悔しさの残る今季初戦、宇佐でのリベンジを誓う

相撲

 愛媛県宇和島市で29日、ついに2017年度の大学相撲が幕を開けた。毎年恒例の選抜宇和島大会だ。普段は闘牛場として使われているという会場は、観客の熱気に包まれた。創部100周年を迎える早大相撲部も今季の初戦に臨んだが、団体戦の対東洋大の全敗をはじめ、悔しい結果に。個人戦では橋本侑京(スポ2=東京・足立新田)の好調ぶりも見られたが、アクシデントも発生。早大は宇和島の地で、土俵の上での勝負の厳しさを味わう形になってしまった。

 開会式を終えてすぐ、早大は団体予選の最初の土俵に上がった。相手は、前年の宇和島大会で優勝をおさめている強豪・東洋大。体重150キロを超す相手選手に対し、パワーで圧倒される相撲が続き、早大の5戦全敗に終わってしまう。悔しさを胸に迎えた第2回戦は、拓大戦。ここでも、先鋒の本田煕誉志(社4=大分・楊志館)、二陣の鬼谷智之主将(スポ4=愛知・愛工大名電)が続けて敗戦。中堅の橋本も、一昨年の学生横綱を前に粘ったが、土俵際で巨体を預けられ、寄り倒しで敗れてしまう。そんな中で気を吐いたのが、堀越豊輝(スポ4=東京・足立新田)だ。立ち合い、相手の左変化に落ち着いて対応すると、左でまわしをつかみ四つに組み合う。最後まで左まわしを離さず、それを命綱にして最後は土俵際での豪快な投げ。2017年、早大の初白星は、堀越の手によって生まれた。拓大戦は1勝4敗に終わったが、この白星が勢いづけたのか、続く中大戦では鬼谷、橋本がそれぞれ白星をあげ2勝。惜しくも勝ち越すことはできず、予選敗退となったが、中大との戦いでは、早大が上位のチームと互角に渡り合えることを証明できたと言えるだろう。

団体戦第2回戦、拓大選手を豪快な投げで下した堀越

 団体戦の対中大戦で、堀越が膝を負傷。出場予定だった個人戦は欠場となり、早大からは6人の選手が出場することとなった。ここで奮闘したのが、2年生になった橋本である。1回戦、一瞬の相撲で圧倒し、九州情報大の相手を突き出しで下す。2回戦の相手は、昨年の宇和島大会で対戦し敗れた日体大選手。再び、宇和島の地で対戦した橋本は、粘りの相撲を見せた。相手の両腕をおっつけ続け、相手が我慢できず引いたところをついていき、押し出しの白星。試合後、「リベンジができてよかった」と語った橋本。しかし、3回戦で持ち前の粘りの相撲が及ばなかったことにも触れ、「足がもう一歩出なかった」と、反省も忘れなかった。

個人戦で奮闘した橋本

 橋本の奮闘という、明るい材料もあった今季の初戦。しかし、やはり胸に残るのが、対東洋大の5戦全敗の無念である。室伏渉監督(平6人卒=東京・明大中野)は、「エンジンがかかるのが遅くなった」と語り、悔しさを滲ませた。次戦、選抜宇佐大会は5月3日、すぐにやってくる。今度こそ早大相撲部の力を見せつけたいところだ。昨年度好成績のチームのみが出場できる宇和島・宇佐の選抜大会。群雄割拠の宇和島で積んだ経験は、きっと、ワセダの相撲部が成長する糧となる。

(記事、写真 元田蒼)

結果

団体予選

第1回戦 対東洋大 5敗

先鋒 ●本田参段(寄り倒し)西野参段

二陣 ●鬼谷参段(突き出し)城山四段

中堅 ●橋本弐段(はたき込み)中嶋参段

副将 ●堀越参段(突き落とし)深井参段

大将 ●若林参段(送り出し)白石参段

第2回戦 対拓大 1勝4敗

先鋒 ●本田参段(突き落とし)志村参段

二陣 ●鬼谷参段(押し出し)川本参段

中堅 ●橋本弐段(寄り倒し)黒川参段

副将 ○堀越参段(下手投げ)松原弐段

大将 ●若林参段(突き落とし)寺沢参段

第3回戦 対中大 2勝3敗

先鋒 ●本田参段(突き落とし)西川

二陣 ○鬼谷参段(押し出し)近平参段

中堅 ○橋本弐段(寄り倒し)田中弐段

副将 ●堀越参段(下手投げ)菅野弐段

大将 ●若林参段(突き落とし)中村弐段

※団体戦予選落ち

個人戦

鬼谷智之参段

一回戦 ○対川田参段(金沢学院大)寄り切り

二回戦 ●対近平参段(中大)突き落とし



谷本将也参段(スポ4=鳥取城北)

