勝負の秋へ、チームの柱がアベック入賞

相撲

 早大相撲部の柱である2人が、全国の舞台でも2年連続のアベック入賞だ。学生相撲のメッカ、大浜で行われた全国学生個人体重別選手権(全国体重別)。早大からは若林魁主将(スポ4=岐阜農林)と橋本侑京(スポ3=東京・足立新田)が出場した。115㌔未満級に出場した若林は、得意の突きがさえ、昨年に続く3位入賞。また、昨年135㌔未満級で全国制覇を果たした橋本も、連覇とはならなかったが同階級で堂々の3位入賞を果たした。秋に控える勝負の時。経験豊富な2人には、チームを鼓舞する活躍が期待される。

 若林の初戦の相手は、九州情報大の選手。突き刺さるような立ち合いで、白星を挙げる。2戦目も、立ち合いで日体大の上体を起こし、電車道の相撲で圧倒。準決勝に勝ち進み、2年連続の入賞を決めた。準決勝では相手に右四つに組み止められ敗れたが、体重別の2大会では突きで圧倒する相撲が目立った若林。早大で迎える最後の秋、東日本学生リーグ戦(リーグ戦)と全国学生選手権(インカレ)でも、鋭い立ち合いから得意の突きを炸裂(さくれつ)させ、土俵上で輝きを見せたいところだ。

持ち味の突き押しで攻める若林

 全国の舞台での連覇を狙った橋本は、丸い土俵をうまく使って勝ち上がった。「緊張していた」という初戦は、立ち合いこそ相手の上体を起こしたものの、引きで相手を呼び込み攻め込まれてしまう。しかし、俵の上で右足一本で残すと、ひらりと回り込み相手を送り倒した。2戦目も、右四つで寄り立てられたが、土俵際で相手を下手で振ってこらえ、物言いの末に白星を手にした。入賞を決め、準決勝へ。日大選手を相手に鋭い立ち合いから攻める橋本。しかし、ここで落とし穴が待っていた。相手のいなしに足を運ぶことができず、土俵外へ。試合後は「気持ちが前にいきすぎてしまった」と振り返り悔しがった。しかし、立ち合いの当たりは室伏監督(平7人卒=東京・明大中野)も評価。前に出る姿勢も変わらず、相撲の内容は決して悪くない。

豪快な塩まきで気合いを入れる橋本

 8月には、毎年恒例のトレーニング合宿を行った早大相撲部。近づく勝負の秋へ向け、体の使い方を見つめ直した。強豪がひしめくAクラスで戦うためには、何が必要なのか。選手たちが強く意識するのが、チーム力である。橋本は、合宿の成果として後輩たちの名前を挙げ、「声を出しながら明るさを持って練習に取り組むようになった」と語った。また、若林も「少ない人数で一人一人が自覚を持って頑張るしかない」と言い、チーム力を高める重要性を強調した。昨年5人の4年生が引退し、少人数になった相撲部。それでも、昨年予選敗退に終わった選抜金沢大会でベスト8に入るなど、少ない人数でも戦えるチームが完成しつつある。昨年インカレで悔しい敗戦を喫した大浜の土俵で、アベック入賞を果たした2人。ことしのインカレの舞台は、両国国技館だ。両国で、チームの柱として戦い抜いた2人の笑顔が見られることを、早大ファンは心待ちにしている。

(記事 元田蒼、写真 吉岡拓哉)

結果

▽115kg未満級

若林魁参段(スポ4=岐阜農林)

一回戦 ○対柿木弐段(九州情報大)突き出し

準々決勝 ○対片桐初段(日体大)押し出し

準決勝 ●対長内参段(近大)寄り切り

※同階級 第3位


135kg未満級

橋本侑京参段(スポ3=東京・足立新田)

一回戦 ○対末初段(九州情報大)送り出し

準々決勝 ○対前田参段(明大)寄り倒し

準決勝 ●対宇榮原参段(日大)上手投げ

※同階級 第3位


コメント

室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)

――きょうの結果について、若林選手はいかがでしたか

本当は最後だったので決勝にまでいってほしかったんですけど、昨年同様3位になれたので良かったかなとは思います。

――橋本選手についてはいかがでしたか

橋本はやっぱり連覇が懸かっていたので、させてやりたかったんですけど、本当に一番一番物言いがついたりと拾って勝ち上がったので、本人としては準決勝まできて「これはいける」と思ったはずなんですけど、そこが隙になってしまったんじゃないですかね。

――この大会には夏合宿をして臨みましたが、その手応えはありましたか

手応えは、きょうの相撲の内容を見ていましたけど、若林は立ち合いがすごく良くなっていますし、橋本も緊張があったと思うんですけど、立ち合いは決して悪くない相撲で負けたので、合宿の成果は出ていると思います。

