【連載・女子第2回】『新時代―New Age―』間中早紀×梶谷桜舞×宮地真知香

庭球女子

 今季ダブルスでの能力を買われレギュラー入りし、関東学生リーグ(リーグ戦)第1戦ダブルス1でリーグ戦初出場初勝利を果たした間中早紀(スポ3=東京・早実)。その間中とペアを組む、関東学生トーナメント(春関)、関東学生選手権(夏関)シングルス覇者・宮地真知香(社2=福岡・折尾愛真)。リーグ戦出場全試合で白星を奪い、チームに大きく貢献した梶谷桜舞(スポ2=東京・富士見丘)。団体戦で重要な役割を担う3人に、今季の振り返り、全日本大学対抗王座決定試合(王座)への思いを語ってもらった。

※この取材は10月13日に行われたものです。

自覚と責任感

学年の違いを感じさせずに話す間中(左)、宮地(中)、梶谷

――今シーズンを振り返っていかがでしたか

宮地 インカレ(全日本学生選手権)でまた勝てなかったのが、今季一番印象に残っています。1年であまり成長が見られなかったシーズンでした。

梶谷 昨年はケガに悩まされたシーズンだったんですけど、ことしは新進(関東学生新進選手権)で優勝できてそこで自分の成長がストップしたらいやだなとずっと思っていました。春関、夏関、インカレと満足はしていないんですけど、去年出られなかったインカレにも出られてまさかベスト16に入れるとは思っていなかったので少し自信になりました。シングルスは少し結果が出た一方で、ダブルスは自分たちの弱さが出て納得のいかない結果でした。でも、リーグでチームに貢献できたことはすごく良かったなと思います。

間中 私は2年までずっとノンレギュラーという立場で部活の方にいたんですけど、ことしになってレギュラーに上がることができて宮地と春関から組ませてもらっています。皆レギュラーはレベルが高いので自分が足を引っ張らないようにと思って日々練習してきました。リーグ戦で初戦宮地と出させてもらって勝つことができて、それは自分にとってすごい収穫になったと思います。シングルスは全然戦績がないので、らいねん以降力を入れていけたらと思います。

――レギュラーに上がって、何か心境の変化はありましたか

間中 粘り強さであったり体力面であったりいろんな面で(レギュラー陣に)追いつきたいっていう気持ちがさらに大きくなりました。

――昨年度と比べ成長を感じている部分はありますか

宮地 いままでの4年生が抜けて団体戦で絶対勝たないといけないっていうのを土橋監督(登志久、平元教卒=福岡・柳川)にもずっと言われていて、団体戦で絶対勝つような練習を意識してやってきました。個人戦や高校までのように好きなように打つのではなくて、一球を大事にとにかくミスしないとか攻めるだけじゃなくて自分のプレーとは違ったポイントの取り方でもポイントを取ってゲームを奪い進めていくという試合の進め方も学びました。そういうプレーが少しはできるようになったかなと思います。

梶谷 リーグ、王座はボーラーとして先輩方の姿や同期たちの活躍を見ていました。ことしは4年生が抜けて、自分が出た試合は絶対一本取って来るっていう気持ちというか自覚を持てるようにはなってきました。

間中 私はダブルス要員として練習させていただいたんですけど、ことしで成長したなと思うのはやっぱりボレーでの反応だったりポーチの決定力かなと思います。あとは、リターンなど基本的なミスが減ったかなと。

――課題となっている部分はありますか

宮地 言ってしまえば技術も精神面も全部課題なんですけど、やっぱり調子の上がり下がりが激しいところです。ここっていうときに調子を上げられるようにだとか調子が悪くても悪いなりに気持ちを盛り上げていくとかそういう自分をコントロールするというのがことしのインカレでもまだまだ課題だなと感じました。

梶谷 私は、ことしから団体戦に出させていただいているのでプレッシャーに勝てるようにというか自分に勝てるようにすることと、去年よりも試合で勝てるようになった分連戦があったんですけど、どうしても疲れがあってテーピングを巻いた形での試合というふうになってしまっていたので、やはり体作りはしていかないといけないなと思いました。

