごく実感して。OB、OGの方だったりご父兄の方だったりがサポート、応援してくださって、早大の庭球部の勝利のために全員が動いてくださっているということを肌で感じました。試合に出るに当たって勝利に貢献できたことはとてもうれしかったです。

――ここ2週間で見つかった課題、収穫は

春関のシングルスは本当に自分の中では不満の残る結果で終わってしまって・・・(●0-6、0-6大矢)。負け方もすごく悪くて、大矢さんがすごく良かったのもあるのですが、自爆というか、もう少し何かできたのではないかなと悔しい思いを残したまま終わってしまいました。ダブルスは吹っ切れて優勝できたのは良かったのですが、私はやはりシングルスで勝ちたいと思っている部分もあったので、春関が終わって早慶戦までの時間でシングルスをメインにしっかりやれました。フォアで攻撃するのが私のプレーなのですが、フォアでミスをすることがまだ多くて。質や精度がまだ不安定だったのですが、今回のシングルスでは質も高い中でフォアを軸に攻められていて、左利きらしいいいプレーができたなと。いいイメージを持ちながらできたかなと思います。

――夏以降は大事な試合が続きます

まずはケガをしないでしっかり完全な調子で臨むことを目標に。(インカレは)単複本戦から入れたので、春関はシングルスで本当に悔いが残ったので、単複上位を目指して頑張るのみです。1年生なのであまり思い過ぎず思い切りやりたいなと思います。