第4回早稲田杯!過去最多の選手が出場

相撲

 ことしで第4回目を迎えた早稲田杯。過去最多の13人もの参加者が、早大東伏見相撲道場に集まった。早稲田杯は、相撲部員が非常に少ない状態になってしまった時に、相撲部の敷居を下げて、多くの人に相撲に親しんでもらいたいと、相撲部が早大生のために始めた大会である。ことしも土俵では、早大生による熱い戦いが繰り広げられた。

決勝戦で相撲を取る田中(奥)と押谷(手前)

 会場に集まった参加者たちは、はじめに相撲部員に手伝ってもらいながらまわしをつける。その後部員に、しこの踏み方や相撲の取り方などを教わった。部員のアドバイスに真剣に耳を傾けながら、和気あいあいとした雰囲気で練習を行う参加者たち。練習の後はいよいよ試合開始だ。試合はリーグ戦形式で一人3試合をし、勝ち点の多い人から上位8名が決勝トーナメントへ挑んだ。相撲は初体験という人から相撲同好会に所属している選手まで多種多様な参加者が集まったが、一人一人、己の最大限の力を発揮して相撲を取った。会場からは拍手や歓声が起こり、出場した選手たちはその取り組みを称えられた。

 若い参加者が集う中、早稲田杯を制したのは田中寿三郎(教1=埼玉・秀明)、48歳だった。田中は積極的な攻撃で見事な相撲を見せ、完全優勝を果たした。相撲の経験は全くなく、スポーツも部活で卓球をしていただけという田中。「3か月に一度でもいいから練習に来て欲しい」と相撲同好会所属の中田敦志(社2=埼玉・大宮)も田中の相撲を絶賛した。また惜しくも決勝戦で田中に敗れた押谷恭祐(政経5=東京・早大学院)は「高校ではラグビーをしていて、レスリングもしていたので絶対に勝てると思っていたが意外と奥が深かった。やってみないとやりがいとか分からない」と悔しさをにじませながらも、相撲の良さを実感したようだ。会場にはこの早稲田杯を通して相撲に魅せられた参加者が何人も見受けられた。例年参加者も増えており、相撲部のこの活動は着実に成功の兆しを見せている。

表彰式の様子

 表彰式後に、出場した選手たちは相撲部の関係者や応援に駆け付けたデーモン閣下(社卒)と共に相撲部から振る舞われたちゃんこを囲んだ。榊原祥孝主将(社3=千葉・専大松戸)は「過去最大数の参加者が来てくださって、非常に大きい大会になったので良かった」と交流を深める選手たちを見て満足げに微笑んだ。部員たちの相撲の普及へ向けた熱い思いは、きっと届いたに違いない。

(記事 田々楽智咲、写真 加藤万理子、久保田有紀)

★デーモン閣下もご来場

ことしも早大相撲部特別参与のデーモン閣下が審判長を務められた。デーモン閣下は2年前から早大OBとして相撲部役員の一員となり、早大相撲部の再建に協力している。早稲田杯でも終始会場を盛り上げたデーモン閣下。デーモン閣下は大学相撲の魅力についてチームワークの大切さを語り、「お前一人の力で強くなったと思うんじゃないぞ」と部員たちへげきを送った。いよいよ3年後に迫る相撲部の創部100周年。今後の相撲部の活躍に期待したい。

呼び出しも務めたデーモン閣下

※掲載が遅れましたことをお詫び申し上げます。

コメント

榊原祥孝主将(社3=千葉・専大松戸)

――第4回早稲田杯を振り返っていかがでしたか

過去最大数の参加者が来てくださって、非常に大きい大会になったので良かったのではないかと思います。

――早稲田杯が始まったきっかけは何ですか

相撲部員が非常に少ない状態で、部員が少ない原因の一つとして敷居が高いということが感じられたので、先輩方の意向によって、相撲部の敷居を下げて皆さんに来ていただこうという理由で始まりました。

――過去に早稲田杯をきっかけに相撲部や相撲同好会に入った方とかいらっしゃいますか

本日出場していた中田敦志くん(社2=埼玉・大宮)もそうですし、その前にも5、6人入ってきました。

――新入部員が加わり、もうすぐ1カ月が経とうとしていますが、チームの状況はいかがですか

非常に集中力のある選手が集まっているので、メリハリのある良い稽古ができているのではないかと思います。

――これから5月、6月と試合が続きますね

それぞれが個々に意識を高く持ってやっているので、団体はどうしても5人しか出られないのでメンバーから漏れてしまう人もいるんですけど、そういうのは一つのチームとして、総合体で勝利をつかみに行くというのが大事だと思います。みんなそれぞれ頑張って、それぞれの目標に向かって、個人ではどうしたいとか、団体ではどうしたいとか持っているので、一層意識を強くしてもらって、臨んでほしいです。

