【連載】インカレ開幕特集『over the limit』 第1回 林恵里奈×辻恵子

庭球女子

 女子部の連載第1回目は、林恵里奈(スポ3=福井・仁愛女)と辻恵子(教3=東京・早実)を取り上げる。5月に行われた関東学生トーナメント(春関)では納得のいくプレーができなかったというお二人。1年生の頃から出場し続け、ことしで3度目となる全日本学生選手権(インカレ)に挑むその胸中を語っていただいた。

※この取材は8月5日に行われたものです。

「調子としては上がってきています」(辻恵)

林(右)は大学入学後初の同期ペアでインカレに挑む

――まず、これまでのシーズンをおおまかに振り返っていただきたいです。林選手は調子はいかがでしたか

 インカレインドア(全日本学生室内選手権)では結構楽しく自分のプレーができて、それが結果につながっていったので良かったです。春関(関東学生トーナメント)では4年生の選手に負けてしまったのですが、プレー的には調子が上がってきているので、あとは暑い中で体力面でどう戦っていくかというのが重要になってくるかなと思います。

――辻選手はケガなどもありましたが、振り返っていかがでしょうか

辻恵 私は冬にケガをして長い間練習ができなくて、今季の最初の方は身体に影響している部分がかなりありました。でも、早慶戦(早慶対抗試合)や大学のテストを終えたいまは一日練が始まり、集中してたくさん練習ができるのでいい状態にあると思います。調子としては上がってきています。

――林選手は春関が終わった後のインタビューで「納得のいく結果ではなかった」とおっしゃっていましたが、いまは調子が上がっているということで、具体的に強化した点はありますか

 強化したというよりは、どちらかというと冬場で落ちてしまった分を少しずつ取り戻してきているといった感じです。インカレインドアの時と比べたらまだ低い方ですが、落ちた所からは上がってきました。調子は戻ってきていると思います。

――辻選手は早慶戦の際に、慶大の小林夏実選手に勝利したことが大きかったとおっしゃっていました。あの対戦で得られたことは

辻恵 慶大の小林にはいままで一度も勝ったことがなかったのですが、初めて勝つことができました。団体戦と個人戦は少し違いますが、冬場落ちた分を練習で取り戻して、自分で打つというよりは拾って粘るというプレースタイルを早慶戦で出せたかなと思うので、そこはインカレでも生かしていきたいです。

――ダブルスについてお聞きします。お二人がペアを組むようになった経緯は

 全然分からないです(笑)。

辻恵 いきなり発表されたというか…。

――試合や練習を通じて、お二人でのダブルスに手応えは感じていますか

 実はなかなかダブルスの練習ができていなくて、2、3日前くらいから少しずつやっているのですが、思ったより悪くないなというのはあります。春関のときよりもコミュニケーションがとれたり、ポイントの取り方が少しずつ分かってきたりしているので、あとはインカレに向けて残り少ない時間で調整していくだけかなと思います。

辻恵 春関のときはあまり練習できないまま試合に臨んだのですが、今は春関の時よりはかたちになってきていると思います。前衛で積極的に動くプレーを練習しています。

――お二人のダブルスの強みはどこにあると考えていますか

 前なら前、後ろなら後ろで互いの役割を果たせば、サーブを打ってボレーで決める、というふうに簡単に(ポイントを)取ることができる点だと思います。しっかり自分の役割を果たせることが1つの強みではありますね。辻が後ろで鉄壁のストロークをしてくれるので、私が前で決めるというのがこのダブルスのパターンかな、と。

辻恵 無駄なミスはないかもしれないです。

 確かにそうだね。

――同期であることがコミュニケーションを円滑にしているのでしょうか

辻恵 話しやすさはありますね。

 私は大学に入ってから同期と組むのは今回が初めてで。こうして欲しい、といった要望などは同期なのですごく言いやすいです。

――林選手はユニバーシアードにも出場されましたが、世界各国の選手と対戦されていかがでしたか

 各国の代表の選手が集まっていて、どの国も強い選手ばかりですが、テニスの環境が恵まれている国とそうではない国とでさまざまな特徴がありました。そこで感じたのは、日本人は外国人と比べて体格差がすごくあるということで、日本の大学界の中では通用したプレーが通用しなかったり、身長が高い人のサーブの威力が日本人とは違ったりしました。その中でも日本のダブルスでは、私は(今まで)試合ではあまり組んだことがなかった吉冨さん(愛子、スポ4=愛知・椙山女学園)と組ませていただいたのですが、お互いの良さを出したダブルスができたかなと思います。

小学生の頃から知っている同期

意外にも今回が初対談となったお二人

――この組み合わせでの対談は初めてなので、お互いの第一印象をお聞きしたいです

 もともと小学生のときからお互い知っていたんですよ。

辻恵 (出身が)東京ではなく新潟と福井だったので、北信越の地区大会などで顔を合わせることがありました。

――一緒にテニスをしたことはありますか

辻恵 試合は小学5年生のときに当たっていた気がするのですが、練習はあまりしていなかったです。

――では、大学で実際に同学年として接していくうちに生まれた新たな印象はありますか

 辻を最初に見たときは真面目だなと思いました(笑)。でも、実際は真面目なんですけど、意外と天然で。こういうキャラなんだ、と思いましたね。

――具体的なエピソードはありますか

 きのう、関ジャニのCDで…あれはアルバムだっけ?

