4年ぶりの早慶戦優勝!4年生は有終の美を飾る

少林寺拳法

 全日本学生大会(全日本)で総合1位に輝いてからはや1か月。4年生にとっては最後の試合となる早慶定期戦が、慶大日吉記念館にて開催された。会場には両校の応援部も駆けつけ、熱い声援の中で繰り広げられた伝統の一戦。結果は、女子戦、男子戦ともに早大が接戦を制し、全日本に引き続き4年ぶりの優勝を収めた。

 例年、運用法で競う早慶戦。昨年までは新人戦と本戦に分かれて戦っていたが、今年からは女子戦と男子戦に分かれ、部内セレクションで選ばれた10人が出場した。両戦ともに先鋒戦、次鋒戦、中堅戦、副将戦、大将戦の5試合を戦い、勝数によって両戦の勝敗が決まる。初めに行われた女子戦では「最強メンバーだと思っていた」(宇田樹主将、教4=東京・早実)と実力者が顔を並べた。最初の先鋒戦は全日本でも結果を残した秋山果凛(教1=千葉・志学館)が出場したが、相手拳士の欠場により、不戦勝となった。続く次鋒戦には今村千砂(文1=埼玉・早大本庄)が登場。運用法では公式戦初出場となった今村だが、序盤から積極的に攻め、2-0で勝利を収めた。続く中堅・三森菜々香(法4=東京・早実)、副将・遠藤 直(文構4=東京・早実)は1-1の引き分けとなったものの、この時点で早大の優勝が決まる。最後に登場した大将・関音葉(文構4=東京・西)は惜しくも0-1で敗れるも、合計で2勝1敗2分けとなり、まずは女子戦を制した。

集合写真に収まる女子拳士

 続く男子戦では、「5試合全部どちらが勝ってもおかしくなかった」(宇田)というように、実力の拮抗した激しい戦いが繰り広げられた。先鋒の福島綾哉(文構2=東京・早実)は体格では有利な相手だったものの、1-1の引き分けに。続く次鋒戦に登場した高橋佑(スポ2=東京・城北)は、序盤に相手に押される場面もあり、4-2で負けを喫した。反撃ののろしを上げたいところで、中堅戦に実力者の江川小次郎(商4=東京・保善)が登場。序盤に技を決めて、2-0でまずは1勝をあげた。続く副将・小川泰平(法3=石川・金沢大附)は0―0の引き分けとなり、これで1勝1敗2分けに。勝負の行方は両校の主将が戦う大将戦に持ち越された。

大将戦を戦った宇田主将

 最後までもつれ込む展開に、観客もより一層応援に力が入る。応援部を中心に、OGやOBそして観客が一体となって宇田に声援を送った。大声援の中送り出された宇田だったが、相手の佐藤生一(4年)は宇田のライバルとも言える実力者。序盤から激しい攻防戦が繰り広げられ、宇田が技を決めるも佐藤も譲らない。取って取られての展開となり、2-2のまま代表戦に突入するかと思われたその時。残り数秒を切ったタイミングで宇田が技を決め、これが有効となり勝負あり。主将の手で4年ぶりとなる勝利をつかみ取り、早大拳士は歓喜に包まれた。

 

集合写真に収まる早大拳士

 この早慶戦をもって4年生は引退となる。宇田は4年間を振り返り、「最後の1年は自分が求めていた理想というものが全て手に入った」と語る。4年ぶりの全日本総合1位という快挙を成し遂げた1年だったが、そのようなタイトルだけではなく、宇田が目指した「熱くて温かい組織」が確かに体現された1年でもあった。そして少林寺拳法部の未来を担う後輩に対しては、「今度は『日本一の座を守る』という新しい夢に挑戦してほしい」とエールを送る。宇田らの想いを継いだ後輩たちが、来年どのような活躍を見せてくれるのか。早大の快進撃は始まったばかりだ。

(記事 玉置理沙子、写真 部提供)

※掲載が遅くなり、大変申し訳ありません

結果

▽女子戦 優勝(2-1)

【先鋒】秋山 不戦勝

【次鋒】今村 勝 (2-0)

【中堅】三森 分(1-1)

【副将】遠藤 分(1-1)

【大将】関  負(0-1)

▽男子戦 優勝(2-1) 

【先鋒】福島 分(1-1)

【次鋒】高橋 負(2-4)

【中堅】江川 勝(2-0)

【副将】小川 分(0-0)

【大将】宇田 勝(3-2)

コメント

宇田樹主将(教4=東京・早実)

――どのような気持ちで早慶戦に臨みましたか

  全日本学生大会で総合優勝してからもう1試合あるということで、気持ちを切らさず有終の美を飾れるように、また最後まで後輩に何か1つでも多くのことを残したいという気持ちで臨みました。また、総合優勝が4年ぶりだったのにも加えて、早慶戦も勝てば4年ぶりという状況だったので、4年ぶりにどちらも勝つという偉業を成し遂げたいという気持ちでした。