間中 2人と同じようになるんですけど、私も体力面が一番課題だと思っています。技術面に関してはもっと安定感のあるプレーをしていかないと団体戦とかでもダメだと思うので、安定感と体力面を今後改善していきたいなと思います。

――今シーズンの中で一番印象に残っている試合は何ですか

宮地 悪かった意味ではやはりインカレの初戦ですね。全然自分の練習してきたことが出せなかったので。

梶谷 1試合ですか…。やっぱり振り返ってみると春の早慶戦(早慶対抗試合)は本当に異様な雰囲気ではないですけど、早慶戦独特の雰囲気があってあれはもう忘れられないです。

宮地 そう、それ。それ言いたかった(笑)。

梶谷 最初の1ポイントの前の拍手が…。

宮地 ね。

梶谷 もう、ゾクゾクゾクって一気に来ました。

間中 私はリーグに出させてもらった初戦で勝ち切ることができたっていうのが一番印象深いです。

――それぞれのペアの強みを教えて下さい

宮地 やっぱり間中さんの前衛が。どっちのゲームでも最初に集中して2本くらいストロークすればすぐ決めてくれるのでいつも助けられています。そこが強みです。

間中 私たちのペアの特徴としては宮地にしっかりと後ろで作ってもらって、チャンスボールを私がしっかり決めるというところです。本当に過程は全部こちらの方がやってくれているので、…強みです(笑)。

梶谷 林(恵里奈、スポ1=福井・仁愛女)とのダブルスはお互いの役割が決まっているというわけではなくて、後ろだったら後ろの時は前が生かされるようにストロークを頑張ったり、前にいるときは作ってくれているボールに対してポーチで決めるとか…、引き出しが多いのかなと思います。

――それぞれ学年が上がって、何か変わったことはありますか

宮地 去年までは1年生という一番下の学年だったので、ひたすら先輩に付いて体を動かすという感じでした。でも後輩が入ってから、チームにとって大事な下級生の土台っていうものを作るために、1年生の様子を見たりだとか少し周りのことに視野を広げられたかなと思います。後輩の前ではやはり先輩らしくいようっていう自覚を持つようになりました。

梶谷 ことしから後輩ができたということで、ダブルスも1年の林と組んでいて、負けられないという気持ちもありますし、引っ張らないといけないという気持ちもあって。部活内での仕事としては、自分がお手本とか恥ずかしくないようにしようとしています。

間中 3年になって、さらに後輩も増えて…。4年生のレギュラーは長谷川(茉美女子部主将、スポ4=熊本・ルーテル学院)さんしかいないので、そこにどれだけ協力して支えられるかを意識していました。3年になって責任感も増しましたし、周りをどれだけ見られるかは一番意識しました。

危機感を常に持ちながら

数少ない上級生間中(左)と、単複に活躍した宮地

――リーグ戦を振り返っていかがでしたか

宮地 昨年はリーグであまりチームに貢献できなかったのでことしは5戦全部戦えるように大会中は集中していました。1戦負けてしまったんですけど、最後の1試合まで気持ちは集中してやりきれたかなと思います。

梶谷 私はダブルスに全試合出させていただきました。ダブルスは1発目に入る試合なので出足が大事でかつダブルスで2-0をつけることがシングルスに出る方にも大きく影響してくるので、とにかくいかに林とチームを盛り上げられるかということを意識していました。

間中 ことしの女子は桑田さん(寛子、平25社卒=現島津製作所)、大竹さん(志歩、平25スポ卒)が抜けてしまって危ないと言われてきました。危機感のある中日々練習してきたんですけども、しっかりリーグを優勝することができてそれは良かったと思います。全体的に見て試合に出た選手は、リーグ初戦よりもリーグ最終日の方がすごい成長したなというか簡単なミスもなくなっていました。一人一人の中で自分が絶対に勝ってやるっていう気持ちが大きくなって、チーム全員で勝ったなっていう気がします。

