第44回全日本女子サッカー選手権大会 皇后杯2回戦 | ||||
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早大 | 2 | 1-0 1-1 |
1 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 |
【得点】 (早大)27分:髙橋雛、76分:築地育 (名古屋)69分:山田仁衣奈 |
『第44回全日本女子サッカー選手権大会』(皇后杯)2回戦、ア式蹴球部女子(ア女)はなでしこリーグ1部朝日インテック・ラブリッジ名古屋(名古屋)と対戦した。序盤からア女優位に試合を進め、27分MF井上萌(スポ4=東京・十文字)のロングパスからFW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)が先制点を奪う。その後1点を返されるが76分、MF築地育(スポ2=静岡・常葉大橘)がヘディングを押し込み、見事勝ち越しゴールとなった。
決勝点を決めた築地のセレブレーション
試合序盤、守備からリズムを作り自分達の思うように試合を進める。得点のチャンスはあるものの決定機にはならない。試合が大きく動いたのは25分。ア女のOGである山田仁衣奈に(令2スポ卒)シュートチャンスを作られるがDF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園)、GK近澤澪菜副将(スポ4=JFAアカデミー福島)らが粘り強く守り切りこのピンチを凌いだ。続く27分、中盤から攻撃を組み立てると思いきや、井上が出した正確なロングパスに髙橋が左足で触れたボールが先制点となる。なんとか1点を取り返したい名古屋も果敢にゴールを狙うが、43分の近澤のナイスセーブなどもあり前半を1ー0で折り返した。
先制点の直後の髙橋
前半に引き続き、後半も相手の思うようにプレーをさせない守備力を見せる。59分、FW吉野真央 ( スポ4 =宮城・聖和学園)のゴール手前でのシュートやCKからのヘディングは相手キーパーのビックセーブに阻まれダメ押しの2点目とはならず。そして69分、CKからの山田のヘディングが不運にもMF三谷和華奈(スポ3=東京・十文字)の頭に当たり失点してしまう。しかしここで誰も下を向かないのがア女。「ここからここから」という声がピッチ全体に響き渡る。ついに76分、サイドチェンジから三谷が右に抜け出しクロスを上げ、頭で合わせた築地が渾身の2点目を奪った。その瞬間、会場からは歓声が湧きあがる。得点を決めた後には築地は漫画「チェンソーマン」のキャラクター、パワーのポーズをとり喜びを表現。「何度も走り込むことを続けていてよかった」と築地が言うようにゴールへの執念の走りがここ一番の得点に結びついた。なんとか相手を抑え勝ち切りたい試合終盤、夏目は「最後まで」とチームを鼓舞し、運動量激しくボールを奪いに行く。緊張感漂うアディショナルタイム残り約30秒、名古屋の選手に遠い位置からシュートを放たれるが大きく枠を外し、直後に試合終了を告げるホイッスルが鳴った。勝利を手にした早稲田サイドからは「紺碧の空」を歌う観客の姿もあった。
浦部を始め、守備陣は終始相手を封じ込めていた
この4年間、ア女は皇后杯を2回戦で敗退していた。試合前にホワイトボードに「2回戦の壁を越えよう」と書いたのは主務の菊池朋香(政経3=東京・早実)。チームを裏で支え続ける菊池の言葉にア女は奮い立ったという。そして、今日は『鬼門』を突破しただけではなく、強豪相手に自分達のペースで試合を進めることができた。「みんなが活き活きしている」と夏目が話すようにチームの状況は最高潮に達している。次戦、3回戦に勝利すればWEリーグ・大宮アルディージャVENTOSとの4回戦だ。WEリーグ撃破に向けて、ア女の『挑戦』は続く。
(記事 渡辺詩乃、写真 大幡拓登、取材 前田篤宏)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | ◎1 | 近澤澪菜 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
DF | 2 | 夏目歩実 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
DF | 13 | 浦部美月 | スポ3 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 15 | 田頭花菜 | スポ2 | 東京・十文字 |
MF | 7 | 三谷和華奈 | スポ3 | 東京・十文字 |
→85分 | 18 | 白井美羽 | スポ2 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
