【連載】早慶女子クラシコ特集 第2回 対談:笠原綺乃×宗形みなみ

ア式蹴球女子

 今季に入って、さらに10月になって中盤の顔触れは大きく変わった。指揮官に「独特のセンスがある」と言わしめたMF笠原綺乃(スポ3=横須賀シーガルズJOY)。そして入学直後から主力として活躍するMF宗形みなみ(スポ1=マイナビ仙台レディースユース)。3人いる中盤のうち、より高い位置で攻守に関わる2選手の正体に迫る。

※この取材は10月26日に行われたものです。

皇后杯予選準々決勝でア女のゴールに喜ぶ笠原

 

「(綺乃さんは)いじりがいがあるなと最近は思っています」(宗形)

――他己紹介をお願いします

笠原 そうちゃんは…。 

宗形 良いこと言ってよ。  

笠原 プライベートはかまちょです(笑) 

一同 (笑)

笠原 一番かまちょです(笑)。1年生なんですけど、色んな先輩にちょっかい出して絡みにいくのはすごく上手いなと思います。よく分からないけど頭叩かれたり、おだんご触られたりとか謎のタイミングで通りすがりにしたりしてきます。  

宗形 綺乃さんは1人で佇んでいることが多いから、ちょっかいかけようと思って(笑)。でもいつも喜んでます。  

笠原 喜んではないですよ。ああ、またやってきたなって感じです(笑) 

――プレー面についてはいかがですか

笠原 プレー面はもうキックの精度ですね。ロングフィードもスパンといくし、そうちゃんが持ったらここに(パスが)出るだろうみたいな、受ける選手も動きやすいと思うし、ここに走ったらボール来るなって信じられる。右足も左足も精度が高くて、最初左利きだと思っていたくらい左足のキックの精度がずば抜けています。そこは本当にすごいなと思います。  

――次に宗形選手から笠原選手の紹介をお願いします

宗形 プライベートはめっちゃ面白いです。一見おとなしそうにしているのに、急に音楽流したら踊り始めるとか、そういう一面は自分も初めて知った時にはびっくりしました。(ア女で)一番面白い才能を持っていると思います(笑)  

笠原 ありがとうございます。  

――ア女の中で一番面白いですか

宗形 はい。一番面白いと思います。  

――どんな曲で踊りだしたのですか

笠原 何だっけあれ。美月(浦部、スポ3=スフィーダ世田谷FCユース)がケガした時に  

宗形 ダンスホールだよ。  

笠原 Mrs. GREEN APPLEのダンスホールという曲で、浦部美月がケガして手術した時に、みんなで動画を作ったんですよ、その曲で。その動画がア女の中で流されてて、なんで踊ったんだろう。  

宗形 才能が開花してました。  

笠原 誰かが踊れって言ったのかな。そういう流れになっちゃって、その音楽流れたら踊るという雰囲気になって踊っちゃいました。  

――プレー面についてはいかがですか

宗形 プレー面は同じポジションをやっていてバランスとか周りを見ているなと思っています。自分はすごく動き回っちゃうので自分のスペース空けたりもするんですけど、全部埋めてくれたり守備もカバーしてくれたりして、チームの中に自分も含めて自己主張しちゃう人が多いのですが、それを中和してくれて、そこの面でさんがいなかったらバランスが崩れちゃうというくらい大事なところにいてくれますいつも。  

――お互いの紹介を聞いてみていかがですか

笠原 一番面白いはちょっとびっくりですけど、うれしかったです。  

宗形 綺乃さんからこんなに褒められたことないので新鮮でした。  

――お2人は学年は二つ離れていますが、普段からの関係性は

笠原 仲良い?(笑)  

宗形 仲良いよ。  

笠原 じゃあ仲良いです(笑)。1年生の中で一番仲良いかなという感じです。自分からあまりいかないタイプなのですが、こっち(宗形)からきてくれるので絡みやすいというか喋りやすいというか、まあ仲良いということにしておきます(笑) 

宗形 やめてよ(笑)。でも最初は本当に静かすぎてあまり話さなかったので、仲良くなれないタイプだなって思っていたんですけど、結構大人数というよりは2人とかで話したりすることが多いかなという感じです。サッカーの試合の面とかでも(2人でしゃべらないと)解決できない場面が増えてきたり、プライベートでもマジふざけてるよね(笑)  

