新入部員たちが早くも活躍を見せた東日本学生新人選手権から1ヶ月。悲願の1部リーグ昇格を目指し、東日本学生選手権に出場した。新体制となって初めての団体戦。なんとか上位4チームに入って、Aクラスとの入れ替え戦に出場したい早大だったが、準々決勝で大東大に惜敗。また個人戦には1年生5人が出場するも、あと一歩及ばず全選手が予選トーナメントで姿を消した。それでも堂々とした取り組みに「決して悪い内容で負けたわけではない」と語った室伏渉監督(平16人卒=東京・明大中野)。これからの1年生の躍進に期待がかかる。
相手を投げ見事勝利した榊原主将
5人制で行われた団体戦では1回戦で国学院大と対戦した。先鋒を務めた鬼谷智之(スポ1=愛知・愛工大名電)が押し出しでしっかりと勝利を収めると、続く4人も相手に攻撃の隙を与えぬ早さで白星を重ねていく。5-0で圧勝した早大は、勢いそのまま準々決勝の大東大戦へ挑んだ。しかし先鋒の鬼谷が体格勝る相手にいきなり寄り倒されてしまう。二陣を務めた榊原祥孝主将(社3=千葉・専大松戸)が後輩の黒星を払拭するかのようにまわしをつかむと、西の土俵の外へ相手を投げた。中堅の谷本将也(スポ1=鳥取城北)は榊原に続きたいところだったが「自分が勝たないといけないという気持ちがプレッシャーになってしまった」(谷本)と実力を発揮できず、土俵際で粘るも寄り切られてしまった。絶体絶命の早大の勝負の分かれ目は、市川拓弥(社1=長野・更級農)に託された。気合を入れて土俵に上がった市川は、相手を土俵際に追い詰め押し出したが、一瞬の遅れで先に引き落とされてしまった。悔しそうな表情で上を見上げる市川。最後は本田煕誉志(社1=大分・楊志館)が大将らしい見事な相撲で相手を突き落とすも、早大は2-3で敗戦を喫した。
団体戦のリベンジを果たすべく、1年生5人が個人戦に出場。このまま終わるわけにはいかない早大だったが格上の相手に歯が立たず、続々と初戦で敗退していく。「Aクラスのレベルの人と戦うと、どうしても力の差があからさまに出てきてしまった」(本田)とやはり1部リーグ昇格への壁はまだまだ高いようだ。それでも意地の1勝を見せたのが谷本と堀越豊輝(スポ1=東京・足立新田)。谷本は力強い押し相撲を展開し、素早い動きで相手の攻撃をかわし、決め手ははたき込み。堀越も緊張した面持ちを見せるものの、立ち上がりから積極的に攻め、突き出しで勝利を飾る。両者とも惜しくも二回戦で敗れてしまったが、貴重な一勝を挙げた。
惜敗し悔しげな表情を見せる市川
「自分は絶対に落とさないという考えが足りなかった」と今大会を振り返る榊原。新体制として初の団体戦は悔しい結果に終わってしまったが、来月行われる東日本個人体重別選手権、その先の全国学生選手権へ向けて課題は見えてきた。これからどこまで課題を修正し、選手一人一人の底上げを図れるか。早大相撲部の成長はまだまだ未知数である。
(記事 田々楽智咲、写真 佐藤裕樹)
結果
▽団体戦
一回戦 対國學院大 5勝0敗
先鋒 鬼谷参段○(押し出し)●間中初段
二陣 榊原参段○(押し倒し)●保田拓馬
中堅 前川弐段○(肩透かし)●高宮健吾
副将 市川弐段○(押し出し)●草間康佑
大将 本田弐段○(押し出し)●川野優作
二回戦 対大東大 2勝3敗
先鋒 鬼谷参段●(寄り倒し)○里館参段
二陣 榊原参段○(上手投げ)●鈴木参段
中堅 谷本参段●(寄り切り)○佐藤参段
副将 市川弐段●(引き落とし)○大久保弐段
大将 本田弐段○(突き落とし)●佐藤初段
※Bクラスベスト8
▽個人戦
谷本参段
一回戦
対村井参段(国士舘大)はたき込み○
二回戦
対斎藤参段(駒澤大)下手投げ●
堀越初段
一回戦
対川野優作(國學院大)突き出し○
二回戦
対小柳参段(東農大)押し出し●
市川弐段
二回戦
対百瀬参段(東農大)下手出し投げ●
鬼谷参段
一回戦
対中嶋参段(中大)押し出し●
本田弐段
一回戦
対後藤参段(拓大)突き落とし●
榊原参段
一回戦
対西方参段(日体大)不戦敗●
コメント
室伏渉監督(平16人卒=東京・明大中野)
――悔しい結果だと思いますが、振り返っていかがですか
本当に悔しいのひとことです。春からずっとこの大会に照準を合わせてきたので悔しいです。実は榊原(祥孝主将、社3=千葉・専大松戸)がけがをしてしまって、そこから狂ってしまったというのがあります。榊原がけがで稽古ができなかったので、1年生が中心の稽古になってしまいました。これが1年生の経験になってくれれば良いです。決して悪い内容で負けたわけではありません。1年生なのでプレッシャーもある中で思い切りやってくれたので、責めることはありません。
――長らく今大会を目標にしてきたと思いますが、次の目標は何ですか
次は個人の東日本体重別選手権が7月にあります。まずそこで個人でどれだけ結果が出るかどうかです。そのあとは秋の東日本学生リーグ戦や全国学生選手権しかないので、どうやって稽古をしていくかをみんなで考えて、この悔しさは絶対に忘れないようにしたいです。きょうはAクラスに上がれると思ってたくさんの人が来てくれましたが、僕らにも慢心があったのかもしれません。僕自身も考えたいと思います。
――きょうは出場できない選手も必死に応援し、たくさんの応援する観客の方が集まりました
本当に皆さんに感謝したいです。期待に応えられなかったのは受け止めなければいけません。だからどうやって現実的に受け止め、この悔しさを今後に生かせるかだと思います。