――団体戦と個人戦はやはり違ったものですか

宮地 無駄なポイントがもったいなくて周りの人にも響いてくるので、1ポイントずつが集中です。

梶谷 自分のテニス的に攻めのテニスなんですけど、個人戦と団体戦では団体戦で個人戦のように攻められないというのがあります。練習中から意識していたり監督やコーチから言われ続けています。この1球というのがすごい大事になってくると思います。

間中 団体戦は応援があったりチーム全体で戦うっていうものです。1本で流れが変わってしまったりするので個人戦とは別物という風に思います。

――リーグ戦終了後、土橋監督から「梶谷・林組が形になってくれたのが良かった」というコメントがありました

梶谷 インカレでドローが出たときに2回勝てば池田玲・西本恵組(ともに慶大)で、そこで勝負してリーグに持っていく予定だったんですけど、その前で負けてしまいました。リーグまでに林と何かを変えたというわけではないんですけど、自分たちのテニスはいかに元気よくやるかということだったので、そこを意識して1週間役割とか確認していました。隼さん(渡辺隼コーチ、平18スポ卒=静岡・庵原)が毎回(ベンチコーチに)入って下さったので応援の方やベンチコーチの方なしでは勝てなかったなと思います。

――チーム内でそれぞれどんな立場にあると思いますか

梶谷 宮地はいじられ役です(笑)。

宮地 梶谷は赤ちゃんです。

一同 (笑)

間中 あだ名が赤ちゃんなんです。見た目通り、顔がちょっと童顔なんで、赤ちゃんって呼んでます。

梶谷 違います(笑)。

宮地 たまに赤ちゃんみたいなはしゃぎ方もするんですよ。きゃっきゃきゃっきゃ笑ってます。

梶谷 私は宮地のこと、宮地っちって呼んでるんですけど、おやじっちって呼ばれたりもしてます。あんまり乙女キャラではないので…。路線がおじさんの方に走ってて、いじられてます。

宮地 いま路線を一生懸命女子方向に持ってってます。

梶谷 この取材前も、髪の毛ちゃんと整えてました(笑)。

宮地 そうなんです、いつもの試合のときはそんなことしないんですけど。

梶谷 試合のときより全然マシです(笑)。

梶谷 早紀さんは…お姉さん。

宮地 うん、本当にお姉さん。

宮地 何かあると「早紀さーん」って(笑)。

間中 言ってること分かんないよ(笑)。ちょっとなめられてるかなって思うんですけど…(笑)。すごい寄ってきてくれることは嬉しいです。これからはちょっと厳しめにいこうと思います(笑)。

――宮地選手、梶谷選手からみて、間中選手はどのような先輩ですか

梶谷 いまは「早紀さーん」とか言ってるんですけど、入部当初はすごい怖かったんですよ(笑)。もう「間中さん…隠れよう…」みたいな(笑)。隠れようはさすがに言い過ぎですけど、本当に怖かったです…。

宮地 絡みに行くなんてもうとんでもない…。

梶谷 いまとなっては一緒に授業受けたりもしてるんですけど、入った当初からすれば考えられないです。

間中 2年生になったとき、同期の話し合いですごい厳しくしようってなったので、出だしはすごい厳しくしてました。本当に笑うこともなく、めっちゃ怒ってました。怖かったと思います、自分自身でも(笑)。

――逆に間中選手から見て2人はどのような後輩ですか

間中 部活中とかはしっかりついてきてくれます。部活が終わったら、ふざけてきます。正直、仲はすごい良いと思います。宮地はダブルス組んでますし、梶谷は授業一緒に受けたりもしてますし(笑)。可愛い後輩です。