――女子早慶戦を振り返るといかがでしたか

 女子は何一つ心配していなくて。今の女子は4年生に限らず、全体として女子のレベルが歴代でも高くて、全日本で女子総合優勝を取っているというのもありますけど、本当に一人ひとりが頼もしいメンバーでした。今回は秋山は不戦勝で戦うことができませんでしたが、補欠まで含めて全員最強メンバーだったと思っていました。リーダーシップとれる人もいて盛り上げてくれて、「絶対勝つぞ」という雰囲気が見えていたので全然心配はしていなかったです。

――今大会、運用法が初めてだった方もいますか

 5人のうち、最初の2人は新人だったんですが、公式戦で始めて出たというのは今村だけで。今村は僕らとしては隠し玉という感じで出しました。今村は僕の対戦相手だった佐藤と戦い方がよく似ていて、なので今村と練習する中で、僕自身はすごく勉強させてもらったと思いますし、今村のおかげで勝てたなと思っています。

――男子早慶戦を振り返ると

 僕は最後の大将戦でしたが、一番プレッシャーのかかるというか、ドキドキするような展開で回ってきたなという印象でした。本当に慶応も早稲田もいい意味で力が拮抗していて、5試合全部どちらが勝ってもおかしくないなという感じ、見ていても見応えがある試合だったなと思います。特に相手の佐藤喜一と僕は本当に持っているタイトルとかが似ているくらい同じくらいの実力で。去年の関東大会は佐藤が軽量級のチャンピオンで僕が重量級のチャンピオンで、今年は僕が2位で彼が3位で。彼は神奈川で一番強くて、僕は東京で一番強くてと言う感じで。ですが、ちゃんと試合で当たることはなかったので、結構怖い部分もありましたが、勝ててよかったです。

――応援部の方々もいらっしゃり、かなり声援があったと思いますが、いかがでしたか

 応援はOB、OGの人も言っていたんですが今年はここ数年で一番盛り上がっていたと思います。僕の試合の時も、後から動画を見たらものすごく盛り上がっていて。応援部の方の応援も部員のみんなの応援もすごかったと思います。実は僕らは「応援を力に変えるチーム」だなと思っていて。2019年のコロナ前最後の全日本は何も制限なしで応援がある状態だったんですが、そこで総合優勝して、そしてコロナの制限が解除された最初の2023年の大会でまた総合優勝して。そして今回の早慶戦でまた優勝することができて、早稲田は本当に応援や声援を力に変えることができるチームなんじゃないかなと思いました。僕らって44体育会の中で44番目であまりメジャーなチームじゃないので、僕らからしたら応援部さんたちが来てくれるのが凄くうれしくて。全日本学生大会の日も応援部の皆さんは来てくださって、お忙しい中僕らに時間を割いて下さることが凄くうれしくて、応援してくださるありがたみというのをすごく感じています。名前を呼んでくださるだけで、声を上げてくださるだけで、会場が早稲田一色になったなと思っています。

――これで引退となりますが、これまでの部活生活を振り返るといかがですか

 この4年間を振り返ると、最後の1年は自分が求めていた理想というものが全て手に入ったなと思っています。それはタイトルだけではなくて、自分が1年生の時に「こんな部活にしたいな」とか「こういうメンバーと一緒にやれたらいいな」というような、僕が描いていた理想の部活生活が送れたなと思っています。熱くて暖かい組織が僕の目標だったんですが、最後の1年は本当にいいチームが作れたなと思っています。これまでの3年間何もかもが上手くいったわけではなかったんですが、その時の自分に「最後は最高なものが手に入るぞ」というのを伝えたいなと思います。

――後輩の皆さんへメッセージをお願いします

 今年は早稲田の総合優勝も、早慶戦の優勝も冗談抜きで後輩たちのおかげだなと思っています。僕ら4年生は最強世代とかそういうわけではないので、僕らが得意なことはどちらかといえば背中で引っ張るというよりも、どんな時も部員の傍にい続けてあげることかなと思っていて。僕らが導いたとかそういうわけではなくて、みんなでとったというところが大きい戦績だったので、「先輩たちに勝たせてもらった」とかではなくて、「自分たちで勝ったんだ」という自覚を持ってほしいなと思います。そして、僕らは4年ぶりに総合優勝することができて、この4年間誰も見たことのない夢を叶えたという点ではすごいことだなと思いますけど、今度は「日本一の座を守る」という新しい夢に挑戦していく立場になっていくわけで、僕らの代は入ってきたときに日本一でそれを守っていけなかったという立場なので、後輩たちには僕らができなかった「日本一の座を守る」という新しい夢を叶えていってほしいなと思います。でも自分たちの代にあった目標やゴールを見つけて、それに向かって頑張ってくれたらいいなと思います。本当に何も心配していなくて、安心しきっているんですが、みんな頑張ってほしいなと思います。