MF | 8 | 井上萌 | スポ4 | 東京・十文字 |
MF | 14 | 笠原綺乃 | スポ3 | 横須賀シーガルズJOY |
MF | 19 | 築地育 | スポ2 | 静岡・常葉大橘 |
MF | 26 | 宗形みなみ | スポ1 | マイナビ仙台レディースユース |
FW | 10 | 髙橋雛 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 11 | 吉野真央 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
◎=ゲームキャプテン |
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
――試合を終えて
今日試合前に、朋香がいつも一言みんなにくれるんですけど、そこで「4年間2回戦で負けてて、その2回戦の壁を超えよう」みたいなメッセージがホワイトボードに書いてあって。そーなんだと思いつつ、確かに私が在籍しているこの3年でも2回戦でなでしこリーグのチームに負けてたので、そこをまず超えることができて、次につなげることができて、今日は喜びたいと思います。
――次を倒せばWEへの挑戦権を得られます。3回戦に向けて
今日もみんなそういう認識だと思うんですけど、一つ一つ前回できなかったこと、やり切れなかったことを今回、という形で積み重ねて。今日の試合の内容は結果だけじゃなくて自分たちの自信になった部分でもあると思います。そういう積み重ねの先にWEへの挑戦権があって、挑戦することだけがゴールじゃないので、積み重ねて全力でぶつかれる状態作ったうえでWEへの挑戦権を持って戦っていきたいので、またチームとして積み重ねたいと思っています。そして今度は並木千夏がおそらくピッチ上に出てくると思うので、それも楽しみです。
DF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園
――試合を終えて
シンプルに良かったなと。いつも朋香が試合前にメッセージを書いてくれるんですけど、過去4年間2回戦を突破していないということだったので、その壁を破れた逃れしいなというのが一番です。
――先週からトーナメントで、負けられない試合が続いてます
皇后杯となると自分らより上のレベルで戦ってるチームが多いので、挑戦者として挑む試合ばかりなので、その中では「やってみよう」とみんなでポジティブに前向きな雰囲気で試合には臨めているなって思います。
――ここまでと比べて、今の手応えはどうですか
リーグ戦の流れよりみんなが生き生きしているなという感じはあるし、そういうのを後ろから見ているからこそその姿を見れてうれしいし、ピッチでみんなで一緒に喜べるというのが楽しいなと感じています。
――次は勝てばWEと戦えるという大事な試合になります
ホワイトスター、ラブリッジ、オルカ、ってなでしこ1部でも順位が上になって行くんですよ。やっぱり厳しい戦いになることは想定できてるけど、今季目標にしているのはそこじゃなくて、WEを倒す、ベスト8ってところなので、その切符をつかめるように目の前の試合に向けてやっていきたいなと思います。
MF築地育(スポ2=静岡・常葉大橘)
――試合を終えての率直な感想
とりあえず1個、2回戦突破というところが大きかったと思うので勝ち切れたことはすごく嬉しかったです。
――勝ち越しゴールを振り返って
前半から攻撃にしっかり参加することを意識して運動量を上げていたんですけど最後、(三谷)和華奈さんからいいボールが上がって、あそこをしっかり何度も走り込んでおくことを続けてよかったなと思います。
――数的優位の中、大外(おおそと)で走り込んでた。どんな気持ちで待ってたか
絶対和華奈さんが見てくれてるから最後選ぶのは和華奈さんだけど自分にボールが来た時にしっかり押し込めるようにいい状態でゴール前に入っておこうと思いました。
――決まった瞬間の感情
1ー1で追いつかれてしまったのもあって、リズムとは流れは悪くなかったのですが勝つということが最後求められるので2ー1になったのはチームでもその後のやりやすさとか勢いがつくという部分でPKにせずに点を取ることは大きかったと思います。自分が最後触ったことで自分が決めたことにはなったのですが、みんなで踏ん張ったから取れた点です。
――セレブレーションの意味は?
「チェンソーマン」(漫画)のパワーちゃんです(笑)。
――次勝てばWEに挑戦できる。意気込みは
楽しみです。WE撃破という目標を掲げてきたのでWEのチームとやらせてもらえる機会を目の前まで来てると思うとワクワクします。自分が武器だと思っているところをしっかり出していきたいです。