笠原 内容は特にないけどね(笑)  

宗形 特にないけど、ふざけて遊んでいるという感じです。  

――初めて会ったのは今年の初めですか

笠原 一方的に知っていた感じです。高校時代にどっちもユース出身だったので、夏のクラブユース選手権で対戦したことはあって、自分は何となくその時の10番のそうちゃんを覚えていて印象的でした。それで実際に早稲田来るってなってあの子かと思って写真を見返したらやっぱりという感じでした。こっちは一方的に知ってました。でもそうちゃんは覚えてないですね(笑)。  

宗形 覚えてなかったですけど(笑)、綺乃さんにたまたま2人が写っている写真を見せてもらって、「ああ、戦ってたんだ」ってなりました。  

――先ほどと共通する部分もあるかと思いますが第一印象と比べて変わったところはありますか

笠原 第一印象がクラブユースの時で、私が3年生の時の1年生だったんですけど、普通に(その時は)3年生だと思っていて、10番だったしめちゃくちゃ上手かったし。チームを引っ張っていたじゃないですけど、中心選手だったのですごい子なんだなと思っていたら、意外とお茶目じゃないですけどかまちょしてきたりそういう一面もあるんだなという印象でした。  

宗形 さっきも言ったんですけど静かで、オフでも静かに黙々とやるイメージだったんですけど、ふざけるところが自分的に一番びっくりしたし、いじりがいがあるなと最近は思っています。ダンス踊り始めるのもびっくりしたんですけど、(笠原が)シャワー浴びて帰って来た時に部室で自分は帰る用意をしていたのですが、頭にお風呂上がりのタオルを巻いてすごい格好で部室に何事もない顔で入ってきて、めっちゃ(私は)爆笑してたんですけど、「何―?」みたいな、「あ、そうちゃんこの姿見るの初めてか」みたいなことを言われて、写真をいっぱい撮りました。 

 

「同期がいなかったら楽しいア女生活にはなっていなかった」(笠原)

関カレ前期10節でプレーする笠原

 

――続いて1人でいる時はどうやって過ごされますか

笠原 1人でいる時はAmazonプライムで映画とかドラマとかを見るくらいです。後は、実家が藤沢市なのですが、海がちょっと近いので少し走って、海を見ながらボーっとするという感じです。  

――アウトドア派かインドア派かだったらどちらですか

笠原 いやーアウトドアでいたいんですけど、最近はインドアかもしれないです。Amazonプライム見たりとかで。  

――最近見て面白かった作品はありますか

笠原 何だろう。ちょっと履歴見てもいいですか?(笑)  

宗形 本当に見てる?(笑)湊かなえのやつとかは?  

笠原 「告白」?あ、見てないわ。  

宗形 あれめっちゃ面白いです。怖いけど。  

笠原 一番最近記憶に残っているのは「護られなかった者たちへ」。東日本大震災のやつです。佐藤健と阿部寛とかのやつを見ました。面白くて感動しました。感動して泣いたりもしたんですけど。  

宗形 えー!?  

笠原 「えー!?」じゃないわ(笑)。感動系で、とりあえず泣けました。  

――宗形選手は何か趣味などありますか

宗形 1人でいる時は大体自分の試合映像を見たり、大学の試合映像も見るけど、自分が小学生や中学生の時にお父さんが撮っていてくれたビデオをよく見返します。後は海外の試合映像を見たりする感じです。  

――海外のチームで好きなチームはありますか

宗形 自分は小学校からずっとバルサが好きで、バルサの試合は見ています。  

――小さい頃のプレー映像はどういった視点で見られるのですか

宗形 男の子と小学校のころとかは(プレー)していたので、なんか甘やかされている女の子扱いされてるなと思いながら、逆にそこから得れる部分も(あって)、この時は軽くやっているけど今は結構考えすぎているなとか、今につながるようにという視点を持ちながら見たりしています。  

――笠原選手は日ごろからサッカーを見たりされますか

笠原 私はそんなに見ないですね。自分のア女の試合とかは見たりするんですけど、海外のサッカーとかはDAZNとかにも入っていないので見ないです。YouTubeやインスタでダイジェストは見たりするんですけど、完全な90分の試合とかはあまり見たことないです。  