辻恵 アルバムの特典でくじが引けるんですけど、一等が欲しかったのでいいことをしようと思って、稲門のお仕事手伝ったり、エレベーターを譲ったりしたのですがだめでした(笑)。

 妹(辻紘子、教1=東京・早実)と、「いまから(くじを引きに)行ってくる!」とか「運気ちょうだい!」と言っていたので、私が運気をあげたんですけど、足りなくて。面白かったです(笑)。

――辻選手は林選手のことをどう感じていますか

辻恵 テニスに対して真面目というか熱いというか。練習以外でも気付いたことがあればノートに書いていて、すごいなと思います。

――辻選手は妹の辻紘子選手がことし早大の庭球部に入部されましたが、姉としてどう感じていらっしゃいますか

辻恵 早実のときから一緒に部活をやっていたので、あまり違和感はありません。高校のときから学校では敬語、家ではタメ語で切り替えをしてくれるので、上下関係の面では私は楽です。

――林選手はお二人を見て、似ているなと感じますか

 最初はすごく似ていると思いました。今は前ほど似ているとは感じませんが、きのうの関ジャニのやりとりを見ているとやはり姉妹だなとは思います(笑)。

――プレースタイルで似ている点はありますか

 入学したてのときは似ているなと思ったのですが、今は妹の方が結構打つタイプじゃないかと思っています。よく見るとちょっと違いますね。

「目の前の相手に集中して思い切りやるだけ」 (林)

早慶戦では重要な一戦で勝利した辻恵

――今までを振り返って、お二人にとってのインカレのイメージを教えてください

 とにかく暑い(笑)。ハードコートなので照り返しがすごくて、気温が37度でもコート上だともっと高いと思います。本当に体力を奪われます。

辻恵 私はもっと暑くなれと思ってます。1年生の時のインカレが結構暑かったのですが、相手が勝手に疲れてくれて。

 私がそれだった(笑)。

辻恵 (林選手と)当たったんですけど、熱中症みたいになってくれて助かりました(笑)。

――暑くなればなるほど辻選手に有利だということですか

辻恵 そうですね。暑くなってほしいです(笑)。

――今までのインカレの成績についてはどう考えていらっしゃいますか

 1年生も2年生もシングルスはベスト16だったのですが、もう少し上を狙っていたのであまり納得はしていません。ダブルスは昨年は優勝を狙っていたので、優勝できてよかったです。

辻恵 (シングルスは)1年生のときにベスト4に入れたのですが、昨年は先輩(山崎香織、平26年スポ卒)に負けてしまって。一昨年から更に守るテニスになってしまったのかなと思うので、ことしは強気でいきたいと思います。ダブルスは昨年ベスト8で、個人的にはダブルスが好きなのにシングルスの方が得意なので、ダブルスでもっといい結果を出せるように頑張りたいと思います。

 頑張ろう。

――3年生としてのインカレはどのような気持ちで迎えられますか

 下の学年というのができて。ワセダの後輩も他大の下級生も、私たちと対戦する時はノンプレッシャーで向かってくると思うのですが、そこは先輩の意地で跳ね返すことができるように頑張っていきたいです。

辻恵 1、2年生より経験があるぶん戦いやすいとは思うのですが、ことし筑波に強い子が2人入学したように、どの大学にも強い1年生が入っています。リーグ(関東学生リーグ)、王座(全日本大学対抗王座決定試合)に向けてもインカレはとても大事な大会になってくると思うので、しっかり(向かってくる相手を)跳ね返せるように頑張ります。

――インカレでの具体的な目標は

 ことしはシングルスが予選からなので、とりあえず本選に上がることが1つの目標であり、その後はもう1回1回目の前の相手に集中して思い切りやるだけだと思います。ベスト8のような具体的な目標というよりは、コート上で出し切るというのを目標にしています。ダブルスは本選からで、ことし初めて組んだペアなのですが、春関ではベスト8まで上がれて今もしっかり練習できているので、ベスト4くらいを目指していきたいです。

辻恵 シングルスは昨年あまりいい結果が出せなかったので、ことしは少しランキングが落ちてシード落ちもしてしまうと思いますが、1年生の時と同じベスト4に入りたいです。ダブルスは林が昨年優勝しているので、その力も借りて優勝目指して頑張りたいです。

――最後に、改めて意気込みをお願いします

 ええじゃないかええじゃないか(笑)。

辻恵 …。

 …頑張ります!

辻恵 全力で走ります!

――ありがとうございました!

(取材・編集 山本葵、熊木玲佳)

お二人で一つの言葉を書いてくださいました!

◆林恵里奈(はやし・えりな)(※写真右)

1994年(平6)7月21日生まれ。身長168センチ。福井・仁愛女高出身。スポーツ科学部3年。今季の主な成績は関東学生トーナメント女子ダブルスベスト8。全日本学生ランキング女子シングルス7位、女子ダブルス1位(2015年8月8日現在)。ユニバーシアードで韓国に行ったことで、K-POPも聴くようになったという林選手。でもやっぱりゆずが一番、とのことです。インカレ前にもゆずの曲を聴いて、素晴らしいプレーを見せてくださることでしょう!

◆辻恵子(つじ・けいこ)(※写真左)

1994年(平6)9月6日生まれ。身長166センチ。東京・早実高出身。教育学部3年。今季の主な成績は関東学生トーナメント女子シングルスベスト16、女子ダブルスベスト8。全日本学生ランキング女子シングルス24位、女子ダブルス18位(2015年8月8日現在)。関ジャニが大好きでよく踊っているという辻選手。最近はジャニーズWESTという新人グループもお好きだそうです。好きな曲を思いっきり踊って、リフレッシュしてください!