期待の2人の新入生が、靖国の土俵で堂々のデビューを果たした。毎年5月に行われ、1年生が力を示す場となっている東日本学生新人選手権。早大からは長谷川聖記(スポ1=愛知・愛工大名電)と浅田大介(社1=石川・金沢学院)が出場した。長谷川は一回戦、二回戦と豪快な相撲で勝ち上がり、見事ベスト16入り。一方の浅田も、二回戦敗退となったものの、粘りの相撲を見せた。室伏渉監督(平6人卒=東京・明大中野)も、「本当に思いっきりやってくれた」と、2人の相撲を評価。フレッシュな力が加わった早大相撲部。新人戦は、相撲部の今後への期待が高まる大会となった。
雨の靖国神社相撲場。新入生を応援する各大学の相撲部員たちの声援が、雨音をかき消すかのように屋根にこだまする。そんな中、まず土俵に上がったのは長谷川だ。180センチ、125キロの恵まれた体格。高校時代は、3年次に選抜十和田大会で3位に入るなど、全国レベルで戦ってきた逸材である。初戦の相手は、体重68キロと小兵の日体大選手。立ち合い、相手は足取りを狙ってきたが、長谷川は落ち着いて対応した。右でまわしをつかみ、最後は土俵にたたきつけるようにして引き落とし、初戦を突破する。続く二戦目の相手は、体重150キロの日大選手。長谷川は、体格で上回る相手の押しをこらえ、左で上手を取って組み合う形に持ち込む。右四つがっぷりの体勢で、厳しい引きつけ合い。最後は、土俵際でうまく体を入れ替えた長谷川が、豪快な上手投げで勝負を決めた。見事に連勝を飾り、ベスト16入り。三回戦は相手にいなされて敗れ、「頭を下げすぎた」と悔しがったが、力強い相撲で鮮烈な印象を残したデビュー戦となった。
二回戦、豪快な上手投げを見せた長谷川
一方の浅田も、気持ちのこもった相撲を見せた。初戦の相手は、体重150キロの駒大選手。立ち合った後、土俵中央で激しく押し合う展開になる。相手は右四つで組み止めようと試みるが、浅田はなかなか相手に有利な体勢を作らせない。40秒ほど経ったところで、相手の右の差し手を絞り、前に出る。頭をつけ、粘り強く押し続けた。最後は、正面土俵への押し出し。1分を越える大熱戦で、粘りの相撲を見せた浅田。大学でのデビュー戦での、記念すべき白星となった。その後、2回戦は突き落としで敗れたが、前に出る相撲は見せた。浅田について、室伏監督は「未知」と語る。それだけに、伸びしろは無限。一回戦のような粘り強い相撲を生んだ精神力も含め、活躍への期待は高まる。
粘り強い相撲で白星を挙げた浅田
早大相撲部の次代を担う2人。そのデビュー戦は、上々の結果となったと言えるだろう。室伏監督も「今のレギュラーを脅かす存在になってもらいたい」と、期待を寄せる。100周年を迎えた早大相撲部。記念の年の戦いは、まだまだ始まったばかりだ。期待の新入生たちが戦力を底上げし、チームをさらなる成長へと導いていくことだろう。雨の降りしきる靖国の土俵。まさにこの地で、2人の4年間の戦いが幕を開けたのだった。
(記事、写真 元田蒼)
結果
長谷川聖記参段(スポ1=愛知・愛工大名電)
一回戦 ○対高木初段(日体大)引き落とし
二回戦 ○対宮崎(日大)上手投げ
三回戦 ●対矢野弐段(東洋大)押し出し
浅田大介参段(社1=石川・金沢学院)
一回戦 ○対高橋(駒大)押し出し
二回戦 ●対新屋初段(日大)突き落とし
コメント
室伏渉監督(平6人卒=東京・明大中野)
――まずは長谷川選手について、今日の相撲はいかがだったでしょうか
最初に比べると落ち着いて良くなっていると思います。もともと、上体だけ突っ込んでいく相撲でしたが、それが変わったのが非常に良かったです。日大の選手に勝った相撲(二回戦)はとてもいい相撲でした。
――浅田選手についてはいかがでしょう
浅田は「未知」で、今の状況だとなかなか相手にならない部分もありますが、ああやって出て、いい相撲で一番勝ち、二番目も決して悪くなかったので、非常にいい収穫があったのではないかと思います。
――反省点はありますか
今回は本当に思いっきりやってくれたので、一年生としては上出来ではないでしょうか。これからもっともっと稽古して、今は基礎練習をかなり積極的にしているので、力がついてくると思います。
――今後への期待が高まっているところでしょうか
そうですね。今のレギュラーを脅かすような存在になってもらいたいです。
――東日本大会(6月11日)も近づいてきました。最後に意気込みをお願いします
あと1ヶ月しかないので、東日本に向けて、新戦力を加えて、いい稽古をして臨みたいと思います。
長谷川聖記(スポ1=愛知・愛工大名電)
――大学に入っての初戦になりましたが、いかがでしたか
緊張はしていなかったのですが、自分の相撲は取れなかったので悔いが残りました。
――二回戦は豪快な上手投げでした
自分の相撲が取れたので、いい相撲だったかなと思います。
――今日の反省点は
頭を下げすぎたところです。自分の癖なので、しっかり練習して直していきたいなと思います。
――自分のセールスポイントは
まわしを取って、前に出る相撲を取ることです。
――4年間で最も鍛えたいところはどこですか
前に出る相撲ですね。
浅田大介(社1=石川・金沢学院)
――今日は大学に入っての初戦になりましたが、どのようなお気持ちで臨まれましたか
いつも練習でしている、立ち合いを強く当たるということを目標に、自分のできることをやれるように頑張りました。
――初戦は長い相撲になりました。粘りも見られたと思うのですが、いかがでしたか
大学に入って、最後まで押し切るということを集中的にトレーニングしてきたので、その成果が出せたのではないかと思います。
――二回戦も負けてはしまいましたが、内容は悪くなかったのではないでしょうか
1回戦も2回戦も、土俵際の詰めが甘いなと思っています。今後、練習していきたいと思います。
――今日の反省点はありますか
最後まで気を抜かず、押し切ることです。
――ご自分のセールスポイントはどこですか
高校の時は、守りや、粘りの相撲をしてきました。粘りながらも攻めの相撲を目指したいです。
――4年間でレベルアップしたいところはどこですか
立ち合いからの攻めをもっと速くしていけたらいいと思います。