――ア女の中でもサッカーの試合を見る見ないというのは人によって分かれているのですか

宗形 分かれてるよね。  

笠原 分かれてますね。  

宗形 4年生は見てるよね。  

笠原 和夏さん(船木主将、スポ4=日テレメニーナ)、萌さん(井上、スポ4=東京・十文字)あたりの4年生は見ているイメージですね。  

――宗形選手は今年から一人暮らしの生活となりましたがここまで振り返っていかがですか

宗形 2月から練習参加をしていて、3月くらいはすごくホームシックで帰りたいとなったのですが、大学が実際に始まってからは全然慣れて、ご飯とかもちゃんと作ってという生活には慣れました。  

――得意料理は何かありますか

宗形 得意料理(笑)。簡単でよく作るのはしそのハンバーグです。  

笠原 この前作るって言ってたやつ?  

宗形 そうそう。作るって言ってたやつ。  

――一人暮らしが初めての中、誰かに相談したこととかはありましたか

宗形 そこまで深くは別に考えていなくて、普通にサッカーをしていたので、サッカーが楽しいという感じで相談というまでにはいかなかったです。  

――ア女の中で仲の良い選手はいらっしゃいますか

笠原 三谷和華奈(スポ3=東京・十文字)。  

宗形 ダンス踊る2人じゃん(笑)  

笠原 後は美月もかな。美月とか和華奈ですね。和華奈は寮とバイトと授業とほとんど色んなものが一緒で、常に一緒にいたというのもあって。ご飯一緒に食べに行ったりとかしてました。美月は仲が良いのかな?美月もちょっかい出す人なんですよ。だるがらみが激しいので結構だるいんですけど、よくしゃべるという意味ではその2人とはしゃべるかなという感じです。  

――笠原選手的にはグイグイ来られる方がうれしいですか

笠原 まあ自分からいかないので、来られすぎても困るんですけど、これ言うとまたいっぱい来られちゃうからあれなのですが、難しいな来られないよりはちょっとうれしいです(笑) 

――宗形選手は仲の良い選手はいらっしゃいますか

宗形 同期だったら生田七彩(スポ1=岡山・作陽)です。初めて会ったのは中3のU―15の代表候補合宿で、その時はちょっと話したことあるなくらいで、めっちゃ仲良いとかではなかったのですが、まさかここで再会するとは思っていなかったので、お互いに知っている共通点が多いのと授業もほとんど一緒ですし、一緒に買い物に行ったりします。後は4年生とはみんな仲良いかなという感じです。  

――今も少しお話にありましたが、お2人にとって同期とはどのような存在ですか

笠原 難しいですね。何かある度に同期で話し合う。学年のことでもチーム全体のことでも何か話し合うと言ったら常に同期と一緒に考えて、こうしようみたいなのを決めて行動していく、後は自分の中でうまくいかない時期に相談に乗ってもらったりとかそういった意味では同期がいなかったら楽しいア女生活にはなっていなかったなと思います。  

宗形 一言で言ったら緩いというか、本当に綺乃さんの学年とかと真逆って言っていいくらいマイペースな人たちが多くて、一人一人が緩いですし、それが悪い方向に行って怒られる時もありますけど、居心地がすごく良いので悪いノリもどんどん楽しいノリに変えていったりとか、楽ですし楽しいという居心地がすごく良いなと思います。  

――ア女の中でサッカー以外の面で大変だったなと思うところはありましたか

笠原 結構自分は今が大変で、大変というかちょうど自分の中で色々仕事とかが重なっている時なのですが、今年はみんなで早慶戦を作るという感じで、去年までは早慶戦をやりたい人がボランティアみたいなかたちでSNS活動とかをしていたのですが、今回はチームの全員一人一人に役割がある中でやっているのですが、その役割がチームのスカウティング・分析という役職とか3年生は早慶戦のモチベーションビデオの担当なんですよ。全部役職なので、たまたま仕事が重なっているという点で大変です。それ以外で言うと、1年生の時は授業がたくさんあって、コロナで授業がほぼオンラインだったのでレポートが溜まるじゃないですけど、授業とサッカーの両立、1年生に成りたてのころは生活にも慣れていなくて、初めて実家から離れて寮生活ということもあって、新しい環境に慣れるのは大変だったかなと思います。  