――3年後の記念すべき創部100周年に向けてチームも盛り上がってきましたね

部員も増えましたし、監督の関係者を含め、多くの方が相撲部の応援をしてくださるようになってきたので、舞台は整いました。あとは自分たちがどれだけ頑張って結果を残すかというのが大事になってくるかと思います。


デーモン閣下相撲部特別参与(社卒)

――きょうの早稲田杯の感想を教えてください

想像以上の盛り上がり。実際問題、優勝した人が48歳の1年生だったということが極めてドラマチックというか、トピックとしては面白かった。準優勝も5年生でしたしね。熟年パワーが印象に残りました。

――参加者が年々、増えていることには関してはいかがですか

ことしで4回目になるけど、昨年までの早稲田杯に関するPR活動にはまだまだ学ぶべきところがあったようだね。この大会の存在を昨年まで知らなかったという参加者もいたので、そういう部分も含めことしはうまくいったかなと思います。

――閣下はどういうつながりでこの大会の審判長などを務められているのですか

4年前、相撲部に新入生がなかなか入らない時期がありました。5人で団体戦を戦うのに部員が2、3人しかいなかったので。そこで相撲部をアピールするものを考えていた室伏監督から「相撲部の今後の興隆のために一肌脱いではくれないか」という提案があり実現しました。きっかけは第1回早稲田杯の時にメッセージを送ったことでしたね。初めは早稲田杯にということでなく相撲部の何か役員になってもらえないかという話でした。

――閣下は相撲のどこが好きなのですか

吾輩はずっと大相撲のファンでした。なのでアマチュア相撲に関してはそんなに詳しくはないんだよね。大相撲に関してはプロフェッショナルだから一人一人の力士にドラマがあって、団体戦ではないので対戦相手の戦いというよりは自分との戦いだね。そうやって人生を歩んでいく姿というのか、一人一人のドラマが吾輩の中で一番の魅力かな。でもの場合は必ずしもこれはあてはまらない。部のための団体戦もあるし、そこで競技をやめる人もいるしね。

――それではアマチュア相撲の魅力はどの辺に感じられますか

アマチュア相撲は番付とかがあるわけじゃないので、チームワークというものが一番の魅力だね。相撲は個人競技なんだけど、団体でやっているというのがアマチュア相撲、大学相撲の魅力だね。

――その団体戦ですが、ことし相撲部に5人もの新入生が入りました。メンバー争いなども生まれると思うのですが

嬉しい悲鳴だろうね。吾輩も役員だけど、監督からすると。もちろんみんないっせいに強くなってもらいたいんだけど、チームとして考えたときにチームの輪とか先輩後輩との秩序が一番難しいんじゃないかな。簡単に言えば、1年生の方が上級生より強くなったときその1年生はチームのために考えたり、先輩を敬えるかどうか、というところがポイントだね。ことし入った1年生は強いから5人全員が上級生より強くなってもおかしくはない。だからこそチームの輪や人間性が問われる。強いだけじゃダメということをどこでみんなが知ってくれるのかということが重要だね。それにしても5人入ってくれてよかった。団体戦のためにメンバー争いがあるから、彼らもさぼれないでしょ。

――100周年を迎えたときに思い浮かべる相撲部というのはどのようなものですか

きょねんまでは全くそんなことを思わなかったな。でもことしの新入生を見ていると100周年で優勝、全国学生選手権で優勝くらいのモチベーションをもってもいいかもしれない。そのためにはことしの新入生5人はライバルだけど、団体戦を戦う仲間だという意識を強く持つべきだね。

――相撲部の選手に一言メッセージをお願いします

お前一人の力で強くなったと思うんじゃないぞ。

田中寿三郎(教1=埼玉・秀明)