全員で心の底から勝ちに行く

ポイントを取ると梶谷の声がコートに響きわたる

――王座はどのような場所というイメージですか

宮地 試合には出てないんですけど、雰囲気は昨年で分かっていて。本数も少ないので、厳しい戦いになると思います。そういう厳しい雰囲気だとは思うんですけど、その中でしっかり自分を見失わずに戦いたいと思います。

梶谷 王座で4年生の方は引退されるのでよく集大成という言葉が使われていると思うんですけど、本当にその通りだと思います。最後4年生が笑顔で終われるように、そしてチームのために、この一球の精神で頑張りたいと思います。

間中 1年間ずっと練習してきことをぶつけるのが王座です。最終的に団体での日本一が決まるということなので、一番そこに向かって突っ走ってきたというのがあると思います。一番大事ですし、梶谷も言ってたんですけど、4年生もここで引退となるので、本当に集大成だと思います。

――慶大と対戦する確率が高いと思いますが、どのような印象をお持ちですか

宮地 やっぱり全員で戦うという気持ちがすごい強いチームだと思うので、そこにワセダも負けずに、逃げずにしっかり戦いたいと思います。

梶谷 いま言ったようにチーム力がすごい高くて、王座だとシングルスの本数が少ないのでスキがないチームです。慶大と当たるならさらにダブルスがキーになると思うので、ダブルス集中でいきたいです。

間中 本当に慶大は粘り強くて、全員で戦っているというイメージがあるので、そこに負けないように、ワセダもしっかり総力戦で、全員で心の底から勝ちに行ければいいと思います。

――4年生にはどんな思いをお持ちですか

宮地 やっぱりみなさん一生懸命、多分4年生の中でもいろいろ考えて、チームのためにいろいろやってくれたので、その4年生のためにも私たち試合に出る人は最後に勝利を届けられるようにしっかり戦いたいです。

梶谷 4年生の方は、すごいチームのために動いてくださっているので、そういった恩返しも含め、コート上でしっかり気迫溢れるプレーをして勝ちにいきたいと思います。

間中 茉美さんを筆頭に、チームのために1番動いてくれていたのは4年生なので、最後に王座でしっかり日本一を全員で勝ち取って、笑顔で引退していただきたいと思います。

――最後に王座への意気込みをお願いします

宮地 とにかく、優勝することだけを考えて、全力で頑張ります。

梶谷 王座のために練習をしてきたので、絶対優勝をします。

間中 絶対全員で優勝して、日本一を勝ち取ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 植田涼介、郡司桃子、吉原もとこ)

王座での意気込み、思いを書いていただきました

◆間中早紀(まなか・さき)

1992年(平4)12月1日生まれ。169センチ。東京・早実高出身。スポーツ科学部3年。今季の主な戦績は、関東学生トーナメントダブルスベスト8。3年生の雰囲気について、「居心地が良い」と答えた間中選手。部活後、同期で食事に行くこともあるそう。ただ予定が合わず、「いまだに6人全員そろって遊びに行ったことはない(笑)」とのこと

◆梶谷桜舞(かじたに・ろぶ)

1994年(平6)1月27日生まれ。160センチ。東京・富士見丘高出身。スポーツ科学部2年。今季の主な戦績は、全日本学生選手権シングルスベスト16。全日本学生ランキングシングルス25位(10月現在)。取材後、3人には王座への意気込みを色紙に書いていただきました。梶谷選手が選んだ言葉は、『この一球』。流れるようなプレーを見せる梶谷選手らしく、非常に流麗な文字を記してくれました

◆宮地真知香(みやじ・まちか)

1993年(平5)6月19日生まれ。161センチ。福岡・折尾愛真高出身。社会科学部2年。今季の主な戦績は、関東学生トーナメントシングルス優勝、関東学生選手権シングルス優勝。全日本学生ランキングシングルス2位(10月現在)。オフの日はとにかく何もしないという宮地選手が唯一外出するのは、「梶谷と一緒にご飯へ行く時」。春先の関東学生新進選手権ではペアを組んでいた2人。取材中もいじり合いを展開するなど、仲の良さを垣間見せていました