宗形 やっぱり1年生の仕事の部荷物の仕事だと思います。最初は1年生3人しかいなかったのですが、今増えてきて学生トレーナー含めて7人なんですけど、それでも公式戦に行ける1年生の人数が少ないということもあって、自分も試合に出るコンディションを整えないといけない中でも、部荷物にも時間を割かないといけないので、一応部荷物長をなぜか自分が任命されてやっているのですけど、その中で統括しなきゃいけないし、実際に問題が起こっちゃったという部分もあったので、そこに関しては自分がクラブで育ってきたということもあって、みんなで荷物をやるとか、みんなでやろうという感じでやっていたのですが、ア女では1年生がというみんなが通ってきた道を自分たちも通らないといけない中で、そこの部分では高校と違って少し大変だなと感じています。  

――ユースと部活との違いはかなりありますか

宗形 結構あります。  

笠原 ユースは上下関係がもうない状態なので、部荷物とかも別に気づいた人がやるという感じだったので、後はミスの対処もア女みたいにきっちり改善策を見つけてキャプテンに話すとかもなくて、そこら辺はこれが部活だなという初めての感覚でした。  

――部荷物はどこまでが1年生の管轄になっているのですか

宗形 基本全部ですね。荷物を練習の時は(倉庫から)ここ(グラウンド)まで運んで、数のチェックして、終わった後も数のチェックして運んでというので、アウェイとか東伏見のテントの準備とかも全部1年生が集合の1時間前に来て、個数チェックしてというのを全部やっている感じです。  

――アウェイだと1年生が少ないこともあると思いますが、その時も1年生で全てやるのですか

宗形 運んでくれたりというのはみんなもやってくれるのですが、チェックとかに関しては自分たちなので、1年生が2人とかの時もあるんですけど。  

笠原 最終確認は絶対1年生ですね。  

宗形 そうですね。責任をもってやっています。  

 

「常に危機感を感じています。めちゃくちゃ中盤の上手い選手がア女にはいるので」(笠原)

関カレ前期10節でプレーする宗形

 

――ここからサッカーの話題に移らせていただきます。まずは今季のご自身のプレーを振り返ってみていかがですか

笠原 最初は左サイドをやっていて、元々真ん中の選手だったので、自分で突破して仕掛ける(タイプ)じゃないので大丈夫かなという不安はあったのですが、和夏さんとかがオーバーラップしてくれたりバランスもすごい取ってくれるので、サイドから攻撃の起点となる斜めのパスを出すとかそういったところでは、貢献できたかなと思っていて、インサイドハーフは結構難しいポジションで、サイドハーフはSBとインサイドハーフとトップと周辺の関係だけで終わるのですが、インサイドハーフは360度周りに人がいるので、その人との関わりが何パターンもつくらないといけないので、そのバランスを見るところだったりポジショニングだったりというのは、今でもすごい模索しているというか考えながらやっていて、すごい難しいポジションなんですけどその中でうまく周りとの関係をつくれたり良い連携で崩せたり、スルーパスでアシストできたときとかのやりがいじゃないですけどそういうのはすごく感じているので、やっていても楽しいですし、インサイドハーフもサイドハーフもどっちも自分でやっていて楽しいポジションだなと思います。  

宗形 入ってみて、自分は元々トップ下とかボランチよりだったのですが、インサイドハーフは最初からやらせてもらっている中で、長いケガの前までは落ちたりとかボランチ気味のインサイドハーフで縦パスを送ったり展開したりというプレーを求められてやっていたのですが、ケガ明けてから1個前、前期で雛さん(高橋、社4=兵庫・日ノ本学園)がやっていたポジションに一つ上がってプレーしていて、史さん(後藤監督、平21教卒=宮城・常盤木学園)からもゴールの前で仕事をして欲しいという、得点というところにもこだわって欲しいという狙いでゴールに近いインサイドハーフというかたちでプレーさせてもらって、自分自身も攻撃の方が好きですし、攻撃で自分が得点したりアシストというかたちでチームに貢献できることが一番自分の良いプレーだったので、最近はポジションの位置取りや味方とのコミュニケーションのところでボールが出る出ないというところが上手くいっていないですけど、自分の中で有意な立ち位置というか動画を後から見て考えながら楽しきできているかなと思います。  