一回戦 ○対勝呂弐段(拓大)押し出し

二回戦 ●対西野参段(東洋大)寄り切り



本田煕誉志参段

二回戦 ○対梅崎参段(九州情報大)小手投げ

三回戦 ●対城山四段(東洋大)送り倒し



市川拓弥参段(社4=長野・更級農)

一回戦 ●対乙咩(九州情報大)寄り倒し



堀越豊輝参段

一回戦 棄権



若林魁参段(スポ3=岐阜農林)

一回戦 ○対山本弐段(日体大)押し出し

二回戦 ●対中島参段(日大)寄り切り



橋本侑京弐段

一回戦 ○対照喜名弐段(九州情報大)突き出し

二回戦 ○対松永参段(日体大)押し出し

三回戦 ●対古川晴参段(日大)はたき込み


コメント

室伏渉監督(平6人卒=東京・明大中野)

――団体戦の結果についてはいかがですか

残念ですね。予選を通ってベスト8に入ろうという目標だったのですが、初っ端の東洋大戦ですよね。そのあとの拓大戦も、エンジンがかかるのが遅くなりました。中大にああして2点取れるぐらいになっているので、試合の入り方が悪いなという感想です。

――個人戦については

橋本が頑張っていたので、もうちょっといけるかなと思いましたが、足の指を痛めたみたいで、それでちょっと力が入らなかったようです。内容は良かったです。鬼谷も悪くなかったので、もっと行くかなと思ったのですがね。本田が調子が悪かったので、そこは今度の宇佐に向けて、心配です。

――今のチームに足りないところはどこでしょうか

自分のパフォーマンスを、土俵に上がってからできないというところでしょうね。そこが一番の課題です。そこをどうやって、力を出せるように持って行くか。試合の入り方、最初の勢い、そのあたりが残念だったなというところです。

――宇佐大会で選手たちに意識してほしいことは

宇佐大会は選抜大会で、相手も決まっています。予選を通過してベスト8に入ることですね。堀越がああいう状況になってしまい、出場はできないので、みんなでどうやってチームでカバーしていくかというところを、もう一度みんなで話して、試合に挑みたいと思います。

鬼谷智之主将(スポ4=愛知・愛工大名電)

――今季の初戦でした。意気込みはどうでしたか

目標はベスト4でした。予選で、みんなが思うような力を出せず、体の力も入ってしまい、いい結果は残せなかったですね。

――団体戦での反省点などはありますか

初戦の東洋大戦で、1点も取れず、そのまま引きずって、拓大戦も1点しか取れず、中大戦はあと1個だったにしても取りきれないなという印象です。宇佐ではしっかり改善していきたいですね。

――個人戦はご自身ではいかがでしたか

団体で勝った相手でしたが、同じようにはいきませんでした。ちょっとずらされましたね。悔しいです。

――チームとして、宇佐大会へ向けて伸ばしたいところはどこですか

どうしても力が入ってしまい、自分たちの力がまだ出しきれていないと思います。宇佐大会には、リラックスして臨みたいですね。

橋本侑京(スポ2=東京・足立新田)

――個人戦は連勝スタートでしたが、いかがでしたか

2回戦は、去年宇和島大会で負けた日体大の選手でした。その相手にリベンジできたのは良かったです。3回戦の日大戦も勝てたかなと思ったのですが、足がもう一歩出なかったので、個人戦に関してはまだ自分の相撲は取れていないかなという印象です。

――今季最初の相撲ということで、意識したことはありますか

100周年の初っ端の試合でしたが、自分の相撲を取るしかないなということで、特に意識はせず、いつも通り行こうという感じでした。

――団体戦の結果についてはいかがでしょうか

拓大や中大は実力的には互角で、自分たちが勝ってもおかしくないので、悔しいですし、チームとしていつも通りの実力が出ていなかったのかなと思います。個人的には、拓大戦では、チャンスの時に逆に焦って、相手に食いついてしまい、それでまわしを取られて負けるということがあったので、そこは直していこうと思います。中大戦で1つ勝った相手は、自分たちの代の高校の時のインターハイや国体で強かった相手で、上の存在でした。去年の宇佐でも対戦して負けていて、今年は勝てたので自信になりました。

――宇佐へ向けて、意気込みをお願いします

今大会は、後半になって個人的には調子が上がってきたので、この流れのまま宇佐に臨んで、自分の相撲を取れたらなと思います。