【連載】 春関直前特集『Winner!!』 第1回 今井慎太郎

庭球男子

 連載の初回を飾るのは、現在対抗戦などでシングルス1として活躍する今井慎太郎(スポ3=神奈川・湘南工大付)。昨季は得意のシングルスだけでなく、ダブルスでも全日本学生選手権(インカレ)でベスト4に入るなど躍進を遂げている。二人のエースは卒業したものの、今後のワセダをけん引していく実力を持った選手だ。そんな今井が関東学生トーナメント(春関)、そしてその先に見据える目標は何だろうか。

 ※この取材は4月12日に行われたものです。

トップに立つという重圧

今井

――フューチャーズ大会が終わり、いまはどのように過ごしていますか

フューチャーズが終わっても、すぐに春関が始まりますし、ほぼ毎週のように対抗戦なども入っていて、気持ちを切らす日はないと思います。春関はもちろんその後には早慶戦(早慶対校試合)も控えていて、学生の団体戦ということでチームのことを考えながら日々頑張っていかなければなりません。気持ちの入れ替えはそういう面では多少あります。でもフューチャーズ期間同様に、練習にしっかりと励んで気を抜かずにやっていくということで、特にフューチャーズが終わったからひと段落、みたいな気持ちではないですね。

――3年生に上がったことで気持ちの変化はありますか

2年生から3年生というのはあんまり変わらないですね…。自分の学年が上がって特に意識することはそんなにないのですが、入ってきた1年生で2人、僕の後輩である湘工(湘南工大付)の子が入ってきました。それ以外は知り合いではなかったんですけれど、今回の入部で知り合いになりました。一人一人がすごく良いものを持っています。正直に言うと、いまの1年生は2年生よりもぶつかってくる気持ちが結構あって、強くなりたいという気持ちがはっきりしていると思います。そういった後輩が入ってきてくれたのはうれしくて、自分としても思いっ切りぶつかっていきたいという気持ちが出てきました。

――大城光主将(スポ4=埼玉・秀明英光)はどのような主将ですか

僕が1年生のころにダブルスを組んでいただいたのですが、ダブルス以外でも関わる機会がたくさんありました。一人一人のことをしっかり考えてくれていて、厳しく言うようなタイプではありません。でも、こうした方がいい、ああした方がいい、というのを積極的に言ってくれます。そういうところは本当に素晴らしい主将だなと思います。信頼できるキャプテンだと思っています。

――昨年1年間を振り返って

春関もインカレもですが、田川さん(翔太、平26教卒)と遠藤さん(豪、平26スポ卒)に結構…。春関は遠藤さんにベスト4で阻まれて、インカレでは田川さんにベスト4で阻まれて、あの二人の存在はすごく大きかったです。そのあとすぐにインカレインドア(全日本学生室内選手権)があったんですけれど、二人がいなくなった学生の大会は、全体的に何か違うものがありました。それと同時に今度は自分がトップを走るプレッシャーもあって。いままでは二人にぶつかっていく立場でしたけれど、自分がトップを目指す立場になってそのプレッシャーは非常に大きいです。いまは対抗戦もたくさんやっていますが、自分がシングルス1で出場していて、いままでとは相手のレベルも違いますし、そのポジションにかかるプレッシャーも違います。きょねん1年間を振り返ると、(二人が)いたときと抜けたときの状況の変化がすごく感じられて。いまは自分や大城さんや古田さん(陸人、スポ4=愛知・名古屋)がいますが、ワセダのトップとして引っ張っていかなきゃいけないのだと感じています。

――ダブルスの成績が大きく伸びましたね

僕は特にダブルスが下手で、1年生のときも全然(駄目)でした。早慶戦とかは出ましたけれど、それ以降も主力として出させてもらえたわけではなくて、成績も良くなくて。ダブルスは向いていないんじゃないかと思った時期もありました。しかし1年生の後半に古田さんと組ませていただくことになって、彼はすごくダブルスがうまくて、その足を引っ張らないようにと練習から本気になって取り組みました。古田さんと組んでから成績も出るようになって、ダブルスの練習をする機会が多くなり、本当に「うまくならなきゃいけない」と思いながら毎日本気で取り組んだので、その成果が出ているんじゃないかと思います。田川さんと遠藤さんが抜けて、ダブルス1として出るとなるとプレッシャーもありますし、プレッシャーに打ち勝つっていうことがいまの目標でもあります。なのでダブルスの練習はこれからも継続して取り組もうと思っています。

――対してシングルスでは、惜しくもタイトルに届きません

シングルスのタイトルも欲しいところですが、ワセダも関東も、学生界は曲者ぞろいなので、一つ一つの気の緩みが足をすくうこともあります。特に自分は上の方に立っているということで、下から来る人たちのプレッシャーも相当たるものだと思います。そういったところを押しつぶさないとトップに立てないと思っているので、普段の練習から下から這い上がってくる人を押しつぶすくらいの勢いで、圧倒的な力とかプレーの質を上げていくことをこれから考えていかないといけないと思います。

プロにも勝つことが目標

昨年、古田(右)と共に2つのタイトルを手にした

――現段階の男子シングルスのランキングでは上位3人がワセダの選手ですが、そのことについてどのように思いますか

正直ランキングはあまり関係がありません。(ランキングに入っている理由は)インカレインドアとかで上位3人にワセダが入って成績を出しているからであって、いま這い上がってこようとしている他大の選手であったり新1年生であったり、特に慶大の上杉(海斗)選手などは本当に力を持っているので、ランキングは関係ありません。そこに関して何か思うことは特にないです。

――フューチャーズ大会などでプロの選手と対戦する機会もありましたが、得たものは

いままで戦っていた学生大会のレベルとフューチャーズのレベルを比べてしまうと、本当に違うなというのを感じました。特に亜細亜フューチャーズ(亜細亜大学国際オープン2014)の本戦1回戦の相手は、球のスピードも威力も全然違いました。1回戦からしんどい試合になりました。でもその経験は生きていて、ダブルスに関しては亜細亜フューチャーズで準優勝することができたんですけれど、それはすごく自分にとって良い経験になりました。ダブルスをさらに極めるためにも、非常に良い経験ができたと思っています。

――ことし1年間の目標は何ですか

シングルスでタイトルを取ることもそうですが、まずは学生のタイトルを取ることを一つの目標として置きます。上級生になってこれからどういう進路に進むかもまだ分からないですけれど、フューチャーズに出て感じたことで、日本のトップレベルの選手にも勝つことができて、成績を残せるような選手になることに目標をしてこれからやっていこうと思います。

――ワセダの一員としての、ことしの抱負をお願いします

ワセダの上の方で出させていただいている以上、フューチャーズなどに出場して得たものをチーム全体に伝えて、より良いチームづくりにつなげることをやっていかなくてはいけないと思います。いままでは下級生として元気にやるだけだったんですけれど、これからは上級生として、自分から盛り上げたり引っ張っていったりすることを積極的に心掛けていこうと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 細川香衣)

◆今井慎太郎(いまい・しんたろう)

1993(平5)年9月7日生まれ。178センチ、73キロ。神奈川・湘南工科大付高出身。スポーツ科学部3年。昨季の主な実績は関東学生トーナメント男子シングルスベスト4、男子ダブルス2位、関東学生選手権男子シングルスベスト4、男子ダブルス優勝、全日本学生選手権男子シングルスベスト4、男子ダブルスベスト4、全日本学生室内選手権男子シングルス2位、男子ダブルス優勝。一つ一つの質問に対し、いつも丁寧に、そして熱く答えてくださる今井選手。その熱さが伝わるプレーにも注目です!