早大相撲部の新入部員にとってはデビュー戦となる東日本学生新人選手権。早大からは5人の新人が出場した。激戦を制し、決勝トーナメントへ駒を進めたのは谷本将也(スポ1=鳥取城北)と鬼谷智之(スポ1=愛知・愛工大名電)。惜しくも準々決勝で敗れた谷本だったが堂々のベスト8に、鬼谷はベスト16に輝いた。室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)は初戦で敗退した選手も含め「内容的には悪くなかったので、次につながるのではないか」と語り、今後の早大を期待させる試合となった。
力強い立ち合いを見せた谷本
予選トーナメントの初戦でチームメートの多くが姿を消したが、圧倒的な相撲で勝ち進む谷本。2回戦では、力強い立ち合いと的確な取組で相手を寄り切り、危なげなく予選を通過する。鬼谷も積極的な相撲を見せ、順調に白星を重ねる。初戦で立ち合いから素早くぶつかりに行った鬼谷は、勢いそのまま相手を押し出した。2回戦でも専修大の選手に対して接戦を繰り広げ、最後は土俵際に追い詰め寄り切りで勝利を収める。
入賞をかけて迎えた決勝トーナメント。最初に登場したのは谷本だ。緊張感が張り詰める中、パワー溢れる攻撃で攻めていく谷本。始終落ち着いた相撲を見せ、決まり手は突き落とし。ここでベスト8が確定した谷本は、準々決勝に挑んだ。準々決勝では、相手のまわしを取ろうとチャンスをうかがうものの、素早い動きにかわされ土俵から押し出されてしまった。「自分の相撲はしっかり出せたが、やはりもう少しで3位に入賞できたので悔しい」(谷本)。あと一歩のところで3位入賞を逃した谷本は、土が付くと同時に「あーっ」と声を出して悔しさをかみしめた。一方鬼谷は、決勝トーナメント1回戦で、今大会覇者の東洋大の選手と対戦。体格で勝る相手に対しても臆することなく攻める鬼谷だったが、迫力ある押し相撲に逆らえず、押し倒しにて敗戦を喫した。
相手のまわしを取る鬼谷
悔しさは残るもののそれぞれ実力を出し切り、好スタートを切った新人力士たち。すでに「東日本学生選手権で2部優勝を果たし、1部に昇格することが目標」(鬼谷)と6月に行われる大会に向けて意気込み十分だ。新生・早大相撲部はこれから大きな飛躍を見せてくれるに違いない。
(記事 田々楽智咲、写真 佐藤裕樹)
結果
谷本参段
2回戦
対トゥブシン(東農大)○押し出し
3回戦
対飯田弐段(日体大)○寄り切り
4回戦
対中島弐段(日大)○突き落とし
準々決勝
対今関弐段(日体大)●押し出し
※ベスト8
鬼谷参段
2回戦
対千葉初段(東農大)○押し出し
3回戦
対中嶋参段(専修大)○寄り切り
4回戦
対新保初段(東洋大)●押し倒し
※ベスト16
市川弐段(拓弥、社1=長野・更級農)
1回戦
対植松初段(中大)●寄り切り
堀越初段(豊輝、スポ1=東京・足立新田)
2回戦
対鵜川参段(東洋大)●寄り切り
本田弐段(煕誉志、社1=大分・楊志館)
2回戦
対松永参段(日体大)●すくい投げ
コメント
室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
もちろん1回戦で負けた選手もいるのですが、1年生らしく思い切った試合で、特にベスト8になった谷本将也(スポ1=鳥取城北)は非常に良かったなと思います。
――反省点はありますか
それぞれ実力は出せたので、負けたのはもちろん緊張したせいもあります。内容的にはそんなに悪くなかったので次につながるのではないかと思います。
――監督から見てことしの新入部員たちはいかがですか
本当に頼もしいです。非常に頼もしく、期待しています。
――次戦へ向けて一言お願いします
次は東日本学生リーグ戦(東日本)があるので、そこでAクラスに一歩でも近づけるようにメンバーもこれから決めなきゃいけないのです。けれども嬉しい悲鳴なので、とにかく切磋琢磨(せっさたくま)してもらってAクラス復帰に向けて頑張りたいと思います。
谷本将也(スポ1=鳥取城北)
――ベスト8おめでとうございます。今の気持ちをお聞かせください
自分の相撲をしっかり出せたというのはあったのですが、やはりもう少しで3位に入賞できたのでそこは悔しい気持ちはあります。
――準々決勝での敗因は何ですか
小さい相手だったのですが慌てて前に出てかわされてしまいました。そこはもう少し落ち着いて取れれば勝てた相撲だったので、もうちょっと力をつけないといけないなと思います。
――良かった点はありますか
全体的に前に出て相撲を取れたのでそこは良かったと思います。
――今日はどのような気持ちで試合に臨まれましたか
やはり大学の初戦なので、あまり優勝とかを意識せずに、楽に自分の相撲だけ取ろうという気持ちでやりました。
――これから戦っていくライバルたちの相撲を見てどう思いましたか
優勝する選手でもそんなに力の差はないと思うので、あとは試合でしっかり、勝てるか勝てないかというメンタルの問題と、もっと力をつけてやっていきたいと思いました。
――次戦へ向けて一言お願いします
次は東日本学生選手権(東日本インカレ)があるので、そこはチームとして戦って、チームとして勝てるように自分も力をつけて頑張っていきたいです。
鬼谷智之(スポ1=愛知・愛工大名電)
――大学初の公式戦を終えて感想をお願いします
3位やベスト8に入って入賞したかったので悔しいです。
――試合を振り返ると惜しかった印象を受けましたがいかがですか
やはりまだ実力が足りないので、稽古をして頑張りたいです。2回戦での相手が同じ高校の選手だったのでやりにくかったですが、勝てて良かったです。最後は敗れてしまいましたが、次につながる相撲だったと思います。
――5人の選手が新人戦に出場しましたが、チームとしてはどう評価されますか
谷本がベスト8に入ってくれて、他のみんなも良い相撲を取っていたと思います。この5人で頑張っていきたいと思っています。
――勝ち進んだことで自信を得ることができたのではないでしょうか
そうですね。自信になりました。頑張りたいと思います。
――最後に今季の意気込みをお願いします
まずは次に行われる東日本インカレで2部優勝を果たし、1部に昇格することが目標です。