――きょうは1年生が経験を詰むことができたという点では良かったのでしょうか
そうですね。また、これでは勝てないのだなという思いを持てたことも良かったと思います。
榊原祥孝主将(社3=千葉・専大松戸)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
悔しい結果ですがこれが現実なので受け止めるしかないと思います。
――団体戦については惜しかった印象を受けましたが
実力のうえではそんなに大差ないチームだったと思うので、勝てる試合を落としたかなとは思います。
――ご自身の相撲についてはいかがでしたか
自分自身はけがで試合に出られるか分からない状況だったのですが、自分が出ないと1、2年生中心になってしまいます。それだといくら実力があっても力を出すということが難しいチームになってしまうので、そういった面で自分が何とか出て、やろうかなと思っていました。勝つことはできましたが、まだまだです。(けがを)治して万全の状態でやりたいなと思います。
――個人戦には1年生が5人出場しましたが、1年生の取り組みについてはいかがでしたか
まだ1年生なので、絶対に相手は上級生が中心になってしまいます。そういう点では委縮せずに思い切り相撲を取れていたので良いかなと思います。ただ勝てる相手もいましたし、元気よく取れたから良いというわけではなく、もっと良い相撲取るためにはどうしたら良いかというのを考えてもらいたいです
――部員が増えたことによってチームの中でメンバー争いなどが出てくると思いますが、その辺りはどのようにしているのでしょうか
日ごろからよく稽古をやっていますので、実力の違いというのは本人たちも分かっているので、今回のこのような起用方法についてはみんな納得しているとは思います。自分が7番手や8番手だから出られないといって、今回の試合は諦めようというわけではなく、努力して試合の当日まで分からないので頑張ってもらいたいです。
――メンバーに入れない選手も一生懸命応援していましたが
出られないからと言って腐っているのではなく、仲間を応援するというのは誰しもできることではないので良いことだとは思いますが、良いことだからと言ってそこに浸っていられては困ります。チームが成長するためには、もちろん1番手の選手が頑張って引っ張ることも大事だし、2番手3番手の選手が頑張って1番手に追いつこうとするのも大事なのですが、チームの中では勝てないという選手にとっては、勝てない相手が目の前にいるわけで、勝てるようになればチームの中身は変わってきますから、そういった点で底上げしてもう少し頑張ってもらいたいなと思います。
――次戦へ向けて今後の課題をお願いします
たくさんあり過ぎるのですが、もっと自分に厳しくしてもらいたいです。稽古場で勝てたからといって、勝った相撲がいざ本番で相撲を取って勝てるのかと言ったらほぼそうではないのです。勝てたときにも自己批判をしてもらって、それを次の練習の時に直していこうと一つ一つ自分で批判して行ってもらわないとこれは直っていかないです。先輩や監督に言われて直すのはもちろんですが、自分で自分を批判して自分で自分を高めてもらって次戦に向けて頑張ってもらいたいです。
本田煕誉志(社1=大分・楊志館)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
上位との壁を感じました。Aクラスに昇格すると意気込んでやってきたのですが、自分たちの力不足で、このような結果に終わってしまいました。でも目指しているところはここではないので、もっと稽古して頑張っていきたいと思います。
――団体戦では、大将として見事な相撲を見せてくれました
勝つことはできましたが個人が勝っても何の意味もないので、チームで勝たないといけないのでもっと頑張ります。
――きょうの試合で見つかった課題はありますか
Bブロックではある程度戦えていたのですが、個人戦でAクラスのレベルの人と戦うと、どうしても力の差があからさまに出てきてしまったので、目標を高く持って日々の稽古に精進していきたいです
――今後の目標をお聞かせください
きょう見つかった課題を修正しながら、一つ一つ目の前の試合に勝って、Aクラスに上がれるように、早スポの1面を飾れるように頑張ります。
谷本将也(スポ1=鳥取城北)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
団体で自分の力を出すことができなくて、目標としていた2部でベスト4に入って、1部との入れ替え戦で戦うことができなかったので、ものすごく課題の残る悔しい試合でした。
――個人戦については1勝されましたが
1勝できたことは大きかったのですが、もっと上があるので、もっと稽古して力をつけてまたらいねんのこの大会では上の順位になれるように頑張りたいです
――榊原主将から「新人戦でベスト8に入ったのに何で負けたのだ」という厳しいお言葉がありました
初めての団体戦だったので、自分が勝たないといけないという気持ちがあって、逆にプレッシャーになってしまいました。もっと稽古をして良いイメージを持って、良い緊張感をもって、自分が中心となっていけるように、まだまだ力がないので稽古するしかないと思います。
――今後の目標をお聞かせください
1部昇格というのはとりあえず目標なので、そこを目指してもっと稽古をします。全国大学選手権まではまだ半年近くあるので、そこでしっかり結果を出せるように頑張ります。