――その夏合宿ではどんな目標を設定して臨まれましたか

一番は体力的な部分をもっと上げて、やはりAクラスで戦うためには、それぞれの個々の力をさらにパワーアップさせないと対抗できないので、そういった目的をもってやりました。

――最後に、今後のリーグ戦とインカレに向けての意気込みを聞かせてください

あとリーグ戦まで1ヶ月、インカレまで2ヶ月しかないので、それぞれ自分たちがどういう目的なのか、どういうつもりでインカレに臨むのかをもう一回明確にして、今大会後にもう一回ミーティングをして、2ヶ月間の過ごし方をみんなで考えたいなと思っています。

若林魁主将(スポ4=岐阜農林)

――今回は2年連続の3位入賞となりましたが、振り返っていかがですか

正直、嬉しいという気持ちよりか悔しいという気持ちの方が大きくて、昨年3位でことしは優勝を目指していたので、悔しい思いの方が強いですね。

――きょうは初戦と2戦目(準々決勝)では持ち味の突き押しの攻めで勝てましたね

そうですね。本当に自分の持ち味の立ち合いの鋭さを出して相撲が取り切れたのは良かったなと思います。直前の夏合宿では体の使い方を重点に置いて練習してきたので、それが試合で結果として出たのは良かったと思います。

――負けてしまった準決勝の相手は、8月の十和田大会でも対戦して負けた近大の長内孝樹参段(2年)でしたが、そこの意識はありましたか

そうですね。115kg未満級ではきょうの相撲内容を見ていると頭一つ抜けているかなと思って、そんな中でも立ち合いだけに限れば本当に良かったと思うんですけど、その後にきょうの反省として右手が出なかったというのがあって、まだ差はありますけどインカレに向けて超えられない差ではないと思っているので、もっと稽古して頑張りたいなと思っています。

――先ほど話に出た夏合宿は具体的にどんなものだったのですか

新しい体の使い方を覚えることで、以前とは違う体の使い方をトレーナーの吉田晃仁さんに指導してもらいながら、自分たちで考えて練習するという内容だったんですけど、そこでみんな新しい感覚をつかんで今から実践で活かそうとしているので、良い内容の合宿だったかなとは思います。

――最後に今後の団体戦に向けて、主将としての意気込みをお願いします。

今後はリーグ戦とインカレになってくるんですけど、本当に少ない人数で一人一人が自覚を持って頑張るしかないと思っているので、そのために声掛けをしたりしてチーム力を高めて、インカレではベスト8、欲を言えばベスト4に入れるように頑張っていきたいなと思います。

橋本侑京(スポ3=東京・足立新田)

――3位という結果になりました

東日本体重別でも同じことを言ったのですが、2連覇を目指していたので、とても悔しいです。

――初戦と2戦目は、回り込むうまい相撲でした

正直、初戦は緊張していて、少し体が動かないという面はありました。2戦目は、立ち合い当たった後、前に攻められ、相手の形である組み相撲になってしまいました。ただ、落ち着いて相撲が取れたのかなと思います。

――3戦目では、室伏監督から「気負うな」と声がかかっていました。精神面はいかがでしたか

準決勝までいったので、そこからはやるしかないという感じでした。気負いはあまりなかったです。ただ、東日本体重別と一緒で、少し舞い上がるというか、気持ちが前に行き過ぎてしまった面があるのかなと思います。

――恒例の夏合宿がありました。チームの変化はどうですか

今年はトレーナーの吉田さんが厳しい練習を組んでくれて、体も一回り大きくなりました。また、体以外でも、チーム作りという点において、課題も見つかりました。良くなってきた部分もあります。実りのある合宿だったのではないかと思います。

――チームとして良くなった部分というのは

みんなが考えながらやっていたというのがあったと思います。また、自分たちは声を出していたのですが、浅田(大介、社2=石川・金沢学院)とか颯騎(二見颯騎、スポ1=東京・足立新田)といった下級生も声が出るようになっています。去年のチームは4年生が元気いっぱいだったので、明るかったのですが、僕たちのチームは一人一人が声を出すしかないので、そういう面でチームが明るくなっているのは良いと思います。

――リーグ戦とインカレという、秋の大きな試合が近づいています。上級生としての意気込みをお願いします

リーグ戦は9人制で、正式部員は7人しかいないので、助っ人を入れても実質1人か2人足りない状態で戦うことになり、厳しい戦いになると思います。ただ、厳しいのは元からわかっていることなので、その中でどうやって自分の力を出して、Aクラスのチームに勝てるかというのを、自分なりに意識してやっていきたいです。あと、インカレについては、去年は自分が負けてしまって、足を引っ張ってしまい、4年生を気持ちよく送り出すことができませんでした。今年は3年生なの