——優勝おめでとうございます。いまのお気持ちはいかがですか

早スポに取材されるのが夢だったので本当にうれしいですよ。本当に幸せです。

——早稲田杯に出場された経緯を教えてください

ワセダネットポータルに早稲田杯で優勝したらデーモン閣下相撲部特別参与(社卒)が悪魔賞をくれると書いてあったので、悪魔になれるのかと思って申し込みました(笑)。

——相撲のご経験はありますか。他にもスポーツは何かされていましたか

ないです。スポーツは卓球部に入っていましたけど1回戦負けでしたし。あとは学校の授業で柔道をやったぐらいですね。

——早稲田杯に向けて何か体力づくりはされていましたか

甘いものをいっぱい食べました(笑)。

——試合はいかがでしたか。緊張しましたか

試合は楽しかったです。でも最初の試合で転んだ時に、まわしの出っ張りのところで背中を打って痛いと思い、年だなとは思いました。

——終始、楽しんでいらっしゃる様子が印象的でした

最初に入ってきた時は、受付の男の人が笑いながら「出るの?」みたいな顔して、そういうのも楽しくて(笑)。室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)やデーモン閣下も、「マジかよ!」みたいな感じで(笑)。みんな楽しんでいたので面白いなと思いました。とりあえず、もともと僕はワセダから一人で居る人をなくしたいというか。『ボッチ』という言葉があるじゃないですか。どうしても一人で居たい人は別として、ああいう言葉は名実共にない大学にしたいです。こういうスポーツの交流でも知らない出会いがあるじゃないですか。そして心をぶつけ合って、体もぶつけ合って、そうすると何年もかかる付き合いがきょう1日でできましたし。そういう意味では偶然の出会いを必然的に起こしていくという、こういうイベントは素晴らしいと思います。

——田中さんは48歳ということで年下を相手に戦われていましたが、体力的にはいかがですか

体力は短距離は自信があるんですけど長距離だともうずっと膝が痛いので大変です。でも1年生なので、「先輩!いつでもパシリします」という感じです(笑)。

——年の離れた人と仲良くなることは楽しいですか

そうですね。まず最初は浮くじゃないですか。なんで居るのという感じで。でもそこからだんだん打ち解けていってくれる人たちも出てきて、親切な人たちも出てくるので。やはりそういうところが楽しいので仲良くやっています。僕は教育学部の初等教育学専攻なんですが、そこでは小学校の先生になる人が多いので、教授の方々や先輩たちはどういう人にも受け入れるというか。いろんな人に気を配って親切にしなさいと教授の方々にも言われています。

——ワセダに入学された経緯は何ですか

教育学部にすごく興味がありました。塾で個別指導みたいのをやっているので教育学に興味があったんです。あと、ちょっと冒険してみたかったんですよ。

——いまは学生一本なのですか

一応学生と同じ感じで、塾講師をやっていますね。

——大学生活はいかがですか

すごく楽しいです。

——きょうを終えて相撲同好会に入ることは考えましたか

中田敦志先輩にたまに来てと言われました。私も仕事をしなくてはいけないので、なかなか出れないんですけど、3カ月に1回でもいいからと言われて。だからもっと軽い感じで練習に参加できるようにすれば、相撲をやりたい人はいっぱい出てくると思うので、幅の広い最初の入口をつくる、そういう演出をできたらなと思います。

——きょうはデーモン閣下もいらっしゃいました

デーモン閣下先輩は300年前から訪日されているということで、非常に会いたかったです。そして、ワセダの悪魔に認定されたので非常に幸せです(笑)。

——先ほどボッチをなくしたいとおっしゃっていましたが、田中さんがこれから大学生活で成し遂げたいことを聞かせてください

まず自分がボッチでなくならなければいけないというのがあります。それほどボッチではないんですけど(笑)。どうしても人気があったり輝いている人たちが困っている人たちを助ける、という形が多いです。でも、マイノリティ側からの働きかけというか、マイノリティの中からどうやってみんなに打ち解けていくかということで、方法があると思うので。やはりこういう大会に出たりして、どうやったら勇気を持てるかとかどうやったら自分側から打ち解けられるかとか。自分が題材としてやっていこうと思っています。サークルはWESA、CROS ROAD、ロジェというサークルに入るつもりです。

——らいねんも早稲田杯に出場されますか

それは分からないですね。ちょっと腰を打ってしまったので。年なのであんまり無理なことするなと言われて、1回戦目でもう痛くなっちゃったからどうしようかなと思ったんですけど、もし優勝できるなら痛くてもいいやと思ってやりました。



押谷恭祐(政経5=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

思っていたより楽しかったです。高校ではラグビーをしていて、レスリングもしていたので絶対に勝てると思っていたんですけど意外と奥が深かったです。やってみないと、やりがいとかわからないと思いました。

――満足のいく相撲は取れたと思いますか

みんな弱かったので(笑)。もう少しやりたいかなと。

――なぜ早稲田杯に出場しようと思いましたか

しこ踏みが好きなんですよ。骨盤が広がるので。習いたいなと思ったのですが、あまり教えてくれませんでした。

――来年もまた出場されますか

ぜひまた出たいと思います。

集合写真