――具体的にインサイドハーフとして目指すプレーや求められている役割は

笠原 自分に関してはインサイドハーフの中でもちょっと後ろ目というか、守備になると4-4-2の後ろよりのインサイドハーフということで、守備の面でも監督とかからは求められている部分があって、攻めている時のセカンドボールの処理や攻撃の面だけでなく守備の面で自分の役割があると思っているので、最近ではセカンドボールの予測とか攻撃のポジショニングもそうですけど、セカンドボールを拾うためのポジショニング、もう一回2次攻撃をするためのポジショニングというのも意識してやってはいます。  

宗形 似たような感じになってしまうのですが、自分は本当に攻撃が好きでそこを売りにしてやっていくタイプなのですが、この前の帝京平成大戦(10月23日、●1―2)も半分で交代したのは多分セカンドボールのところで、中盤の競り合いという場面では劣っていた部分が少しあったのかなと思っていて、大学サッカーは蹴ってくるチームが多くてそれに対して跳ね返したそのセカンドボールがどっちに行くかでゲーム内容も変わってきますし、自分たちがやりたいサッカーができるかどうかも大きなところではあるので、自分たちがボールポゼッションするためにも守備から入るというところでは、チームとしても最初から守備から入るというところは言われていたところなので、攻撃に関してはもっとバリエーション、アイデアをもって崩して、得点して怖いチームになりたいですし、守備に関してはセカンドボールというところで、自分たちのボールにする、奪いきるというところを目標に練習から頑張りたいと思います。  

――笠原選手は今季で3年目となりますが、1、2年の頃と比べてプレーや姿勢に変化はありましたか

笠原 変化は自分であまり気づかないのですが、周りや監督とかに言われたところで言うと、守備の面が1,2年のころよりもまだまだですけど少しは成長したのかなというところで、そうなのかなとは思うのですが、1、2年と比べたら守備の球際の部分で、中盤で奪いきれるかどうかはその次の攻撃に重要になってくると思うのですが、そこの面が今まだまだですけど、1、2年の頃よりは成長した部分かなと思います。  

――宗形選手は今年が1年目のシーズンとなりますが、自分の中でここが成長したという部分、逆にここはまだまだだなと感じる部分はありますか

宗形 攻撃の面では通用するというか、自分のプレーが出せるなというのは初めての公式戦で実感しました。でも守備に関して最初の方はヘディングで競るというところから、史さんにも言われていた中で中盤はそこができないと、攻撃だけじゃ生きていけないと言われていたので、そこに関しては競れるようにはなってきたかなと思うのですが、さっきも言ったようにセカンドボールの回収だったり、強度というところでは全部自分が勝つというくらいの気持ちをもって、守備にも取り組まないといけないのかなと思います。  

――ここ最近は2人でのコンビが多いと思いますが、2人でのプレーの感触はいかがですか

宗形 筑波大戦(10月8日、○1―0)からだよね。あれ悲惨だったよねちょっと(笑)  

笠原 そうだね。でも、そうちゃんは攻撃とかにすごい絡んでくれるし、自分ができないプレー、ちゃんと(ボールを)受けに行ってそこから良いパスを出してという攻撃の起点になってくれているので、自分はその分バランスをとるじゃないですけど、そうちゃんの良さを生かせるようなポジショニングというか、自分がボランチっぽいこととかはできなくて、ゴール前のショートパスとかは得意としているのですが、ディフェンスからもらってFWに大きく展開するとか、展開力はそうちゃんの方があるので、そういったところでそうちゃんの良さを、良い意味で動き回ってくれるので、ここも顔出してくれるんだ、ここも行ってくれたみたいな。  

宗形 邪魔になってない?(笑)  

笠原 もうありがたい。自分ができないから、そこに動いてくれるから自分はそのスペース埋めようとか、そういったバランスをとるようにはしています。  

宗形 多分筑波大戦が初めて?久しぶりに組んで、守備のところは改善したのですが、攻撃で自分も結構バランスを見てやろうと心がけていたのですが、逆にうまくいかなくて、それで自分が自由に動いて綺乃さんがバランスを取ってくれた方が、チームとしてもバランスという意味では守備でも攻撃でもプラスな方向に動くと思うので、関係性というか2人でのパスはあまりないのですが、その中でも自分が動いたら埋めてくれるとか周りを見てやってくれているので頼りにしています。  

――ア女の中盤のポジション争いは激しいと思いますがそこについてはいかがですか

笠原 それはもう常に危機感を感じています。めちゃくちゃ中盤の上手い選手がア女にはいるので、その中で自分は守備の面で絶対セカンドボールを拾うところだったり球際だったりもう一段上げていかなきゃいけないと思っていますし、攻撃の面でも点に全然絡めていないので、それに加えて点に絡める選手になったらもっと怖い選手になれるかなと思っているので、そのどっちもですね。守備もそうですし、攻撃でももっと点を取れる選手になっていきたいなと思っています。  

宗形 あまり他の選手を意識するということをしないタイプなので、自分がその練習でその課題を克服するとかチームとしての課題を克服するというところに目を向けて、ポジション争いとかはなく自分のプレーをチームの勝利に貢献するためにどう発揮するか、その発揮した中でつかわれないのであればまだ自分に足りないところがあるというプラスな方にとらえていくように最近しています。  

――今季のア女チーム全体を振り返ってみるといかがですか

笠原 前期は勝ちも続いていて、チームの雰囲気も良かったのかなと思うのですが、最近は皇后杯辺り(8、9月)から負けが続いていて、チームの中でもうまくいかないなという雰囲気はある中で、みんな常にチームのことを考えているし、和夏さんとかも言っていたのですが下を向かないじゃないですけど、目標としている皇后杯やインカレの、WEリーガーの撃破だったりインカレ優勝というところなので、もちろんもっとチームの合わせるところ共通認識、戦術とかを高めていかないなとは思うのですが、チームの雰囲気はどうなんだろう。どう、悪い?  

宗形 いや。  

笠原 悪くはないよね。そんなにドーンと下に下がってはいなくて、みんなチームが勝つためにはどうしたらいいかというのを常に考えてちゃんとやっているので、まずは目の前の試合1試合1試合勝ちにこだわって、そしてその今の積み重ねが最終的に皇后杯や2カ月後のインカレで優勝という結果に繋がれたら良いなと思っています。  

――去年も前期は勝ち続けていた中で、皇后杯から崩れてしまうというチーム状況でした。そういった去年と比べて今年のチームの雰囲気は違う部分はありますか

笠原 去年と比べて…。難しいな。確かに去年の方が勝たないといけないじゃないですけど、去年のスローガンが『四冠』だったじゃないですか、それで結構どの試合も落とせないというか絶対に負けちゃいけないというチーム内の雰囲気は強かったかなと思います。それが理由とかじゃないんですけど、もちろん全部勝たなきゃいけないんですけど、去年の方がどちらかと言えば『四冠』というのを希さん(加藤、令4スポ卒)とか千夏さん(並木、令4スポ卒=現オルカ鴨川)も含めて毎回言っていて、絶対にどの試合も勝ちにこだわるというのは強かったかなという気がします。今年は勝ちにこだわっていないわけじゃないですけど、内容にもこだわりたいという意味で、今の4年生は最終的に一つ一つ積み上げていった結果、最後の皇后杯とインカレで優勝を取るという、今はその過程という意味でその目標を設定していると思うのですが、去年との違いと言われたらそこの1試合に絶対に負けられないという違いはあったのかなと思います。  

――宗形選手は今季のア女についていかがですか

宗形 前期は結構自分もコンスタントに試合に出させてもらって、その中で勝てる試合が多かったり、引き分ける試合もありましたけど、最終的に接戦でも勝てる試合が多かったかなという印象で、ケガ人が増えてからメンバーも変わってきて、オフを挟んだ辺り(8月)から負け始めて。自分もケガをしていて何もできないもどかしさもありましたし、早く復帰して勝たせられるような選手になりたいなとも思っていましたけど、やはり復帰してからもそう簡単に勝ちを積み重ねことはできていないですし、でも内容としては守備の共通認識であったり、攻撃のかたちだったり、新しい自分たちの課題に向けてすぐに修正できるわけではないので、皇后杯までに直すという明確な目標がある中でそれを一個一個直していくことで、自分たちの目標としているWEリーグ撃破とインカレ優勝というところに、自分はまだインカレの舞台には立ったことがないですけど、緊張感もあるだろうし負けられないという戦いもある中でも、内容にこだわることで勝ちというところに繋がってくるのかなと今は思います。  

 

「深い歴史の中の早慶戦に自分が携われるのは非常に光栄なこと」(宗形)

宗形は1年生ながら、FKなどでセットプレーのキッカーを務める(写真左)。

 

――早慶戦に対してはどのような印象をお持ちですか

笠原 自分は早慶戦、1年目も2年目もスタメンで出たことはなくて、どっちも途中出場だったので、やっぱりア女に来た理由の一つに早慶戦もあるので、受験期とかもYouTubeにある早慶戦のモチベーションビデオとかを見て、このピッチに立ちたいなという強い特別な思いはあるので、そこでそのピッチにスタートから出て自分が勝利に貢献して絶対に勝つ。いつもとは違った、高校生の頃から持っていた思いというのはあります。  

宗形 自分は今までライバルチームとかを意識したことはないのですが、やはり早稲田の深い歴史の中の早慶戦という部分に自分が携われるというのは非常に光栄なことだなと思っていて、今も準備はしていますけど準備の段階から自分たちで作り上げるというものには大きな意味があると思いますし、これから自分はまだ1年生ですけど、先輩たちが一緒に作って引っ張ってくれている中で、自分が得られるものは多くあると思うので、たくさんのものを吸収して独特の雰囲気というのを味わいたいなと思います。  

――チームの中で早慶戦の注目選手はいますか

笠原 やっぱりシャーンさん(ブラフ、スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)じゃないですかね。みんな言うかもしれないですけど、双子のもう一人の方が慶応にいるということで、しかも4年生で最後の対決になるのでそこは見どころかなと思います。  

宗形 キャプテンの船木和夏さんじゃないかなと思います。今ケガしていて、早慶戦に間に合うかどうか分からないですけど、「ウズウズしてる」とずっと言っていますし、そこに合わせると言っているくらい、ベレーザに特別指定で入っている中でもそこの早慶戦にかける思いというのが伝わってきます。ケガしている中でもキャプテンとしてまとめる、チームのためを思ってやってくれているなという部分は伝わりますし、自分でも個人的にプレーを聞いたり動きであったり一緒に考えたりというので、得られること吸収できることが多くある選手なので、戻ってくれなかったとしても自分にとってもチームにとっても大事な選手だと思うので注目したいです。  

――最後に早慶戦に向けての意気込みをお願いします

笠原 さっきも言ったみたいにスタメンで出場したことがないので、まずはスタメンで出場して、自分が高校生の頃から憧れていた場所で、しかも今年は関カレ兼ではなく独自の早慶戦という大会で、観客も目標500人ということでAGFという素晴らしいピッチでできるので、その雰囲気を楽しみながら自分がチームの勝利に貢献できるように、でも一番は楽しんでやれたらなと思います。  

宗形 初めて早慶戦という舞台に立てる可能性があるのならば、自分のプレーを思い切って発揮したいですし、自分に関係する人だけじゃなくてたくさんの人が見に来てくれて、サッカーが好きという人や本当に今まで出会ったことないような人たちが見に来てくれると思います。その場所で自分のプレーをいかに表現できるかというところとチームとして負けも続いてきた中での慶応に勝つという強い思いを一人一人が持った中での一体感というのを味わいながら、ピッチの上ではボールを持ったら何かが起きるというようなワクワクしたプレーをできるように準備したいなと思っています。  

(取材・編集 髙田凜太郎、写真 前田篤宏)

早慶女子クラシコに向けた意気込みを書いていただきました!

◆笠原綺乃(かさはら・あやの)(※写真左)

2001(平13)年12月15日生まれ。167センチ。横須賀シーガルズJOY出身。スポーツ科学部3年。主に左WGやIHでスタメンとしてプレーしている。背番号は14。

◆宗形みなみ(むなかた・みなみ)

2003(平15)年6月26日生まれ。165センチ。マイナビ仙台レディースユース出身。スポーツ科学部1年。入学直後からIHでスタメンの座を勝ち取っている。背番号は26。